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令和4年6月10日
アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)における基調講演を行う、岸田総理の様子 シャングリラ・ダイアローグで基調講演を行う岸田総理(写真提供:内閣広報室)
アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)における基調講演を行う、岸田総理の様子 シャングリラ・ダイアローグで基調講演を行う岸田総理(写真提供:内閣広報室)
シャングリラ・ダイアローグに出席する、岸田総理とリー・シンガポール首相の様子 シャングリラ・ダイアローグで出席者の質問に答える岸田総理(写真提供:内閣広報室)

 6月10日、午後8時5分から約1時間、シンガポール訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)に出席し、基調講演を行ったところ、概要は以下のとおりです。リー・シンガポール首相、オースティン米国防長官を始めとする各国の国防大臣やシンクタンク、メディア関係者が多数参加し、岸田総理の基調演説を傍聴しました。

  1. 冒頭、岸田総理は、ウクライナ侵略により国際社会が歴史の岐路に立ち、地域・国際社会で一層の不確実性が増しているとの現状認識を提示し、問題の根本には、国際関係における普遍的なルールへの信頼が揺らいでいる状況があることを提起しました。
  2. このような状況のもと、岸田政権は、普遍的価値を重視しながら、未来への理想の旗をしっかりと掲げつつ、したたかで、果断に対応する徹底的な現実主義を貫く「新時代リアリズム外交」を展開していくことを説明しました。その上で、地域の平和秩序を維持・強化するため、5本柱からなる「平和のための岸田ビジョン」(Kishida Vision for Peace)を進めていくことを発表し、日本は外交・安全保障面での役割を強化していくことを宣言しました。

(注)「平和のための岸田ビジョン」(Kishida Vision for Peace

  • (1)ルールに基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化。特に「自由で開かれたインド太平洋」の新たな展開。
  • (2)我が国自身の防衛力の抜本的強化、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化。有志国との安全保障協力の強化。
  • (3)「核兵器のない世界」に向けた現実的な取組の推進。
  • (4)国連安保理改革を始めとした国連の機能強化。
  • (5)経済安全保障など新しい分野での国際的連携の強化。
  1. 岸田総理は、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序を支える基盤が「法の支配」であることに言及した上で、日本が提唱したFOIPは、現下の情勢でその重要性が更に増しており、来年春までにFOIPを更に推進していくための我が国の取組を強化する「平和のための『自由で開かれたインド太平洋』プラン」を発表することを表明し、中でも、海洋安保の分野における人材育成、巡視船を含む海上安保設備の供与や海上輸送インフラの支援、法の支配やガバナンス分野における人材育成支援を行うことを発表しました。
  2. また、岸田総理は、日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、自らを守り、地域の平和秩序に貢献するために、新たな国家安全保障戦略等を本年末までに策定すること、日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意を改めて表明するとともに、各国に透明性をもって、丁寧に説明していく旨述べました。
  3. 岸田総理は、「核兵器のない世界」への道のりは一層厳しくなっているからこそ、被爆地広島の総理大臣として「核兵器のない世界」に向けて全力を尽くしていくこと、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境という「現実」を直視し、国の安全保障を確保しつつ、同時に、「核兵器のない世界」という「理想」を結びつけるロードマップを示しながら、現実的な核軍縮の取組を進めていくことを述べました。
  4. 更に、岸田総理は、国連安保理改革を含む国連の機能強化に向けた議論を主導していくことを表明しました。
  5. 岸田総理は、経済安全保障の取組をG7やASEANなどと連携して進めていくことなどを表明しました。

[参考]別添PDF


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