外務省・新着情報

冒頭発言

グロッシー国際原子力機関(IAEA)の訪日
【林外務大臣】私(林大臣)から1件、ご報告がございます。5月18日から20日まで、グロッシーIAEA事務局長が、外務省賓客として訪日し、19日に私(林大臣)との会談を実施する予定になっております。滞在中、グロッシー事務局長は、政府関係者等と会談を行うほか、東電福島第一原発を視察する予定になっております。我が国は、核不拡散と原子力の平和的利用の促進において重要な役割を担うIAEAの取組を重視しておりまして、会談では、日・IAEA間の協力関係の一層の強化を図る考えでございます。私(林大臣)からは以上です。

インド太平洋経済枠組み(IPEF)/米国のTPP復帰

【朝日新聞 野平記者】インド太平洋の経済協力枠組みについてお伺いします。米国の主導で、今月の後半にも発足する見通しですけれども、改めてその日本政府としての、この枠組みに対する評価と、今後の対応についてお聞かせください。また、日本としては、TPPへの米国の復帰を重ねて促してきたと思うんですが、この二つの枠組みをどのように、それぞれ位置づけていくお考えか、お聞かせください。

【林外務大臣】日本は、このバイデン米国大統領の提唱するインド太平洋経済枠組み(IPEF)を、米国のインド太平洋地域への積極的なコミットメントを示すものとして、歓迎をしております。
IPEFは、米国のイニシアティブであり、その詳細については、米国を中心に関係国間で議論が進んでおりまして、日本もこれまで建設的に議論に貢献をしてきておるところでございます。
同時に、米国によるインド太平洋地域の国際秩序への関与という戦略的な観点からは、米国のTPP復帰が、より望ましいという我が国の立場、これは変わらないということでございます。この点は、私(林大臣)からも、ブリンケン国務長官やタイ通商代表等に直接伝えてきておるところでございます。
日本としては、自由で開かれたインド太平洋の実現という戦略的観点から、引き続き、この米国のTPP復帰を求めていくとともに、IPEFを通じても協力を推進し、米国を含む形での、地域の望ましい経済秩序の構築に向けて、日米で緊密に連携して取り組んでいきたいと考えております。

韓国による竹島EEZ内での海洋調査の疑い

【時事通信 田中記者】韓国の国営企業の調査船が、竹島南方のEEZ内で調査活動を行った疑いがある問題についてなんですけれども、現在、その韓国側に事実関係の確認などを行っていると思うんですが、どういった状況かということと、あと、起きた時期がちょうど大統領の就任式に重なっていて、政府側が公表を行わなかったのは、そこへの配慮があったのではないか、という見方があるんですけれども、これについて説明をお願いします。

【林外務大臣】ご指摘の報道については承知をしております。当該船舶については、この航行に係る情報に接したことを受けまして、現場海域において、海上保安庁の巡視船から当該船舶に対して、直ちに行動目的の確認及び注意喚起を行うとともに、警戒を行うなどの対応を行ったと承知をしております。
 また、韓国側には直ちに外交ルートを通じて、当該船舶の航行について説明を求めるとともに、仮に我が国排他的経済水域において調査活動を行っているのであれば認められないという旨を伝達をしたところでございます。
 その上で、現場における情報収集・分析等に鑑み、当該船舶による我が国排他的経済水域内における海洋調査の実施の確認には至らなかったため、従来の対応どおり、中止要求ではなく、現場海域での注意喚起に留めたものと承知をしております。
 通常、このような注意喚起の場合は、対外公表は行っておらず、先ほどの御指摘は当たらないと考えております。
 政府として、国際法及び関連する国内法に基づき、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。

日・UAE関係

【パンオリエントニュース アズハリ記者】(以下は英語にて発言)
 新しく就任したUAE大統領について伺います。ハリーファ大統領の薨去を受け、今後、日本はUAE及びムハンマド大統領とどのような関係を築いていくのでしょうか。

【林外務大臣】ありがとうございます。ハリーファ・アラブ首長国連邦大統領殿下の御薨去について、日本政府として、弔意の伝達のため、甘利明総理特使を現地に派遣しているところであり、改めて謹んで哀悼の意を表するところでございます。
 14日、ムハンマド・アブダビ皇太子が、ハリーファ大統領の後任として、連邦最高評議会において、全会一致で、新しい大統領に選出されたというふうに承知をしております。
 我が国としては、故ハリーファ大統領との間で築いた基礎の上に、新たに大統領に選出されたムハンマド大統領と緊密に連携し、UAEとの友好関係を更に発展させていく考えでございます。

経済安全保障(G7外相コミュニケでの言及)

【読売新聞 阿部記者】先般、ドイツで行われたG7の外相会合についてお尋ねします。最終的に、コミュニケの文書に「経済安全保障」という文言が入ったと思うんですけれども、このことの意義と、今後、特にどういった点で、他の国々と連携深めていきたいと考えているか教えてください。

【林外務大臣】我が国の経済安全保障を確保するためには、やはり、同盟国や同志国と連携を強化していくことが不可欠になると考えております。これまでも、日米や日米豪印の連携などを通じて、例えば、サプライチェーンの強靭化ですとか重要、また新興技術の育成・保護を含む、様々な取組を行ってきたところであります。
 最近では、欧州や東南アジアの国々、さらにはEUとも経済安全保障に関する協力強化を確認してきております。先般のG7外相会合でも、経済安全保障に対する地経学的挑戦、この大幅な増加には、包括的で全体的な対応が求められていると。そして、経済安全保障上の懸念への対処に共に取り組んでいくことの重要性を確認して、G7外相コニュニケに、G7の成果文書として初めて「経済安全保障」という言葉を書き込んだところでございます。
 安全保障と経済を横断する領域で、様々な課題が顕在化するなど、安全保障の裾野が急速に拡大する中で、基本的価値や原則、これを共有するG7の連携が極めて重要であると考えておりまして、今般の外相会合での議論も踏まえて、一層の連携強化に日本としても積極的に貢献していきたいと考えております。

韓国による竹島EEZ内での海洋調査の疑い

【産経新聞 岡田記者】先ほどの話に戻るんですけれども、EEZ内での韓国の国営企業の海洋調査の件ですが、一連の動きが、今後の日韓関係に、どのような影響が出るかということについて、どのようにお考えか教えてください。

【林外務大臣】先ほど、この事実関係等については、申し上げたとおりでございます。今後の見通しということをここでお話することは大変困難だと、こういうふうに思っておりますが、先ほどご説明したことに加えて、韓国大統領就任式に、訪問したときに申し上げてきました、我が国の基本的な立場というのをしっかり踏まえて、しっかりと対応をしてまいるという立場には変わりがないということでございます。

台湾情勢

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】米国の対中国政策について伺います。米国政府の「米台関係ファクトシート」が5月5日に更新され、「台湾は中国の一部」、「米国は台湾の独立を支持しない」といった文言が削除されたことが問題となっています。これについて、一部では、米国が今後、台湾独立を認める前兆ではないかとの見方もされており、台湾が独立を表明すれば、中台有事となり、日本も武力衝突に巻き込まれることは確実だと思われますが、このファクトシートの更新について、大臣並びに外務省の受け止めをお聞かせください。

【林外務大臣】米国政府のホームページの内容の一つひとつについて、コメントは差し控えたいと思いますが、また、いわゆる台湾有事といった仮定の質問についてお答えすることは差し控えたいと思います。いずれにいたしましても、台湾海峡の平和と安定、これは日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であると考えております。台湾をめぐる問題が、対話により平和的に解決される、それを期待するというのが、従来からの一貫した我が国の立場でございます。
 その上で、あくまで一般論として申し上げますと、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、政府としていかなる事態に対しても対応できるよう、平素から体制の整備も含めて、万全を期していくと、これは当然のことあると申し上げておきたいと思います。

ウクライナ情勢(ロシアによる核使用の可能性)

【パンオリエントニュース アズハリ記者】(以下は英語にて発言)
 ロシア及びウクライナの情勢を受けての核戦争の可能性について、日本がどの程度深刻に捉えているのか伺います。世界の多くの指導者が(核)戦争について発言しています。日本はこれまで世界の先頭に立って核兵器に反対してきました。どのように核戦争から自国防衛を行い、また、どのように核戦争の勃発を防いでいくかについて教えてください。

【林外務大臣】日本といたしましては、今般のロシアによるウクライナ侵略の中で、核兵器が使用される可能性、これを深刻に懸念をしております。先週のドイツでのG7外相会合において、私(林大臣)から、ロシアによる核の使用・威嚇、これは決して認め得ず、国際的な核軍縮・不拡散体制の維持・強化、これが重要であるという旨を強調し、G7の連携を呼びかけたところでございます。
 引き続き、唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや使用も決してあってはならないということを、様々な国際場裡において強く訴えていきたいと考えております。
 その上で、我が国の安全保障政策について、一般論として申し上げますと、我が国を取り巻く安全保障環境は、厳しさと不確実性を増しておりまして、このような現実に直面する中で、あらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的な強化に取り組む決意であります。その上で、日米同盟の抑止力・対処力を強化し、そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力を関係国や地域のパートナーとの間で、一層強化していきたいと考えております。

開発協力大綱の改定

【毎日新聞 今野記者】開発協力大綱について伺います。一部で報道がありましたけれども、改定に向けた今の検討状況と、それからODAを含めた開発協力全般に関する大臣のお考えをお聞かせください。

【林外務大臣】開発協力大綱について、現時点で改定することを決定したわけではありませんけれども、政府として、国際情勢の変化や時代に即した開発協力の在り方、これを模索するのは当然のことであり、そうした国際潮流や国内の状況等を総合的に勘案しながら、様々な議論を行っていきたいというふうに思っております。
 この国際情勢の変化や時代に即した開発協力の在り方を模索するに当たっては、新型コロナ対策、また、気候変動問題、また、今般のウクライナ危機を始めとする人道支援ニーズの高まり、更には先ほどご質問のあった経済安全保障の重要性、こういったものも踏まえて議論を行っていくというふうに考えております。

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