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令和4年5月22日
APEC貿易担当大臣会合で発言する三宅政務官
APEC貿易担当大臣会合

 5月21日及び22日(日本時間)、タイ王国において、APEC貿易担当大臣会合が、対面及びテレビ会議のハイブリッド形式で行われました。また、同会合に先立ち、5月21日、APEC貿易担当大臣とAPECビジネス諮問委員会(ABAC)との対話が開催されました。両会合の概要は次のとおりです。

1 APEC貿易担当大臣とABACとの対話

(1)この会合は、APEC貿易担当大臣と経済界の代表者との間で、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)アジェンダの前進を目的にAPECが取り組むべき事項について意見交換を行うことを目的に開催されており、今回は、「コロナ禍とその先におけるFTAAPアジェンダ」をテーマに意見を交わしました。

(2)今回の会合では、ジュリン・ラクサナウィシット副首相兼商務大臣(Jurin Laksanawisit, Deputy Prime Minister & Minister of Commerce)及びスパン・モンコンスティーABAC議長(Mr. Supant Mongkolsuthree, ABAC Chair for 2022)が議長を務め、日本からは、萩生田光一経済産業大臣及び三宅伸吾外務大臣政務官のほか、ABAC日本委員の中から今村卓・丸紅株式会社執行役員(代理委員)が対面参加しました。

(3)三宅政務官は、自由で開かれた貿易・投資環境には平和に基づいた国際秩序が前提である旨強調した上で、重点項目に沿った複数年計画の作成をはじめFTAAPアジェンダを推進すべきとするABACの提言を支持するとともに、日本として信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の具現化、サプライチェーンの強靱化、人の移動の再開等に関してAPECの取組に貢献していく考えを述べました。

2 APEC貿易担当大臣会合

(1)続いて、ジュリン・タイ副首相兼商務大臣の議長の下、APEC貿易担当大臣会合が行われました。日本からは、萩生田経産大臣、三宅政務官が参加し、ンゴジ・オコンジョ=イウェアラ世界貿易機関(WTO)事務局長等の参加も得て、多角的貿易体制の支持及び新型コロナ危機とその克服について議論を行いました。

(2)三宅政務官からは、まず、ロシアによるウクライナ侵略について、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、断じて認められず強く非難する旨述べ、地域の平和と安定は貿易や投資の自由化・円滑化の基礎であると強調しました。その上で、多角的貿易体制の礎であるWTOの再活性化を求め、第12回WTO閣僚会議(MC12)において、ロシアの侵略行為を元凶とする食料安全保障やサプライチェーンへの影響を踏まえた貿易面での対応について議論し、一定の成果を出すことを重視している旨述べました。

(3)また、三宅政務官は、新型コロナ危機からの克服に向けて、(1)安全な人の越境移動の再開、(2)国際スタンダードに則った「質の高いインフラ」開発・投資、(3)人間の安全保障の理念を踏まえ、一人ひとりの保護とエンパワーメントに着目し、女性の経済参画を始めとする包摂的な成長を遂げること、の3点が重要である旨述べました。

(4)ウクライナ情勢に関する文言等をめぐって、共同声明の発出にはコンセンサスが得られず、結果、タイによる議長声明が発出されることになりました。

(参考)APEC参加国・地域(21エコノミー)

オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、タイ、米国、ベトナム
(注)APECには香港は「ホンコン・チャイナ」、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名称で参加

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