内閣府・新着情報

日時

2022年3月29日(火)13:00~14:18

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

(構成員)
【会議室】
後藤座長
【テレビ会議】
黒木座長代理
木村委員
(オブザーバー)
【テレビ会議】
大石委員
中川丈久 神戸大学大学院法学研究科教授
丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
山本和彦 一橋大学法学部教授
(事務局)
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 開催の趣旨及び今後の進め方について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 定刻を過ぎておりますので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから消費者委員会第35回「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を開催いたします。

本ワーキング・グループにつきましては、第7次消費者委員会としては、本日が初めての会合となります。

本日は、後藤座長が、会議室で御出席、その他の皆様はテレビ会議システムにて御出席でございます。

なお、所用により、川出オブザーバーが御欠席、大石オブザーバーが遅れての御参加と伺っております。

議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。もし、不足等ございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議はウェブ会議による開催となります。感染拡大防止の観点から、報道関係者を除く一般傍聴者の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。議事録につきましては、後日公開することといたします。

次に、ウェブ会議による開催に当たりましてお願い申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、御発言いただく際以外はマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際はあらかじめチャットでお知らせください。座長に御確認いただきまして、発言者を指名していただきます。指名された方は、マイクのミュートを解除して、冒頭でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。御発言の際、配付資料を参照する場合は該当のページ番号も併せてお知らせいただけると幸いです。

なお、御発言の際には、可能であれば映像、カメラのマークをオンにしていただきましたら、どなたがお話しになっているのか分かりやすくなりますので、可能な範囲で御協力をお願いいたします。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャットで「聞こえない」「聞こえにくい」などと御記入いただきまして、お知らせいただきますようお願いいたします。

本ワーキング・グループの座長及び座長代理につきましては、委員長が指名するということになっておりますが、後藤委員長御本人が、本ワーキング・グループの座長をお務めになるということでございまして、さらに黒木委員に座長代理を務めていただくよう、御指名いただいております。

それでは、後藤座長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.開催の趣旨及び今後の進め方について≫

○後藤座長 「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」の座長を務めることになりました、消費者委員会の委員長で、早稲田大学大学院法務研究科教授であります、後藤と申します。よろしくお願いいたします。

事業者の違法収益を剥奪する制度の整備は、我が国では遅れていまして、その強化が求められています。委員の方々に助けていただいて、検討を深めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

最初に、本ワーキング・グループの運営などについて事務局より御説明をいただきます。

○太田参事官 事務局でございます。まず、お手元の参考資料1を御覧ください。

消費者委員会ワーキング・グループ設置・運営規定となっております。

また、参考資料2といたしまして、平成26年7月8日の消費者委員会本会議で決定されました、下部組織の会議運用の在り方に関する申合せもお付けをしております。

本ワーキング・グループにつきましては、これらの規程及び申合せに沿って運営していただければと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

次に、本ワーキング・グループの目的と構成について述べさせていただきます。

本年1月28日の消費者委員会第363回本会議におきまして、参考資料1の消費者委員会ワーキング・グループ設置・運営規程が改正されることにより、本ワーキング・グループが再開されたということでございます。

参考資料1の別紙にございますように、本ワーキング・グループの目的は、公正な市場を実現するための消費者法(取引分野)におけるルール形成の在り方及びルールの実効性確保に資する方策並びに行政、事業者及び消費者の役割について検討することとなっております。

また、構成員は後藤座長、黒木座長代理及び木村委員の3名の消費者委員会委員でございます。

なお、現時点におきまして消費者委員会からは、構成員のほかに、大石委員がオブザーバーとして御参加されます。

本ワーキング・グループでは、主に悪質商法における被害回復の実効性確保について検討を進めていただきたいと考えてございます。

その際、設置・運営規程第5条4項に基づきまして、オブザーバーとして、東京大学大学院法学政治学研究科の川出敏裕教授、それから神戸大学大学院法学研究科の中川丈久教授、それから慶應義塾大学法学部、丸山絵美子教授、それから一橋大学法学部、山本和彦教授にも御参加いただきます。

なお、以後、本ワーキング・グループでは、オブザーバーを含めた構成員の皆様の呼称を委員に統一させていただければと思います。

○後藤座長 続きまして、本日御出席の委員の方々から簡単に御挨拶をお願いしたいと思います。

最初に、黒木座長代理、よろしくお願いいたします。

○黒木座長代理 ただいま御紹介いただきました、弁護士の黒木でございます。第7次の消費者委員会の委員を務めさせていただいております。

本ワーキング・グループでは、座長代理という大変重い職責を委員長より御指名いただいておりますので、全力でそれを果たしていきたいと思っております。

○後藤座長 ありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 主婦連合会の木村と申します。私も第7次の消費者委員を務めさせていただいておりまして、前回のワーキング・グループを傍聴させていただきましたけれども、引き続き、悪質商法についてなど、いろいろと検討させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○後藤座長 続きまして、大石委員は、後に回させていただきます。

中川委員、よろしくお願いいたします。

○中川委員 中川でございます。

このテーマは、随分前から私は関わっておりましたので、大変楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 慶應義塾大学の丸山絵美子でございます。

第6次の消費者委員会のルール形成ワーキングのときに、第2弾の座長を務めさせていただきました関係で、今回、その流れで参加させていただいていると思っております。尽力したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○後藤座長 ありがとうございました。

山本委員も、まだ入られていないそうですので、後でまた御発言いただきたいと思います。

皆様、どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

本日は、最初の会合ですので、まずは開催の趣旨と今後の進め方につきまして、事務局から説明してもらいます。よろしくお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。お手元の資料1を御覧ください。

タイトルでございますが「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ(第3弾)、開催の趣旨及び今後の進め方について」となっております。

おめくりいただきまして、1ページ目でございますが、まず、本ワーキング・グループにおける検討の経緯について、若干、御説明をさせていただきたいと思います。

今回は第3弾ということでございますが、それに先立つ第1弾というのは、1ページ目にございますように、第5次の消費者委員会のときに検討を行っていただいたということでございます。第5次の際に、本ワーキング・グループを設置いたしまして、先ほど述べさせていただきましたように、消費者分野、特に取引分野におけるルール形成の在り方及びルールの実効性確保に資する方策、並びに、行政、事業者団体、消費者団体等の役割について検討する、こういった目的の下に検討を行っていただいたということでございます。

第5次のときの報告書の概要、ポイントを下のほうにお示ししておりますが、まず、ルール形成の在り方ということで、ルールのベストミックスといった観点、民事ルールでありますとか、行政規制、自主ルールをうまく組合せていくことが必要だというような観点をお示しいただいたということでございます。

それから、右側にございますように、ルールの実効性確保、担いのベストミックスということでございますが、事業者、消費者、行政、それぞれの主体が、役割を果たしていくということが必要なのだというような視点を御提示いただいたということでございます。

今回の検討の対象となりますのは、行政の役割ということで、マル4にあります、行政の悪質商法等への対応の徹底化についてでございます。そこに吹き出しがございまして、マルを2つほどお示ししておりますけれども、こちらは今回の検討テーマに関して、第5次の消費者委員会の報告書において、どういったことが書かれていたのかを御紹介させていただいております。

まず、1つ目のマルでございますけれども、違法収益の剥奪や制裁金について、我が国の制度整備が遅れているのが現状であり、強化が求められるということでございます。

あわせて、行政機関による破産申立て、財産保全等の制度の整備も検討されるべきだというような御指摘をいただいているということでございます。

それから、2つ目のマルの3行目にございますように、犯罪収益の没収と、それにより被害回復を図る仕組みを拡充していくことも重要だと、このような視点を御提示いただいたところでございます。

2ページ目のほうでございますが、その後、第6次の消費者委員会におきまして、第2弾となる報告書をまとめていただいたということでございまして、今回のワーキング・グループにも御参加いただいている丸山委員に座長を務めていただきまして、主に事業者側の役割ということで、自主規制の活用という論点について深掘りして御検討いただいたということでございます。

法規制の隙間となっているような新しい取引分野、デジタル広告・取引といったようなところでございますけれども、そういったところでも参照可能な形で、望ましい自主規制の整備・運用の在り方というのを検討していただいたということでございます。その下に概要を示してございますけれども、望ましい自主規制の整備・運用の在り方ということで、整備段階と運用段階のそれぞれにつきまして、指針となるような事項を御提示いただいたということでございます。

一番下の箱に、矢印がございまして、次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項とございますが、これは、第6次の消費者委員会から第7次の消費者委員会への申し送り事項としてまとめたものであります。ここにおいて、ルール形成ワーキング・グループの役割として、被害回復のための財産保全措置等の残された論点について、引き続き調査や検討を行う必要があるということでございます。

以上が経緯でございまして、3ページ目に、第3弾となる第7次の消費者委員会における検討課題ということでございます。

表題にございますように「悪質商法における被害回復の実効性確保」というテーマについて御検討いただいてはどうかということでございます。

深刻な被害を生じさせる悪質商法における被害回復を念頭に置きまして、第1弾の報告書で打ち出された観点というのをふえんしていただき、それを深掘りする形で、関係法制度の課題等を分析・整理していただき、運用の向上や制度の改正の検討につなげていくことはできないかということでございます。

その背景となる問題意識につきまして、下の囲みのところでお示しをしております。

まず、1つ目のマルにございますように、悪質な販売預託商法、それから詐欺的な投資勧誘等の悪質商法というのは繰り返し発生しているということで、多数の消費者に深刻な被害を生じさせているということは御案内のとおりでございます。

消費者委員会といたしましては、これまで、販売預託商法ですとか、詐欺的投資勧誘という個別の類型ごとに検討を行って、必要な対策について建議などの形で意見表明を行ったということでございますし、そういった当委員会での検討も踏まえまして、消費者庁のほうでも、特商法、預託法の改正などを行ってきたということでございます。

しかしながら、悪質商法一般について、どういった形で被害回復の実効性確保を図っていくか、横断的な検討というものは、これまで消費者委員会では十分に行っていなかったということでございます。消費者庁のほうでは、平成25年に、消費者の財産被害に係る行政手法研究会というものを設置しまして、この研究会には、今回御参加の川出委員、中川委員、山本委員もメンバーとして加わられて、平成25年6月に報告書がとりまとめられたところですが、それ以降は、具体的に検討というものは、行われてこなかったということでございます。

3つ目のマルでございますけれども、ワーキング・グループ報告書第1弾では、先ほども御紹介しましたけれども、自主的取組ですとか、民事ルールでは対応しきれない悪質商法について、やはり行政がしっかり役割を果たす必要があるのだということをいっているところでございまして、実効的な法整備、それから違法収益の剥奪、財産保全等の制度の検討が必要ではないかというようなことを御提言いただいております。こういったことを受けまして、今回のワーキング・グループにおいては、現行の関係法制度の課題等を分析・整理していただいて、第1弾の報告書の観点を更に掘り下げることにより、運用の改善ですとか制度改正につなげていくということができないかというのが問題意識でございます。

4ページ目を御覧いただきますと、今回の第3弾となるワーキング・グループで取り扱っていただく論点のイメージをお示しさせていただいております。

まず、総論ですけれども、加害者財産の隠匿又は散逸の防止に関する制度を含めて、多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益を剥奪して、被害者を救済するための制度の検討する際に有用な考え方等を整理していただくことが必要ではないかということでございます。その際、本件は大変難しいテーマでございまして、具体的な成案を得るためには、かなりの検討ですとか調整を要するということかと思いますので、今回の第3弾というのは、今後の検討につなげるための第一歩というような位置付けで考えているということでございまして、実際の被害事案の整理ですとか、被害の予防・救済のためのオプションの整理に重点を置いていただいてはどうかということでございます。

その上で、具体的な論点でございますけれども、まず、各論の1といたしまして、消費者庁の研究会で検討が行われた平成25年以降に、多数の消費者に被害を生じさせたような具体的な事案の整理を行っていただいたらどうかということでございまして、ここには、MRI事件でありますとか、ジャパンライフ事件などをお示ししておりますが、そういったものを整理していただいてはどうかということでございます。

各論の2といたしまして、そういった事案の整理などを踏まえまして、行政的手法、刑事的手法を中心といたしまして、考えられる手段を整理していただいてはどうかということでございまして、平成25年の消費者庁の研究会報告書を踏まえまして、幅広に検討を行っていただきたいと考えております。

5ページ目を御覧ください。

ワーキング・グループ第3弾で取り扱う論点のイメージということでございまして、上段が現行制度ということで、民事的手法、行政的手法、それから刑事的手法、その他ということで、現行での制度でどういったものが活用可能であるのかをお示しさせていただいておりまして、個々の内容につきましては、後ほど詳しく御説明をさせていただければと思います。

それから、下段のほうが、現行制度にはないものということで、行政庁による破綻手続開始申立てですとか、解散命令等、そのほか、諸外国の制度などを例示させていただいておりますけれども、こういったものを、今後、日本でも同様なものの導入を検討していくことが必要なのかどうかといった観点から御検討いただいてはどうかと考えているところでございます。

最後6ページ目でございますが、今後の検討スケジュールということで、現時点の想定スケジュールをお示ししております。

本日、キックオフということで、開催の趣旨ですとか、今後の進め方などについて御議論いただきまして、それから、4月から6月にかけて、主に近年の消費者被害の分析でありますとか、現行制度の活用の可能性の検討といったところについて、重点的に検討をいただいき、それを踏まえて、夏頃に、中間的な取りまとめを行っていただいてはどうかということでございます。

夏以降、9月から11月にかけまして、今後、必要な制度について、前ページの下段に当たるようなものかと思いますけれども、そういったものについて御検討をいただきまして、年明け2月から3月ごろに、報告書を取りまとめていただいたらどうかということで、現時点では、こういったスケジュールで進めていただいてはどうかと考えているとこでございます。

事務局からの御説明は、以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

次に、第6次消費者委員会委員であり、本ワーキング・グループでは、座長をされていました丸山委員に、第7次での審議開始に当たり、前期の検討を踏まえて今期の検討に期待すること等について御発言をいただきます。

丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 第6次の消費者委員会ルール形成ワーキング第2弾の座長を務めました丸山絵美子です。お時間をいただきまして、ありがとうございます。

第6次の消費者委員会の委員に就任した際、関心のある調査検討事項として、第5次のルール形成ワーキングによる提言を実態調査とともに具体化するということに言及しておりました。

検討を深めたいと考えたトピックのうち、日本の消費者法分野における自主規制の実態調査と実効性確保のための方策の検討については、第6次のワーキングにおいて、新しい取引分野も含めてヒアリング調査を実施し、望ましい自主規制の整備・運用の在り方について、一定の整理・提言を行う報告書を取りまとめました。

もっとも、同じように調査検討の必要があると考えていた悪質商法に対する対応の徹底化、被害救済の実効性確保については、第6次の任期においては、時間切れということもあり、調査検討することはできなかったという経緯があります。

また、第5次の消費者委員会の報告書の深掘りと申し上げましたが、先ほどから言及されておりますように、悪質商法における被害回復の実効性確保や、強い抑止を機能させるということについては、平成23年頃の消費者庁における行政手法の研究会による検討や報告書の取りまとめがありまして、非常に充実したメンバーによる充実した検討の蓄積がある課題領域とも言える側面があります。

ただ、その充実した検討から10年を経る現在に至るまで、多数の消費者被害案件が生じておりまして、また、違法収益の剥奪や制裁金、財産確保への機動的な対応については、比較法的にも弱いのではないかという指摘がされ続けております。

したがって、現時点における関連制度の機能の状況、すなわち、制度の射程の切り方の適切さや、必要な手立て、欠如している領域はどこなのかということを、日本における被害実態の特徴も踏まえ、調査の上、既存制度の活用や、必要な制度的手当の洗い出しをして、現実的に体制を整備する道筋というのを示すことができるのであれば、こういった検討というのを、消費者委員会が、この時期に再度取り組むことに意味があるのではないかと思っておりました。

私自身は、民事の実体法が専門でございまして、執行法を専門とするものではございませんけれども、第6次のそういった経緯から参加の機会を与えていただいたものと考えております。

調査検討が有意義に進みますよう、役割を果たせればと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、先ほど遅れておりました、大石委員、入室されたということですので、御挨拶を一言いただくと有り難いのですが、よろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。すみません、遅れての参加となり申し訳ありませんでした。消費者委員会委員でNACSの大石と申します。

前期、このワーキングはオブザーバーとして参加しておりました。先ほど丸山委員がおっしゃられましたような、まだ課題の積み残しがありますので、消費者団体の一員として、消費者にとって一番重要な消費者被害の回復等につきまして、勉強しながら何か貢献できればと思い、今回もオブザーバーとして参加させていただきました。申し訳ありません、専門的なことまでは理解できておりませんが、率直な消費者の意見ということで述べさせていただければと思っております。

よろしくお願いいたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

山本委員も入室されておりますけれども、通信状態はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○山本委員 ありがとうございます、技術的なトラブルで遅参することになりまして、申し訳ありませんでした。一橋大学の山本です。

私の専門は民事訴訟、それから、これの関係では倒産法を専門としております。どの程度、この議論にコントリビュートできるかは分かりませんけれども、いろいろ議論しながら勉強させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、議題に入ります。

まずは、事務局より財産被害の防止・回復に関する現行制度の概要と活用状況について、20分程度で御説明をお願いいたします。

○太田参事官 事務局でございます。

資料の2を御覧ください。「財産被害の防止回復に関する現行制度」という資料でございます。

おめくりいただきまして1ページ目でございますが、現行制度について概観を行ってございます。

まず、財産被害の未然・拡大防止でありますとか、被害の回復に関する制度といたしまして、典型的に想定されるものということで、こちらにお示しをしております。

民事的手法として通常の民事訴訟、それから行政的手法として、各行政庁の監督権限に基づく処分、それから刑事的手法として刑罰法規による禁止でありますとか、違反に対する刑罰というものが一般的であるということでございます。

しかしながら、消費者被害への対応ということになりますと、やはり対象者、被害者が非常に多数にわたって、それをまとめるのが大変であるといったこと。それから予納金など裁判費用の負担が重くて、なかなか個々の消費者では対応困難であるといったこと。それから行政規制についても、隙間がある場合もあるといった様々な制約があるということで、なかなか実効的に被害の防止ですとか、被害の回復を図るということが困難な場合が多いということでございまして、こういったことを踏まえまして、特に消費者の集団的被害の拡大防止でありますとか、回復に資する制度というものも整備がされているということでございまして、そういったものを2ページ目のほうにお示しをさせていただいております。

まず、民事的手法といたしまして、消費者裁判手続特例法に基づく集団訴訟制度というものがあるということでございます。

さらに行政的手法といたしまして、景品表示法に基づく課徴金の納付命令。

それから、金融という特定の分野になりますけれども、金融機関等の更正手続特例法に基づく破産手続開始申立。

それから、会社法に基づく解散命令といったものもあるということでございます。

それから、消費者被害に関連して、特定商品取引法に基づく指示でありますとか、業務停止命令、業務禁止命令といったような手段もあるということでありますし、特にいわゆる隙間事案といった場合の手立てといたしまして、消費者安全法に基づく勧告・命令制度。

それから、被害の拡大防止といった観点から、消費者安全法に基づく注意喚起といった制度が存在するということでございます。

それから、刑事的手法といたしまして、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律に基づく被害回復給付金支給制度といったものがあるということでありまして、さらにそのほかといたしまして、いわゆる振り込め詐欺救済法に基づく被害回復分配金支払制度といったようなものが存在しているということでございまして、以下、それぞれについて簡単に、制度の概要と運用状況について御紹介をさせていただきたいと思います。

3ページ目を御覧ください。

まず、民事的手法として、消費者裁判手続特例法に基づく集団訴訟ということでございまして、事業者による不当な収益の剥奪でありますとか、消費者の被害回復を図るための制度として導入されているものということでございます。

アの概要にございますように、特定適格消費者団体、これは現時点で4団体ございますけれども、そういった団体が事業者の不当な行為により生じた財産的被害を集団的に回復するための制度ということでございます。

それから、その特定適格団体には、不当収益の隠匿ですとか散逸防止を図るための手段といたしまして、民事保全法の規定に基づく仮差押命令の申立てなどの手立ても整備されているということでございます。

イの運用状況のところでございますが、平成28年10月に制度の運用が開始されまして、現在までに共通義務確認の訴えといったものが、5事業者を被告として、訴訟は4件提起されているということでございまして、このうち3業者について判決が確定しているというような状況でございます。

ウに主な事案ということで、大学入試における得点調整が行われた事案でありますとか、給与ファクタリング事案、それから情報商材事案というようなことで活用されているということでございます。

このほか、裁判外の取組といたしまして、特定適格消費者団体から返金の申入れを受けた事業者により、任意の対応が行われて訴えの提起に至ることなく、被害回復が図られたような事案も存在するという状況でございます。

4ページ目を御覧ください。

行政的手法でございまして、最初に景品表示法に基づく課徴金納付制度についてお示しをしております。

アの概要のところでございますけれども、優良誤認表示でありますとか、有利誤認表示を行った事業者の不当な収益を剥奪するという観点から課徴金を賦課する制度ということでございます。

この際、事業者が法定の手続に従って消費者に対して返金をした場合には、返金した金額が課徴金から減額されるという措置もあることで、これにより被害救済が図られることもあるということでございます。

イに運用状況をお示ししておりますけれども、平成28年4月に制度が施行され、件数もそれなりに増えておりまして、現時点では、令和3年度現在ということでございますけれども、85件、課徴金納付の措置がとられているということでございます。

5ページ目のウとしまして、主な事案をお示ししておりますけれども、一般の事案としまして、ウイルス除菌商品に関する誤認表示事案でありますとか、電気ケトルにおける誤認表示事案等々があるということでありますし、返金措置といたしまして、健康食品の誤認表示事案でありますとか、オンラインゲームのキャンペーンの誤認表示、自動車の燃費表示といったような事案がこれまであったということでございます。

それから、行政的手法の2番目といたしまして、金融機関等の更正手続の特例に関する法律に基づく破産手続開始申立について御紹介をしております。

金融機関等が破綻した場合には、金融のシステミックリスクですとか、預金者等への被害拡大が甚大になるというような特性がございますので、金融という特定の分野にこういった形で特別の法律が整備されているということでございます。

アの概要にございますように、金融機関等の破綻手続について、監督官庁である金融庁に破綻手続開始の申立権が付与されているということでございまして、金融機関が実質的に破綻していても、事業を継続することによって預金者等に過大な負担が生じ、破綻処理コストも増大するということでございますので、こういったことを防止するために、監督官庁である金融庁に申立権を認めて、早期の破綻処理を可能とするというのがその趣旨であるということでございます。

イの運用状況に、これまでの事例がございますが、平成20年に、1件、そういった措置が取られたというような実績があるということでございます。

7ページ目を御覧ください。

行政的手法の3番目といたしまして、会社法に基づく解散命令について御紹介をしております。

アの概要にございますように、会社の存在が公益を害するといった一定の場合に、裁判所が法務大臣又は株主、社員、債権者その他の利害関係人の申立てによって、会社の解散を命じることができるといったような制度でございまして、さらに裁判所におきましては、こういった申立てでありますとか職権に基づきまして決定がなされるまでの間、必要な保全処分を命ずるといったような措置も整備されているということでございます。

こういった手続に基づいて解散命令が下された会社は、解散し、清算手続を開始するというような仕組みとなっております。

イの運用状況に直近の7年間、これは法務省で把握されているものということでございますけれども、計9件の申立てがなされているということでございまして、そのうち取り下げられているような案件もあるようでございますが、一応実績として、この直近7年間で9件あるということでございます。

それから、行政的手法の4番目といたしまして、特定商取引法に基づく指示でありますとか、同じく特商法、預託法等に基づく業務停止命令、業務禁止命令といったようなものが整備されているということでございまして、消費者トラブルの多い取引分野において、被害を未然に防止したり、拡大を防止したりするために、こういったものが整備されているということでございます。

アの概要のところにございますように、まず指示については、主務大臣が事業者の一定の違反行為によって、取引の公正や消費者の利益が害されるといったおそれがあるといった場合には、是正のための措置、購入者等の利益の保護を図るための措置、その他の措置を取ることを指示することができるというような規定になっております。

さらに2つ目のマル、業務停止命令でございますけれども、これは対事業者ということでございますけれども、行政規制違反に対して業務の全部又は一部の停止を命ずることができるというようなことでございます。

さらに3つ目のマル、業務禁止命令ということで、これは対個人ということでありますけれども、法人に対して業務停止命令を行う場合に、その役員など個人に対して、個人として新たにそういった業務を開始することであるとか、他の会社の役員になることを禁止することができるということでありまして、さらに、先般改正された改正預託法におきましても同様の規定が導入されて、この6月に施行されるというようなことでございます。

9ページ目に、その運用状況について、ここは特定商取引法についてお示しをしてございます。

ちょっと見づらくて恐縮でございますが、一番直近の令和2年度のところにつきまして、国のところで見ますと、業務停止命令33件、指示33件、業務禁止命令23件となっておりまして、あわせて都道府県もそういった権限を有しているということで、同様の措置が講じられているということでございます。

10ページ目でございますが、ウとしまして、主な事案について幾つか御紹介をしております。

最初の化粧品、健康食品等を扱う連鎖販売事業者に対する取引停止命令ですとか、そういった指示、業務禁止命令等々というようなことでございます。

それから、幾つかございますけれども、最後の家庭用永久磁石磁気治療器の預託等取引事業者、販売事業者等々でございます。こちらについても、業務停止ですとか、指示などがなされているということで、これはジャパンライフの事案ということでございます。

11ページ目を御覧ください。

行政的手法の5番目といたしまして、消費者安全法に基づく勧告・命令でございます。これは、いわゆる隙間事案に対する措置ということでございまして、他の法律の規定に基づく措置がない場合に、消費者庁が多数消費者財産被害事態といった状況が発生していると認定した場合には、その事業者に対する勧告ですとか命令というものを行うことができるということでございます。

この多数消費者財産被害事態というものの定義につきましては、この後の12ページ目から15ページ目に具体的な条文を引用しておりますので、後ほど御参照いただければと思います。

16ページに飛んでいただきまして、安全法に基づく勧告・命令の運用状況ということでグラフを示しておりますけれども、青色が注意喚起でございまして、オレンジ色のところが勧告でございまして、平成25年度に2件実績があるということでございます。

17ページ目のほうに、その事案について御紹介しておりますけれども、オンラインゲーム事業の紹介者を募集する事業者が、必ずもうかるかのように消費者に告げていた事案でありますとか、有料老人ホームを営んでいることを装って社債募集を行った事業者に関する事案などの2件が実績としてあるということでございます。

18ページ目に、消費者安全法に基づく注意喚起の御紹介をしております。これは、消費者被害の早い段階に注意喚起を行うことにより、被害の拡大を防止するという観点から導入されている制度でございます。

アの概要にございますように、消費者庁は、消費者被害の発生、拡大防止のために必要があると認めるときは、消費者に対する注意喚起、関係行政機関の長等に対する情報提供を行うとされておりまして、こちらにつきましては、下に運用状況ということでグラフを示しておりますけれども、比較的多くの実績があるということでございます。

令和元年以降は、安全法の注意喚起に加えて、特商法の行政処分と併せて、そういった注意喚起を行うことにより、その実効性の向上を図るといった取組も行っております。

19ページ目を御覧ください。

消安法に基づく注意喚起の主な事案ということでございまして、こちらに御紹介しておりますように、いわゆる副業ビジネスに関する注意喚起、それから土地売買、売却を持ちかけて金銭被害をもたらすような事案、それから商品先物の二次被害に関する事案などが実績としてあるということでございまして、さらに特商法等の処分と併せての注意喚起ということで、特商法で業務停止命令がなされて、別会社名義で訪問販売を行っていたというような事案に関する実績などがあるということでございます。

それから、20ページ目でございますが、刑事的手法ということで、ここで犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律に基づく被害回復給付金支給制度について御紹介をしております。犯罪被害財産等を給付金として支給することによって、消費者の被害を回復するということが期待されるということでございます。

アの概要にございますように、組織的犯罪処罰法により、財産犯等の犯罪行為によって犯人が被害者から得た財産について、一定の場合にその没収・追徴を行うことができるとしておりまして、さらにこの法律によりまして、没収・追徴した犯罪被害財産等について、被害者等に対して給付金を支給するというような制度でございます。

イに運用状況をお示ししておりますけれども、令和2年において支給開始手続決定がなされた件数としましては13件ということでございまして、決定時の給付資金総額は約5億6500万円というような状況でございます。

21ページ目から22ページにかけて、その具体的な定義規定について御紹介をしておりますので、後ほど御参照いただければと思います。

23ページ目に飛んでいただきまして、主な事案ということでウとして御紹介しております。投資金名目詐欺事件、ヤミ金事件、特殊詐欺事件、それから出資金等名下詐欺事件というような実績があるということでございます。

最後、24ページ目でございますが、その他の制度ということで、振り込め詐欺救済法について御紹介をしています。

アの概要にございますように、振り込め詐欺等の犯罪行為による被害者に対する被害回復分配金の支払い等のため、預金等に係る債権の消滅手続、それから被害回復分配金の支払手続などを行うということでございまして、対象といたしましてはオレオレ詐欺でありますとか、架空請求詐欺等々、こちらにお示しているような詐欺等が該当するということでございます。

25ページ目に、その運用状況を示しておりますけれども、令和2年度中の主な公告の実施状況ということで、預金等債権の消滅手続の開始でありますとか、それから被害回復分配金の支払い手続が開始された公告でありますとか、その支払い手続の終了の公告、以上3つについて、それぞれ具体的な件数と金額をお示しさせていただいております。

雑ぱくではございますが、事務局からの御説明は、以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、これまでの御説明について、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。初回ですので、各委員の方々の専門分野等を背景に、この問題に関して持っている問題意識等を述べていただけたらと思います。

御発言をされる際には、チャット欄に発言する旨のお知らせを投稿していただくと有り難いです。よろしくお願いいたします。

どなたでも結構ですので御発言ください。

黒木座長代理、よろしくお願いいたします。

○黒木座長代理 黒木でございます。大変貴重な資料をいただきまして、ありがとうございます。

この問題につきましては、私も消費者問題をやっている弁護士であると同時に、倒産事件に関しても、ある程度の経験を持っている者として、非常に大きな問題意識を持っているところであります。

行政的手法が重要だという点について、弁護士的に申し上げたいと思います。

実は弁護士として、例えば、いろいろな集団的な問題が起こったときに、最終的に破産の申立てをして事業を止めるというようなことをやっています。

ただ、これをやるためには、実は大変難しい問題があります。例えば、ポンジ・スキームで事業をやっているような事業者にとってみたら、何人か弁護士のところに駆け込んできた人たちがいて、その人たちが破綻の申立て等を考えているというようなことがあった場合に、彼らに払ってしまって、債権者をなくしてしまうという方法があります。

弁護士からすると、そういう形で払われてしまうと、その人たちは、今後、破綻の申立てをしようとして弁護士に依頼したという人たちで、その後、破産手続になると類型的に否認の対象となるリスクがある人たちというグループを作ってしまうことになります。

そうなってしまうと、その人たちを代理した弁護士というのは破産の申立てを、今後、新たな被害が生じたときに、やることが弁護士的にできないという問題を抱えてしまいます。

一番この問題について、先行的に検討した弁護士グループが、そういう形で排除される、破綻手続の申立ての部分は極めて難しい問題になるということになりますので、民間の力による破産の申立てによって、こういう事業者の業務を停止し、かつ、それに基づく違法収益を破綻手続でやるというのは、実はかなり難しい問題が実務的にあります。

したがって、そういうことができないようにするために被害者を集めるというのが、結構時間がかかってしまう。その間、被害が延びるという問題があるのです。

このことを考えると、行政機関が、こういう問題について積極的に対応していただけるということは、今後のポンジ・スキーム的な事業者を完全に市場から排除するという点でも、大変力強いものになると思っています。

そういう意味で、今回の新しいワーキング・グループというものについては、正に、非常に今の段階で必要なものだと思っております。そういう意味で、代理ということで参加させていただいておりますけれども、委員の御意見をいただきながら、いいものができたらなと思っております。

以上です。ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 私のほうからは、今後の進め方にも絡みまして、資料で言いますと、資料の2のところの2ページのところに、現行制度の概観ということで、現在の関連するような制度というのを挙げていただいて、個別に説明をするという、こういう整理を事務局にしていただきました。

まず、現在の状況を把握する上で気になりましたのは、例えば、特商法案件であるとか、消費者安全法の案件であるとか、そういった案件があるというときに、そこで被害が発生していて、行政庁が、例えば命令をするとか注意喚起をするという、そういう行動を行った時に、他方で別の項目に挙がっているような、犯罪利用預金口座に係る、いわゆる振り込め詐欺救済法、これが機能することになるのか、実際に機能しているのか、双方の射程の整理というのをしてみる必要があるのかなと思いました。

専門の委員には明らかなのかもしれないのですけれども、個別に消費者法を見ていった場合に、個別の法律でこれはあるというのは分かるのですが、それが相互にどういう関係になっているのかというのと、そう見た場合に抜けている部分というのはどこになるのかという、そういう視点での整理があるといいのではないかと思った次第です。

感想的になりますけれども、以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

他に御発言はございますでしょうか。

木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

私は、本当にこういう法律のことについては専門家ではございませんので、消費者という視点で述べさせていただきます。

御説明にもあったとおり、やはり裁判にしても、この制度を活用するにしても、一般の消費者からはすごくハードルが高いというところが、まず、第一段階だと思います。被害に遭ってしまったときに、本当に皆さんのショックというのはすごく大きくて、そこからどうやって相談などに結びつけるかというところが、本当に課題ですし、結構泣き寝入りをしてしまう方が多くて、それは被害額の大小に関わらなくて、かなり大きな額の被害を被った方でも、もう何かショックで、相談ですとか、訴訟ですとか、そういったところを考えられないとか、そういうふうに私から助言しても、いやもういいですみたいになってしまう方を何人も見てまいりました。

そういったこともありますので、本当に消費者というか、被害者にとって使いやすい制度であってほしいということをすごく思っております。

今、こういう言い方は何なのですけれども、やはり被害に遭った場合に、もうそのお金は戻ってきませんよという場合がすごく多いと思うのです。そういった被害者を救ってもらえないような、そういう状態ではなくて、少しでも多くの方が救済されるような仕組みになってほしいと思います。全然今回の法律的な意見ではないのですけれども、今、説明を聞いて、そのように感じました。

○後藤座長 ありがとうございました。

それでは、中川委員、よろしくお願いいたします。

○中川委員 ありがとうございます。

私は資料2について、幾つか技術的な質問をさせてください。事務局への質問ということになると思います。

まず、4ページですけれども、景表法の課徴金というのがございまして、これについて、違法収益の剥奪であると御説明があったような気がするのですけれども、独禁法の課徴金は違法収益の剥奪から、違法行為の抑止と、したがって、その違法収益を超えてもいいかもしれないと、そういう形に整理が変わったと思います。景表法はどちらなのかというところを改めて確認させていただきたいと思います。

2番目は、6ページから7ページです。これは、私の専門ではないところですが、会社法の解散命令、非常に面白い制度だと思います。

これをどういう場面で使うか、これから議論していくことなのでしょうけれども、事務局で、もし、イメージがあれば教えていただきたいのですが、解散命令は、その前にあった破産手続とは違って、財産の保全は直ちにはできないのでしょうか。そうであれば、特商法の業務禁止命令のような、ペーパーカンパニーみたいに、屋号を変えて、何かこれから悪さしようというようなやつを潰していくときに解散命令を使うというイメージでしょうか。もし事務局でイメージがあれば教えていただきたい。これが2点目です。

最後ですけれども、18ページの消安法の注意喚起と25ページの振り込め詐欺です。振り込め詐欺については、私、たまたま私法判例リマークスに、民事の判例評釈を書いたのですけれども、そこで改めて思ったのは、振り込め詐欺救済法は、やはり民事法の手法ではないかということです。今回、「その他」と説明されていますけれども、むしろ民事法的な救済ではないか。銀行と、預金者の対立関係になりますので、保全に関してはですね。

今回私が判例評釈したのは、消費者庁の注意喚起が機縁となって、某銀行が預金を凍結し保全したということ、そういう事案です。

これは行政法と民事法がうまく絡み合っているパターンではありますが、基本的には振り込め詐欺救済法を民事法に位置付けるという形で整理されたらどうかなと思いました。

以上、3点です。長くなってすみません。

○後藤座長 ありがとうございました。

事務局へ御質問が出ていますけれども、いかがでしょうか。

では、加納事務局長、よろしくお願いいたします。

○加納事務局長 景表法の課徴金の位置付けでありますけれども、独禁法の課徴金の位置付けと基本的には変わらないものと思います。

不当な収益の剥奪とか違法収益剥奪という言い方を申し上げましたが、正確には違法行為の抑止のための行政上の措置とか、あるいは規定の遵守というところにあると思います。

それから、2点目の会社法の解散命令の規定がどういう場合に想定されるかということにつきましては、基本的には会社法の解散命令の規定は、会社法の824条第1項でありますが、そこで第1号から第3号まで、こういった場合に、解散を命ずることができるというのがございますので、その1号、2号、3号、各号列挙されている場合であると。

1号が、会社の設立が不法な目的に基づいてされたとき。2号が、会社が、正当な理由がないにも係らず業務を開示しないという、いわゆる休眠会社の場合。3号が、業務執行取締役などの一定の者が法令もしくは定款に定める権限の逸脱、濫用又は刑罰法令に触れる行為をした場合において、法務大臣から書面の警告が出たにもかかわらず、継続反復しているということでありまして、今、条文を読み上げましたけれども、そういった場合であると。

それで、財産保全に関しましては、会社法の825条の規定におきまして、一定の財産保全処分に関する手当が規定されておりますので、これを見たところ、破産手続開始の決定があった場合における保全処分と非常に似た、包括的な、いわゆる管理処分権を移すというような包括的な処分命令のようなものなのかなと見受けられますので、そういう意味では、これは制度としては用意されているということではないかと思われます。

実際、どういう事案で、この規定が、現状、活用されているのか等につきましては、引き続き調べていきたいと思います。

それから、3点目が、振り込め詐欺救済法が、民事法なのか、その他なのかという点でありまして、ここは整理の問題でありまして、事務局としても深く考えているわけではございませんで、厳密に言いますと、例えば、先ほどの解散命令とか、倒産の行政庁による申立制度も、行政的手法というべきか、民事的手法と交錯しているところがあるかと思います。位置付けは微妙なのですけれども、1つの整理として、振り込め詐欺救済法につきましては、主体が金融機関であって、そこに預金保険機構が関与して、その預金債権の凍結から、その債権の預金口座に係る、その預金者の請求権を消滅させるといった、非常に複合的な制度ということで、その他と位置付けておりますが、委員がおっしゃったような預金者と金融機関との間の預金債権の消長というところに着目すれば、民事的な要素があるかということかと思います。

それ以外にも、いろいろな預金保険機構の関与とか、その辺をどう見るかというところで整理の手法は様々かと思いますが、この資料を作りましたときには、今、申し上げたような経緯から、その他というふうに、とりあえずは位置付けさせたというものでございまして、特に、それ以上の深い考察があるわけではございません。

○後藤座長 中川委員、よろしいでしょうか。

○中川委員 会社法の解散命令は、かなり広く使えるのだなという感じがいたしまして、勉強になりました。ありがとうございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。私は専門家ではありませんので、あくまでも確認ということです。先ほど木村委員もおっしゃられましたように、やはり消費者としては、この現行制度で、果たしてどのくらい消費者被害から、回復できるのか、消費者の権利は守られるのかが、一番気になっております。今回のワーキングの第3弾の各論1ということにもつながると思うのですけれども、現在、消費者の被害回復がどのくらい実際に可能となっているのか、行われているのかというのを、今後のこのワーキングの中で具体例を取り上げて検討していくということでよろしいのでしょうか。

と言いますのは、例えば、先ほど景品表示法の課徴金の納付命令の話が出ておりました。かなりの額の課徴金が毎年課されているのですが、それは国庫に入るのであって、消費者の被害回復には回ってはいないという感覚です。課徴金などのお金は消費者の被害回復に回っているのかどうかというところも、すみません、わかっておりませんので、是非今回、ワーキングの中で教えていただけると有り難いなと思っております。

○後藤座長 事務局では、何かコメントはございますか。

○太田参事官 今、御指摘いただきましたように、今後の検討の中で、具体的な消費者被害事案などの事例などを御紹介しながら、御議論いただきたいと思っておりまして、事務局といたしましても、そういった検討に必要となる資料を御準備させていただきたいと思っております。

景表法の課徴金等について、消費者の被害回復につながっているのかとの御指摘がございました。消費者被害の性質によるのではないかということでございまして、例えば、個々の被害者や被害額等を具体的に把握することができる事案であれば、消費者裁判手続特例法や景表法課徴金の返金制度等を活用して、実際に被害にあった消費者に還元することも可能ですが、それらを特定することが難しい事案では、そのような対応が困難であるため、課徴金等により剥奪した不当収益については国庫に帰属させるということであろうかと思います。そういったことも含めて、今後、御議論いただけるように、事例などを御紹介していきたいと考えております。

○後藤座長 ありがとうございました。

それでは、山本委員、よろしくお願いいたします。

○山本委員 ちょっと最初の方は、出席していなかったので、的外れなあれになるかもしれませんけれども、若干コメントをさせていただければと思います。

私の専門に近いところということで言えば、まず、集団訴訟、消費者裁判手続特例法の問題は、現在、国会に改正法案が上程されていると承知をしておりますので、そこで、今の手続の改善が図られていくのだろうと期待をしています。

ただ、1点だけ言うとすれば、改正の際に、解釈に委ねるということにした支配性の要件の観点で、もう少し柔軟な解釈をすべきではないのかみたいなことを、消費者庁の検討会の報告書では書いたのですけれども、その後昨年の12月に、いわゆるワンメッセージ事件で東京高裁の判決が出て、依然としてその支配性についてはかなり厳しい、過失相殺が主張された場合には、その過失というのは、個々の消費者ごとに違うので、支配性がないということで訴えを却下した判決が出ております。

もし、この判決が一般化されるとすれば、この詐欺的な事案、投資詐欺とか、そういう事案においては常に過失相殺が問題になり得るとすれば、常に支配性がないということに、つまり、この制度は使えないということになりかねないところなので、これは、今、上告がされていると承知していますけれども、かなり最高裁の判断は注視していく必要があるのではないか、それによってこの集団訴訟ということで、確執事案をどの程度救済できるかということは、相当違ってくると思っています。

これは、しかし、別にここで議論する話ではないのだろうと思いますので、コメントです。

それから、破産開始申立てのところですけれども、私自身は、ずっと以前から消費者庁ないし行政庁の破産手続開始申立権については考えていくべきではないかという理解を、これは、現行破産法の成立直後から、そういういうことで考えているところでありまして、これは引き続き考えていただきたいなと思っています。

ただ、今回の資料を見て、先ほどの中川委員と同じ感想ですけれども、この会社法の解散命令というのは、条文面だけを見ると、かなり使えそうな感じの規定になっているのではないかという印象を、私も持ちました。ただ、現実には使われていないということだと思うのですけれども、先ほど、この何年間かで7、8件とかということがありましたけれども、これはどこがネックになっているのか、行政庁がやるとすれば、法務大臣の申立てということになっているかと思いますけれども、これが何かうまくあれすれば使えるようになるのかということは、非常に興味深いところかなと思っています。

若干、コンメンタールとかを見てみると、基本的に大昔の判例、明治時代の判例が多く、いまだに引用されていて、しかし、それを見ると、何か保険について、保険会社でないにもかかわらず保険類似の商法を行って、いろいろお金を集めて、多分破綻したのではないかと思うのですが、そういう事案が幾つか載っていて、ひょっとすると明治時代に、何かそういう消費者詐欺的なことが行われていて、会社名が使われていたのかもしれないと思わせるような判例なんかも見受けられまして、私はちょっと見ただけなので、この辺りは、よく研究してみる必要性があるのかなと、使い手があるものになり得るのかもしれないという印象を持ちました。

ただ、いずれにしても、それで解散させて、先ほどの保全管理命令とかをやるとしても、やはり、それはかなり時期的には後の段階になってしまうことは、もう避けがたいと思うのですね、破産にしても解散にしても、それは要するに、業者に対する死刑宣告をするわけですから、そんなに早くできるわけがないと思います。

そうすると、やはり、何とか少なくなった財産を見つけ出す方法とか、あるいはその途中の段階で、まだある程度傷が浅い段階で財産を保全する手続とか、やはりそういったものが必要になるのかなとは思いまして、その辺りは、これまでも随分議論されてきたところで、なかなかこれはという方法はないのかもしれませんけれども、しかし、そこは引き続き考えていく必要があるのかなと思いました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

他にございませんでしょうか。

よろしいですか。それでは、たくさんの御意見をありがとうございました。

意見をまとめるのは、なかなか難しいのですけれども、黒木委員からは、違法な事業をやめさせて財産保全を図るというためには、破産手続をするということになるけれども、民間の力による破産手続というのは、なかなか困難があるので行政機関が破産手続に関与する、そういう方向の考え方があるのではないかという御指摘をいただきました。

それから、丸山委員からは、各種現行制度の射程とか、相互の関係ということ、民事手続とか行政手続とか刑事手続それぞれが、どのような射程を持って使えるのか、相互の関係から見て、抜けているのはどんなところか、そういうところを見ていくことが大事だというお話をいただきました。

木村委員からは、被害に遭った人は、精神的にもショックを受けていて、被害者が使いやすい制度になるということが大事だという御指摘をいただきました。

中川委員からは、会社解散命令の問題と、振り込め詐欺救済法の位置付け、それから、課徴金の性質に関する景表法、独禁法の問題、そういう点についての御指摘がありました。

大石委員からは、どれだけの被害回復が行われているのかということを、きちんと調べる必要があるというお話をいただきました。

山本委員からは、消費者裁判手続特例法の支配性の要件が、これは、今回の改正でも解釈に委ねられているということなのですけれども、これが厳し過ぎるのではないかということを、ワンメッセージの判決に言及しながら御指摘いただきました。

それから、消費者庁ないし行政庁の破産手続開始申立権の可能性、また、会社法の解散命令に関しては、条文の文言上使えそうなのだけれども、事例が9件しかないということでして、どういう部分がネックになっているのか、そういうところを検討する必要があるのではないかという御指摘等をいただきました。

私のただいまのコメントで、漏れている部分も多々あるかと思うのですが、いろいろ貴重な御意見をいただいたということでありまして、今後、こうした問題について、整理をして、それから議論を深めていきたいと思っております。

それでは、まだ少し時間がありますので、何か補うことがあれば、私の、ただいまのまとめというようなことも、こんなことは言っていないとか、あるいは重要なところが漏れているとか、そういうことがあれば御指摘いただきたいと思いますが、何か御発言があると有り難いです。よろしくお願いいたします。

よろしいですか。

事務局からは、何か重ねてのコメントは、よろしいですか。

それでは、本議題については、以上としたいと思います。

本日は、御議論をいただきまして、ありがとうございました。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○太田参事官 本日は、大変御熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。

○後藤座長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

会議画面の赤色のアイコンをしていただき、御退席ください。

どうもありがとうございました。

(以上)

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