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令和4年5月19日
G7開発大臣会合の出席者による記念撮影の様子 © Xander Heinl/photothek.de.
G7開発大臣会合において発言を行う鈴木副大臣の様子
G7開発大臣会合で議論が行われている様子

 5月18日から19日、ドイツ連邦共和国・ベルリンにおいてG7開発大臣会合及びG7開発大臣・保健大臣合同会合が開催され、鈴木貴子外務副大臣が出席したところ、会合の概要は以下のとおりです。会合には、G7各国の代表及び欧州委員の他、ゲスト国として招待されたアジア、アフリカ諸国や国際機関の代表が出席しました。

  1. G7開発大臣会合
  • (1)ウクライナ侵略に対するG7の対応
     冒頭、ウクライナのデニス・シュミハリ首相(H.E. Mr. Denys Shmyhal, Prime Minister of Ukraine)がオンラインで参加し、G7による支援への謝意表明と支援継続の要請がありました。その後、各国は、G7としてのウクライナ及び周辺国への支援継続のあり方及び世界の食料安全保障に与える影響や対応について議論しました。鈴木副大臣からは、これまでの日本のウクライナ支援を説明した上で、引き続きG7を始めとする国際社会と連携し、現地の最新のニーズを的確に把握しつつ、ウクライナの人々や周辺国に寄り添った支援をしていく旨発言しました。また、世界の食料安全保障の確保のための日本の支援について紹介し、引き続き困難に直面する国々への支援も継続していく旨発言しました。
  • (2)インフラ投資の推進
     途上国の膨大なインフラ需要に対応するために、G7が取り組む「インフラと投資のためのパートナーシップ(PII)」の下で協力を進めることについて議論を行いました。鈴木副大臣からは、日本はこれまでもインフラ投資に関して国際社会の取組を主導しており、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」が国際スタンダードとなることを重視している旨発言しました。また、開発金融における不公正・不透明な貸付の問題に対処していくことの必要性を提起しました。PIIの議論を通じてG7と連携を図りつつ、G20の枠組を活用していくことの重要性を発信しました。
  • (3)気候変動・環境に対する取組
     G7として、途上国における石炭火力からの公正なエネルギー移行を支援する枠組みである「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」を進めていくことを確認しました。また、気候変動を背景とする自然災害のリスクに対して脆弱な国を支援する災害リスク保険支援の枠組みの強化の重要性について議論しました。鈴木副大臣からは、JETPの推進においては、途上国のオーナーシップを尊重しつつ、各国の二国間支援等と連携して、既存の枠組を活用しながら効果的なエネルギー移行を進めていくべきである旨発言しました。また、その過程で生まれる新たな産業、雇用に対する人材育成及び社会保護の拡充が重要である旨指摘し、日本の支援を紹介しました。
  • (4)ジェンダー平等
     新型コロナ感染症により大きな影響を受けた女子教育や、より顕在化したケア労働の性別間の偏り等に触れつつ、ジェンダー平等や女性のエンパワーメントの必要性について議論しました。またG7として開発協力においてあらゆる人々の状況を包摂的に改善するために積極的な役割を果たすことを確認しました。鈴木副大臣からは、女性活躍のために、日本国内においてもさらなる取組が必要である旨述べました。そして、コロナ禍において、女性の脆弱性が浮き彫りになり、また、ケア・ワークの重要性も再認識された旨述べました。その上で、これまでも、女性の社会進出のためには、育児・介護サービスが労働として認識され、安価でアクセスが容易であるべきことが言われてきたが、それに加え、質の担保が鍵である旨発言しました。そうした問題意識の下に、日本のODAを活用した保育士の専門性向上の取組を紹介しました。女性の社会進出は、女性だけが取り組むべき問題ではなく、社会全体として取り組むべき課題であると強調しました。
  • (5)アフリカにおける多重危機への対応
     新型コロナや自然災害に加え、ロシアによるウクライナ侵略の影響により深刻化する食料危機やエネルギー価格の高騰及び国際社会の対応について議論しました。鈴木副大臣からは、まず、本年5月のアフリカ訪問時に聴取したアフリカ経済の更なる悪化への懸念といった現地の声を紹介しました。そして、日本の緊急の食糧支援及び中長期的な農業の生産能力向上支援について説明し、G7各国がアフリカの現状を自国の国民に訴えていくことが持続可能な支援につながる旨述べました。また、日本はいち早くアフリカの可能性に着目し、質の高い成長を後押ししてきた旨説明しました。そして、本年8月にチュニジアで開催されるTICAD8でも、アフリカが自ら主導する開発に向けて取り組む決意を表明しました。
  1. G7開発大臣・保健大臣合同会合
     G7開発大臣・保健大臣合同会合には、我が国から鈴木貴子外務副大臣及び佐藤英道厚生労働副大臣が出席し、開発途上国におけるワクチン・治療・診断への公平かつ持続可能なアクセスの促進及び開発途上国におけるパンデミックの予防・備え・対応の強化について議論しました。鈴木副大臣から、日本がこれまでに実施を表明している総額約50億米ドルの新型コロナ対策支援を紹介しました。また、「誰の健康も取り残さない」という理念のもと、新型コロナからのよりよい回復のために、途上国の経済社会の活性化と人的往来の再開が必要である旨述べました。そして、日本は、途上国のワクチン接種データ管理、感染症対策を講じた国境管理体制、感染症廃棄物処理の3つの柱に焦点を当てた支援をインド太平洋地域を中心に最大1億米ドル規模で実施していく旨述べました。
(参考1)G7開発大臣会合関連(別添)

  • (1)「G7開発大臣会合コミュニケ」(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く/英文(PDF)別ウィンドウで開く
  • (2)「ロシアのウクライナに対する侵略戦争の世界的影響及びウクライナ、影響を受けた周辺諸国とグローバル・サウス諸国に対するG7の包括的支援に関するG7開発大臣声明」(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く/英文(PDF)別ウィンドウで開く
  • (3)議長総括―セッション5「アフリカ大陸における多重危機への対応―食料安全保障に焦点を当てて」(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く/英文(PDF)別ウィンドウで開く
(参考2)G7開発大臣・保健大臣合同会合

 「G7開発大臣・保健大臣合同会合議長総括」(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く/英文(PDF)別ウィンドウで開く


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