林外務大臣臨時会見記録（5月10日15時29分）

【林外務大臣】本日（10日）行われました尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領の就任式に出席するため、昨日（9日）から岸田総理の特使として韓国を訪問いたしました。
　大統領就任式出席に続きまして、先ほど、尹大統領を表敬し、私から、大統領就任への祝意を伝えるとともに、岸田総理の親書をお渡しをいたしました。
　私から、ルールに基づく国際秩序が脅かされている現下の国際情勢におきまして、日韓、日韓米の戦略的連携がこれほど必要な時はなく、日韓関係の改善は待ったなしである旨を述べた上で、1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づき日韓関係を発展させていく必要があり、そのためには旧朝鮮半島出身労働者問題を始めとする日韓間の懸案の解決が必要である旨を述べました。
　これに対し、尹大統領からは、日韓関係を重視しており、関係改善に向けて共に協力していきたい旨述べるとともに、今後、緊密に意思疎通を行っていきたいという発言がございました。
　また、昨日（9日）夜には、朴振（パク・チン）韓国外交部長官候補と夕食会形式で会談を行いました。私から、今申し上げました内容と同様の考えを述べ、朴長官候補との間で、日韓関係のこれ以上の悪化を放置してはならないという認識で一致するとともに、日韓間の懸案等について、これらを早期に解決すべく、今後、ハイレベルの間も含めて、両政府間でスピード感を持って協議をしていくということで一致をいたしました。また、北朝鮮への対応を含め、日韓米協力を強化していくことで一致をいたしました。
　さらに、私からは、ロシアによるウクライナ侵略を強く非難し、これは欧州に留まらず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす深刻な事態である旨を述べたところでございます。
　さらに、本日（10日）昼には、鄭鎭碩（チョン・ジンソク）韓国国会副議長を始めとする、先般訪日をされました尹政権の代表団（韓日政策協議代表団）でございましたが、この招きに応じ、昼食会を行いました。日韓間の懸案を含め率直な意見交換を行って、尹政権の下で、日韓両国で緊密に意思疎通を行っていくことで改めて一致をしたところでございます。
　韓国は重要な国であり、北朝鮮への対応を始め、地域の安定にとって日韓、日米韓の連携は不可欠であります。日韓関係は、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題等により非常に厳しい状況にありますが、このまま放置することはできません。日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づき、新政権と緊密に意思疎通をしていく考えであります。こうした観点から、今回の訪問は、尹大統領や朴外交部長官候補を始めとする韓国新政権側に対し日本の一貫した立場を直接伝達をし、新政権側と緊密に意思疎通を行う重要な機会となったと考えております。 私からは以上です。

【記者】尹大統領からはですね、日韓関係の重視ですとか、緊密に意思疎通をはかっていきたいというお言葉があったと仰いましたけども、具体的な方法ですとか、あるいは大きなビジョンとか、方向性について、改善に向けて言及はあったのでしょうか。

【林外務大臣】繰り返しになりますが、私からは、尹大統領やですね、朴外交部長官候補に対して、それぞれですね、1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づき日韓関係を発展させていく必要があり、そのためには旧朝鮮半島出身労働者問題を始めとする日韓間の懸案の解決が必要であるという旨を述べたところでございます。
　その上で尹大統領からはですね、日韓関係を重視しており、関係改善に向けて共に協力していきたい旨述べるとともに、今後、緊密に意思疎通を行っていきたいという発言があったところでございます。

【記者】昨日の朴氏との会談において、ハイレベルを含めた協議について合意したということなんですが、日本側の一貫した立場に基づくという原則のまま日韓双方が受け入れ可能なそういう打開策というものを得られるというようなそういった見通し等は現時点では大臣はどうお考えでいらっしゃいますでしょうか。

【林外務大臣】この今回の韓国側との会談ではですね、日韓関係全般について様々なやりとりを行ったところでございます。韓国側からは、日韓関係のこれ以上の悪化を放置してはならない、という強い意欲が示されたところでありますが、これ以上の詳細についてはですね、先方の発言も含めて外交上のやりとりであり、差し控えたいと思います。いずれにしても、日本側としては日韓関係を健全な関係に戻すべくですね、日本の一貫した立場に基づいて尹大統領、朴外交部長官候補を含めて新政権と緊密に意思疎通をしていきたいと考えております。

【記者】岸田総理からの親書を尹大統領にお渡しになったということですが、岸田総理からどのようなメッセージを言付かって尹大統領にお伝えしたのか教えてください。

【林外務大臣】総理親書、これは尹大統領に手交をいたしました。親書という性質上、その内容等を明らかにすることは差し控えたいと思います。

【記者】 日韓、日米韓の連携が非常に大事だということで認識を共有されたということですけれども、今回の訪問をふまえて、今後どのように日米韓、日韓関係を強化していきたいとお考えでしょうか。

【林外務大臣】はい、この今次会談においてはですね、朴外交部長官候補との間では、日韓関係のこれ以上の悪化を放置してはならないという認識で一致するとともに、日韓間の懸案等について、これらをですね、早期に解決すべく今後ハイレベルの間も含めて、両政府間でスピード感を持って協議していくことで一致をいたしました。今後の首脳会談についてはですね、何も決まっておりませんが、政府としては日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づいて尹大統領を始め、新政権と緊密に意思疎通していく考えであり、こうした観点からですね、私から近く朴長官候補と日本でお会いし、協議を継続したいという旨述べたところでございます。

【記者】尹大統領ですが、かつて諸懸案について包括的な解決を目指したいというお話があったということですが、一連の会談の中でこういった包括的な解決ということに何らか説明があったかということと、包括的というやり方についての大臣のお考えをお聞きしたいんですけれども。

【林外務大臣】尹大統領からはですね、日韓関係を重視しており、関係改善に向けて共に協力していきたい旨述べるとともに、今後緊密に意思疎通を行っていきたいという発言がございました。今回、大統領就任式にあたっての訪問でございましたので、韓国側からはですね、日韓関係のこれ以上の悪化は放置してはならないという強い意欲が示されましたけれども、これ以上の詳細については先方の発言を含めて外交上のやり取りであり、差し控えたいと思っています。

【記者】クアッドについてなんですけれども、以前、尹大統領はですね、クアッドに招かれれば参加を積極的に検討すると、こういう趣旨の発言をしております。今日の会談の中でですね、クアッドについての言及やりとりはあったのでしょうか。

【林外務大臣】クアッドについては、この尹大統領、また、朴外交部長官候補との間で特に言及はございませんでした。

【記者】先ほど大臣近いうちに朴長官候補とまた協議をされる方針とおっしゃいましたけれども、先ほどハイレベルの協議というかスピード感を持っているというか、そのイメージとして年内に首脳会談を実現させる共通の目標ですとか、だいたいどのぐらいのスピード感であるか教えてください。

【林外務大臣】これ以上の悪化を放置してはならないという認識で朴外交部長官候補との間では一致をいたしました。この早期にですね、解決をすべくハイレベルの間も含めてスピード感をもってですね、協議をしていくことで一致をしたわけでございます。先ほど申し上げましたように、首脳会談について何か決まったことはございませんけれどもですね、この緊密に新政権と意思疎通をしていく考えでございまして、近く朴長官候補と日本でお会いし、協議を継続したいという旨を述べたところでございます。