外務省・新着情報

日韓関係(韓国外交部部長の訪日)

【毎日新聞 青木記者】大臣、まず、ご回復と公務復帰をお慶び申し上げます。

【林外務大臣】ありがとうございます。

【毎日新聞 青木記者】その上で、日韓関係について伺います。朴(パク)外交部長官の訪日、来日について、どのような、今調整状況なのか、大臣、先月、早い時期に日本に来てもらいたいというふうにおっしゃっていたので、それに関しての調整状況と、それとあと、日韓のハイレベルの対話、特に外務大臣会談についての意義を、今どのようにお考えか伺いたいと思います。

【林外務大臣】北朝鮮への対応をはじめ、地域の安定にとって、日韓・日米韓の連携は不可欠であります。
 日韓関係は、この旧朝鮮半島出身労働者問題、また、慰安婦問題などによって、非常に厳しい状況にありますが、このまま放置することはできないというふうに考えております。
 今ご指摘があったように、先般、韓国大統領の就任式に出席するために、韓国を訪問した際に、私(林大臣)は、朴外交部長官候補、当時はですね、と会談を5月9日に行いまして、先ほど申し上げたような観点から、近く朴長官と日本でお会いし、協議を継続したい旨を述べたところであります。何れにいたしましても、まだ訪日等については、何も決まっていないということでございます。
 国と国との約束を守るということは、国家間の関係の基本でありますので、日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づいて、韓国側と緊密に意思疎通をしていく考えでございます。

PKO協力法成立から30年

【朝日新聞 野平記者】PKO法についてお伺いします。15日で、成立から30年を迎えるんですけれども、これまでの活動を踏まえての受け止めと、あと今後、日本がどのようにPKOについて関わっていくべきだとお考えでしょうか。

【林外務大臣】この30年前の国際平和協力法の制定以来、世界各地への人的な貢献として、国連PKOを含めて29件、延べ1万2,500名以上の方の協力を行ってきたところでございます。加えて、国際機関等への物資協力、これも30件実施してきております。
 こうした国際平和協力活動は、国際社会の平和と安定への貢献であると同時に、我が国の国益を増進してきたものと、そういうふうに認識をしております。
 現在、ロシアのウクライナ侵略によって、国際秩序の根幹が脅かされる中で、我が国は、ウクライナや近隣国に寄り添った支援を行っておりまして、その一環として、国際平和協力法に基づいて、政府の人道救援物資を国連難民高等弁務官事務所に提供するとともに、このUNHCRの物資の輸送支援のために、自衛隊機派遣をしたりしております。
 今後とも、これまでの活動の実績の上に立って、我が国の強みを生かして、能力構築支援を含めて、国際平和協力分野において一層積極的に貢献をしてまいりたいと考えております。

核軍縮(ストックホルム平和研究所の報告/シャングリラ・ダイアローグにおける総理基調講演)

【中国新聞 樋口記者】核兵器について伺います。ストックホルム国際研究所は、「核弾頭数が減少傾向にある」という報告を昨日発表しました。ただ、ウクライナ情勢で、今後増加する懸念というのも指摘しているわけですけれども、この現状について、どういうふうにお考えかということと、あと、先のアジア安全保障会議で、総理が「核なき世界」ということを改めて訴えましたけれども、この会議の成果とか、「核兵器のない世界」に向けてどういうふうに取り組んでいくのか、このあたりをお願いします。

【林外務大臣】今、お話のありました、ストックホルム平和研究所の報告については、承知をしております。核兵器が減少してきているという報告については、政府として、前向きに捉えておりますが、また同時に、今後10年間で増加する可能性があると、こういう分析については、懸念を持ちながら注視をしているところでございます。
 我が国としては、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」に向けた国際社会の取組み、これをリードしていく考えでありまして、引き続き、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 また、10日に行われましたシャングリラ・ダイアローグの基調講演で、岸田総理から、国際秩序が大きな挑戦を受ける中で、平和と繁栄を確保するために、日本が果たすべき役割ということで、世界に発信をされました。その中で、特に5本柱からなります「平和のための岸田ビジョン」、これを進めて、日本の外交・安全保障面での役割を強化していく決意を表明したところでございます。
 先ほど申し上げましたように、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」に向けて、引き続き全力を尽くしていくと、これは、総理がスピーチで述べられたとおりですが、その過程において、厳しい安全保障環境という「現実」を直視して、国の安全保障を確保しつつ、「核兵器のない世界」という「理想」に結びつけるロードマップというものをしっかり示しながら、現実的な核軍縮の取組を進めていくと、このことが重要であるというふうに考えております。

北方四島周辺水域操業枠組協定の履行停止

【北海道新聞 文記者】日本とロシアの安全操業の協定に関してお伺いします。ロシア政府は、協定の履行停止の理由を、日本とサハリン州の協力事業の支払を日本側が実施しないということを理由にしているんですけれども、この支払というのは、「サハリン州経済改革促進等援助金」を指すと思うんですけれども、ロシア側が、援助金の支払を、安全操業協定の履行の前提条件としていることについて、改めて日本側の見解をお願いします。

【林外務大臣】ロシア側は、サハリン州との協力事業を、「北方四島周辺水域操業枠組協定」の実施の前提条件であるかのように両者を結びつけ、サハリン州との協力事業を理由に、一方的に協定の履行の停止を主張しておりますが、こうした形で一方的に協定の履行停止を発表したことは遺憾だと考えております。
 日本側としては 引き続き、協定の下での操業が行われるように、ロシア側と協議を行っていく考えでございます。

【北海道新聞 文記者】サハリン州の協力事業に関する援助金というものは、安全操業の協定には書かれていないことだと思うんですけれども、実際、その援助金の支払が始まった経緯としては、98年の協定妥結の際に支払が決まって、99年以降、2003年を除いて、ずっと毎年支払われてきたものだと思うんですけれども、その経緯を踏まえて、それでも安全操業の協定履行とは関係ないと、そういうことが言えるのかどうか、改めてお願いします。

【林外務大臣】本件の協力が、サハリン州における対日理解へと協力の発展に資する結果、間接的ではありますけれども、同協定に基づく我が国漁船による操業の実施にも資するという面があるのは事実であると考えております。
 他方、サハリン州との協力事業は「北方四島周辺水域操業枠組協定」の枠外のものでありまして、ロシア側が主張するような同協定の下での操業に対する支払ではないと考えております。
 何れにしても、本件協力については、今後の扱いについて、様々な状況を考慮して検討しているところであります。

シリア・ダマスカス国際空港に対するミサイル攻撃

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 ご快癒、お慶び申し上げます。シリアによると、ダマスカス国際空港はイスラエルの攻撃を受け、滑走路を含めて大きな被害を受けました。イスラエルによる攻撃に関する日本の立場をお聞かせください。また、イスラエルの力による現状変更や、他国を併合する形での領土拡大に関する大臣のお考えをお聞かせください。ありがとうございます。

【林外務大臣】御指摘のシリア当局による発表は承知をしております。他方、イスラエルは、これまでのところは攻撃を実施したか否かを含めて、コメントしていないというふうに承知をしております。何れにいたしましても、日本としては、本件が及ぼす影響を含めて、引き続き、中東情勢を高い緊張感を持って注視をしてまいります。
 日本としては、関係国と緊密に連携しながら、地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けて外交努力を継続をしてまいります。
 なお、一般に、国際法上、武力により占領した領土を一方的に併合する行為、これは認められていないというふうに認識をしております。

岸田総理のキーウ訪問及び在ウクライナ日本大使館再開の見通し

【共同通信 前田記者】総理のキーウ訪問と大使館の再開の見通しについてお伺いをします。本日の外交部会で、総理のG7・エルマウサミットに合わせたキーウ訪問というところで、すべきだ、という意見が出たのですけれども、現状の検討状況と、あとは大使館の再開というところの見通しをお願いいたします。

【林外務大臣】我が国は、祖国を守ろうと懸命に行動するウクライナの国民と共にあります。これまで累次にわたる首脳電話会談、また、外相会談など、こうした連帯を示しながら、ウクライナ政府との間で緊密に意思疎通を行ってきております。
 そうした中で、強力な対露制裁措置、人道支援、財政支援、更には防衛装備品の供与など、我が国として、できる限りの支援をタイムリーに行うということで、ウクライナからの要請にしっかり対応してきております。
 日本政府要人によります、ウクライナ訪問につきましては、現時点では計画をしておりませんけれども、ウクライナに連帯を示す手段は多様でありまして、引き続き、日本として適切な形で、対応してまいりたいと思っております。
 また、在ウクライナ大使館の再開については、現地の情勢などを不断に注視しながら、総合的に検討してまいりたいというふうに考えております。

日韓GSOMIA

【朝日新聞 野平記者】GSOMIAについてお伺いします。訪米中の韓国の朴振(パク・チン)外相が、今日、ブリンケン国務長官との会談後の共同記者会見で、GSOMIAについて、できるだけ早期に、改善したいという発言をされました。これについての受け止めと、19年に破棄の通告が前政権からあった後、その後凍結して今に至ると思うんですが、日韓間の情報共有に何らか支障が出ていると、現状お考えでしょうか。

【林外務大臣】御指摘の発言については承知をしております。
 日本政府としては、これまでも述べてきておるとおり、日韓のGSOMIAは、日韓の間の安全保障分野における協力と連携を強化して、地域の平和と安定に寄与するものと認識をしております。
 北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、現下の厳しい地域の安全保障環境を踏まえますと、本協定が引き続き、安定的に運用されていくということが重要でありまして、政府として、本協定の下で、今後とも必要に応じて情報共有を行っていく考えでございます。
 韓国側とは、必要に応じて、適切に、日韓のGSOMIAの下で情報共有を行っていく考えでありますが、具体的な状況につきましてはお答えは差し控えます。

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