内閣府・新着情報

日時

2022年5月16日(月)10:00~11:37

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

  • (構成員)
    【会議室】
    後藤座長
    【テレビ会議】
    飯島座長代理
    清水委員
  • (オブザーバー)
    【テレビ会議】
    黒木委員
    板倉陽一郎 ひかり総合法律事務所パートナー弁護士
    丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
    万場徹 公益社団法人日本通信販売協会専務理事
    独立行政法人国民生活センター
    一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構
  • (参考人)
    【会議室】
    山田茂樹 氏 司法書士
  • (事務局)
    加納事務局長、渡部審議官、太田参事官、田村企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 令和4年4月13日付け消費者庁発信の注意喚起について
  3. 情報商材等に関する消費者被害の現状と法的課題について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1.開会》

○後藤座長 ただいまから、第5回「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」を開催いたします。

皆様、本日はお忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

本日は、私が会議室にて出席、飯島座長代理、清水委員、大石委員、黒木委員、板倉委員、丸山委員、万場委員、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構様、独立行政法人国民生活センター様がテレビ会議システムにて御出席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○田村企画官 本日もよろしくお願いいたします。

本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

発言時以外はマイクの設定をミュートにしていただきますようお願いいたします。

また、画面の設定は皆様オンにしていただければ幸いです。

御発言の際は、混線を避けるため、発言する旨をテレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。それを確認した座長から指名がありました後に発言をお願い申し上げます。

本日は、感染症の拡大防止の観点から、傍聴希望者の皆様にはオンラインにて御参加いただいております。

議事録については、後日、消費者委員会ホームページにて公開いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりです。

お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2.令和4年4月13日付け消費者庁発信の注意喚起について》

○後藤座長 本ワーキング・グループは、SNSを端緒として情報商材や転売ビジネスなどのもうけ話についての契約がされたことによる消費者トラブルを扱っておりますが、これに関連して、本年4月13日に消費者庁から消費者安全法に基づく注意喚起が発信されました。

まずは、事務局からその内容の御説明を簡単にお願いいたします。

○田村企画官 それでは、事務局のほうから簡単に御説明させていただきます。

ただいま、委員長からお話がございましたように、もうけ話に関するSNSを使った勧誘ということで、消費者安全法第38条に基づく消費者に対する注意喚起がなされております。担当は消費者庁の消費者政策課財産被害対策室でございます。

簡単に概要を御説明させていただきます。

まず1ページ目でございますけれども、本件の事案の概要でございますが、「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」といったLINEのメッセージによる勧誘を受け、「副業」の「マニュアル」を購入してしまったが、実際のマニュアルに記載された副業の内容は告げられたものとは異なっていたといった相談が、各種の消費者生活センターに数多く寄せられてございます。

消費者庁のほうで調査を行ったところ、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(不実告知及び断定的判断の提供)を行っていたことが確認されたということで、消費者安全法38条1項の規定に基づき、消費者に対する注意喚起がなされたものでございます。

事業者の概要といたしまして、個人事業主を含む6事業者につきまして公表がなされております。

さらに、1ページ目の一番下の注2でございますけれども、本件のマニュアルの販売に関わった株式会社の名前も公表されております。

事案の流れでございますけれども、2ページ目にお移りいただきまして、最初のきっかけといたしましては、ホームページ上の検索で「副業」といった言葉を検索いたしますと、ランキングサイトにまずたどり着きます。具体的には、後ろのほうを御覧いただきますと別紙1がございますけれども、こういった人気度ランキングといったもうけ話に関するランキングのサイトにまずたどり着きます。

その後、ランキングサイトの中にLINEへの登録のバナーが出てまいりまして、そのLINEのバナーを通じて友だち登録をすると、LINEの友だち登録が完了して、このLINEアカウントとつながっていくという流れでございます。

LINEの具体的な画面でございますが、7ページ目の別紙2になりますけれども、実際のLINEの登録後、この場合、れいさんという方から送られてきた登録画面を見ることができます。拝見いたしますと、れいという名前の左隣に灰色の中に星のマークがついておりますけれども、この画面を見る限り、この勧誘のLINEアカウントはLINEの公式アカウントの非認証ということが見てとれるかと思います。

2ページにお戻りいただきまして、LINEアカウント等のトークへ誘導された後、別紙に具体的に書かれておりますけれども、副業を紹介する勧誘のメッセージが送られてまいりまして、その後、勧誘LINEアカウントを通じてマニュアルの購入というところまでつながってまいります。

(4)にございますように、実際にマニュアルを閲覧するためのURLが勧誘LINEアカウントから送信されてくるのですが、マニュアルの内容が当初のれいさんから来たLINEによる内容とかなり異なっていたということで不実告知ということ、あるいは誰でも1日当たり数万円稼げるといった当初の勧誘の文言等が断定的判断の提供というところが調査の結果分かったということで、注意喚起がなされたという流れになっております。

最終的に、勧誘LINEアカウントで(1)から(5)のマニュアルの代金が支払わなかった場合の督促まで行われたということがこの公表物上は明らかになっております。

3ページでございます。消費者庁が確認した事実ということで、これまでの繰り返しになりますけれども、マニュアルの内容が当初の勧誘のメッセージとかなり異なっていたということで不実告知、それから、誰でも1日当たり数万円稼ぐことができるということで断定的判断の提供ということが調査の結果分かったとされております。

さらに、3ポツの(3)「マニュアル」販売に関する関与する会社ということで、勧誘LINEアカウントから消費者に送信するLINEメッセージについてのアドバイスを行ったり、消費者のマニュアル代金の支払い先となるマニュアルの販売に深く関与していた業者につきましても公表がなされております。

最終的に、4ポツで消費者庁からの皆様へのアドバイスということで、特に3ポツの一番下にありますように、「インターネット上で販売される『副業』の『マニュアル』等の情報商材を購入すれば、簡単な作業を短時間するだけで誰でも1日数万円を稼ぐことができる、ということはまずあり得ません」といった注意喚起がなされているということでございます。

私からの御説明は以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいまの御説明に関して、何か御質問とか御意見がありましたらお出しください。

よろしいでしょうか。特にございませんでしょうか。

黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 御説明ありがとうございました。

質問なのですけれども、個別の案件だから答えられないのかもしれませんが、別紙2の非公式アカウントのれいというもの、それから、別紙3のaiというもの。結局、この2つの発信者というか、このアドレスを使っていたものが、今回注意喚起の対象となったこの6人のうちの誰かであるということまでは、消費者庁はLINEと交渉することによって特定することができたと理解してよろしいのでしょうか。

個別の案件だから答えられないということだったら、仕方がないと思うのですけれども。

○後藤座長 お願いいたします。

○田村企画官 2ページ目の(2)の下のほうに、「本件6事業者は、一部の事業者を除き、それぞれ、勧誘LINEアカウントを複数使用していました」と書かれております。

さらに、(3)に「本件6事業者はそれぞれ、勧誘LINEアカウントから、消費者に対し、簡単な作業で稼げる『副業』を紹介すると勧誘するメッセージを送信し」とございますので、本件6事業者が勧誘LINEアカウントを使って、メッセージを送信していたというところまでは読みとれるかと思います。

○黒木委員 ありがとうございました。

情報提供というか、あれなのですけれども、愛知県弁護士会が近日意見書を発表しまして、LINEはなかなか発信者の情報を開示しないという点で、任意のいろいろなこういう問題のある事業者にたどり着くのが市民はなかなか難しい。弁護士法23条の2でも該当しないという問題点があるという意見書が出ていたということがありましたので、その関係で少し質問させていただきました。ありがとうございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

SMAJの委員の方、LINEの委員の方でしょうか。藤川様、コメントはございますでしょうか。

○LINE株式会社 藤川でございます。

申し訳ないですけれども、個別のこのケース、このアカウントが例えば今この資料にあるどなたかとかといったところ、弊社LINEが消費者庁等とどういったやり取りがされていたといったところは承知しておりませんで、コメントができません。

以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 御説明ありがとうございました。

愛知県弁護士会と消費生活センターは連携をしていますので、この問題は非常に興味深いです。以前も注意喚起があったときに、消費者庁の政策課がやったということも知らずに取引対策課に質問してしまったのですけれども、私としてはこういうものをどんどんやっていただけたらいいと思います。問題は極悪層をきちんと違反として処分していただくことだと思います。私は現場で愛知県弁護士の先生たちとLINEが情報開示をしてくれないというのは何年来同じ問題を共有しています。警察だったら出せるのですね。是非今後LINEには協力していただきたいと思います。LINEは、例えば消費生活相談だとか名古屋市でやっていますLINEの情報発信にも本当に協力していただいております。一部の極悪層を何とかしたいということで、今後も協力をお願いします。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

それでは、次の項目に移らせていただきます。

《3. 情報商材等に関する消費者被害の現状と法的課題について》

本日は、司法書士の山田茂樹様にお越しいただき、情報商材等に関する消費者被害の現状と法的課題について御説明いただきたいと思います。

山田様、本日はお忙しいところ、誠にありがとうございます。

それでは、よろしくお願いいたします。御説明時間は約30分を予定しております。

○山田氏 おはようございます。ただいま御紹介いただきました司法書士の山田と申します。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。

それでは、時間のほうもありますので、早速、資料2に基づいて順次説明をさせていただきたいと思います。

まず、1ページ目で本日報告する概要について簡単にまとめてございますので、先にこちらについて触れさせていただきます。

本日の報告は、序論、総論的検討、特商法関連という形で大きく3つに分けております。

まず、序論のほうで、これまでのワーキングのほうでも出ておりました情報商材等の事案の現状を見た上で、その検討に当たっての視点および課題について最初に確認をいたします。

続きまして、2番目の総論的検討のところでは3つほど課題を抽出しております。1つ目は意思形成に影響を及ぼし得る第三者に関してであります。2つ目はインターネット上の行為と特別法の規定ということでありまして、今、資料1のほうでも報告がありました、例えばLINE上等での勧誘が行われているわけですけれども、こういったSNS上の勧誘行為と対面取引における勧誘との比較においてどのような差異があるのか、特別法の規律はどうなのか等について見てまいりたいと思います。3つ目ですけれども、相手方の特定困難性につきまして、これも特別法の規定等を整理しつつ説明をさせていただきたいと思います。

そして、3番目の特商法関連でありますけれども、特商法の取引類型のうち、今日は通信販売と電話勧誘販売について各問題の所在につき触れさせていただきたいと思います。

いずれにつきましても、問題点の整理や特別法の概要等について説明した上で、若干の私見を述べさせていただきたいと思います。

それでは、おめくりいただきまして、まず序論のほうから話をさせていただきたいと思います。

3枚目のスライドですけれども、「現状」というところを御確認ください。典型事例とその累計という形で4つほど事例を載せてあります。

まず、事例の分け方につきましては主に購買プロセスに着目して類型分けをしたものであります。大きく分けまして、検索サイトがきっかけとなったもの、SNSがきっかけとなったものに分けてあります。

事例の4つについて簡単に見てまいりますと、まず事例1は、先ほどの資料1にあるような、正に最近の情報商材では典型例と思われるケースでありますけれども、検索サイトの検索から、ランキングサイトにアクセスし、その後、副業サイトのQRコードなどを読みとるなどしまして、特定のアカウントとつながります。SNS上でのチャットのやりとりなどがありまして、まずは通信販売の方式で安いものを買う。その後、電話勧誘を受けて高額の商材を買わされるという典型例であります。

事例2は、検索をした結果、事業者のウェブサイトにアクセスする、その事業者のウェブサイトには、必ずしも高額の情報商材の販売であるという目的が書かれていないまま、電話をかけるようにと書かれているので電話をする。するとその電話において、高額の商材の勧誘を受け、結果として購入に至ったというケースであります。

続きまして、SNSの端緒型についてですけれども、事例3は、SNS内で特定のアカウントと相互フォローするなどして一定のつながりを持ちます。その後、特定のアカウントといろいろやり取りした後に、特定のSNS上のグループに招待されまして、グループ内のウェブ会議システム等で勧誘を受け、最終的に契約に至るというケースであります。

最後の事例4ですが、SNS上の広告をきっかけといたしまして、第三者のブログ等を経て最終的に事業者のウェブサイトを通じて購入に至るというケースです。

この後詳しく見ていきますけれども、こういった事例を通してですが、見ていきますと、黒マルの2つ目になりますが、事業者からの勧誘内容について、不実告知や断定的判断提供を受け、それについて誤認をしたということで最終的に契約に至ったというケースに加えて、焦らされてよく理解しないまま契約に至るケースや、SNSでのやり取りを通じて何となく断り難い気持ちになって契約に至るケースなども見られるかのように思われます。

4ページ目は、事例1のケースを少し図式化してみたものでありまして、登場人物と購買フローを時間的に並べてみたものであります。こうした事例を基に、今回検討するために整理したものが5枚目のスライド、「検討にあたっての視点および課題」というところになりますので、そちらを御覧ください。

典型事例を整理いたしますと、レイヤーとしましては、契約の相手方、そして、意思形成に直接関わる第三者ということで、先ほどの資料1の事例にも出てきたような特定のアカウントなどがあります。それから、その他の第三者ということで、これも先ほどの資料1の注2に出てきた事業者のように、直接勧誘に関わった第三者ではないのですが、全体を通じて何らかの関係を持った第三者が存在します。このように情報商材等の事案に関わるものは3層のレイヤー構造にあるといえます。また、検討にあたっては契約申込みの前、申込み後と時的部分に分けました。さらに、勧誘等が行われている場所がインターネット上なのか、対面なのか等という場所的な部分も考慮すべきであると考えました。

その上で、2ということで、今回の報告に当たっての視点ということで4つほど視点を挙げております。

見ていきますと、まず1つ目ですが、相手方と契約までに多様な立場で複数の第三者が介在して取引を形成しております。

2つ目といたしまして、そのような事情からいたしますと、相談者が契約の締結の意思形成をしたのは果たしていつの時点なのか。もっと言えば、誰の影響が大きかったのであろうかと。

3つ目ですけれども、では、意思形成をした場面というのが果たしてインターネット上なのか、対面なのか。オープンの場なのか、クローズの場なのか。あるいは双方の組合せなのか等についても見ていく必要があるだろうと思います。

4つ目ですけれども、3層構造というお話をいたしましたが、各レイヤーに属するものの法的な位置付けはどうなるのだろうかというところも見ていく必要があるかと思います。

こうした視点に立った上で、どのような検討課題が考えられるのかにつきましては、6枚目のスライドを御確認ください。

全部で6つほど挙げておりますが、今回のワーキングのテーマというところに行きますと、差し当たって1、2、3、4について課題ということになると思いますので、これらについて取り上げていきたいと思います。

まず、課題の1つ目は、正に実務、現場において、契約の相手方への対応、契約の取消解除、返金請求等の場面でどのような問題が発生しているのかという点であります。

2つ目は、第三者の関係です。契約前に消費者の意思形成に直接関わる第三者の行為がある場合に、当該第三者にどのような主張が可能なのか。契約の効力にどのような影響があるのか。そして、不当な表示があった場合に不当な表示に対してどのような対応が可能なのかという点であります。

3つ目は、インターネット上における勧誘行為について、現行法の射程の確認とその妥当性ということで、要は、インターネット上の一定の行為が行われたときに法律上どのような手当てがされているのかという点であります。

最後、課題の4つ目は、相手方や第三者の特定が困難である場合にどのようにすればいいのかというところであります。

では、7ページ目以下に移りまして、総論的検討ということで具体的な課題について見てまいりたいと思います。

まず8枚目です。意思形成に影響を及ぼし得る第三者について見ていきます。

1の問題の所在を御確認ください。3ページの事例の1、3、4のように、消費者の意思形成過程には契約当事者たる販売業者のほかに第三者が関与し、あるいは端緒となるケースが少なくないという実情があります。

黒マルの2つ目ですけれども、この際、例えばSNS上でのやり取り等を通じて第三者と一定の関係を構築した上で終局的に契約に至るなど、第三者が意思形成に影響を及ぼしていると考えられるようなケースも見られます。

3つ目ですが、このような場合に特別法の適用関係は第三者についてどのように整理されているのか。8ページの下、先ほどのレイヤー構造で分けた図でいきますと、A2の場面に関する法の適用ということになります。

9ページ目以下で各特別法について簡単に見てまいります。

まずは9ページで特定商取引法について見てまいります。

特定商取引法につきまして、訪問販売、電話勧誘販売、通信販売等、連鎖販売を除く場合ですが、販売業者等を被規制者としております。そうなりますと、差し当たって今挙げた事例からいたしますと、不当な表示を行ったSNS上の特定アカウントやブログ運営者といった、第三者が特商法の被規制者たる「販売業者等」に該当するのかという問題があります。この点につきましては、定型リースに関して御案内のとおりの通達の考え方が示されています。果たしてこの考え方が今回取り上げているような事案のときにどこまで射程に入ってくるのかという問題点があると思います。

10ページ目に行きますと、これは前々回消費者庁取引対策課の報告でも取り上げられていた行政処分の事案ということで、直接の販売業者ではない事業者が特商法の行政処分の対象になったという事例ですので、参考までに挙げておきました。

11ページ目ですけれども、連鎖販売取引の場合につきましては、いわゆるあっせん型の場合に、ここの図に整理してありますけれども、あっせん型ですから、直接の契約の当事者はいわゆる統括者になるわけですが、統括者ではなくて、勧誘をしていた上位会員についても勧誘者に該当するという整理が参考マル2にありますけれども、すなわち、契約の当事者ではない勧誘者に対しても行為規制の網がかかっているという取引類型もあるということで紹介してあります。

続きまして、12ページで消費者契約法について簡単に見ていきたいと思います。

消契法につきましては、媒介の委託を受けた第三者、5条の規定がございます。5条につきましては今さら説明するまでもないところでありますが、事業者から媒介の委託を受けた第三者が消契法4条の所定の行為を行った場合でありますが、その行為があった場合には、事業者の行為であるとして、消費者は当該消費者契約を取り消すことができるという規定です。この規定につきましては、先ほどの連鎖販売取引の取消権や第三者詐欺の場合と異なりまして、事業者が当該第三者行為を行ったことに関しての認識あるいは認識可能性を要件としていないというところがあります。

(2)で消契法における第三者についての実情等を少し見てまいりたいと思いますけれども、現在の実務では、事業者の従業員等につきましては5条等にはあえて言及せずに、4条の問題として処理されていると言ってもいいかと思います。さらに、下級審判決を見ますと、第三者の行為について、本来であれば恐らく5条の適用条項として挙げる必要があると思いますが、特にそこには言及せずに、4条だけを用いて取消しを認めたものということでありまして、リース契約におけるサプライヤーに関する裁判例や個別クレジットにおける販売店に関する裁判例などがあるというところであります。

こうした点を踏まえて、13ページになりますが、インターネット上で事業者から委託を受けた第三者が宣伝行為をする場合、アフィリエイト等でありますが、この場合の5条の適用関係というものを簡単に整理してございます。

整理をしてみますと、ここではアフィリエイトを例示で挙げておりますが、例えばアフィリエイトに関しましては、ASPを通じて事業者たる販売業者が消費者契約の目的につき広告宣伝することを委託し、アフィリエーターがこれを受けて広告宣伝を行う仕組みということでありますので、現在の消費者庁の解釈からすれば、一般的には媒介の委託を受けた第三者に該当する可能性があるだろうと思われます。

ということになりますと、消費者のほうが取消しをする場合にどうするのかということで、2つ目の黒マルのところであるわけですけれども、とりわけ恐らく実務的にハードルが高くなってきそうなのが事業者と第三者の間の媒介の委託関係です。正に事業者と第三者の内部関係ということになりますから、ここを立証するというのが、必ずしも容易ではないということもあるだろうというところを問題点として挙げることができるかと思います。

続きまして14ページ、景表法のほうに移ってまいりたいと思います。

景表法につきましても御案内のとおりですが、被規制者につきましては供給主体性、表示主体性を充足する必要がありますということになっておるところであります。

まず、販売業者等につきましては、外観上、不当表示を第三者が行っていた場合でありましても、自らがその表示をしていたとなる場合につきましては、当該第三者の不当表示について、販売業者等が措置命令等の対象になります。

これに対して、他方、3つ目の黒マルですが、もっぱら広告宣伝を行う第三者に関しましては供給主体性を充足しているとは言えませんので、当該第三者というのは景表法上の不当表示規制の対象とはならないという整理になります。

これを受けまして、4つ目の黒マルですが、本ワーキング・グループで対象とする事案の関係ということでいきますと、例えば消費者の意思形成過程において不当な表示を行ったアフィリエーターあるいはSNS上の特定アカウント等の第三者の表示が販売業者等の表示であると言えるのは、果たして現在の解釈からするとどのような場合があるのか。そして、その射程は適当であるのかといった辺りが課題なのではないかなと考えております。

15ページ目は行政処分の例を挙げておりますので飛ばしまして、16ページ目の私見について申し上げたいと思います。

問題の所在です。今見てきましたとおり、第三者の勧誘行為によって消費者が契約締結に至った場合、消費者契約法5条について当該消費者契約の取消しによる解決が可能である場合もあると言えると思います。

さらに、景表法につきましては、一定の第三者の表示については販売業者自身の表示とし、販売業者を措置命令の対象とするということも可能でありますし、特商法につきましては一定の第三者も販売業者等に該当するとして、販売業者と併せて行政処分の対象とするという場合もあり得るということになるかと思います。

とはいえ、3つ目の黒マルですが、このような対応は行政庁が法に基づく報告徴収や立入調査権限を行使することによってこそ可能であるとも言えますので、個別事案について個々の消費者が販売業者と第三者の内部関係を明らかにすることというのは、先ほども若干申し上げましたが、必ずしも容易ではないだろうと思います。

また、被害の実情からすれば、その被害の未然防止や回復の観点から、更に対象とすべき第三者の範囲が既存の法律の範囲内で果たして適切なのか。さらに、この当該第三者を特別法の規制被規制者ということで特出しする、きちんと明記するということの意義があるのかなどについても検討する必要があるのではないかと思います。

そして、(2)検討に際しての分類ということで、この問題を考えるときに差し当たって現行法の規律を参照する必要があると思いますが、第三者が例えば不当な行為をした場合に、司法上の効果、行為規制がどのようにかかってくるのかというマトリックスを作ったものがこの図表です。御参照いただければ幸いということであります。

次に17ページ目に参りまして、第2ということで、インターネット上の行為と特別法の規定というところを見ていきたいと思います。

まず、1の問題の所在を御覧ください。情報商材の事案では、実際には面識のない者とSNS上でのやり取りを繰り返す中で、高額の金員を支払う事例が見られます。冒頭でも簡単に申し上げたところでありますが、必ずしも誤認をしたという類型ではなくて、例えば以下のマル1マル2のように、焦らされて契約に至ったと思われるようなケースであるとか、SNS上でのつながり等を形成する時点では当該情報商材の勧誘を受けることについては必ずしも認識をしていなかったと思われるケースなども見られるところです。

これらの事例につきましては、結局、これをやれば確実に払っただけの元が取れるかどうかなどの論理的な思考が十分に稼動せずに、いわばヒューリスティックな判断によって契約に至っているというものもあるように思われるということがございます。

その上で、この問題を踏まえて各特別法について規定を確認していきたいと思います。

まず、18ページ目で消費者契約法について確認をしていきたいと思います。

消契法でありますが、まず勧誘要件のところがあります。この情報商材等の事案を見ていきますと、クローズ型でのSNS上のチャットによる事業者の勧誘等があるわけですが、勧誘手段につきましては口頭に限らないというのが現在の解釈でありますから、口頭、SNS上でのチャットにつきましてはこの勧誘要件に該当すると解される可能性もあると思います。

その他、ウェブ上の表示等につきましては、例のクロレラの最高裁判決などもございますので、表示行為と消費者の申込みの意思表示との間に客観的な因果関係が認められるという場合であれば要件を充足していると解される可能性はあると言えると思います。

具体的な取消類型、4条の関係でありますが、誤認類型につきましては、特に誤認した、誤認を行わせる行為について、事業者の行為の物理的な場所を限定しておりませんので、そうしますと、物理的な場所における勧誘とインターネット上の空間における勧誘等において特段差異は設けていないだろうと思われます。

続きまして、困惑類型でありますが、困惑類型のうち、不退去、退去妨害は当然要件的に見ても物理的な場所における行為に限定されるだろうと思われます。他方、近年の改正で追加されました不安を煽る告知類型等がございますが、これらにつきましては特に物理的な場所に限定はしていません。ただ一方で、要件が個別具体的ということでありまして、実際の情報商材の事案に照らし合わせて考えてみると、文字どおりの要件を充足している事案ばかりではないと言えるかと思います。

続きまして、特商法について19ページ以下で見てまいりたいと思います。

まずは、(1)誤認行為や威迫困惑行為について見ていきたいと思います。

特商法につきましては、こちらも御案内のとおりですが、2つのグループに分かれまして、販売業者等の行為に着目した取引類型ということで、訪販、通販、電話勧誘、訪問購入がありまして、中身に着目した取引類型として連鎖、特役、業提があると整理されているところであります。

まず、通信販売以外の取引類型を見てまいりますと、中身に着目した取引類型につきましては、誤認惹起行為のほか、威迫困惑行為につきましても、特に物理的な場所における行為に限定せずに禁止行為としております。

そして、マル1の取引の行為に着目した類型のうち、通販を除く訪販、電話勧誘、訪問購入の禁止行為の規定につきましては、条文上見てまいりますと、物理的な場所における行為には限定をしておりません。逐条解説を※に抜粋してありますが、この「勧誘をするに際し」の意味とは、販売業者と購入者等が最初に接触してから契約を締結するまでの時間的経過においてという意味であると説明されておりますので、要は、要件に関しては時間的な部分に着目していると考えられると思います。

他方、通信販売につきましてイのところを御確認ください。通信販売は、御案内のとおり、郵便等により申込みを受けた場合が通信販売になりますので、虚偽誇大広告の禁止といった広告表示規制などが主でありまして、SNS上でのチャットベースのやり取り自体を、対象とした誤認惹起行為や威迫困惑行為に関する禁止規定そのものはないということになります。

そういたしますと、通信販売のみに対象取引が該当する場合に、SNS上で誤認惹起行為や威迫困惑行為があった場合はどうなるのかといいますと、誤認惹起行為であれば、誇大虚偽広告の禁止に該当する場合があり得る。これに対して、威迫困惑行為に関しましては、そのもの自体が特に行為規制に当たるというものがありません。こういう現状になると思います。

20ページ目を御確認ください。

先ほどのスライドで言いますと、17ページのマル2でも紹介したように、SNS上でのつながりを形成する時点では勧誘目的を告げられていなかったというケースがあります。このような販売契約等の勧誘目的を隠匿して閉鎖的なインターネット上の空間に誘う行為に関して、特商法上はどのように規律しているのかという観点で見ていきます。

そういたしますと、まず訪販、連鎖、業提につきましては、販売契約の目的を隠匿して、営業所その他特定の場所への来訪を要請して公衆の出入りする場所以外の場所において勧誘する行為を禁止しています。では、この場所とは何かにつきまして、通達を見ますと、例示といたしまして、販売業者等の事務所、個人の住居、ホテルの部屋や会議室、公共施設等の会議室等ということでありまして、物理的な場所の例示はしてあるというところでありまして、インターネット上の空間というのは果たしてどうなのかというところに関しては明確には書いていないという現状がございます。

4の私見というところを見てまいります。実務では、前述のとおり、インターネット上の空間における勧誘によって、誤認類型・威迫困惑類型に当てはまらない原因によって消費者の意思形成がゆがめられて契約に至ったケースもあるように思われます。しかし、今見ましたとおり、消契法や特商法の各規定は必ずしもこのような勧誘に対応したものではないように思われます。

そこで、相談事例等の収集・分析をきちんと進めて、ファクトをまずつかんだ上で、例えばということで取りあえず私が思いつくものを4つほど挙げてみましたけれども、例えば文字ベースと口頭ベース、インターネットの空間と対面の違いとか、SNS上で相互フォローすることの心理的影響、スマートフォンやSNSの利用状況と信頼性・仲間意識醸成の因果関係、それから、若者の話も出てきましたが、デジタルネイティブ世代が増加していくことも踏まえた同世代特有の心理状況などに着目して、インターネット上の空間における勧誘行為について改めて調査検討することも考えるのではないかと思うところであります。

21ページ目に参ります。

相手方の特定困難の点であります。問題の所在ですが、SNSが利用される消費者取引被害につきましては、例えば意思形成過程において、勧誘した特定のアカウントについてはアカウントID以外の情報がないとか、契約の相手方当事者についても架空の住所が表示されていたとか、実在するのか調査困難な外国法人を名乗っているケースなど、相手方の特定に困難を来す場合も少なくないという現状があると思います。

具体的にもう少し見ますと、販売業者の特定が困難である場合ということでありまして、法人を例示しておりますけれども、例えば実務上ということで、国内法人の存在が確認できないとか、外国法人の表示の点が問題になるということがあります。国内法人につきましては、そもそも実在しない法人名を名乗っているケースのほか、現在の商号と特商法に基づく表示上の商号が一致していないとか、本店が違っているといったケースなどが考えられます。

外国会社につきましては、本来、日本において継続的に取引をするということであれば、会社法では、外国会社の登記をしなければいけないということになっているわけですが、必ずしもこの規定が遵守されていないような実態が存在していると思われます。

「なお」と書いてありますが、特商法の昨年の改正法の施行規則を見ていきますと、外国会社につきましては広告表示事項の追加がありまして、国内に行う事業に係る事務所、事業所、その他これに準ずるものを有する場合には、その所在場所、電話番号が表示事項となっております。

それから、若干距離が離れてしまうかもしれません。昨年成立しました民法不動産登記法等の改正を見ていきますと、不動産の所有者につきまして、法人の場合は会社法人等番号を新しく登記事項とする改正がなされているという現状があります。

これらを踏まえまして、次の22ページ目に行きたいと思います。

特定商取引法の通信販売における表示義務というところになりますが、販売業者は御案内のとおり、原則として広告を行う場合、提供条件広告をする場合には、販売業者の氏名、住所、電話番号等所定の事項を表示しなければいけないことになっております。したがいまして、通常、通販を行う販売業者のウェブサイトには特商法に基づく表示という部分があるわけです。

黒マルの2つ目ですけれども、ただ、SNSからウェブサイトなどの経路をたどって契約の申込みに至っているケースでは、表示内容によってはSNS上の表示、販売業者等のウェブサイトのいずれも提供条件に該当する場合があると考えられているところです。

この特商法に基づく表示については、場所、それから、内容について問題となります。イの表示場所ですけれども、実例を見てまいりますと、情報商材の事案では、例えばクレジットカード決済が利用される場合に、ここにありますとおり、SNS上にリンクされたURLをタップして、決済代行業者のサイトでカード情報を入力というときに、販売業者のウェブサイトには法11条に基づく表示がされていたとしても、一連の過程の中で販売業者の住所氏名を確認する機会が実質的には必ずしもないまま申込みに至っていると思われるようなケースもあるというところであります。

現在の特商法の規定を見ますと、契約の申込みの撤回、解除に関する事項につきましては、顧客にとって見やすい場所に明瞭に判読できるように表示するようにすることと規則で定められ、更に具体的なガイドラインもあります。

他方、法11条のその他の表示事項につきましては、そのような規定もありませんし、ガイドラインもありません。ただ、小さい字で書いてありますが、販売業者の氏名、名称等につきましては、逐条解説の中では消費者が容易に認識することができるような文字の大きさ等をもって、容易に認識できるように記載しなければいけないと書かれているということになります。

24ページに参ります。

販売業者の特定のための表示内容については、適切な記載内容につき、具体的に通達で示されています。しかしながら、契約発生後、トラブルが発生した場合には、一見通達にしたがった表示はしてあったとしても、当該表示が虚偽表示であるなど、販売業者への連絡ができないことからその後の対応が困難となる事態が存在しているということになります。

そういった場合に、第三者への開示ということを考えるわけですが、25ページ目です。現行法の規定がどうなっているのかというところを、時間も来てしまっているので簡単に見てまいりたいと思います。

まず、電気通信事業法上ですが、電気通信事業者には厳格な秘密保持義務が課せられていますし、個人情報保護法の関係のガイドラインにおきましても、通信の秘密に関する事項については、法律上の照会権限を有する者からの照会についての提供は原則としては適当ではないという形で、極めて厳格な解釈を取っております。

3つ目ですが、プロ責法の関係につきましても、いわゆる詐欺的な案件に関しましては対象にならないと考えられているところであります。

さらに、25ページ目の5の最高裁の決定、これもワーキングで出てきたところでありますが、1対1の電子メールの送信情報については、民訴法197条1項2号の類推適用によって、職務上知り得た事実で黙秘すべきものについて証言を拒むことができると解するのが相当だという決定が出ています。

これを踏まえた上で、私見ということになります。26ページ目であります。

まず、特商法上の話でありますけれども、表示の場所につきましては、先ほど例示をした事例もあるところからいたしますと、契約相手がどこの誰なのかというのは、言わずもがな売買契約の本質的な事項でありますので一連の購買プロセスにおいて容易に認識することができるような場所に表示させることを徹底させるべきではないかと考えます。そして、内容につきましては、まずは11条の表示義務の真正性の担保が重要であると言えると思います。例えばということでありますが、法人につきましては会社法人等番号、あるいは、法人番号等が明らかになっておれば、実在するかどうか、あるいは内容については客観的に調査可能でありますので、例えばこういったものを表示事項に加えるといったことも考えられるのではないだろうかと思います。

27枚目は、ワーキングのほうでも出ておる情報開示制度の件であります。この点につきましても、もちろん相手方の特定困難性の解決の方法としては11条の厳格化・執行強化という方法が考えられるところではありますが、被害回復の観点からは相手方特定のために開示の迅速性が要求されるという側面もあるところであります。ということになりますと、昨今の取引DPF法の開示請求権などを参考にしたり、取引DPF提供者との法的な立場の比較や社会的な役割とかを慎重に検討した上で、新たな情報開示制度を創設するということも考えられるのではないかと思うところであります。

では、最後のカテゴリーですが、29ページで特商法関連ということで、通販と電話勧誘販売について簡単に見ていきたいと思います。

30ページを御覧ください。

通信販売につきまして、問題の所在ということで4つほど挙げておりますが、先ほど来、特定に関する部分に関してであるとかウェブ上の困惑行為について取り上げておりますので、マル2のSNS上のメッセージは誇大広告等の対象になるのか、及び、マル3の新設された取消権に関する件について簡単に見てまいりたいと思います。

まず、SNS上のメッセージが12条の誇大広告等の禁止になるのかに関しましては、結論としては可能性はあり得るだろうと考えられます。詳細につきましてはここに書いてあるとおりであります。

もう一点の取消権に関して、31ページを御覧ください。お試し定期購入の問題などを受けて今回この規律が新設されたということであります。まず、問題となりますのは、取消権の対象は、購買フローのどの部分なのかという点でありますが、これはいわゆる最終確認画面の場面ということになりまして、提供条件広告の部分ではないということになっています。また、対象となる表示の内容が目的物の分量、対価、支払時期と限定列挙されているということになりますと、情報商材について、絶対にもうかると書いてあった、けれども違ったというような事案に関して、今回の取消権が対象になるかというと、それは必ずしもこの取消権の対象にはなっていないだろうと思われるところであります。

それから、32ページ目で、最後に電話勧誘販売のところを見ていきます。

電話勧誘販売では、ウェブ会議アプリ等が電話勧誘販売の電話に当たるのかという問題、それから事例1にあったような二段階型の勧誘行為の2段階目の契約が電話勧誘に当たるのかというところがあります。

もう一つがさらに、ウェブ上の目的型の表示を見て電話をしてしまった場合に、電話勧誘販売に該当するのかという問題です。

まず、ウェブ会議アプリ等が電話勧誘の電話に当たるのかにつきましては、電話に当たるだろうと言えると思います。

それから、33ページ目の二段階型の電話勧誘販売の該当性につきましても、たびたび言及されていますので、私が今さら言うまでもありませんが、消費者から電話をかけるパターンであれ、事業者から電話をかけるパターンであれ、法的に検討していきますと、いずれも電話勧誘販売に該当すると考えてよろしかろうと思います。

そして、34ページ目です。ウェブ表示に勧誘目的隠匿で電話かけるような要請がある場合につきましてですが、これは電話勧誘販売との関係でいきますと、要は勧誘目的を隠匿して電話をかけさせる行為になりますので、電話をかけさせる行為については政令で定める限定列挙に該当しなければいけないところでありますが、残念ながら、ウェブサイト上の表示そのものというのは、現行法の政令で定める方法には含まれておりませんので、電話勧誘販売にはこのケースは該当しないと解されざるを得ないということになります。

しかし、黒マルの3つ目ですが、消費者が当該ウェブサイト上の表示にたどり着くまでの経路や被害の実態からすれば、本事案についても被害回復に向けた対応が必要ではないかと思われるところであります。

若干時間を超過いたしましたが、私からの報告は以上となります。ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、意見交換に移りたいと思います。御発言のある方は、発言する旨をまずテレビ会議システムのチャット欄でお知らせください。それを確認した上で私が指名しますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 山田先生、報告どうもありがとうございました。大変充実した内容だったと思います。

私からは3点ほど確認、教えていただきたいことがありまして、質問させていただければと思います。

まず、第1点なのですけれども、パワーポイントの12ページ、消費者契約法5条の運用に関してなのですが、裁判例では5条に言及せずに直截に4条で取消しを認めている事例もあるという報告をしていただきました。

山田先生の御感触としまして、事業者の商品やサービスについて、媒介委託を受けているような第三者が関与しているという場合に、消費者の側でその内部関係をしっかり立証できなくても、裁判の運用としてはそういった立証の軽減を図るような形で取消しを認める傾向にあると捉えてしまってよいのか。現在の裁判の運用についてどういった印象を持たれているのか教えていただければと思いました。これが第1点でございます。

第2点としましては、これも資料で言いますと19ページ以降のお話になるのですけれども、特商法の規制対象と通信販売の規制対象ということで、最後のほうでもまとめて説明をしていただいたところなのですが、SNSのチャットなど、文字を使った対話型の勧誘について整理をしていただきました。山田先生の報告からも分かりましたように、例えば口頭の表示であっても景表法の対象になるという点が確認でき、また、特商法の広告の概念というものも広く捉える可能性があるのではないかといった解釈を指摘していただきました。

そのように広く対応していく可能性があるということを踏まえた上で、さらに、こういったSNSなどのチャットの文字対話型勧誘について、通信販売の規制の中で、例えば販売目的を秘匿しての文字の対話型の勧誘について、禁止行為という形で不実告知や威迫困惑を禁止したり、断定的判断の提供について指示の対象とするというような、勧誘に対する禁止行為の規制を通信販売の枠内で行っていって行政処分に直結させるということもあり得るのではないかと考えておりました。そういった通信販売規制の中で対話型の勧誘、特に販売目的秘匿型というのが最近問題となっていると思うのですけれども、そういうものについては、広告規制とは別枠で並んで規制を行っていくということについて、その必要性や留意事項について何か御意見があれば教えていただければと思いました。

最後なのですけれども、22ページ以降の表示義務や連絡先の確保、特定困難に関連するところでございます。この点につきまして、山田先生のプレゼンにおいて表示義務の表示の仕方や真実性の担保について一定の対応が必要ではないかということは非常に示唆に富む提案をしていただいたと思います。

その上で、例えば販売業者の連絡先につきましては、オンラインの場合はカタログと異なりまして消費者の手元に必ずしも連絡先が残るとは限りませんので、承諾の意思表示のところでしっかりと販売業者の連絡先などについて表示させるといった手当てというのは必要なのか、そうではないのか。むしろ問題の本質は消費者のところに情報を残すというよりも、連絡先が虚偽であるということのほうが問題なのか。その点について山田先生のお考えを確認させていただければと思いました。

私からは以上3点です。

○山田氏 丸山先生、御質問いただきましてありがとうございます。

3つほど御質問いただきました点について、私の今思うところを述べていきたいと思います。

まず、12ページの消契法の4条、5条の関係でありますけれども、かつてもいろいろと調べたことがあるのですが、第三者、恐らく客観的には独立した取引主体、リース契約のサプライヤーとか個別クレジットにおける販売店というケースなどもあるのですけれども、こうしたものを4条のみを適用させて一体として「事業者」と解するといった考え方が果たして今メインストリームの考え方がどうかというと、いろいろ探してみても、見つかってくる判決としてはこれぐらいの数が出てくるということでありまして、恐らく個別の事案ごとのケースで、要は、実質上事業者自体と当該第三者の密接性が推測されるようなケースで、解釈上それが認められたというケース自体は、それはそれであると思うのですが、ただ、一歩超えてしまって立証ができないというときに、そういった観点も踏まえて、5条のところを飛ばしてしまって4条で行けるという考え方がすべからく裁判所で成り立っているかというと、恐らく必ずしもそういったことではないのかなと理解をしているところであります。

それから、2つ目のチャット機能の対話型勧誘の威迫困惑や誤認行為など、要はけしからんようなやり方自体を禁止行為に規律するということを通信販売の中ですることは妥当かといった趣旨の御質問だと思いますけれども、まず、そもそも難しいところが、これも先ほど申し上げたとおり、今、通信販売の定義規定自体が、申込みが郵便方法等の場合であれば通信販売になるというところで、適用対象になる事業体が非常に幅広いというところがまずあります。とはいえ、丸山委員の御指摘のような勧誘方法自体は、およそどのような事業者であれ、不実告知をするとか、不実な表示をするとか威迫困惑の方法で勧誘すること自体がおよそ是認されるビジネス方法ではないだろうというところはあるというところです。

ただ、私の個人的な考えですと、射程が非常に広い通信販売の中でそういった規律を入れるということになると、ある特定のトラブルが起きている類型に対象を絞って、規律を入れる意味合いが出てくるのかなとも考えられます。

時間の関係がありまして、直接読み上げをしなかったのですが、レジュメのちょうど20ページ目の脚注です。笹路前消費者庁取引対策課長が書かれている論文の中に「アグレッシヴ通販」という言葉が出てまいります。ここに書いてあるアグレッシヴ通販に関しましては、デジタル技術を活用すること等を通じて、個別の消費者の意思形成に影響を与えながら、詐欺的・欺瞞的な取引に誘引していく手法を取る通信販売のことだとした上で、これらの通信販売に関しましては、従来型のパッシブ、いわゆる受け身的な通信販売に係るルールとは異なる規律が必要だという考え方を示されているところでありますので、なかなか切り出しや抽出は難しいのかもしれませんが、実際にトラブルが通信販売の中でも起きている類型にくくり出した上で、いわゆるこのアグレッシヴ通販に関しての行為規制という形をやっていくのも一つの方法ではないのかなと現時点では考えているところになります。

3点目のいざトラブルが起きたときに消費者に事業者の元情報みたいなものが残らないという点に関して、それは制度的に申込みを受け付けましたというところで、私たちはこういう者ですということを表示させる体制を取るのがいいのか、それとも問題の本質はそこではなくて、そもそも虚偽表示をする事業者のほうが悪いのか、どちらのほうがという話だったと思いますけれども、ここのところも実際の調査とかをもう少ししてみないと分からないところではありますが、恐らくまともな業者であれば当然次にまた購入してもらいたいといったこともあると思いますので、連絡先を意図的に隠すといったことは恐らくないだろうと思います。

私の実務的な経験の中で見ていくと、最終的に確認したいときに見られなかったということが問題というよりは、どちらかというとそもそもの表示自体があてになっていないといったケースのほうが多いのかなという感触はあります。そのような意味からいたしますと、どちらかといいますと、まずは11条に基づく表示義務に関してきちんと厳正に記載すべきことを記載するというところに重きを置くほうが、まず今起こっている問題に対する解決としてはいいのではないかなと思っている次第です。

以上です。

○後藤座長 丸山委員、よろしいでしょうか。

○丸山委員 ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

御説明ありがとうございました。

先生の27ページの新たな情報開示制度の創設というところは、私たち相談員も本当に願っているところです。今、少額の被害回復が消費生活センターではできない、弁護士の先生に頼んでもできないという現状が続いているのが一番の課題だと思いました。もちろん新しいプラットフォームの法律もできました。また特商法の改正も細かく見ると使えるものがいっぱいあって、しばらく様子を見るべきなのですが、ただ、法律の浸透には時間がかかるので、やはりスピード感を持って何か対策をしないと、極悪層はやり得をしているのです。逃げ方も知っていて、私たちよりはるかにデジタルを詳しく駆使していて、利用しています。警察が取り締まる、逮捕するべき人がいるのですけれども、野放し状態になっているのは、相談の現場では本当に悲しいことであります。

もう一つは20ページなのですけれども、先生の私見というところで、相談事例等の収集分析を進めた上でというところで、今のZ世代の心境だとか、こういうものは本当に大切だなと思っています。相談で、相談者がインフルエンサーとして拡散することを懸念しております。また、簡単にもうかることはないのに、自分もやってみますといいねをして自分の仲間たちに広がる、この自己責任の欠如はすごく悩ましいです。しかし、Z世代に何でそんなことをするのかと怒ると相談話をしてくれませんので、丁寧にどういう心理でそういうことをやるのかと聞いていても、やはりデジタルを信じているところがあって、信じていけないということはないのですけれども、リテラシーみたいなところと信憑性というところをどうやって伝えていったらいいのかなと悩んでいます。先生も日頃から消費生活相談員と対話をしていただいていますし、講座もしていただいています。また、先生も直に相談を聞いている中で、何か参考になることがありましたら教えていただければと思います。

以上です。

○山田氏 ありがとうございました。

情報開示の件に関しては、御意見というか御感想をいただいたということだと思いますので、2つ目の20ページ目の私見のマル4のZ世代の関係のところで、若干の感想というか私の意見を述べさせていただくと、実際に例えば20歳代前半の方の情報商材の事案等の詳しい経緯を聞いていった中で、SNSがきっかけになっているというケースはあるわけであります。私も中年世代になっているわけですけれども、中年のおじさんからしますと、何で1~2ターンやり取りしただけの相手方の発言を信じてしまうことになるのか。しかも、最終的になぜそんな高額のものを買うことになっているのかということが、丁寧に聞いていっても、相手方のやり方、セールストークとかSNSのやり取りに関して非常に問題になるような発言があるということは別としても、なぜ最初のところで見たこともない人だから信じられないとならないですんなりすっといくのかなというところは、もしかしたら素朴な世代間ギャップなのかなどと思っているところでありまして、そのような実務的な肌感覚からしても、これはそんな肌感覚ではなくて、学問的に見てどういうような違いがあるのかはきちんと見ていく必要性がある問題なのかなと痛感しているところになります。

以上です。

○清水委員 ありがとうございました。

○後藤座長 それでは、板倉委員、よろしくお願いいたします。

○板倉委員 弁護士の板倉です。

非常に網羅的かつ有用な御発表をありがとうございました。

私は2点ありまして、一つは今、清水委員からもあった27ページの情報開示なのですが、こちらは、先生の資料で言うと5ページに関係者が列挙されているのですが、私は全く制限なしにどこからでもこれら全員の人の情報を取れるようにしないといけないと思うのですけれども、実際はなかなかそこまで全部というわけにはいかないのでしょう。そこで、先生の御想定としてどこまでの人の情報を誰に請求できるべきか。発信者情報開示だとコンテンツプロバイダと接続プロバイダがいて、二段階やらないといけないわけですが、接続プロバイダまで請求できるようにするのかということも含めて御意見を伺いたいです。

もう一つは、先生の御説明でランキングサイトが絡んでいるということが最初のほうにも書いてあって、3ページなどにもあります。検索するとランキングサイトがあって、そこから行くとインチキくさいところに飛ばされるということで、ランキングサイト自体がやらせである場合があります。先生が15ページに書いてくださったように、割と昔ですけれども、ランキングサイトの措置命令というのもやられたことがあり、今、私の認識だと景表法の消費者庁のほうの検討会でステルスマーケティングを何とかしようというのが走っていると思いますが、その中でランキングサイトをステルスマーケティングの一種として規制するとして、どんなふうに規律を入れたらSNS勧誘の問題との関係で効果的とお考えでしょうか。

以上2点をお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○山田氏 御質問ありがとうございます。

まず、最初に御質問をいただいた新たな情報開示制度の誰に対して請求できるのかというか、対象者を誰にするのかというのは非常に難しい問題がありまして、板倉先生がおっしゃるようにありとあらゆるところ、要は加害者の特定につながる情報はできる限り多く取りたいという実情がまず実務家としてはあります。とはいえ、実際に制度として考えていくと、さすがに無制限というのはどんどんハードルが上がってくるだろうということで、どこかのところで絞りをかけていかないといかざるを得ないなとまず思っているところです。

差し当たっての考え方なのですが、今日のパワーポイントでいきますと、例えば9ページで特商法の被規制者になる対象者の射程問題というところを取り上げたのですけれども、今の考えとしては、少なくとも特商法の網がかかってくるものに対しては、基本的には自分の情報が開示されることが前提だという理解からすれば、開示の請求対象になるものに関しては、まずそのような者を対象としていくのが現実的なのかなと思っているところです。

一方で、誰に対してというところでありまして、現在のプロ責法でも結局一定程度の限定がある中で、ここを無制限にしてしまうとやはり切りがなくなってくるので、ここのところを果たして例えばSNSの運営事業者だけにすればいいのかとか、クレジットカードの情報を持っているなら、カード情報を持っているサーバーを対象にすればいいのかとか、そうなってくると、今度は仮に銀行情報とかクレジットカード番号が出てきたときに、銀行に対しても開示請求を認めるのか等、どんどん広がっていってしまうというところがありまして、正直なところ、請求先の対象者を誰にするのかについては非常に悩ましいなと思っていて、ここはまだ私自身の考えは固まっていないところかなというのが現状であります。

それから、2つ目のランキングサイトに関してですけれども、これはDPF透明化法の規定を参考に、ランキングの客観的な根拠というものを必ず確認できるような体制をつくっておく。お手盛りのなんちゃってランキングにならないようにする。例えば監視体制をどうするのかとか、その辺の部分はもちろん課題はあるのですが、ランキングの実証的裏づけとなる根拠というものを確認できる体制をつくっていくというのは、考え方としてはあるのではないかなと現時点で思っております。

以上です。

○板倉委員 ありがとうございます。

○後藤座長 それでは、万場委員、よろしくお願いいたします。

○万場委員 山田先生に法的課題について非常に網羅的に整理していただきまして、私も頭の中を整理するのに非常に役に立って有り難いと思っております。

ただ、心配なのは、前から申し上げていますけれども、詐欺的な勧誘とかということについて、法的議論はいろいろあろうかと思いますけれども、やはり真っ当な事業者のビジネスを阻害することがないように、そこの部分についても是非とも検討をする際に御検討いただければと思います。

それから、表示義務については、特商法でかなりたくさん表示義務がありますけれども、これについては、悪い人たちも表示義務は果たすのです。うそを書いておけばいいので、一応書いてあるというようなことがありますので、あまり表示義務にこだわる必要はないのかなという感じが私はしております。真実かどうかというのが一番重要なところで、真っ当な事業者は自分たちはどこの何者かということを常に表示するというのは当たり前のことですし、どなたかもおっしゃっていたように、今後また取引をしていただくためには、自分たちのありようをしっかりオープンにするというのは当然のことだと思っております。

それから、現に今、ウェブサイトの非常に詐欺的なもうけ話で被害に遭っている方々がいらっしゃるということですので、法的議論は一方で当然やっていかなければいけないことだと思いますけれども、まず当面やっていくべきことは、例えばウェブサイトの検索などの場合に、セーフブラウジングという仕組みがあって、危ないサイトに近づくと、これは詐欺サイトの可能性がありますとかという表示がブラウザ上に出てくるというのがありますけれども、SNSとかこういうもうけ話についても、そういう場を提供されている事業者さんのサイト上あるいはSNS上で、危ないところに近寄った場合にはそういう警告が出るようになるとか、そういうことをやっていく必要があるのかなと思います。

冒頭、消費者庁さんが消費者安全法に基づく注意喚起とかやられたというような情報をいただきましたけれども、やはり一般の若い人たちが消費者庁のホームページを見るとかということはほとんどないと思うのです。ですから、若い人たちが集まるようなSNS上、サイト上で警告ができるような仕組みというのはできると思うので、是非ともそういうことを検討していったらいかがかなと。そういう場を提供されている事業者さんの協力も得ながら、そういうことをやっていくと早めに芽を摘んでいくということができるのではないかなと考えております。

以上です。ありがとうございました。

○山田氏 ありがとうございます。

御意見のところが多かったと思いますけれども、1点だけ、セーフブラウジングの件に関しましてはなるほどなと思いました。ただ、これを考えていったときに、恐らく難しくなるのが、ここは危ないですよという表示ができるようにするために、仕組みにもよるのですが、一定程度の根拠になるデータが集積されていく必要性があるだろうなと思うところでありまして、いかに精度の高い警告ができるかというところになりますと、データの集積等の辺りが課題になっていくのかなと思います。ただ、そこの技術的な問題はあるとはいえ、ここの点は、それこそ私はレイヤー構造で取りあえず整理したわけですが、悪い事業者は論外だといたしましても、その他の第三者とか、この辺りのレイヤーの役割というところで、被害情報等の提供に際してのいろいろな問題はあるのですが、うまく協力し合う関係ができてくると、事前に危ないですよと警告するスキームを稼働させるという考え方としてはあるのかなと思いました。

ありがとうございました。以上です。

○後藤座長 それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 非常に分かりやすい、すばらしい資料をありがとうございます。

その関係で、少し重複している可能性もありますけれども、もう一回確認をしたいと思います。

まず、私の質問の問題意識を申しますと、25ページの令和3年3月18日の最高裁決定です。これは板倉委員のほうが詳しいのかもしれませんけれども、一応これは却下決定なのですが、解説では、一定の要件があれば、慎重に検討した上で、立法によって送信者情報の開示請求権を創設することもできる。そこまで本決定は否定したものではないという最高裁の解説になっているのです。その関係なのですけれども、これはどういう要件立てをしたらいいのかという点が1つ大きな問題点として出てくるだろうと思っていて、その関係で、先生から大変貴重な情報をいただいていると思うのですけれども、20ページです。結局、訪販なのか、通販なのか、何なのかと。電話会議なのか、融合してしまっていてアグレッシヴ通販という概念を考えようというような形で、インターネット空間における勧誘行為の認識を改めて調査検討していけば、特商法に何らかのこういう形の取引類型ができれば、これに基づいて、逃げ得をやっている連中の発信者情報をしかるべき法的手続によって開示するということができるようになるのではないかという問題意識からお尋ねしているのですけれども、ここの20ページと先ほどの25ページを融合したような、何か開示を基礎づけるようなものというのを特商法の中に、アグレッシヴ通販という非常にいい言葉だけれども、これだけでは全く法的要件にならないので、その辺りについて先生の何か御知見をいただければ大変有り難いと思っております。

以上です。

○山田氏 ありがとうございます。

まず、差し当たっての最高裁の決定の調査官解説等で、あと、ほかの論者も私が知る限りだと複数名の方が制度自体の見直しもという趣旨の評釈がされていたように記憶しております。ただ、ここで言っている見直しをというところの射程、どこについて言っているのかというところは、慎重に見る必要があるのではないかなと思っております。

というのは、この事案に関して2つの部分があると思いまして、一つは1対1のいわゆるメールだったという場面と、あとはもちろん侵害情報の内容と、2つのところがあったわけですけれども、いわゆる情報商材につきましては詐欺的な情報を提供されたという事案であって、それは1対1であったり、多数であったり、いろいろあるわけですけれども、最高裁の決定に関しての調査官の解説なども、読んでみた限りだと、見直しについての言及部分の射程というのが、不特定多数向けの特定通信ではなくて、1対1の場面であっても、例えば名誉侵害などがあった場合に関しては対象にするように考えてもいいという趣旨でもし捉えているとするならば、残念ながらこの最高裁の決定に関する調査官解説を受けたとしても、詐欺的な案件に関しての開示の可能性を示唆したというところまでは読めないのかもしれないなと、要は多少ネガティブに考えられるところでありまして、そこのところはまず少し慎重に確認したほうがいいのかなと思っています。

ただ、となりますと、プロ責法の中でということではないとすると、一つは特商法がということになってくる中で、先生の御指摘のアグレッシヴ通販のところもあるわけですが、行為悪性とかに着目をして、悪いことをしているのから開示に応じてもいいのだとしてくると、やはりどういう類型が開示相当なのかというところは相当難しいところが出てくるのかなと思っています。

先ほど板倉先生への回答でも若干申し上げたのですが、私の現在の考え方としては、実際は悪い、極悪的なものを対象とするとはいえ、形式的な要件としては、そもそも表示義務が課せられているものという形でやっていくというやり方があるのではないかなというのが現在の考えているところであります。

以上です。

○黒木委員 ありがとうございました。

結局、先生の話の中でも、文字であれ音声であれ、ある意味で最後のとどめはピアツーピアで出すみたいな類型はあると思うのです。そこも一つ考えられないかなという問題意識で質問をしたというところがあるのですけれども、それはどうなのでしょうか。

○山田氏 そこのところに関しまして、ちょうど20ページの私見のところでありますが、私見のマル1で上げているような辺り、実際に実例でどういう形で消費者が契約に至っているのかというところで、正に消費者の意思形成がゆがめられていると客観的にも言えるような状況であって、その特徴として正にピアツーピアだというような特徴点が挙げられるということであれば、それは今私の考えているところからもう一歩進めたやり方で考えていくということも考えられるのかなと思います。

以上です。

○黒木委員 ありがとうございました。

私は結構です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。大変よく分かりましたというか、今の状況を理解したつもりですが、1点質問させていただきたいことがあります。

いただきました資料の14ページです。景品表示法の基本的な考え方として、アフィリエイトの場合、販売業者の責任が一番大きいのだということが消費者庁の考えとして出されたわけですけれども、ここの4ポツ目にあるように、そうは言いつつも、販売者等の表示で関係者の責任というのもあるのではないかなということが書かれていて、16ページの山田先生の私見の問題の所在の4ポツ目にも、第三者の範囲が規定の法律の範囲で適切かというようなことを書いていただいているところです。

確かに事業者の責任というのは一番大きいとは思うのですけれども、被害回復といいますか、未然防止という意味では、そこに関わる悪質な第三者をどうやって締め出していくかという意味で、ここは大変重要な論点ではないかなと思っているのですが、山田先生は第三者の範囲というのをどのように捉えていらっしゃるのか。すごく雑駁な質問で申し訳ないのですけれども、事業者以外の第三者というものの範囲をもっと広げたほうがいいのではないかなとおっしゃっているのではないかなと思いましたので、その辺り、少し詳しく教えていただけると有り難いです。

以上です。

○山田氏 ありがとうございます。

第三者の件に関して、いろいろと実例も含めて検討したところではあるのですが、現時点で申しますと、実際に目にしている事案につきましては、ちょうど今日の資料1の消費者庁の4月13日付の消安法の注意喚起の事案にもありましたように、いわゆるグレーバッジのLINEの公式アカウントを用いていて、個人名なりでやっているケースであったとしても、結果としては事業者自身がやっていたと認定されている事案なども存在しているというところでありますし、客観的に考えてみても、うその情報をあえて何も関係ない第三者が表示をすることのうまみがあるのかと言ったら、それは恐らく2つあって、一つは、今回の注意喚起の事例は、すなわちそれは販売業者さんの一味がやったことですよという話なのか、もう一つは、うその宣伝に加担することによって報酬が得られるからだと。こういうこと以外には基本的にはないような気もするのです。

そうなってくると、第三者の範囲については2つほど課題があると思いますが、一つは、現在のそもそもの法執行の場面でも、特商法で言えば販売業者等に含まれる範囲の中にどの程度第三者も入ってくるのかというところをまず押さえなくてはいけないと思いまして、それからにじみ出てしまった第三者について、それに関しても規制、規律を及ぼす必要があるとすれば、少なくとも何らかの対価関係があるというものであれば考えてもよろしいのかなと思っているところです。ただ、ステルスマーケティングなどのケースのように、外部的にすぐにそういった関係が分かるかどうかというところがあるので、となると、一つの考えとしては、一定の行為を行っているものに関しては、一定の対価関係があるような、例えば事業者だという一定の推定の下で、行為規制に加えるというやり方もあるのかもしれないなと思うところではあるのですけれども、今のところはどういう方法でやっていくのが一番適当なのかなというところはまだ考え方としては固まっていないというのが私の現在の考えであります。

以上です。

○大石委員 ありがとうございました。対価性という意味でもなかなか難しいというのがよく分かりました。

○後藤座長 それでは、飯島委員、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 飯島と申します。

本日は貴重な勉強をさせていただきまして、どうもありがとうございました。

短く2点質問をさせていただきたく存じます。

1つ目は、12ページ、既にお話がございましたけれども、5条ではなく4条の問題として処理されているという点についてです。12ページ(1)概要の2つ目の黒マルに、「事業者の当該第三者の行為についての認識あるいは認識可能性は要件としていないと」とあり、こういったことは消費者、被害者にとっては一定のメリットになるとは思うのですが、それよりも5条の適用の際の立証責任のほうが負担になるということで、4条の問題として処理する今の方向でいくのがよろしいのか。13ページのアフィリエイトのほうの対応においてもそちらで考えた方がよろしいのか、お伺いしたく存じます。

2点目は立証の点にも関わりますけれども、16ページの私見の(1)の3ポツ目で、行政庁による調査があって、ようやく内部関係を明らかにしてきたものだと書いていただいております。この点に関して、幾つか法律の中に「何人も」という形で措置要求の申立ての仕組みがありますけれども、その仕組みをもって行政のほうにつなげるということは、どの程度実効性があるとお考えでしょうか。本日の資料1におきましても、公表に至るまでにも相当の時間がかかっているということに鑑みますと、行政庁も綿密に厳格に様々な調査を行ってここまで至るというというのは、もちろん難しい部分もあるかと思います。措置要件の申立ての制度などがどの程度武器になるのかという点について、お考えをお聞かせいただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

○山田氏 ありがとうございます。

まず、消契法の5条の観点でありますけれども、媒介の委託を受けた媒介概念自体につきまして、現在の解釈、媒介の概念、下の※の小さいところで、尽力の程度に関しては比較的柔軟な考え方を取っているところでありまして、射程としてはかなり幅広に考えており、射程そのものについては、少なくとも現在の私が知る限りの事案等を前提とすれば、直ちに見直しを要するものでないように思います。

残るところは、正に13ページの黒マルの3つ目に挙げた立証の問題ということになりますが、これは差し当たってのところに関しては立証方法の検討の問題、どの程度であれば事実上推定できるのかといったところの工夫というのがまずは検討すべきところなのかなと考えているところになります。

消契法はこういう話になるわけですけれども、他の特別法のときに何か特別に第三者に対しての民事規定を設ける必要性があるのかどうなのかというのは、それはまた恐らく別の話だろうなと思っております。

それから、2つ目の御質問の「何人たりとも」という規定の関係でありますけれども、例えば特商法で言っても60条の主務大臣への申し出という規定などがあるかと思いまして、それが当然ながら正に処分庁のほうの調査の発動につながるということは理解しておりまして、これに関しては意味があるだろうと考えています。とはいえ、当然、不利益処分を科すという場面になりますので、ぱっと一般の方から相談が苦情が寄せられましたと言って、すぐに処分ということになると、当然ながら慎重な根拠となるだけの事実の調査とかというところもかかってくることになるので、実際のタイミング的に早い、遅いというのは、私は知見がありませんけれども、発動ということでは意味があるし、ただ、その側面、行政処分に関しては、一定程度の慎重さが求められるような制度の性質としては当然ということにもなってくるので、そこのところはどうしても限界があるのかなと思います。

以上です。

○飯島委員 どうもありがとうございました。

○後藤座長 よろしいでしょうか。ほかにございませんでしょうか。

どうもありがとうございました。

山田様からは、SNSを利用した情報商材等の消費者トラブルについて、実務上の問題点、法的課題について御報告をいただきました。SNSの特定のアカウントやランキングサイトといった販売業者等ではない第三者が消費者の契約の申込みの意思形成過程に影響を及ぼしていると考えられるケースがあることや、対面取引との比較において誤認類型や威迫困惑類型には必ずしも当てはまらない類型に関して、事例の紹介、法的課題等について御指摘をいただきました。

委員の方々からは、第三者に対する規制の必要性は前提としつつ、第三者の範囲がどうなるのかということについて意見が寄せられました。また、インターネット上の空間における勧誘の規制を通信販売の枠内で行うことの可否などをめぐる御意見が出されました。

山田様からは、さらに、相手方と連絡不能になったり、特定に困難を来す場合も少なくないということからの法的課題について御指摘がありました。この点につきましては、委員の皆様からは、消費者が販売業者等の連絡先情報を知るための規制の在り方等について意見が出され、本人確認や情報開示の制度を設けることについても積極的な意見が出されました。

それから、これらの問題の全体に関わると思われますけれども、従来型のパッシブな通信販売ルールとは異なるアグレッシヴ通販についての考え方も示されまして、笹路前取引対策課長が書かれた論文を本日も山田先生に引用として示していただいています。資料の20ページでありますけれども、この考え方も魅力的な考え方だと感じました。

通信販売については、いわば訪問販売のような不意打ち的な要素などが加わっている勧誘形態あるいは誘引形態が増えてきているということに照らしますと、そのような消費者の意思決定をゆがめる類型として、新しい考え方を採っていくというのも通信販売についての一つの考え方になるのではないかと感じました。

以上、これらの課題につきまして、デジタル化の進展に伴い、新たに発現してきた問題ということでありますので、環境変化に対応するような法的制度の在り方や自主規制の在り方等を含めて、引き続き検討してまいりたいと思います。

山田様におかれましては、本日はお忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。


《4.閉会》

○後藤座長 本日は以上になります。

最後に、事務局から今後の予定について説明をお願いいたします。

○田村企画官 本日はありがとうございました。

次回の開催につきましては、日程が決まり次第、消費者委員会のホームページを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)

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