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令和4年6月28日
世界経済等を議題としたセッションで、他のG7首脳と議論する、岸田総理の様子 世界経済等を議題としたセッション(写真提供:内閣広報室)
ウクライナ情勢を議題としたセッションで、他のG7首脳らの発言を聞く、岸田総理の様子 ウクライナ情勢を議題としたセッション(写真提供:内閣広報室)
多国間主義・デジタル、G20を議題としたセッションの出席者による集合写真 多国間主義・デジタル、G20を議題としたセッション(写真提供:内閣広報室)

 6月26日から28日にかけてドイツ・エルマウにて開催されたG7エルマウ・サミットに岸田総理が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 議題・日程

(1)出席者

  • ア G7
     独:ショルツ首相(議長)、日:岸田総理、伊:ドラギ首相、加:トルドー首相、仏:マクロン大統領、米:バイデン大統領、英:ジョンソン首相、EU:ミシェル欧州理事会議長及びフォン・デア・ライエン欧州委員会委員長
  • イ 招待国(6か国)
     インド:モディ首相、南アフリカ:ラマポーザ大統領、インドネシア(G20議長国):ジョコ大統領、セネガル(アフリカ連合(AU)議長国):サル大統領、アルゼンチン(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)議長国):フェルナンデス大統領、ウクライナ:ゼレンスキー大統領(オンライン)
  • ウ 国際機関(8機関)
    国連:グテーレス事務総長(オンライン)、国際エネルギー機関(IEA):ビロル事務局長、国際通貨基金(IMF):ゲオルギエバ専務理事、経済協力開発機構(OECD):コーマン事務総長、世銀:マルパス総裁、世界保健機関(WHO):テドロス事務局長、世界貿易機関(WTO):オコンジョ=イウェアラ事務局長、国際労働機関(ILO):ライダー事務局長(オンライン)
  • エ その他
     アルメンディンガー・ジェンダー平等アドバイザリー評議会(GEAC)議長

(2)日程及び参加者

  • 6月26日(日曜日)
  • 「世界経済(含:気候クラブ)」(ワーキングランチ)
     参加者:G7首脳
  • 「インフラ・投資」
     参加者:G7首脳
  • 「外交・安全保障」(ワーキングディナー)
     参加者:G7首脳
  • 6月27日(月曜日)
  • 「ウクライナ情勢」
     参加者:G7首脳、ウクライナ大統領(オンライン参加)
  • 「気候、エネルギー、保健」(ワーキングランチ)
     参加者:G7首脳、招待国首脳(インド、インドネシア、南アフリカ、セネガル、アルゼンチン)、国際機関の長(IEA、IMF、OECD、世銀、WHO、WTO)
  • 「食料安全保障、ジェンダー平等」
     参加者:G7首脳、招待国首脳(インド、インドネシア、南アフリカ、セネガル、アルゼンチン)、国際機関の長(国連(オンライン参加)、IEA、IMF、OECD、世銀、WHO、WTO、ILO(オンライン参加))
  • 6月28日(火曜日)
  • 「多国間主義、デジタル、G20」
     参加者:G7首脳

2 成果文書

 本年のG7サミットの機会に作成された文書は以下のとおり。

(1)G7首脳コミュニケ(原文(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く)及び要旨(原文(PDF)別ウィンドウで開く仮訳(PDF)別ウィンドウで開く

(2)個別声明

3 G7サミット概要

(1)総論

 今回のサミットでは、議長のショルツ・ドイツ首相が掲げた「公正な世界に向けた前進」という全体テーマの下、G7首脳間で率直な議論が行われ、ロシアによるウクライナ侵略に対し、G7が結束して国際社会の秩序を守り抜くことを確認しました。
 岸田総理は、ロシアによるウクライナ侵略への対応や、物価対策を含む世界経済、インド太平洋などの地域情勢、気候変動といった課題について、来年のG7日本議長年を見据え、日本として積極的にG7の議論を主導しました。
 議論の総括として、G7首脳コミュニケ及び5つの個別声明が発出されました。

(2)各論

(i)セッション1「世界経済(含:気候クラブ)」(ワーキングランチ)

 本セッションでは、世界経済が直面する課題におけるG7の協力の重要性について議論が行われました。議論の結果、G7として世界経済の安定と変革に貢献すると同時に、生活コストの上昇に対処すること、また経済安全保障について協力し、サプライチェーンの強靱性を強化し、公平な競争の場を確保すること等で一致しました。また、開かれた協力的で国際的な気候クラブの目標を承認し、2022年末までの設立に向けてパートナーと共に取り組むことを確認しました。

  • (ア)岸田総理は、ロシアのウクライナ侵略によって、世界経済はエネルギー・食料を始めとする物価の高騰、サプライチェーンの混乱など、多くの難問に直面しており、為替相場を含め、市場の急激な変動にも十分注意が必要であることを述べました。 岸田総理は、現在の物価高騰は単なる経済の問題ではなく、世界の平和秩序の枠組への挑戦であり、G7は各国の国民生活を物価高騰から守るための結束も強化していくべきである旨述べました。また、ロシアによる侵略が解決しない限り制裁を緩めるべきでなく、経済面でも国民の持続的な協力が更に重要になるとともに、各国の経済状況に応じた対策が必要であり、日本として機動的な経済財政政策を行い、持続的な経済成長を実現する決意である旨述べました。
  • (イ)岸田総理は、経済安全保障の観点からも、G7が中核となって明確な立場を示すべきである旨述べ、来年の広島サミットを念頭に、議論を深めていくことを提案しました。
  • (ウ)岸田総理は、格差の拡大、気候変動の深刻化等の難問に直面する局面を転換し、将来にわたり民主主義国家が国際社会をリードしていくために資本主義をバージョンアップする必要性を指摘し、「新しい資本主義」について説明した上で、G7として共に経済政策の国際的潮流を作っていくことを提案しました。
  • (エ)ショルツ首相の提案する気候クラブについては、岸田総理から、カーボンニュートラルの達成には各国の裁量を尊重しつつ具体的な行動を促すことが肝要であり、大排出国を始めとするG20やASEAN諸国等の新興国の参加も得ながら、開かれた包摂的な協力を促すフォーラムとすべく、議論に貢献していく旨を述べました。



(ii)セッション2「インフラ・投資」

 本セッションでは、開発金融をめぐる問題やインフラ資金ギャップを含む国際経済の課題に関し議論が行われました。議論の結果、G7は、「世界のインフラ・投資のためのパートナーシップ」を通じて、今後5年間で6,000億米ドルを動員し、世界の投資ギャップの縮小を目指すことを確認しました。

  • (ア)岸田総理は、ロシアによるウクライナ侵略が長期化する中、途上国の債務問題は一層深刻化しており、中国による不公正・不透明な開発金融への対応を含め、開発の問題への具体的な対応策を示していく必要がある旨指摘しました。また、中所得国においても顕在化しつつある債務の問題についても、G7として有効な解決策を見出す必要がある旨述べました。岸田総理は、こうした問題について国際社会の認識を醸成していくことが必要であり、本年8月に開催する第8回アフリカ開発会議(TICAD8)においてもアフリカの首脳に対し、公正かつ透明性のある開発の重要性を直接訴えていく旨述べました。
  • (イ)岸田総理は、全ての債権国が遵守すべき透明性、開放性、ライフサイクルコストを考慮した経済性、債務持続可能性を含む「質の高いインフラ投資に関するG20原則」の実効性を高めていくことが重要である旨述べ、更に議論を深めていくことを呼びかけました。

(iii)セッション3「外交・安全保障」(ワーキングディナー)

 本セッションでは、ウクライナやインド太平洋を含む地域情勢や、国際社会が直面する課題について議論が行われました。ウクライナについては、日本としての新たな制裁措置(下記)をこの機会に発表し、G7の連携を改めて確認しました。また、アジアからの唯一の参加国として、岸田総理から、インド太平洋情勢について発言を行い、G7首脳間の議論をリードしました。

  • (ア)ウクライナ情勢
     ウクライナ情勢について、G7として、ウクライナの主権や領土の一体性を支持するとともに、財政的・人道的・軍事的及び外交的支援を引き続き提供することを確認しました。また、ロシアが直ちに無条件で全ての敵対行為を停止することなどを求めることで一致しました。
     岸田総理から、G7は緊密に連携し、制裁を含め、国際社会の対応を主導してきており、価値と原則を共有するG7として、引き続き国際社会の取組を主導していくことを呼びかけました。その上で、今般、日本として、追加的措置として、信託や会計等のロシア向けの一部サービスの提供禁止、金の輸入禁止、ロシアの約70個人及び団体への資産凍結措置の更なる拡大、90の軍事関連団体への輸出禁止措置の更なる拡大を決定した旨を紹介しました。
     また、岸田総理は、インドや東南アジア諸国の首脳と間で、力による一方的現状変更を認めないとの原則において一致していることを確認してきており、今後も、継続していく旨を強調しました。さらに、「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」という強い危機感の下、本年末までに新たな国家安全保障戦略などを策定するとともに、防衛力を5年以内に抜本的に強化する決意であり、日米同盟、有志国との安全保障協力の強化も車の両輪として進めていくことを強調しました。
  • (イ)インド太平洋、中国
     G7として、包摂的で法の支配に基づく、「自由で開かれたインド太平洋」を維持することの重要性を改めて表明しました。また、ASEANの一体性及び中心性に対する支持を再度強調し、「インド太平洋に関するASEANアウトルック」に沿った具体的な協力を探求することにコミットしました。
     岸田総理からは、中国による尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入が継続していることや、東シナ海において一方的なガス田の開発が行われていることを含め、東シナ海・南シナ海における深刻な状況である旨を述べ、G7として、東シナ海及び南シナ海の状況について引き続き深刻な懸念を抱いており、力や強制によって現状を変更しようとするいかなる一方的な試みにも強く反対することを確認しました。また、岸田総理から、台湾海峡の平和と安定が重要である旨指摘し、G7として台湾海峡の平和及び安定の重要性を強調し、両岸間の問題の平和的解決を奨励することを確認しました。
     加えて、G7として、中国に対し、香港の権利、自由及び高度の自治を謳った英中共同宣言及び香港基本法におけるコミットメントを尊重するよう求めること、チベット及び新疆を含め、普遍的な人権及び基本的自由を尊重するよう求めることで一致しました。
  • (ウ)北朝鮮
     G7として、2022年3月及び5月の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を含む、北朝鮮による弾道ミサイルの継続的かつ不法な実験を強く非難すること、北朝鮮が国連安全保障理事会決議に従い、完全かつ検証可能で不可逆的な方法で、その不法な大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画を放棄することを要求すること、また、全ての国に対し、これらの決議を完全かつ効果的に履行し、制裁回避行為に対する警戒を怠らないよう求めることで一致しました。
     岸田総理から、拉致問題の即時解決に向け、引き続きG7各国の全面的な理解と協力を要請し、G7各国から支持を得るとともに、首脳コミュニケにも、G7として拉致問題を直ちに解決することが急務であることを改めて表明する旨記載されました。
  • (エ)国連改革
     岸田総理から、国連安保理の常任理事国であるロシアが、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙に出たことにより、国連は試練の時を迎えていると指摘しました。また、安保理を含む国連全体の改革・機能強化に向けた議論を進めることは急務であり、来年の日本の安保理入りを見据え、安保理においても、積極的に議論を主導していく決意とともに、国際社会の新たな課題に対応するためのグローバル・ガバナンスの在り方についても共に模索していく決意を述べました。
  • (オ)軍縮・不拡散
     岸田総理は、ロシアによる核兵器使用の威嚇や、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展は、国際社会に核の脅威を改めて示しており、国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石としてのNPTの維持・強化の重要性は一層高まっており、本年8月の核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議が意義ある成果を収めるべく、G7として連携して取り組んでいきたいと述べました。また、「核兵器のない世界」を目指す上では、世界の核兵器数の減少傾向を反転させてはならず、欧州とアジアの安全保障は不可分であると指摘しました。
     G7として、具体的、実際的かつ目的を持った措置を通じて達成される、全ての人々にとっての安全保障が損なわれることのない、「核兵器のない世界」という究極の目標へのコミットメントを再確認しました。また、G7として、ロシアの核兵器使用の威嚇を示唆する挑発的な発言を非難することで一致しました。

(iv)セッション4「ウクライナ情勢」

 本セッションは、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで参加しました。セッションの冒頭、ゼレンスキー大統領からウクライナの現状について説明があるとともに、G7各国からの支援に感謝を述べた上で、引き続きの支援をお願いする旨の発言がありました。G7首脳間では、ウクライナの主権・領土一体性を支持し、財政的、人道的、軍事的及び政治的支援を継続することを改めて確認しました。
 岸田総理からは、ウクライナへの敬意を改めて表した上で、ロシアによるウクライナ侵略はアジアを始めとする他の地域でも起こり得る問題であり、国際社会の基本原則を守るために最前線で戦うウクライナを支援することは国際社会全体の責務であると述べました。
 また、岸田総理は、ロシアに対して侵略のコストを課すことが重要であり、我々自身にも負荷がかかっているが、対策を講じながら平和を守り続けていく必要があり、制裁を解除すべきではないと指摘しました。その上で、日本としても、ロシア向けの一部サービスの提供禁止、金の輸入禁止や資産凍結措置・輸出禁止措置の対象の更なる拡大を柱とする追加制裁措置を行うことを表明しました。
 同時に、岸田総理から、ウクライナ危機に伴う国際的な食料価格の高騰に対応するため、G7として結束して対応していくことが重要であり、日本はグローバルな食料危機に対応するため、中東・アフリカ諸国に対する食料支援、またウクライナからの穀物輸出再開に向けた支援等約2億ドルの支援を新たに実施すること、また、今後収穫期を迎えるウクライナの穀物貯蔵能力の強化は極めて重要であり、この分野においても支援を積極的に実施していくことを表明しました。
 加えて、岸田総理から、G7の制裁が食料危機を招いているのではなく、危機の原因はロシアの侵略にあることを示していく必要があり、日本としても東南アジアやアフリカ各国へのアウトリーチを続けていくとともに、現実の困難に直面している国々に対する実質的な支援として、食料に関する新たな支援を含め、ウクライナや関係国に対して総額約11億ドルの支援を行っていくことを表明しました。

(v)セッション5「気候、エネルギー、保健」

  • (ア)気候、エネルギー
     G7は、エネルギー供給を確保し、異常な市況による価格高騰を抑えるため、追加措置の検討も含めて直ちに行動を起こすことを確認し、また気候変動や環境に関する目標に妥協することなく、ロシアのエネルギーへの依存を段階的に解消していくというコミットメントを再確認しました。また、2030年までの高度に脱炭素化された道路部門、2035年までの完全に、又は大宗が脱炭素化された電力部門、国内の排出削減対策が講じられていない石炭火力発電のフェーズアウトを加速させるという目標に向けた具体的かつ適時の取組を重点的に行うことにコミットすることを確認しました。
     岸田総理からは、第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)において、日本は5年間で官民合わせて最大700億ドルの支援をする用意がある旨表明したが、ロシアのウクライナ侵略は各国のエネルギー安全保障をめぐる環境を一変させており、今後の気候変動対策では、カーボンニュートラルの実現とエネルギー安全保障の強化に同時に取り組むことが肝要である旨述べました。また、エネルギー安全保障においては、特定国のエネルギー資源の依存を回避する上でも、あらゆる手段を活用すべきと強調しました。
     加えて、岸田総理は、新興国や途上国のエネルギー移行支援の重要性を指摘した上で、今回G7として、「公正なエネルギー移行パートナーシップ(JETP)」の対象国を拡大したことの意義を評価しました。また、「アジア・ゼロエミッション共同体構想」をアジア各国と共に推進することにより、脱炭素化・強靱化に取り組んでいく決意を述べました。
  • (イ)保健
     G7は、現在の新型コロナのパンデミックを克服するために、昨年のG7コーンウォール・サミット以降に行われた11億7500万回分以上のワクチンの提供を基礎としていくこと、また、将来のパンデミックや保健課題の予防、準備及び対応を行っていくことを確認しました。
     岸田総理からは、日本としてCOVAXに対する合計最大15億ドルの拠出にコミットしているとともに、既に約4,400万回分のワクチンを現物供与してきていることを紹介しました。また、ワクチンを現場まで届け、実際に接種を行うための「ラスト・ワン・マイル支援」をアフリカ、インド太平洋、中南米等の計77か国・地域に対して実施していることを紹介しました。
     また、岸田総理は、今回のパンデミックはユニバーサル・ヘルス・カバレッジの重要性を浮き彫りにした旨述べ、TICAD8では国際保健分野についてポストコロナを見据えた針路を示す意向である旨述べました。

(vi)セッション6「食料安全保障、ジェンダー平等」

  • (ア)食料安全保障
     G7は、「食料安全保障のためのグローバル・アライアンス」を通じて、世界の食料及び栄養の安全保障を強化することを確認し、そのために45億ドルを追加で提供すること、また食料及び農業市場を開放し続け、ウクライナの生産及び輸出を支援するための努力を強化する旨を確認しました。
     岸田総理からは、世界の食料危機はG7の制裁が原因とのプーチン大統領の主張は全くの偽りである旨指摘し、問題の根本的原因であるロシアによるウクライナ侵略を終わらせることこそが食糧危機解決に向け必要なことであり、ロシアの侵略を止めるために連携していくことを呼びかけました。
     また、岸田総理は、アフリカ・中東など現実に食料危機に直面している国々がある中、具体的な支援を通じて連帯を示すことが重要である旨強調し、G7として「食料安全保障のためのグローバル・アライアンス」を立ち上げ、様々なイニシアティブとの連携推進を図っていることは有意義である旨述べました。
     岸田総理は、日本としても具体的な支援をもって連帯を示すとの考えの下、グローバルな食料危機への対応として、主にアフリカ・中東向けの食料支援や、ウクライナにおける穀物の貯蔵能力の拡大支援などを含む、計約2億ドルの支援を新たに実施することを発表しました。
  • (イ)ジェンダー平等
     岸田総理から、ドイツがG7での議論にジェンダーの視点を取り込んでいることを支持し、今回G7として初めてジェンダー平等の進捗を図表化した「ダッシュボード」をとりまとめたことは大きな成果であると評価しました。
     また、岸田総理は、ジェンダー平等は「新しい資本主義」の実現のための不可欠の要素である旨述べた上で、本年12月3日に第6回国際女性会議(WAW!)を東京で開催し、国内外のジェンダー平等の実現と女性のエンパワーメント促進を進めていくと表明しました。

(vii)セッション7「多国間主義・デジタル秩序、G20」(含:G7広島サミット)

  • (ア)多国間主義、G20
     岸田総理から、我々G7は引き続き結束を維持していかなければならず、日本はアジア唯一のG7メンバーとして積極的にアジア各国のリーダーに直接アウトリーチしており、アフリカ諸国の首脳ともTICAD8を通じ直接議論する旨述べました。
     また、岸田総理は、主権・領土の一体性、法の支配といった戦後の国際社会を支えてきた基本原則が、力による一方的な現状変更の試みにより脅かされていることを強調すべきである旨述べました。G20においても、そのような基本的な考えの下で働きかけを続けるべきであり、ロシアのウクライナ侵略により、ロシアとの関係をこれまで通りにしていくことはもはやできず、11月のG20サミットにおいても、G7として緊密に連携して対応する必要があると主張しました。
     議論の結果、G7として、G20議長のインドネシアを支援していくことを確認しました。
  • (イ)デジタル秩序
     岸田総理は、ロシアによるウクライナ侵略により、デジタル空間での動きが現実世界に大きな影響を与える実例を目の当たりにしており、サイバー攻撃はもとより、偽情報・プロパガンダによって人々に影響を与えようとすることは許されないと強調しました。また、市民の抑圧、言論の自由の封殺などに悪用する行為も、同志国が連携して食い止めなくてはならないと主張しました。
     また、岸田総理は、デジタル空間のルール作りにおいてはマルチステークホルダー・アプローチが重要であり、日本はデータの信頼性を高めることで自由なデータ流通を促進することを目指す「信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)」の推進を主導している旨述べました。今後、各国・地域の制度・枠組の相互運用性を高め、データ流通を促進することでデータの価値を最大化できることを示し、中国などのデジタル保護主義との違いを世界に示していきたい旨述べました。
     さらに、岸田総理は、デジタルの利活用により、すべての地域で誰一人取り残すことなく豊かに暮らすことを可能にする「デジタル田園都市国家構想」を推進しており、こうした取組は世界のあらゆる場所で適用可能なものと考える旨述べました。また、WTO電子商取引交渉をはじめ、こうした議論を継続し、民主主義の価値に基づくデジタル空間の秩序作りに貢献したいと述べました。
  • (ウ)G7広島サミット
     会議の締めくくりにあたり、岸田総理はショルツ首相から来年の議長国として発言を求められ、次回のG7サミットを2023年5月19~21日に広島で開催することを表明し、これに対してG7首脳から歓迎の意が示されました。
     岸田総理は、世界が、ウクライナ侵略、大量破壊兵器の使用リスクの高まりという未曽有の危機に直面している中、来年のG7サミットでは、武力侵略も核兵器による脅かしも国際秩序の転覆の試みも断固として拒否するというG7の意思を、歴史に残る重みをもって示したい旨述べました。また、唯一の戦争被爆国である日本の総理大臣として、広島ほど平和へのコミットメントを示すのにふさわしい場所はないと考えている、核兵器の惨禍を人類が二度と起こさないとの誓いを世界に示し、G7首脳の皆さんと共に、平和のモニュメントの前で平和と世界秩序と価値観を守るために結束していくことを確認したいと述べました。

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