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令和4年5月24日
日米豪印首脳会合を前に、記念撮影を行う4カ国首脳の様子 記念撮影(写真提供:内閣広報室)
日米豪印首脳会合において、発言を行う岸田総理大臣の様子 日米豪印首脳会合(写真提供:内閣広報室)
日米豪印首脳会合が行われている様子 日米豪印首脳会合(写真提供:内閣広報室)

 5月24日、午前10時35分から約2時間、岸田文雄内閣総理大臣は、アンソニー・アルバニージー・オーストラリア連邦首相(The Honorable Anthony Albanese, MP, Prime Minister of the Commonwealth of Australia)、ナレンドラ・モディ・インド首相(H.E. Mr. Narendra Modi, Prime Minister of India)、ジョセフ・バイデン米国大統領(The Honorable Joseph R. Biden, Jr., President of the United States of America)との間で日米豪印首脳会合を主催し、その後約1時間のワーキングランチを実施したところ、概要は以下のとおりです。また、今次会合の機会に、日米豪印首脳共同声明が発出されました。

  1. 4か国の首脳は、昨年に引き続き、対面での日米豪印首脳会合が開催されたことを歓迎しました。また、ロシアによるウクライナ侵略という国際秩序の根幹を揺るがす事態が発生する中、4か国として、力による一方的な現状変更をいかなる地域においても、とりわけインド太平洋地域において、許してはならないこと、そして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け引き続き強くコミットしていることを確認しました。
  2. 4か国の首脳は、ウクライナ情勢がインド太平洋に及ぼす影響について率直に議論しました。4か国は、ウクライナでの悲惨な紛争について懸念を表明し、法の支配や主権及び領土一体性等の諸原則はいかなる地域でも守られなければならないことを確認しました。
  3. 4か国の首脳は、「自由で開かれたインド太平洋」のビジョンが、世界中の様々な地域で共鳴し、ASEANの「インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)」や、EUや欧州諸国のインド太平洋戦略など、各地で主体的取組が進んでいることを歓迎し、このビジョンの実現に向け、各国・地域との連携・協力を更に深めていくことで一致しました。また、ASEANの一体性・中心性とAOIPの実践的な実施への揺るぎない支持を改めて確認しました。
  4. インド太平洋の情勢に関し、岸田総理大臣から、東シナ海・南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みへの深刻な懸念を表明しました。また、4か国の首脳は、東シナ海・南シナ海を含めた、ルールに基づく海洋秩序に対する挑戦に対抗するため、特に国連海洋法条約(UNCLOS)を始めとする国際法、航行及び上空飛行の自由を遵守することの重要性を確認しました。4か国の首脳は、係争のある地形の軍事化、海上保安機関の船舶及び「海上民兵」の危険な使用など、現状を変更し地域の緊張を高めようとするいかなる威圧的、挑発的または一方的な行動にも強く反対しました。また、岸田総理から、香港、新疆ウイグル、台湾に関する我が国の基本的立場を述べました。
  5. 4か国の首脳は、国連安保理決議に違反し、不安定化をもたらす北朝鮮の弾道ミサイル開発を非難し、国連安保理決議に従った朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメントを再確認しました。また、岸田総理大臣から、拉致問題の即時解決に向けた各国の理解と協力を求め、各国から支持を得ました。
  6. ミャンマー情勢について、4か国の首脳は、現状への深刻な懸念を表明するとともに、暴力の停止、被拘束者の解放を呼びかけ、人道アクセス、民主的な体制の早期回復の必要性を確認しました。また、4か国の首脳は、ASEAN主導の取組に対する支持を再確認し、ASEAN議長特使の役割を歓迎するとともに、ASEANの「5つのコンセンサス」の早期実施を呼びかけました。
  7. 4か国の首脳は、日米豪印は「善を推進する力」として、地域に具体的な利益をもたらすことにコミットしており、インド太平洋地域諸国が、新型コロナ、気候変動、インフラといった喫緊の課題に直面する中で、実践的協力を更に進め、地域をより強靱なものとすることの重要性で一致しました。
  8. 新型コロナウイルスに関し、4か国の首脳は、日米豪印でインド太平洋地域を含む世界に6億7千万回分を超えるワクチンを供給してきたことやインド製ワクチンのタイ及びカンボジアへの引渡式典を4か国共同で実施したこと 等を歓迎しました。また、4か国の首脳は、より良い健康安全保障の構築及びUHCの達成に向けた取組を主導することを確認しました。
  9. 4か国の首脳は、インド太平洋地域の生産性と繁栄の促進のために不可欠なインフラ協力を更に深化させるとのコミットメントを確認し、インド太平洋地域において、今後5年間で500億米ドル以上の更なる支援・投資を目指していくことを発表しました。また、地域諸国による能力構築支援の活用促進を目的としたポータルサイト(英文)の立ち上げを含め、債務問題に対処する必要のある国の能力強化に取り組むことで一致しました。
  10. 気候変動に関し、4か国の首脳は、「日米豪印気候変動適応・緩和パッケージ(Q-CHAMP)(概要(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)」 を立ち上げ、防災及び海運における支援拡大や、クリーンエネルギーの協力分野拡大で一致しました。
  11. 重要・新興技術に関し、4カ国の首脳は、「重要技術サプライチェーンに関する原則の共通声明(和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)」を発表したほか、当局間で「5Gサプライヤー多様化及びオープンRANに関する新たな協力覚書」に署名しました。
  12. サイバーセキュリティに関し、4カ国の首脳は、「日米豪印サイバーセキュリティ・パートナーシップ(和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)」を立ち上げ、この下で具体的な取組を進めていくことを確認しました。
  13. 4か国の首脳は、「日米豪印フェローシップ 」の正式な創設を歓迎し、人的交流分野でも引き続き連携していくことで一致しました。なお、首脳会合に引き続き、フェローシッププログラムの創設を記念する行事が開催され、4か国の首脳が出席しました。
  14. 宇宙分野に関し、4か国の首脳は、地域の気候変動対策や海洋資源の持続可能な利用等の課題への対応に貢献すべく、4か国の衛星データを提供する「日米豪印衛星データポータル(英文)」を開設することで一致しました。また宇宙の持続可能な利用のための規則・規範・原則等について協議し、共同のワークショップを通じて地域諸国への支援を行うことで一致しました。
  15. 4か国の首脳は、地域諸国間で海洋状況把握(MDA)に関する情報共有を促進するための「MDAのためのインド太平洋パートナーシップ(IPMDA)」を歓迎し、地域諸国と協議を開始することで一致しました。
  16. インド太平洋地域における災害に効果的に対応するための協力体制を更に強化するため、4か国は、「インド太平洋地域における日米豪印人道支援・災害救援パートナーシップ」の立ち上げを発表しました。
  17. 4か国の首脳は、2023年に豪州で、次回日米豪印首脳会合を開催することで一致し、首脳間、外相間での定期的な会合の開催を含め、引き続き4か国で緊密に連携していくことを確認しました。

[参考]
 日米豪印首脳共同声明(和文英文)  

[関連文書]


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