外務省・新着情報

令和4年6月13日
OECD閣僚理事会参加者の全体写真 OECD閣僚理事会(写真提供:OECD)
コーマンOECD事務総長と握手する三宅外務大臣政務官 コーマンOECD事務総長との立ち話
個別セッションで発言する三宅外務大臣政務官 個別セッションでの発言模様

 6月9日及び10日、フランス・パリでOECD閣僚理事会(Meeting of the Council at Ministerial Level: MCM)が開催され、我が国から、山際経済財政政策担当大臣、三宅外務大臣政務官ほかが対面で出席したところ、結果概要は以下のとおりです。

【ポイント】
  • 今回の閣僚理事会は、議長国であるイタリア(ドラギ首相、ディ・マイオ外務・国際協力大臣らが出席)、副議長国のメキシコ及びノルウェーの下、「我々が望む未来:次世代及び持続可能な移行に向けたより良い政策」をテーマに開催され、ロシアによるウクライナ侵略の影響、貿易と環境の持続可能性、OECDとアフリカ等について議論が行われました。
  • 三宅政務官から、ロシアによるウクライナ侵略は力による一方的な現状変更の試みであり、厳しく非難する旨述べた上で、OECDが「共通の価値」の下で結束して行動し続ける必要性を述べました。また、OECDのルールやスタンダードを非加盟国に普及していくことが重要で、特に東南アジア諸国の新規加盟を実現していくことが重要であり、OECD東京センターが地域のハブとなることを期待する旨発言しました。
  • 会合の最後には、ロシアによるウクライナ侵略、気候変動等の課題について各国の立場や見解を踏まえた閣僚声明が採択されました。その中で、ロシアによるウクライナ侵略への非難、経済的威圧への対抗、非加盟国によるOECDのスタンダードの遵守の促進、炭素削減アプローチに関する包摂的フォーラム(IFCMA)の立ち上げ、サプライチェーンに関する国際協力の強化、コーポレート・ガバナンス及び責任ある企業行動(RBC)の強化、ガバメント・アクセスに関する原則策定やDFFTに関する協力の継続等も盛り込まれました。

1 参加国・機関

 OECD加盟国:38か国(議長国:イタリア、副議長国:メキシコ、ノルウェー)

  • キーパートナー国:ブラジル、中国、インドネシア、南アフリカ
  • 招待国:ブルガリア、クロアチア、ペルー、ルーマニア、香港、モロッコ、エジプト、タイ、ベトナム、アフリカ諸国
  • その他:EU、BIAC、TUAC、IEA他。開会式にゼレンスキー・ウクライナ大統領がオンライン参加。

2 主な議題と概要

 今回の閣僚理事会は、「我々が望む未来:次世代及び持続可能な移行に向けたより良い政策(The Future We Want: Better Policies for the Next Generation and a Sustainable Transition)」をテーマに開催され、関係閣僚等による議論が行われました。OECDの加盟拡大については、ブラジル、ブルガリア、クロアチア、ペルー、ルーマニアの各加盟ロードマップが採択されました。また、成果文書として閣僚声明(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)が採択されました。

(1)「開会」(9日午前)

 冒頭、コーマン事務総長から、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、キーウ事務所を開設(当面パリで活動)した旨、また、最近のOECDの取組として、加盟拡大プロセス、気候変動対策、デジタル化、東南アジアやアフリカとの関係強化等の推進等について発言がありました。次いで本会合の議長を務めたドラギ首相から、特にOECDの税分野での取組を重視する旨、ロシアの侵略による食料価格の高騰に対処する必要性等について発言がありました。また、アフリカ連合の議長を務めるサル・セネガル大統領から、ウクライナ情勢の危機に対し、OECDと協力して対処したい旨の発言があり、ゼレンスキー大統領(オンライン参加)から、ロシアの侵略により食料及びエネルギー安全保障が緊急の課題となっており、価値の危機であり、国際機関及び各国レベルの両方でロシアの行動を止める必要がある旨発言がありました。

(2)「コロナ後の世界におけるロシアの大規模侵略の経済等への影響(加盟国セッション)」

  • ア 参加者が加盟国及びEUに限定された本セッションでは、ロシアによるウクライナ侵略の経済・社会的影響を踏まえ、強じんで包摂的かつ持続可能な経済成長を実現するための政策やルールに基づく国際経済秩序の維持におけるOECDの役割について議論が行われました。
  • イ 三宅政務官から、ロシアによるウクライナ侵略は力による一方的な現状変更の試みであり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為であり、断じて許容できず、厳しく非難する旨を述べた上で、OECDによる迅速な対応を評価し、OECDが「共通の価値」の下で結束して行動し続ける必要性を述べました。また、OECDのルールやスタンダードを非加盟国に普及していくことが重要であり、特に東南アジア諸国の新規加盟を実現していくことが重要であると指摘しました。さらに、こうした文脈において、OECD東京センターが地域のハブとなることを期待する旨発言しました。

(3)「貿易と環境の持続可能性」

  • ア 各国の貿易協定における環境問題へのアプローチや、OECDがWTOの議論にどう貢献できるか等について議論が行われました。
  • イ 三宅政務官から、貿易政策と環境政策は、持続可能な開発を達成するために相互に支え合うべきものであり、OECDのデータや分析はWTOでの議論に貢献すると評価した上で、日本は高いレベルの経済連携の推進に取り組んでおり、CPTPPに設けられた環境章を紹介しつつ、貿易協定を通じた取組により、高い環境水準の保護に貢献していく旨発言しました。

(4)「OECDとアフリカ」

  • ア OECDとAUとの間の対話の場の必要性やロシアのウクライナ侵略によるアフリカ諸国の食料安全保障への影響、今後のアフリカとの協力分野などについて議論が行われました。
  • イ 三宅政務官からは、OECDとアフリカの協力強化の重要性を指摘した上で、アフリカの深刻な食糧危機に対処するため日本が食料安全保障分野で行っている支援を紹介しました。また、国際ルール・スタンダードに基づかない不公正・不透明な開発金融によりアフリカの成長が妨げられないような環境作りが必要であり、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」の実施が重要である旨指摘しました。さらに、SDGs推進のためにも、新興ドナーを含む援助供与国から途上国向けの資金フローを捕捉する「持続可能な開発のための公的総支援(TOSSD)」への一層の参加の実現が重要である旨強調し、本年8月に開催するTICAD8についても紹介しました。

(5)「若者のためのより良い未来構築」

  • ア 若者のより良い未来のために各国政府が集中的に取り組む分野や若者を意思決定プロセスに関与させる方法、OECDによる支援の在り方などについて議論が行われました。
  • イ 山際大臣からは、岸田内閣が掲げている「新しい資本主義」の考え方とその中核である「人への投資」に関する取り組みについて発言しました。具体的には、日本は、官民連携で社会課題解決と力強い成長の二兎を追うことで、持続可能な経済を作る「新しい資本主義」の実現を目指していることや、新しい資本主義の中核は、若者を中心とした「人への投資」であり、賃上げの社会的雰囲気の醸成とともに、3年間で4,000億円規模の施策パッケージ等を通じ、成長分野への円滑な労働移動等に取り組むこと、戦後に次ぐ第二の創業ブームを起こすべく、若者が躊躇なくスタートアップに挑戦できる環境整備に取り組むことなどを説明しました。

3 バイ会談等

  • (1)三宅政務官は、会合の合間に、ビロルIEA事務局長、クロアチア、ポーランド、ブラジル、ルーマニア、ペルーの代表とバイ会談を行い、コーマンOECD事務総長と立ち話を行いました。
  • (2)また、今次訪問の機会に、三宅政務官は、国際機関邦人職員と意見交換を行いました。

発信元サイトへ