外務省・新着情報

令和4年4月29日
ジョコ大統領との共同記者発表に臨む岸田総理大臣の様子 共同記者発表(写真提供:内閣広報室)

 スラマット・マラム(インドネシア語で「こんばんは。」)。2014年の外務大臣としての訪問以来となるジャカルタ再訪を大変嬉しく思います。ラマダン中にもかかわらず、ジョコ大統領とインドネシア国民の皆様の温かい歓迎に心から感謝いたします。

 日本とインドネシアは「戦略的パートナー」として、地域や国際社会の共通の課題に長きにわたり共に取り組んできました。特に今、我々は、ウクライナ情勢、東シナ海・南シナ海情勢、北朝鮮情勢等の多くの挑戦に直面しており、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化がこれまで以上に重要です。

 こうした認識の下、先ほどジョコ大統領と、日本が推進する「自由で開かれたインド太平洋」とインドネシアが策定を主導した「インド太平洋に関するASEANアウトルック」の実現に向け、協力を強化していくことを確認しました。

 先ほどの首脳会談では、インドネシアの更なる成長に向け、日本が支援してきたパティンバン港の拡張のための追加的な円借款の供与の決定をお伝えしたほか、ジャカルタ都市高速鉄道、スマートシティ、離島開発等の分野の協力も着実に進展させていく考えをお伝えしました。

 また、インドネシアを取り巻く海域の平和と安全を確保する観点から、海上保安能力向上を継続し、インドネシア海上保安機構に対する巡視船供与に向けた調査を開始する予定です。さらに、サイバーセキュリティを含む経済安全保障分野の協力も強化します。

 戦略的パートナーである両国は、地球規模課題や新しい時代の課題にも連携して取り組まなければなりません。

 例えば、カーボンニュートラルの実現とエネルギー安全保障の強化。日本は、インドネシアを含む各国の実情に応じた脱炭素化・エネルギー移行を支援していきます。また、私が提唱する「アジア・ゼロエミッション共同体構想」をインドネシアと共に進めていきます。

 また、日本の「アジア未来投資イニシアティブ」を通じて、地域のサプライチェーンの強靱化やデジタル技術の活用を後押しし、各国が抱える社会課題の解決に貢献していきます。また、安全で開かれた5G等の分野でも協力していきます。

 本日、日本産食品の輸入規制につき、ジョコ大統領から撤廃に向けた前向きな発言をいただきました。早期撤廃を心待ちにしています。

 地域及び国際社会の課題についても、率直な意見交換を行いました。

 まず何より、今般のロシアによるウクライナ侵略は、明白な国際法違反であり、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすものであって、強く非難します。

 ジョコ大統領との間で、両国が共に賛成した国連総会決議を想起しつつ、この問題についても議論しました。ウクライナに対する軍事攻撃は容認できないこと、いかなる地域においても、武力の行使・威嚇による主権や領土一体性の侵害、また、力による一方的な現状変更は認められず、国際法に基づき紛争の平和的解決を求めること、さらに、国際人道法に反する民間人・施設への攻撃に反対すること、を確認しました。

 加えて、武力行使の即時停止と対話による事態の打開及び世界経済への影響に連携して対応することを確認しました。

 また、人道状況を改善するため、人道支援の実施に向けて両国で連携していくことで一致しました。

 地域情勢に関しては、私から、東シナ海や南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みや経済的威圧に対して強い反対を表明しました。自由で開かれた海洋を守るため、引き続きインドネシアと協力していきます。

 更に核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応について緊密に連携していくことを確認しました。そのほか、ミャンマー、軍縮・不拡散、安保理改革等の地域及び国際社会の諸課題にも連携して対応することで一致しました。

 今年のG20では、議長国インドネシアの下で、「共に、より強い回復」をテーマに、デジタル、エネルギー移行、保健という時宜を得た優先分野が設定されました。日本はこれを支持し、G20の成功に向けて最大限協力していきます。

 来年は、両国の国交樹立65周年であり、日ASEAN友好協力50周年です。特別首脳会議でジョコ大統領を日本にお迎えし、二国間関係、また日ASEAN関係を一層発展させていくことを楽しみにしています。

 テリマカシ(インドネシア語で「ありがとう」)。


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