外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】今回、太平洋島嶼国のフィジーとパラオを、日本の外務大臣として3年振りに訪問いたしました。太平洋島嶼国は、日本にとって長年の友好国であるとともに、地域の平和と安定を確保していく上で戦略的にも大変重要な地域です。短い訪問でありましたが、昨日はフィジーのバイニマラマ首相兼外相及び太平洋諸島フォーラム(PIF)のプナ事務局長、本日はパラオのウィップス大統領及びアイタロー国務大臣との間で、大変有意義な議論を行うことができました。
 いずれの会談においても、ロシアによるウクライナ侵略によって国際社会の根幹が揺らぐ中で、基本的価値を共有する国々の結束が重要であるとの認識を共有しながら、太平洋島嶼国をめぐる諸情勢や日本と太平洋島嶼国との間の今後の協力の進め方についてですね、突っ込んだやりとりを行うことができました。その中で、太平洋・島サミットで進めてきているものも含めて、この地域への日本のこれまでの支援の内容、また関与の仕方、これは模範的なものであるといった評価を得たところでありまして、大いに勇気づけられましたところであります。
 地域情勢に関しましては、まず、北朝鮮について、今月に入ってからも、4日、そして7日と立て続けに弾道ミサイルを日本海に向けて発射するなど、核・ミサイル活動を活発化させており、関連する安保理決議に違反するこれらの活動を強く非難し、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認いたしました。
 また、太平洋島嶼国地域をめぐる安全保障の問題についても議論を行いました。その中で、中国とソロモン諸島との間の安全保障協力に関する協定について、この地域の安全保障環境に大きな影響を及ぼし得る問題であるとの認識に基づく日本の懸念を私からもお伝えをしたところであります。これに対して、太平洋島嶼国側からも同様の認識が示されて、引き続き、関係国で緊密に連携をしていくことを確認をしました。
 また先ほどでございますが、パラオ国際空港の完工式典に出席をしました。日本とパラオの協力によって建設をされたこの空港の新ターミナルは、パラオ経済・社会の発展のみならず、地域の連結性向上に寄与することが期待をされます。その意味では、まさに太平洋島嶼国地域における「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた象徴的なプロジェクトであると言えると思います。日本としては、引き続き、米国、豪州、ニュージーランドといった同志国とも連携しながら、太平洋島嶼国に対して、質の高いインフラを始めとする日本の強みを生かした支援を提供していきたいと思っております。
 最後になりますが、今回の訪問を通じて、太平洋島嶼国は太平洋で結ばれた日本の特別な友人である、日本の支援が有効に活用され、新型コロナの影響を克服し、力強く回復しつつあることを実感をいたしました。新型コロナの影響、気候変動・自然災害の影響、脆弱なインフラ等の山積する課題を太平洋島嶼国が乗り越えていけるように、日本としてできる限りの協力を行って、かけがえのないパートナーである太平洋島嶼国との絆を一層太く強いものにしていきたいと考えております。私からは以上でございます。

質疑応答

【記者】今回大臣が訪問された地域については、アメリカも大変高い関心を持っているかと思いますが、今回の歴訪を踏まえて、今後米国とどのようにしてインド太平洋地域や島嶼国での連携を深めたいと考えていますでしょうか。

【林外務大臣】インド太平洋地域の戦略環境は一層厳しくなっておりまして、太平洋島嶼国の安定と繁栄、これを確保するための取組についても、これまで以上に戦略的観点からの対応が必要になってきております。そうした観点から、米国、豪州、ニュージーランドを始めとする同志国との緊密な連携が一層重要であると考えております。
 米国は、本年2月に「インド太平洋戦略」を発表し、太平洋島嶼国を始めとするインド太平洋地域への関与を強める方針を示しております。今回のフィジー及びパラオ訪問を通じて、太平洋島嶼国が直面する様々な課題について認識を新たにしたところでありますので、引き続き、米国を始めとする同志国との間で、インフラ整備を始めとして、太平洋島嶼国の持続可能な発展に向けた具体的な協力、これを幅広く進めて、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に共に取り組んでいきたいと思っております。

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