内閣府・新着情報

日時

2022年6月6日(月)16:00~18:09

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【委員】
受田部会長、青木委員、阿部委員、石川委員、今村委員、監物委員、澤木委員、菅委員、清古委員、田中委員、戸谷委員、前田委員、湯川委員、渡邊委員
【消費者庁】
村井政策立案総括審議官、谷口食品表示企画課長
【事務局】
加納事務局長、渡部審議官、太田参事官

議事次第

  1. 開会
  2. インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブックについて
  3. 「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」の概要について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○太田参事官 本日は、皆様、お忙しいところを御参加いただき、ありがとうございます。

ただいまから消費者委員会第67回「食品表示部会」を開催いたします。

本日は、生駒部会長代理、穐山委員、野々内委員から御欠席との御連絡をいただいておりますが、過半数には達しておりまして、定足数を満たしていることを御報告いたします。

議事に入ります前に、テレビ会議による進め方と配付資料について確認させていただきます。

まず、本日は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、テレビ会議により開催いたします。傍聴者を入れず開催いたしますが、議事録につきましては、後日、消費者委員会のホームページに掲載いたします。議事録が掲載されるまでは、本日の会議の様子を、6月7日火曜日15時頃よりホームページで動画配信をいたします。

テレビ会議では、ハウリング防止のため、発言者以外の方はマイクをミュートの状態にしていただきますよう、お願いいたします。御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせください。受田部会長にそのチャットを御確認いただき、発言者を指名していただきますので、指名された方は、マイクのミュートを解除して、お名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。御発言の際、配付資料を参照する場合は、該当のページ番号も併せてお知らせください。

チャットが使いづらい場合などは、適宜のタイミングでマイクのミュートを解除していただいた上で、呼びかけていただければと思います。また、御発言の際は、カメラつきの方は、可能な限りビデオ通話をオンにしていただければ幸いです。御発言が終わりましたら、ビデオ通話を停止し、マイクをミュートの状態にお戻しください。なお、音声が聞き取りづらい場合などにもチャット機能でお知らせいただければ幸いです。

次に、本日お配りしている資料でございますが、議事次第に記載しておりますとおり、資料1、資料2、参考資料となっております。もし不足の資料がございましたら、事務局までお申し出くださいますよう、お願いいたします。

それでは、受田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。

○受田部会長 皆さん、こんにちは。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

本日の進行についてですけれども、途中で私の回線が切れた場合は、復旧するまでの間は事務局に進行をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

≪2.インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブックについて≫

○受田部会長 それでは、本日の議題に入りたいと思います。

本日の議題は「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブックについて」及び「『即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査』の概要について」の2件でございます。いずれも食品表示基準の改正に係る諮問を受けての審議ではなく、消費者庁において実施された事業の御報告という位置づけでございます。

本日は、消費者庁から村井政策立案総括審議官、谷口食品表示企画課長にお越しいただいております。お忙しい中ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず1つ目の議題でございます「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブックについて」消費者庁から御報告いただきます。近年、食品についても電子商取引による購入が増加傾向にあり、さらに新型コロナウイルス感染拡大に伴いまして、その傾向は一層加速をしております。他方、ECサイトにおける食品表示情報の掲載についてはルールがなく、表示の在り方について早急な整備が求められる状況となっており、消費者委員会としても取組を加速すべきとの意見を申し上げてまいりました。

消費者庁においては、調査事業により学識経験者、ECサイトプラットフォーマー、食品関連事業者、消費者等の委員で構成される検討会を開催し、今般、事業者向けのガイドブックを作成されました。今年度6月末の公表を目指し、4月末から5月末にかけてパブリックコメントを実施されておりますけれども、併せて本日、本部会にも御報告をいただきまして、委員の皆様からの御意見についても参考としていただければと思っているところでございます。

前置きが長くなりましたが、それでは、資料1について谷口食品表示企画課長から20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 消費者庁食品表示企画課長の谷口です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、資料1に基づきまして説明させていただきます。消費者庁ではインターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブックというものの作成を進めてまいりました。その概要を御紹介いたします。

1ページを御覧ください。背景・経緯です。近年、インターネットを介した電子商取引サイト、ECサイトによる購買が増加しております。下の左側の折れ線グラフを御参照ください。このように最近急増しております。その中でも食料の購買というのが先ほどありましたけれども、新型コロナの影響もありまして大きく増加しております。これは右側の表で御覧ください。赤く囲っている部分が食料の部分です。このような形で増加してきております。

ただ、食品の義務表示事項などを規定しております食品表示基準の適用範囲は、食品の容器包装上の表示であるということで、このようなECサイトの掲載は対象外となっております。現状、ECサイトにおける食品表示情報の提供に関するルールは定められておりません。そこで、ECサイトにおける食品表示情報の提供実態を把握し、今後の情報提供の在り方について検討を行ってまいりました。

2ページを御覧ください。ECサイトで食品表示情報を提供するに当たっての課題などを大きく3つに分けて整理しております。左側の赤色の部分がECサイトにおいて情報提供が困難な情報です。期限情報ですとか産地情報など商品ごとに異なる情報や頻繁に変更が生じる情報は、出荷される商品とECサイトの情報の同期が困難なため、情報提供ができていないことが多くなっております。このような情報につきましては、事業者の実態に応じて情報提供を工夫する必要があると考えられます。

中央の黄色の部分がECサイトでは分かりにくい情報です。商品の状態を直接確認することができないので、実際の商品とギャップが生じやすい、あるいはイメージがしがたい情報というのがあります。例えば保存方法につきましては、直接手に取って確認することができないので、常温ですとか冷蔵ですとか冷凍といったことがイメージしにくいですし、寸法情報、商品のサイズにつきましては、画面で見るだけでは分かりにくく、思っていたより小さい商品が届いた、あるいは思っていたより商品が大きくて収納スペースに入らないとか宅配ボックスに入らないといったことがあり得ます。このような情報については、ECサイトで丁寧な情報提供が必要というふうに考えられます。

右側の青色の部分がECサイトで既に分かりやすくする取組が行われている情報です。消費者からのニーズが高い食物アレルギー情報につきましては、ECサイトでは容器包装に比べて掲載スペースに余裕がありますので、ピクトグラムやマル・バツ表を用いるなどして消費者が理解しやすいように表現方法を工夫している取組が見られます。このような消費者が理解しやすいような情報提供の工夫をさらに広げていくことが必要だと考えられます。

続きまして、3ページを御覧ください。ガイドブック案を作成するに当たりまして消費者庁で実施いたしました調査研究事業の概要を紹介しております。令和2年度の調査では、消費者が求めている情報と事業者が実際に提供できる情報にギャップが生じていることなどが分かりましたので、さらに詳細な検討を進めるために、令和3年度に調査・検討事業を実施いたしました。令和3年度の調査事業としては、国内外のECサイトにおける食品表示の実態調査などを実施するとともに、各種の調査結果を踏まえて、学識経験者、ECサイトプラットフォーマー、食品関連事業者、消費者等に参加いただきました検討会でガイドブック案の検討・作成を行いました。

4ページを御覧ください。3年度に実施した調査事業の結果概要を少し紹介したいと思います。ECサイトを利用して食品を購入した経験がある消費者にアンケートを実施いたしました。食品表示情報としてなくては困る情報というのを尋ねたところ、加工食品では、賞味期限や消費期限などの期限情報が36.4%ということで最も多くなっておりました。生鮮食品のほうでは、原産地が45.1%で最も多くなっているということでございます。

5ページを御覧ください。調査結果の続きですけれども、食品表示情報のECサイトでの掲載方法について尋ねたところ、枠があるとか表示順が決められているなどの決められた様式による表示が望ましいという回答が約7割となっております。また、情報の掲載位置につきましても尋ねたところ、多少下にスクロールしたくらいの位置で問題ないというのが最も多く、次いで、対象ページを開いた場所にないと困るという回答が多くなっておりました。

また、事業者に寄せられております消費者の問合せ内容についても調べております。例えば、賞味期限の残りが予想よりも短かったですとか、原材料名やアレルギー情報の表示はできる限り掲載してほしいといったような声が寄せられておりました。

6ページを御覧ください。このページから今般作成いたしましたガイドブックの概要を御紹介していきます。このガイドブックのまず目的・位置づけですけれども、ECサイトで食品表示情報を掲載する上での事業者向けの参考ツールという形で策定しております。どのような情報をどのような方法でどの程度提供すればよいかといったような考え方を説明しております。また、取り扱う食品の種類ですとか、ECサイトのカテゴリー等を踏まえて柔軟に活用してくださいとしております。ここで令和4年6月末予定と書いておりますけれども、このガイドブック案につきましては4月下旬から5月下旬までパブリックコメントを求めていたところでして、いただいた御意見を踏まえて必要な修正等を行った上で、今月中に決定版を公表したいと考えております。

本ガイドブックの対象事業者ですけれども、主として活用をお願いしたいのは食品を取り扱うECサイトの運営事業者としておりまして、そのほかの食品事業者ですとかプラットフォーマー等には、情報提供の取組に御協力いただきたいという意味で内容の把握をお願いしたいとしております。

次に、ECサイトにおける食品表示情報提供に関する基本方針ですけれども、1つ目、できるだけ食品表示基準に準じて情報提供。ただし、期限情報や原産地など正しい情報提供が難しい場合や、ECサイトの特性を踏まえた別途の表示が望ましい場合等は、可能な限り充実した情報提供をしていきましょうとしております。そのほか、消費者の安全を第一に、正しく分かりやすい情報伝達ですとか、消費者が見やすいサイト構築ですとか、問合せに適切に回答できる体制の整備といったようなことも挙げております。

7ページを御覧ください。ECサイトにおける食品表示情報の提供方法です。先ほど申し上げたとおり、食品表示基準に準じた情報提供を基本とするということですけれども、期限情報など正しい情報提供が難しい場合ですとか、ECサイトの特性を踏まえた別途の表示が望ましい場合には、本ガイドブックの記載を参考に、可能な限り充実した情報提供をしていきましょうとしておりまして、表示事項ごとに具体的な掲載方法を紹介しております。次のページ以降でもう少し詳細に御説明したいと思います。

8ページを御覧ください。期限情報ですとか産地情報の掲載方法の例です。ECサイトで期限情報を掲載するということは最も難易度が高いと考えられますけれども、一方で消費者が求めている情報ということですので、できる限り情報提供していただけるように、本ガイドブックでは多くのページを割きまして多様な方法を紹介しております。掲載方法の類型のうち、マル1具体的な年月日表示につきましては、容器包装上の表示と同じ表示事項ですので理想的ですけれども、ECサイトに掲載することはなかなか困難でありまして、そのほか期限残表示、到着日から何日、出荷日から何日といったような表示ですとか、期間表示ということで、製造日から何日ですとか、賞味期間何日といったような表示。こういった別の方法で表示する。あるいはそれも難しい場合には、期限情報に関する方針を掲載するといったような方法もあり得るということでございます。

それぞれメリット・デメリットがありまして、例えば期限残表示につきましては、対象の食品を残り何日間食することができるかを示す表示でありますけれども、メリットといたしましては、消費できる残りの期間であるということで、消費者としても非常に分かりやすいということでありますが、デメリットといたしましては、配送状況によっては、ECサイト上で保証した期限残と実商品の期限残にずれが生じる可能性があるといったようなことが挙げられるかと思います。こういったようなメリット・デメリットがございますので、自社に合った情報提供の方法を検討する際に活用していただけるように、それぞれの方法の解説を記載しております。

9ページを御覧ください。こちらは保存方法ですとか寸法情報などの記載方法の例です。商品の状態を直接確認することができないのでECサイトでは分かりにくい情報につきましては、例えば保存方法であれば、冷凍、冷蔵、常温のいずれに該当するか、簡易的なアイコンやイラストを用いて分かりやすくするですとか、寸法情報につきましては、食品表示基準で規定する義務表示事項ではありませんけれども、消費者の利便性のためですとか誤認を防ぐためということで、例えば何ミリ掛ける何ミリといったような寸法情報を掲載するとか、また、何かの大きさと比較するような画像を掲載する。そういった工夫によりまして、消費者にとって理解しやすくなると考えられます。

続きまして、10ページを御覧ください。こちらは食物アレルギー情報の掲載方法の例です。食物アレルギー情報は、食品表示基準に基づいて原材料名欄における個々の原材料名の直後に含まれる特定原材料等を掲載することを原則としておりまして、これにより食物アレルギーを持つ方が食べられる食品を選択する際に確実に情報を得ることができるということでございます。現在のECサイトにおきましても、アレルギー情報につきましては、消費者が理解しやすいように表現方法を様々工夫している取組が見られます。

安全に直接関わる重要な情報でありまして、ECサイトでは掲載スペースに余裕があるということで、アレルギー情報を強調して掲載することが望ましいというふうにしております。例えば太字ですとか、文字に色をつけるなどして目立つ文字で記載するとか、下の左側の例のように一覧化して表示するといった方法、あるいは真ん中の例のようにイラストを併用して表示する方法、右の例のように文字自体をロゴ化する表示の方法、こういった具体的な掲載例も紹介しております。

続きまして、11ページを御覧ください。こちらはECサイトの全体デザインですとか情報提供に共通する考え方です。消費者に分かりやすく食品表示情報を提供するために、ページ全体のデザインですとか、情報提供を工夫するための共通の考え方を紹介しております。例えば、商品の画像や名称などに加えまして、消費者のニーズが高いアレルギー情報などはページの上段のほうに掲載するとか、文字による情報提供を行う際には掲載枠を設けてまとめて掲載するといったものですとか、または文字による情報提供なり画像による情報提供、それぞれのメリット・デメリットも整理しております。これは事業者が食品表示情報をどのように入手し管理しているかに関わってきますので、各事業者の実態に応じて可能な範囲で対応していただきたいとしております。

最後、12ページを御覧ください。食品表示情報の入手方法と管理方法につきまして、ガイドブックの別冊というものも作成しております。ECサイトで食品表示の情報提供を行うための取引先からの情報の入手方法といたしましては、紙やPDFで入手する方法、あるいは表計算ソフトなど所定のフォーマットで入手する方法、あるいはデータ連携をして自動的に取引先のデータが自社システムに取り込まれるような方法があります。この入手した情報を基にして、自社のECサイトへデータを反映、更新するという管理の方法も、それぞれに応じた方法があるということでございます。それぞれの方法のメリット・デメリットを整理するとともに、具体的な取組の事例なども、この別冊の中で紹介しております。

ECサイトで食品を販売する事業者におきまして、これらを検討の参考として活用いただいて、情報提供が充実していくことを期待しているというものでございます。

再度スケジュールについて申し上げますと、今月中にこのガイドブックの公表を目指して作業を進めていくということでございます。

私からの説明は以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございました。

ただいま谷口食品表示企画課長からガイドブックに関して概略の御説明をいただきました。

ここからは委員の皆様から御質問や御意見をいただきたいと思います。御発言、御質問のある方は、チャットなどでお知らせいただければ、私のほうから指名をさせていただきます。湯川委員から既にチャットへの御入力をいただいております。湯川委員、お願いいたします。

○湯川委員 ありがとうございます。これまでもガイドラインというものが幾つか出ていたと思いますが、今回、ガイドブックという名称の資料とされたというところ、ガイドラインとガイドブックの違いはどのようなものか。特にこのガイドブックの法令上の位置づけについてお伺いしたいということが1点と、恐らくこのガイドブックは食品表示法と直接結びついてはいないのだと思いますが、一方、景表法のほうでは、このように公表された一定の基準があれば、それに基づいて取締りなどが可能だというお話を聞いたことがございます。景表法の運用との関わりなどについても教えていただければと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

それでは、質問に対してお答えいただいて、次の質問へという形で順次まいりたいと思います。今、チャットでは、その後、石川委員、前田委員、渡邊委員、澤木委員というところです。時間の都合もありますので、できましたらやり取りは簡潔にQ&Aでいきたいと思います。よろしくお願いします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 食品表示企画課長です。ただいま御質問いただきましたけれども、これまでいろいろ出しておりますガイドラインと今回出すガイドブックがどう違うのかといったような御質問があったかと思います。これまで出しております食品表示Q&Aなどにつきましては、一応ガイドラインというもので位置づけておりますけれども、これは具体的な食品表示基準の適用などについての解釈を示すものということで位置づけております。一方、今回出しましたインターネット販売に関するガイドブックは、実際に事業者がECサイトで食品表示情報を提供するに当たって、当然任意で情報提供を行っていくということでございますけれども、その際の参考に使っていただくものということで位置づけておりますので、何らか法的拘束力があるようなものではございません。

以上です。

○受田部会長 もう一つ、景表法の運用上。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 申し訳ありません。景品表示法に関する御質問もございましたけれども、今回のガイドブックにつきましては、基本的に食品表示基準に基づいて義務表示事項とされている食品表示情報につきまして、ECサイトにおける購買の際にもそういった情報を提供いただけるようにということで、事業者の参考になるガイドブックというふうに位置づけて作成したものでございます。ですので、景品表示法のように食品表示法に基づいて、このガイドブックに基づいて監視ですとか取締りを行うといったようなものではないということでございます。

以上です。

○受田部会長 湯川委員、よろしいでしょうか。

○湯川委員 結構です。ありがとうございました。

○受田部会長 ありがとうございます。今のやり取り、御質問に対してお答えをいただきましたけれども、関連する御質問がほかの委員からもあったのではないかと思います。できましたら重複質問は避けていただいて、新たな質問をいただければと思います。

それでは、続いて、石川委員、お願いいたします。

○石川委員 石川でございます。よろしくお願いいたします。

調査などを経て、きめ細やかな指針として御提示いただけていると思います。これをもって各事業者がその重要性を理解して取り組んでいただければいいなという感想を持ちました。ただ、やはりこれは非常に項目も多いですし、また、実際にこの作業をしようと思うとものすごく煩雑なものになるかと思うので、ガイドブックの後に、例えば何をしなくてはいけないかということがフロー図で示されたり、またはチェックリストのようなものを御準備いただくとか、いろいろと事例は載せていただいているのですけれども、汎用性のあるテンプレートなどを御提示いただけるのか。そういったものがあれば、非常に各事業者も取りつきやすく、スムーズに展開ができるのではないかなという期待を持って拝見いたしました。

もう一つは、別冊として拝見しました食品表示情報の入手方法はものすごく大変な様子がうかがえたのですけれども、これはやはり製造されたメーカーが一番情報をお持ちなわけですので、今後、店舗販売に併せてECサイトでの販売が恒常化していく中で、やはり取引先からの情報提供の仕方も、販売者責任としてここまでは協力するべきというような指針が示されるとありがたいのではないかなと思った次第でございます。そういった動きが取れるのかどうかといったことについて、御説明いただければありがたく存じます。よろしくお願いいたします。

○受田部会長 ありがとうございます。啓発に向けて、さらにこのガイドブックをどのように活用していけばいいのか、具体的な御提案もいただいたところです。2つ目は、食品関連情報の入手方法について、これを充実させなければならないという観点でコメントを頂戴したいということかと思います。2点、よろしくお願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 お答えいたします。このガイドブックを作成した後に、そのほか作業のフロー図やチェックリストを出すのかといったような御質問が1つ目にあったかと思いますけれども、今のところそこまでは考えておりませんで、まずはこのガイドブックについて周知、普及していくことが優先かなと思っています。食品の販売と申しましても、ECサイトのカテゴリーも様々ございますし、販売する食品も様々あるという中で、まずはある程度共通の事項に絞ってガイドブックを普及していくことが大事かなと思っております。

2つ目の御質問で、別冊のほうの情報の入手方法などについても御質問がございましたけれども、こういった情報につきましても、事業者間の取引の中でどの程度、どういった情報をやり取りしているかといったことが変わってくるかと思いますので、その入手の仕方ですとか管理の方法につきましても、それぞれの事業者さんの実態に応じて、ガイドブックの別冊も参考にしながら、管理をよりよくしていただけたらなと思っているところでございます。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。石川委員の先ほどの貴重な御意見については、今後、パブリックコメント等の整理もあるかと思いますけれども、普及啓発に向けてぜひ参考にしていただければと思います。

石川委員、よろしいでしょうか。

○石川委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

○受田部会長 それでは、続いて、前田委員、お願いいたします。

○前田委員 前田です。ありがとうございます。このような取組は、消費者にとって生活が豊かになるありがたい取組だと思っております。一方で、アレルゲンなどは表示ミスがありますと命に関わる重大なことになりますので、表示するからには信憑性が担保されること、安全性が担保されることが大事だと思いますので、そのように進めていただきたいというのがお願いです。

それから、まだこちらはルールがしっかり確立されていないので、そういうことを啓発していかないと間違った認識で購入してしまう人がいると思いますので、そういった啓発のほうにも力を入れていただきたいと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。御意見をいただいたかと思いますけれども、今の点、いかがでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御意見ありがとうございます。おっしゃるとおり、アレルギー情報につきましては、正にアレルギー患者の方にとっては命に関わるような非常に重要な情報でございますので、当然その正確性ということが大事になってくるかと思いますので、その点を注意して事業者のほうにも情報提供をきちんと進めていただけるようにお願いしたいと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。要は、こういったECサイトにおける食品表示のガイドブックができ、食品関連事業者の皆様と消費者の皆様を橋渡ししていくコミュニケーションのツールになっていくと。これにミスがあってはいけないということになりますけれども、啓発の部分でしっかりそれをお伝えいただいた上で、今度はそれがお手元に届いたときに、現物の容器縛りの食品表示法上の表示を基に確認するということも当然求められることになりますので、今、前田委員から御意見いただいたようにしっかり啓発をし、二重三重の確認をしていくことが当然のことながら求められるということかと、今のやり取りを拝聴して感じたところでございます。前田委員、よろしいでしょうか。

○前田委員 はい。ありがとうございます。

○受田部会長 ありがとうございます。

それでは、続いて、渡邊委員、お願いいたします。

○渡邊委員 ありがとうございます。渡邊です。

今回のガイドブックですけれども、直接の食品の外装への表示と大きく違うのは、これは購入する際の判断基準であって、商品が届いてからその商品のラベルをまた見ることができるという、ECサイトの表示はそこが大きく違うと思うのです。先ほどからアレルギーは非常に安全に関わる情報だという話がありまして、そのとおりなのですけれども、この情報はあくまでも食品を作っている事業者が表示するケースよりもECサイトの運営事業者が表示するので、どうしても伝聞とかに基づいて表示することになるので、やはり間違いということが絶対あると思うのですね。

なので、例えばアレルギーの情報なども、あくまでもこれは購入するときの判断基準であって、実際に食べるときにもう一回現物を見ていただくというのは本当に非常に大事になります。今回のガイドブックは、今までの食品表示をそのまま踏襲したような形になっていますけれども、インターネット販売のときはあくまでも購入するときの情報ですので、ひょっとしたらもっと要る情報、例えば何個入っているかとか、大きさの話が今回ありましたけれども、製造販売を実際にしている事業者のホームページとかのアドレスを載せてもらって、さらに詳細な情報を見たい人はそういう情報が見られるようにするとか、そういうことも書いてあげる。

アレルギーについても、当たり前だと思いますけれども、実際に商品が手元に来てからそれをしっかり確認していただくというのが一番重要になるのではないかと思いますので、そのようなことも今回のガイドブックにはしっかり書いていただいたほうがいいかなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。先ほどの前田委員の御質問とそれに対するお答えとも関連していると思いますけれども、購入の際の判断と、それから消費の際の判断として、現物の容器に書かれている表示を確認することの重要性。要は、そこは絶対に消費者の皆様に遵守していただきたいということを明確に強調すべきであるということと、同時に、さらに関連情報への誘導等についてもこのガイドブックの中でうたい込むことができるのではないかというお話でございました。

今の渡邊委員からの御質問に関して、コメントをいただければと思います。谷口課長、よろしいでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 お答えいたします。御意見ありがとうございます。正に先ほどおっしゃられたように、手元に届いた際に情報を確認してくださいということは非常に重要だと思っておりまして、今回御紹介した資料の中で9ページを御覧ください。掲載方法の例というところでも御紹介しておりますけれども、下のほうでございます。容器包装上の表示を確認する旨の注意書きについても触れておりまして、例えば掲載例として、「食品表示情報の掲載内容につきましては、お手元に届きました商品の容器包装の表示を必ず御確認いただきますようお願いします」といったようなことをぜひ書いていただきたいということを推奨しているところでございます。実際に手元に届く前に、購入を決める際にECサイトを御覧になるということでありますけれども、その中で提供できる情報というのは限られている部分もございます。メーカーが直接販売するようなサイトもございますけれども、一方でプラットフォーマーの方が提供しているような形でやっているものもございますし、情報が一対一で商品とひもづいていない場合もございます。そういったこともありますので、実際の商品を届いたときに確認することは重要だと思っておりますので、このようなことも載せさせていただいているということでございます。

以上です。

○受田部会長 あとは関連のホームページへの誘導等についても工夫をすべきではないかという御意見もいただきましたけれども、そういう点もやはりガイドブックの中には盛り込まれているという考えでよろしいですか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 すみません。お答えが漏れておりました。そういった情報提供をさらに、例えば製造メーカーのページに飛んでくださいといったところまでは今回のガイドブックでは書いておりません。食品を販売しているECサイトのカテゴリーも様々ございます。ネットスーパーのような形で実際のスーパーが経営しているサイトもあれば、プラットフォーマーが提供していて様々な食品事業者が出品しているサイトもございますし、メーカー自体の直販みたいなサイトもございます。そういった様々なカテゴリーがございますので、それに全部共通するような形で、できるだけガイドブックという形で共通事項を提供しているということでございまして、リンクを貼ってさらにメーカーのサイトに飛んでくださいといったところまで紹介していないということでございますけれども、そういった情報の深掘りと申しましょうか、提供するやり方も有効だと考えられますので、そこはぜひ、このガイドブックには載っていなくても、様々な情報提供をするECサイトの運営者におかれましては、そういった工夫などもぜひ考えていただけたらなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。前段の部分については、極めて重要であり、注意書き等を付していただくことを考えているということでございました。渡邊委員、よろしいでしょうか。

○渡邊委員 ありがとうございました。

○受田部会長 ありがとうございます。

続いては、澤木委員、お願いいたします。

○澤木委員 よろしくお願いいたします。全国消費生活相談員協会の澤木と申します。質問が1点、要望が3点あります。今回のガイドブックの作成は、メリット・デメリットが書かれており、とても分かりやすいガイドブックになっていると思われます。ありがとうございました。質問としましては、このガイドブックの活用のために事業者様への情報提供として何か具体的に考えていらっしゃるかということをお聞きしたいと思います。例えば説明会などをされる予定があるかどうかとかです。

次に、要望についてですけれども、3点あります。5ページ目の買うときの判断になりますので、消費者としてはぜひ容器包装で見慣れている一括表示、それから栄養成分表示などの様式を望みます。

次に、アレルギー表示についてですけれども、先ほども正確な情報が必要だということがありましたが、そこはやはり更新が大事かと思われます。それから、特定原材料に準ずるものについても、ECサイトの場合であれば可能な限り表示することができるかと思いますので、それもお願いします。特に、一目で分かるようにイラストとか分かりやすい表示方法を望みます。

最後に、全体のデザインについてですけれども、同一画面上で全てが確認できるような工夫をお願いしたいと思います。さらに詳しい情報を知りたい消費者には、詳細が確認できる画面に飛ぶような仕組みを取っていただければと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。まず、質問をいただいた点からお答えいただくようにいたしましょうか。今後、このガイドブックについてどういう形で、特に事業者の皆様へ情報提供をしていくか、その具体的取組をよろしくお願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御質問にお答えいたします。普及啓発の方法ということでございますけれども、まだ現在、ガイドブック案という形で発出されていないわけでございますが、今月中には完成版という形で公表するということで、具体的には消費者庁のホームページに載せるということで考えております。その後、様々な説明会ですとかセミナーで、具体的に事業者様のほうにもこのガイドブックの内容を御説明していきたいと思っております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

澤木委員、質問に対してはよろしいでしょうか。

○澤木委員 ありがとうございます。

○受田部会長 あと、要望を3点いただいたので、要望に関してもどのように受け止めていかれるか、少しコメントをいただければと思います。1点目は、なじみのある一括表示あるいは栄養成分表示をECサイトにおいても実現していただくという点。恐らくこの点に関しても記述はされているのではないかと思いますけれども、1つずついきましょうか。谷口課長、よろしくお願いします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 お答えいたします。まず、一括表示の様式を望むということでございますけれども、先ほど説明資料の中の5ページでも御紹介いたしましたが、食品表示情報の掲載方法というところで、アンケート結果によりましても、枠があるとか表示順が決められているといったような形で、一定の決められた様式による表示が望ましいといったお答えが多かったということでございますので、こういった情報も参考にしながら、実際の掲載情報、ページのデザインなども考えていただけたらなと思っております。

3つ目の御要望でございましたサイト全体のデザインに関わる部分でもございますけれども、資料の11ページでも御説明いたしましたが、消費者に分かりやすく食品表示情報を提供するために、ページ全体のデザインを工夫していただく必要があると考えております。その中で、工夫の方法として、こういった食品表示情報につきましては、どんどんスクロールしていって見ないといけないようなところとか、飛ぶようなところではなくて、できる限りページの上段のほうに掲載して、すぐに分かりやすいようにしていただきたいといったようなことも御紹介していますので、こういった方法も参考にしながら食品表示情報の提供を進めていただけたらなと考えております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。2つ目の要望のところは、容器縛りの一括表示ではスペースの表示可能面積自体が限定されていることも背景にあって、ECサイトでの表示が可能になれば、一定条件がつけられている一括表示の内容をさらに消費者サイドの要望されるもっと補足的な、あるいは追加情報まで盛り込めるのではないかという御要望かと思います。この点についてはいかがでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 お答えいたします。2つ目の御要望事項で、アレルギーに関しても正確な情報をというところでございましたけれども、先ほどの説明資料でいきますと10ページで御紹介しておりますが、食物アレルギーの情報につきましては、正におっしゃられたとおり、ECサイトにおきましては、掲載スペースにも余裕がございますので、できる限り充実した情報提供をしていただきたいということで、その際の工夫する方法として、一覧化した表示ですとかイラスト化した表示、文字自体をロゴ化した表示といったような具体的な例なども御紹介しております。

また、掲載した食物アレルギーの情報が義務化対象の7品目だけなのか、特定原材料に準ずるものも含む全ての品目なのかといったことも明示するなど、消費者が理解しやすいような方法で掲載していただきたいということも御紹介しているところでございます。こういった例なども参考にして、ぜひ食物アレルギーの情報についても充実した情報提供をしていただけたらと考えておる次第でございます。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。恐らく澤木委員は、アレルギー表示以外の内容についても義務化されている情報プラスアルファをというお話が盛り込まれていたかと思いますが、今のお答えでよろしいでしょうか。

○澤木委員 より詳しい情報を知りたい人には分かるようにやっていただければということで、大丈夫です。

○受田部会長 ありがとうございます。御意見をしっかりといただいたということで、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○澤木委員 よろしくお願いいたします。

○受田部会長 それでは、順番でいきますので、菅委員、お願いいたします。

○菅委員 菅です。よろしくお願いします。私からは御報告の感想のようなことと、それを踏まえた質問や意見のようなことを幾つか申し上げたいと思います。

このような取組がなされること自体はいいことだと思っています。今回この御報告いただいたガイドブックが作成されるに至る経緯の中で、ガイドブックの内容そのものへの関心もさることながら、前提となる実態調査や検討事業の中で表れてきた見方とか考え方のようなものの中に、今後、大きな食品表示の在り方を考えていく上で配慮すべきことや考えさせられる点が幾つかあるのかなと感じました。

資料1の2ページの整理の中では、「ECサイトにおいて情報提供が困難である情報」として、消費者のニーズが高いと考えられる情報であるのに、出荷される商品とECサイトの情報の同期が困難であるものとして、「期限情報」と「産地情報」とが挙げられていて、それを踏まえた情報提供方法の工夫がガイドブック内で示されているという関係があると思うのですけれども、これは、グランドデザイン論のようなものを考える折に、インターネット上の情報提供に期待する、先ほどもちょっと出ましたが、「提供される情報の充実」という面では、議論の難しさといいますか、その提供される情報の詳しさ、あるいはタイムリーさの逆転現象のようなものが生じ得るということを示しているのかなと思います。

どういうことかといいますと、容器包装上の表示の一部をインターネット上に完全に委ねることを考えるべきか、ということについては、従前から私は消極論者ですけれども、仮に容器包装上の情報提供よりも充実した情報提供の可能性を考えてみるという場合に、「産地情報」などは、包材を変えるよりもインターネット上の情報提供のほうが簡単で正確でタイムリーなアップデートができる可能性があるとの期待をしたり、あるいは「期限情報」についても、容器包装に遜色ない正確な情報が提供可能であるといったことを期待している面があったように思うのですけれども、現実には、先ほど渡邊委員から御指摘のあった、メーカーそのものが売るとは限らないということも含めて、少なくとも現時点においてそれは大変難しい面があるのかなということを示しているのだろうと感じます。

このガイドブックに示されている一定のルールや考え方が、食品表示に準ずるということで足りるとするのか、そう簡単に言ってしまうのか、そうではなくて、グランドデザイン論を検討したりする中で、今後、食品表示基準と同等か、あるいはそれを超える情報提供まで期待していくものとするのかということも議論が必要になるのではないかなという印象を持ちます。中には、食品表示基準よりも充実した情報提供が期待されるという観点が、このガイドブックのフレーズの中にどの程度反映されているのかということについて、その「押し」についてはちょっと疑問も残るところです。もっとも今作られているものは、あくまで容器包装上には現行の食品表示が適切に十分なされていることを前提としているわけなので、注文後に実際に送られている現物とのミスマッチをできるだけ防ぐことが主眼であるという御認識なのかもしれないですけれども、改めて難しい問題だなと思いました。

資料1の3ページの「背景」では、「ECサイト上での表示が不可欠な事項と、事業者の実行可能性の観点から提供しないことが許容される事項などについて更に把握」といった表現が見られます。これは整理としては非常に危険な部分もある考え方だと思いますし、容器包装上の食品表示との関係を全体的に今後考えていく上でも、整合性といった意味でも要注意なのかなと思います。ここでは自然と、「容器包装上、食品表示基準に従って表示があることを前提に」、ECサイト上の情報提供がどの程度であるべきか、ということを尋ねているのだと思いますが、こうした際に用いられる調査の結果の評価は慎重であるべきだと思いますし、こうした結果の活用が、今後、容器包装上の食品表示そのものを後退させることにつながらないように留意しなければいけないなと思います。同じく、資料1の4ページの「なくては困る情報」というアンケートの仕方も、もし情報の優劣をつけることの根拠にする趣旨につながるのであれば、聞き方も含めて大変難しい問題があるのではないかなと思います。

前置きが長くなったのですけれども、少しお尋ねしたいのは、ガイドブックについて先ほど湯川委員がお聞きになられたことと関係しますけれども、ルールとしてどういう法的位置づけをするのかについて、先ほどの御説明だと、ガイドラインではないし、食品表示法違反の問題ではない。景表法とも直接関係性は明らかにされないという御説明だったと思うのですけれども、果たしてそれでいいのかどうかということです。何らかの関係性があるのだということでないと、例えばこれは、そういう性質のガイドブックに止まるがゆえに、普段審議する他のルール等なら当然考えるべきところの、いつまでにこれに合わせてくださいねとか、できるだけ速やかにこれに整合するような見直しを行ってくださいというメッセージが結果的に付せなくなってしまっていて、悪い言い方をすれば、守ってもよいし守らなくてもよいようなルールになってしまうのだとすると、ここまで大変な取組をされたものの活かし方としては不十分なのではないかと思いますから、やはりどのような位置づけになるのか。食品表示法ではなくて、例えば景表法や不正競争防止法、あるいは特商法とかも出てくるのかもしれませんけれども、どういう関係をもって皆さんにこのルールを守ってもらいたいと考えるのか、あるいは場合によっては取り締まったりするのかといったことについて、体系的な位置づけの御検討みたいなことをしておいていただく必要があるのではないかなと感じましたが、考えておられますかというのが質問の1つ目です。

2つ目が、こうしたガイドブックに示された考え方をベースに、今後、ECサイトにおける食品の情報提供について、よりしっかりしたルール化を進める工程のようなものを念頭に置かれていないのでしょうかと。もし現時点でないのであれば、そのようなものを考えていくということをデザインしていく必要があるのではないか。コーデックス委員会で検討されるのを待ってというようなスケジュール感で考えていただいているのか、何がしか今時点でお考えがあったら教えていただきたいと思います。

すみません。長くなっていますが、若干の意見ですけれども、食品表示基準に「準じる」のが難しければ、次善の策のような方法でもよいとすることで、このガイドブックが、事業者がせっかく既に基準を上回って自主的に行ってきている取組を後退させるようなことがないようなメッセージを発していただきたいというふうに啓発段階の問題として思います。

ガイドブック案の3ページの1-2では「全て実践するというよりも」というような表現もあって、より充実した情報提供が期待されるというような方向性の打ち出しはちょっと曖昧なような印象を持ちました。

また、原料原産地表示に関して、ガイドブック案の28ページで、「生鮮食品については、可能な限り」という表現がある一方で、加工食品の場合は「分かる範囲」という表現がなされていて、その違いがどういう意味か、少し疑問に思います。重量順第二位以下も積極的に提供してほしいということについては、そういうサイトもあるよという紹介程度にとどまっているのですけれども、先ほど若干御指摘のあったサイトのよさ、広さを生かして積極的に提供の試みをしてほしいところであるわけでして、「分かる範囲」というのは「可能な限り」とどういう関係にあるのか、むしろより充実した情報提供を期待しているのかどうかが分かりにくい気がしました。

最後ですけれども、ガイドブック案の34ページには、先ほども若干御指摘がありました「容器包装上の表示を確認する旨の注意書きを入れる」ことを推奨する記述があります。ただ、このような表現を入れる以前に、仮に食品表示法のらち外であったとしても、情報提供と食品表示にはそごを生じないようにさせることが強く求められていることや、注意喚起を書けば免罪されるわけではないといった当たり前のことであるとか、注意喚起を求めるのは、先ほども御指摘があった、改めて現物がECサイトの情報とそごがないかを消費者側でも確認してから食べてほしいという意味なのだということについて、少し表現が緩いのではないかなと、もう少し事業者側に問題意識が伝わるような表現をされてはどうかなという印象を持ちました。

大変長くなりましたけれども、以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。全部フォローできているかどうか、ちょっと確認しながらいきたいと思いますけれども、前半に御意見をいただいた容器包装上の食品表示基準と今回のECサイト上での表示内容と、どちらに重きを置くかという観点からしっかりと考えていかないと、菅委員が懸念されているのは、せっかくこれまで食品容器にできるだけ充実した食品表示情報を掲載していくというところが、このECサイトの導入によって方向が逆転、すなわち充実度が落ちていくようなことはあってはならないという点は、極めて重要なポイントであるという御主張があったと思います。その点に関連して、具体的に調査のお話もございましたけれども、この取扱いに関しては慎重であるべきというお話がございました。

それに関して、ガイドブックの法的位置づけの話、さらにはコーデックスのお話もありましたけれども、これを基にルール化への工程についてどのように考えるかというお話がありました。

それから、大きなところでは、さらに消費者の求めている情報、容器の中で印刷可能面積あるいは表示可能面積の観点で、消費者への提供の義務範囲に一定の制約を設けているという現状に照らして、さらにそれ以外の情報の提供の在り方についてももっと踏み込む必要があるのではないかといった御要望も含めていただいたと思います。最後の注意喚起の部分に関しても、表現を含めて一層の工夫が求められるという、大きくこういったお話だったように私は理解いたしましたけれども、谷口課長、お答えいただけますでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 お答えいたします。主に特に御質問という形でいただいていた部分につきまして、まずお答えさせていただきたいと思うのですけれども、法的な位置づけというところの御質問があったかと思います。法的に体系的な位置づけを考えているのかということでございますけれども、お答えとしては、現在このガイドブックについて、何らかの食品表示法なり他法令に基づく位置づけというのは考えておりません。ルールがない中でも、ECサイトにおける食品の販売は今どんどん増えてきているという中で、できるだけ消費者にとって分かりやすい食品表示の情報を提供していただきたいという趣旨で、少なくとも取り組める範囲で食品表示の情報を充実させていただきたいと。

○受田部会長 すいません。今ちょっとこの二、三十秒前ぐらいから音が途切れたようですけれども、繰り返していただけますでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 法的体系なり位置づけということに関しての御質問に対する御回答でございますけれども、これについて何らか今の時点で食品表示法なり他法令に基づく位置づけを設けることは考えていないということでございます。現在そのルールがない中でも、食品の販売がECサイトでもどんどん増えてきているということでございまして、そういった中で、消費者にとって分かりやすい情報提供をぜひしていただきたいという趣旨で、このガイドブックを事業者の参考ツールという位置づけで作成したというものでございますので、事業者の任意の取組を充実させるための参考にしていただきたいというものでございます。何らか法的な体系なり法的な位置づけというのを待っていると、なかなかそういったところまで実現できないということかと思いますので、まずはこういったガイドブックという形で出させていただきたいと考えておるところでございます。

また、御質問の2つ目として、今後、よりしっかりしたルール化について何らか工程を考えているのかということでございますけれども、これにつきましても、ルール化というところまでは現時点では考えていないということでございます。

ただ、注意しないといけないのは、国際的な食品に関するルールを定めておりますコーデックス委員会のほうでも、ECサイトにおける食品表示情報の提供ということに関して、何らかのルールづくりということで議論が行われているところでございますけれども、こちらにつきましても、なかなか参加国の意見がまとまっていないということで、コーデックス委員会のステップも差戻しになっているような状況でございます。こういった状況も引き続き注視した上で、今後の情報提供の在り方というのは当然考えていく必要があると考えておるところでございます。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。コーデックスのめどがまだ立っていない中で、このガイドブックの作成と、それを公表していく段階へと先にかじを切っていただいたということで、今のようなお答えになっているかと思います。

それ以外の菅委員からいろいろいただいた御意見に関しては、意見を受け止めていただいて、今後の参考にするということでよろしいでしょうか、菅委員。

○菅委員 結構です。先ほどの位置づけの問題も考えていかないといけない問題だなと。正にこの部会の大きなミッションの中に位置づけられることだと思うので、こうしたらいいとすぐに言えなくて申し訳ないのですけれども、ぜひ整理をしていってくださいというお願いです。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。コメントの中にもいただいた、第5次において作成した食品表示に関する全体像、グランドデザインの内容等とも関連をつけていって、この食品表示部会においても、今後、あるべき姿、機会を見つけながら、皆さんの御意見を賜り、議論をしてまいりたいと思うところでございます。菅委員、ありがとうございました。

それでは、戸谷委員、お願いいたします。

○戸谷委員 戸谷です。今、まずこういうガイドブックを作っていただくということは、ECサイトが増えている中では非常に重要なことだと思いますので、その点は評価をさせていただいております。

先ほど菅委員がたくさん御質問されたので、ある意味その中にも入っているのですけれども、現行の容器包装の表示制度よりもECサイトではより多くの情報が提供できるのではないかという指摘がありましたが、その点をどう整理するかという議論は必要だと思います。

菅委員も御質問されたのですけれども、7ページの産地情報のところで、加工食品の原料原産地については分かる範囲で掲載という御説明になっていますが、先ほど議論の中にありましたように、できるだけ表示基準と同等の情報を提供するという考えもある中で、この分かる範囲でというのがどの程度のイメージを持たれているのかお聞きしたいです。ほかの例えば(6)の栄養成分表示のところは、食品表示基準に準じつつ、消費者に分かりやすい表示をというように書かれていますので、原料原産地についても消費者の関心の高いので、この辺は分かる範囲でといったときのイメージを教えていただければと思います。

それと、変な質問かもしれませんけれども、ECサイトで購入して実際に現物が届いてから自分の想定したものと違うとなったら、消費期限の短いものは無理なのでしょうけれども、賞味期限の長いものについては返品などの処理は、これはECサイト事業者との間の話ということで理解してよろしいのでしょうか。この2点をお聞きしたくてお尋ねしました。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。先ほど菅委員の御質問にもありました、生鮮食品の原産地情報、加工食品の原料原産地、特に加工食品の分かる範囲でというのがちょっと表現として曖昧であるというところ、ここについて再度御指摘をいただきました。ここはお答えをいただき、さらに、ECサイトの情報と受け取った現物との間で消費者から見てそごがあるという形になったときの返品のお話も御質問でいただきましたけれども、2点よろしくお願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御質問ありがとうございます。お答えいたします。加工食品の原料原産地表示につきましては、食品表示基準では重量順第一位の原材料について表示をするということで義務付けておるところでございますので、ECサイトにおける情報提供におきましても、少なくともこの情報について情報提供ができれば、最低限、十分だと位置づけております。ただ、それ以外に把握しているそのほかの原材料についての情報を盛り込んでいるということで、消費者の商品選択を積極的にサポートしようというような取組を行われている例もございますので、そういった例も紹介しながら、情報提供についてぜひ考えていただきたいということを御紹介しているところでございます。

もう一つ、返品につきましては、食品表示情報の提供に係る部分からは離れることかと思いますので、そこはECサイトと購買を実際に行われる方との関係の中でどういった取組というかルールになっているのかというところに係ってくるところかと思います。

すみません。お答えになっていないかもしれませんけれども、以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。分かる範囲というのは、ある意味、追加情報に関して、より積極的な情報の提供というところで分かる範囲という表現が出てきているという理解かと思います。返品に関しては、食品表示の内容とはちょっと離れるということで、コメントはいただけませんでした。戸谷委員、よろしいでしょうか。

○戸谷委員 分かる範囲でというのは、今、部会長がおっしゃったように積極的な意味での表現であるということであれば、そこは了解いたしました。返品のことは結構です。

○受田部会長 ありがとうございます。

それでは、渡邊委員、御意見ということでお願いいたします。

○渡邊委員 すみません。手短にしたいと思うのですけれども、今回、この表示の話は、実施する事業者が食品の事業者ではないかもしれないということを考えて出していただきたいなと思っています。全く食品を扱ったことのない事業者も当然いますし、いろいろな分野のものを出す事業者もいますので、あまり食品に対して専門性の高い情報を出すことを期待するというのは、やはりちょっと難しい面があるのではないかということと、あまりそれを厳しくしてしまうと、ECサイトで食品扱う事業者が非常に狭くなってしまって、消費者にとってかえってマイナスになってしまうことも考えられるので、特別な知識がないと食品だけはインターネット販売に参入できないというようなことにならないようにしなければいけないのではないかなと思います。

もう一つは、先ほど同一画面とかいろいろな話がありましたけれども、スマホの場合が非常にだんだん多くなってきますので、スマホの小さい画面で見たときの情報提供のやり方とパソコンの場合はやはり違うと思うので、インターネットの情報というのが、今までのパソコンのように非常にたくさん出る場合ではなくて、狭い範囲でスクロールしながらどんどん見ていくようなことも考えていかなくてはいけないので、そういういろいろなことも加味しながら検討していただきたいなと思っております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。御意見を2点いただいたということかと思います。コメントがありましたらいただけますか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御意見ありがとうございます。今回、ガイドブックという形で、法的位置づけのないものという形で作っておりますのは、様々なECサイトがある中で、事業者の状況に応じた情報提供に取り組んでいただきたいという趣旨でガイドブック、参考ツールという位置づけで作成させていただいたということでございます。様々な事業者がいらっしゃると思うのですけれども、このガイドブックを参考にして、できる範囲で情報提供の取組を充実させていただきたいと考えておる次第でございます。

また、PC画面だけではなくてスマホでの購入もあり得るということですので、当然そういったことも考慮しながら、ECサイトの提供事業者におかれましては、画面デザインなどは考えられるということかと思いますので、そういったこともぜひ御検討いただけたらなと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。参考にしていただければと思います。

菅委員、今の点に関連して少しだけいいですかということですけれども、できるだけ簡潔にいただければ幸いでございます。

○菅委員 すみません。ありがとうございます。今の渡邊委員の御指摘はすごく難しさが表れているところだと思っていて、先ほど渡邊委員からデジタルプラットフォーマーがやる場合にはメーカーのサイトに飛べるようにすることで代替できないかというようなことについてのアイデアがあったと思うのですけれども、一応このガイドブック自体の考え方としては、そういう形では駄目なのだよということをむしろ述べていることになるのかなと理解しています。それがいいのかどうかということについてはまだ議論があるかもしれませんけれども。

戸谷委員が先ほどおっしゃったことで、私の質問に重ねてくださった部分で気になるのは、ガイドブック案の28ページでは「産地情報については、特に生鮮食品の原産地情報へのニーズが高く、生鮮食品の品質の重要な要素といえるため、可能な限りの情報提供をお願いします」という書きぶりから始まっていまして、何が言いたいかというと、生鮮のほうは特に重要だけれども、加工食品のほうは「分かる範囲」でいいのだよというふうに、普通に読むと読めてしまいかねないので、先ほど、ここでは「分かる範囲」というのはもっと高い理想を述べているのだとまとめてくださったのですけれども、もしそうお考えなら、それは賛成しますので、そう伝わるような書きぶりも考えていただきたいところではあります。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。特に後半の部分については受け止め方が極めて重要であるという点ですけれども、いかがでしょうか。これは御意見だと思います。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御意見ありがとうございます。お答えしますけれども、産地情報につきましては、先ほどの消費者アンケートの結果でも御紹介いたしましたけれども、生鮮食品につきましては非常に要望が高いという事項でございます。また、加工食品の原料原産地につきましても、食品表示基準のルールといたしましては重量順第一位のものについて表示を義務付けているところでございますので、基準のルールを超える部分について、何らか強制するとかそういったところまでは当然できないわけでございますけれども、一方で、ECサイト上で積極的な情報提供をしている例もあるということで御紹介させていただくことによりまして、こういったものを参考に取り組んでいただける事業者もこれから出てくるかもしれないということで期待をしたいと考えておるところでございます。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。今日、複数の委員からこの分かる範囲という受け止め方、特に生鮮と加工食品において、どういうふうにこれを食品関連事業者が受け止められるか、あるいはそのことを消費者が理解していくという点については曲解されないように、また、容器包装上の食品表示のルールも含めて、誤解がないようにもう一度整理をしていただければというところが意見として出たということで、ここの部分については締めくくってまいりたいと思います。

大分時間が過ぎてきておりますけれども、青木委員からお願いとして1点だけコメントをということですので、よろしくお願いいたします。

○青木委員 青木です。ありがとうございます。我々はこれに関する事業者のほうですので1点だけ、これは消費者庁に対するお願いでいいのかどうか分からないですけれども、やはり理解していただきたいのは、ECサイトでこういった表示情報を提供する人が、この表示を作っている人とそもそも違うということなのですね。小売の商品の場合にはメーカーが表示を作って、それが商品に貼られていると。ECサイトの場合は、メーカーからもらった情報をECサイトの運営者がアウトプットしなければいけないといったときに、表示を作る人とアウトプットする人が違うと、ここがやはり一番難しいところなのですね。最初に情報をもらいますということと、仕様等が変わるたびにその情報をどうやって更新していくのですかと、そっちがものすごくまた難しい問題ということを御理解いただきたいと。

いただいた表示の情報をどう見やすくお伝えしますかというのは、ECサイトの運営者ができることだと思います。お願いしたいことというのは、メーカーが作っている情報を、やはりどこか統一の表示のデータベースみたいなものを作っていただけないのかと。それを、ECサイトの運営者がそこから情報を引っ張ってきて、見やすい形にアウトプットするということができないと、多分、表示情報を提供するメーカー側も、それぞれのECサイトに対して、ECサイトが100個あったら100社に対して情報提供しなくてはいけないのですかと。仕様を変えました、情報を変えました、パッケージを変えました、アレルゲンが変わりましたというときに、100社に対してその都度提供しなくてはいけないのですかといったときに、それはやはりメーカーとしてもやってくれないのではないかなと。メーカーとしても、ここのプラットフォームに1回だけ情報を更新すればいいと。ECサイトの運営者は、そこから情報を持ってくればいいと。そういったものができないと、本当に消費者にとって必要な情報がECサイトで具現化するということは多分難しいのではないかなと思っていますので、それを今後もやっていただけるならやっていただきたいというお願いとしてお伝えさせていただきます。

○受田部会長 ありがとうございます。前半の部分は、さっき渡邊委員がおっしゃった、ECサイトでの情報提供をする事業者は多様であるというところ、ここの観点での御意見だったかと思います。その点は御意見ということで、後半のほうは、多分、消費者庁の側でモデル調査事業のような形で、データベース化のトライアルを既に実施している、そこの困難性という部分も既に結果を報告されている、ここの部分と通底するようなお話だったかと思います。消費者庁としてはいかがでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御意見ありがとうございます。まず最初にございました、表示情報を作る事業者とECサイトで情報を提供する者が異なるということに関しては、今回別冊の資料としてお作りしているという話も申し上げましたけれども、データの入手方法ですとか管理方法、入手した情報をECサイトに反映させていくに当たって様々な困難性があるということでございますので、そういった様々な方法におきましてのメリット・デメリットなども紹介しつつ、どういった管理方法、入手方法があるのか、やっていくべきなのかということをぜひ事業者のほうでも御検討いただきたい、参考にしていただきたいという趣旨で、この別冊を作っているということでございます。

また、後段のデータ管理の部分ですけれども、部会長がおっしゃられたとおり、消費者庁のほうでもデジタルツールを活用した食品表示ということにつきまして実証事業を実施しておりまして、デジタルでのデータ管理、あるいはデジタルツールを使った食品表示の在り方について、今、継続して検討を行っているところでございます。そういったデータ管理の在り方がECサイトにおける情報提供にも将来的につながってくる話かと思いますので、引き続き消費者庁のほうでも検討を進めていきたいと考えております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。青木委員、大変重要な御指摘をいただき、調査事業のことを青木委員はよく御存じだと思いますけれども、ここをどう発展し、充実させていくかということが、特にECサイトにおける食品表示の情報提供の在り方等を通じて一層活性化されていく方向に持っていかなければいけないという見解かと思います。よろしいでしょうか。特に青木委員、よろしいですか。

○青木委員 ありがとうございます。大丈夫です。よろしくお願いいたします。

○受田部会長 ありがとうございます。

委員の皆様、御質問、それから大変重要な御指摘等を数々いただきまして本当にありがとうございました。冒頭申し上げましたとおり、今日ここでガイドブックについて御説明いただいた趣旨は、諮問に対する答申とかということではなく、御報告をいただき、そして、参考になる内容についてはぜひ反映をしていただきたいという趣旨でございましたので、今日の議論を消費者庁食品表示企画課としてしっかりまた精査していただき、改善に資するような内容がございましたら、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

本ガイドブックによって、インターネットで販売される食品についても情報提供がより適切なものとなり、食品安全性の確保、また、消費者の自主的かつ合理的な選択の機会に資する内容になることに期待を申し上げまして、この議題についてはここまでとさせていただきたいと思います。委員の皆様、ありがとうございました。

≪3.「即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」の概要について≫

○受田部会長 それでは、予定の時間よりも長く時間をかけておりますけれども、2つ目に入りたいと思います。「『即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査』の概要について」でございます。消費者庁ではおおむね3年ごとに本調査を実施されておりまして、平成30年度の実態調査についても本部会に御報告をいただいておりますけれども、今般、最新の調査結果が取りまとまったことから、その結果の御報告となります。

それでは、引き続き、谷口課長から15分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 それでは、資料2に基づきまして説明いたします。消費者庁で3年ごとに実施しております食物アレルギーに関する調査の調査結果が取りまとまりましたので、その概要について御紹介いたします。

1ページからですけれども、調査結果の前に、まずアレルギー物質を含む食品に関する表示制度及びその経緯について簡単に触れさせていただきます。

2ページを御覧ください。こちらはアレルギー表示制度の経緯です。平成13年3月にアレルギー物質を含む食品の表示制度が創設されました。当時は食品衛生法に基づく省令で規定されておりまして、特定原材料という言い方をしておりますけれども、義務表示の品目として5品目が定められました。併せて、特定原材料に準ずるものとして19品目を通知で定め、表示を推奨しているということでございます。

その後、順次対象品目を拡大してまいりました。平成16年12月に表示推奨品目に「バナナ」を追加しました。平成20年6月にはそれまで推奨品目であった「えび」、「かに」を義務表示品目に移行しております。平成25年9月に推奨品目に「カシューナッツ」、「ゴマ」を追加しております。その後、平成27年4月に食品表示法が施行されまして、根拠法がこちらで変わっているということでございます。直近では、令和元年9月に推奨品目に「アーモンド」を追加しておりまして、義務表示が7品目、推奨表示が21品目となっております。これが経緯になります。

次に、3ページを御覧ください。こちらは現在のアレルギー表示制度の概要ですけれども、特定原材料等と書いておりますが、こちらが対象品目です。特定原材料として具体的には、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生、この7品目がありますけれども、これらは発症数あるいはその重篤度から勘案して表示する必要性が高いということで、表示義務を課しているということでございます。

一方、特定原材料に準ずるものとして、具体的には、アーモンド、あわび、いかなどなど21品目ありますけれども、これらは症例数や重篤な症状を呈するものの数が継続して相当数見られるが、義務表示の特定原材料と比べると少ないものということで、義務ではなく任意表示で表示を推奨しているということでございます。

表示方法につきまして、具体的に下の表示例で記載しておりますけれども、表示の方法としては2通りありまして、個々の原材料名の後に括弧書きで何々を含むという形で記載する個別表示というのが原則でして、例外として原材料名の最後にまとめて、一部に何々と何々を含むという形で記載する一括表示の方法も可能としております。

以上がアレルギー表示制度の概要なり経緯でございます。

続きまして、4ページから今回の調査結果の概要の説明になります。「即時型食物アレルギーによる健康被害の全国実態調査」ということで、報告書自体につきましては参考資料として別途配付しておりますけれども、その概要を説明資料として用意しておりますので、それに基づいて御説明したいと思います。

5ページを御覧ください。5ページが調査方法です。従来からこの全国実態調査につきましてはおおむね3年ごとに実施しておりまして、継続性を重視して、調査方法などはこれまでのやり方を踏襲しているということでございます。

アレルギーを専門とする医師の先生方に趣旨を御理解いただきまして、今回の調査では1,089名の方に御協力をいただいております。

調査対象は、食物を摂取後60分以内に何らかの反応を認め、医療機関を受診した患者としておりまして、この情報を報告いただくという形でやっております。先ほど表示制度の説明の中で、症例数や重篤度から勘案して義務表示品目ですとか推奨表示品目を選定しているということで、順次品目を追加してきた経緯の話を申し上げましたけれども、これは3年ごとに実施しているこの調査の結果によりまして、実際どういうアレルギーが多いのかということなどを見た上で表示対象品目を検討するというような制度の運用の仕方をしておるということでございます。

今回の結果ですけれども、報告いただいた症例数が合計で6,677例となっておりますが、そのうち原因物質が特定されていないものなどを除外しました6,080件を解析の対象としております。

6ページを御覧ください。ここからが収集した症例の分析でございます。まず、食物アレルギーを起こした方の年齢の分布でございますけれども、0歳が1,876例、30.9%で最も多くなっておりまして、1・2歳群が1,364例、3~6歳群が1,525例となっておりまして、大体2歳までで5割強、6歳までで約8割を占めております。

7ページを御覧ください。こちらは原因食物ですけれども、多い順に鶏卵が2,028例で33.4%、牛乳が1,131例で18.6%、木の実類が819例で13.5%ということでした。前回調査までの上位3品目は鶏卵、牛乳、小麦でしたけれども、今回の調査では木の実類の割合が増加して、第3位となっております。

木の実類の内訳につきましては、くるみが463例ということで、木の実類の半数以上、56.5%がくるみとなって、最も多くなっております。次いで、カシューナッツが174例、マカダミアナッツが45例となっております。

下の妥当性の検証につきましては、現在の表示対象品目が実際のアレルギー発症数のどの程度をカバーしているかということですけれども、義務の7品目と推奨の21品目を合わせた28品目で93.4%を占めていたということでございます。

続きまして、8ページを御覧ください。こちらは初発、初めてアレルギー症状が現れた方のデータでございます。初発例の原因食物は、0歳群では鶏卵、牛乳、小麦の順でしたけれども、加齢とともに大きく変化しておりまして、木の実類が1・2歳で2位、3~6歳で1位、7~17歳で2位というふうに上位に入ってきているということでございます。

続きまして、9ページを御覧ください。こちらはショック症状、重篤なアレルギー症状が現れた方のデータです。全体で660例ございました。原因食物の上位3品目は、前回調査までは、鶏卵、牛乳、小麦でしたけれども、今回の調査では木の実類の割合が増加しておりまして第3位となっております。また、木の実類の内訳といたしましては、くるみが58例ということで最も多くなっておりまして、次いでカシューナッツが30例となっております。くるみは単独では義務表示品目の落花生よりも上位となっているということでございます。

続きまして、10ページを御覧ください。こちらが今回の調査の考察・結論でございます。調査報告書のほうから主なポイントを整理しております。

1つ目は、今回の調査件数は6,080例で、前回に引き続き増加傾向ということでございます。

2つ目は、前回調査まで原因食物の上位3品目は鶏卵、牛乳、小麦でしたけれども、今回の調査では木の実類の割合が増加しており、小麦を抜いて主要3大原因食物の一つとなっておるということでございます。

3つ目、木の実類の中でもくるみの増加が著しく、次いでカシューナッツが増加しているということでございます。

4つ目、初発例の原因食物では、0歳群は鶏卵、牛乳、小麦の順でしたけれども、幼児期、学童期では上位3位以内に木の実類が入っていたということでございます。

5つ目、即時型食物アレルギーの原因食物としての木の実類の増加は一時的な現象ではないと考えられます。

最後に11ページを御覧ください。こちらは参考資料として、今回の調査結果分も合わせまして、これまでの全国実態調査の結果から、原因食物別の症例数の推移を一覧表にまとめております。上の表が即時型症例の総件数ということで、下の表がそのうちの重篤なショック症例の件数でございます。木の実類の箇所に今回色をつけております。その中でも黄色に塗っておりますくるみにつきましては、上段の即時型の症例数でも、下段のショック症例数のほうでも、前回、平成30年度の調査で件数が著しく増加しておりまして、順位は4位に上昇していたということでございますが、今回、令和3年度の結果を見ましても、その傾向が続いているということが分かります。

前回の調査結果につきましては、令和元年の食品表示部会で御報告しておるということでございますけれども、その際に、くるみにつきましては義務化を視野に入れた検討が必要ではないかといったことですとか、また、留意事項として症例数の増加が一過性のものではないかの確認が必要といったようなことを御報告していたと承知しておりますけれども、今回の調査結果から、くるみの増加が著しく、また一時的な現象ではないと考えられますので、消費者庁といたしましては、くるみにつきまして、義務表示の特定原材料に追加するという方針で、今後必要な検討作業を進めていきたいと考えております。

このスケジュールにつきましては、現時点で確定的に申し上げることはできないのですけれども、少なくとも今年度内を目標に、消費者委員会に対しまして、食品表示基準の改正に係る諮問を行いたいと考えておるところでございます。

私からの説明は以上です。

○受田部会長 ありがとうございました。最後のところで具体的に御説明をいただきましたけれども、今回の調査結果を受けまして、今後、義務表示へと進んでいく、そういう手続的なところへ進んでいくことも可能性としてあるということ。これはもうその方向へ進むという理解でいいのかと思いますけれども、その点もお含みおきいただいて、御質問や御意見をいただければと思います。

それでは、今村委員、お願いいたします。

○今村委員 今村です。今、くるみを義務表示の対象にするということで聞いたので、ちょっと安心しましたけれども、私、意見としては、まず、くるみもカシューナッツも、これは表示義務の対象のところまで来ているのではないかと思います。私は一番最初の2ページの平成13年の5品目と19品目を決めた担当者そのものですので、当時の基準で考えると、準ずるものというのはアレルギーを起こす物質として多いか少ないかで見ましたけれども、義務表示のほうはアナフィラキシー、ショックを起こした症例が多いか少ないかで、特に死亡例が出ていないかどうかということで見たと思います。当時の基準で見ると、今、カシューナッツあたりまでは義務表示の対象になるところまで来ているのではないかと思うので、くるみ、カシューナッツは両方とも基準になっているのではないかと思います。

ただ、平成13年に決めたときには、えびとかにも基準を超えていたのです。それを入れなかった理由としては、検知法ができてなかったからなのですよ。このときに研究班を立ち上げて、検知法ができたら義務化しましょうかねという話があって、当時、平成13年ぐらいからえび・かに検知の研究班が立ち上がって、バリデーションまで進めたという経緯があったと思うのですけれども、今、くるみとカシューナッツの検知法について、実際の検討状況はどうかということと、カシューナッツについては義務対象に検討しているかどうかということ、2点御質問お願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○受田部会長 では、順次お願いできますでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御質問ありがとうございます。お答えいたします。まず、カシューナッツにつきましても義務化するのかということでございますけれども、今回の結果、あるいは前回までの結果も踏まえますと、資料といたしましては、10ページの考察及び結論のページで折れ線グラフを載せておりますけれども、右側のほうで木の実類の内訳の比率の推移を載せております。これで見ますと、木の実類全体が増えてきている中でも、くるみにつきましては著しく急増しているということでございますけれども、一方で、カシューナッツなりほかの木の実については、くるみほど増加している状況にはないということでございまして、消費者庁としては、くるみの義務化をまずしていきたいと考えておるところでございます。

ただ、くるみ以外のそのほかの木の実類につきましても増加傾向にあるということでございますので、こちらについては引き続き注視して、今後、専門家の意見も聞きながら検討していきたいと考えておるところでございます。

また、検知法につきまして、こちらは3年前の食品表示部会で、くるみにつきまして、今後、義務化を視野に入れた検討を進めていきたいということで御報告したかと思いますけれども、その後、くるみについての検査法の開発を進めているところでございます。こちらにつきましても、目標といたしましては、来年度には完成する方向で今進めていただいているということでございますので、そのような状況も見ながら、このくるみの義務表示化についての手続といいましょうか、作業を進めていきたいと考えております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。カシューナッツに関する検知法、検出法というのは、くるみと比較していかがなのでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 すみません。カシューナッツの検査法につきましては、くるみの義務表示化の中では、くるみの検査法を開発しているところでございますので、カシューナッツについて開発しているという状況ではございません。

以上です。

○受田部会長 分かりました。ということは、まだないということかと思います。

今の点も踏まえて、今村委員、いかがですか。

○今村委員 まず、義務表示の件ですけれども、カシューナッツも順調に順位を上げてきて上位を占めているので、私はカシューナッツももう対象圏内に入っているかなと思います。なので、ぜひ前向きに検討してもらいたいのと、それと検知法ですね。カシューナッツを今から考えておかないと、もう間に合わないと思います。私はピーナッツの検知法を作ったときに、くるみとピーナッツを区分けする検知法を作るのがめちゃくちゃ大変だったのですよ。これは多分、くるみを作るときにもピーナッツとの区別というのは考えていると思うのですけれども、次はカシューナッツとの区別ということが非常に重要になってきて、くるみの検知法を作るのだったら、併せてカシューナッツの検知法も並行して考えて、交差反応性がないような検知法を作っていかないと、だんだん行き詰まっていくと思うのです。

ですから、私は早い時期から、少なくともカシューナッツ、くるみ、ピーナッツが使い分けられるような検知法を作っていかないといけないと思います。木の実類全体でくくってしまうと、ものすごく木の実が多いので、木の実類というくくりでやるのは好ましくないと思っています。そうなってくると、個別に区分けをするということが難しいので、それを最初にやるということだと思います。確定診断はPCRでやるから、ほぼできると思うのですけれども、恐らく難しいのはELISA、抗体検査を最初にするスクリーニング検査が一番難しいと思うので、そこについては早い時期から手を打つべきだと思っています。

○受田部会長 ありがとうございます。専門的なお立場で、まずELISAでのスクリーニング、恐らく交差反応性のお話がありましたので、対象を明確に識別できるような抗体の開発、そこも含めて、言ったら対象になり得るものを当然視野に入れて検知方法を開発すべきではないかというお話をいただきました。今村委員、ありがとうございました。

今日は報告ということなので、ここで諮問云々という話ではありませんけれども、今後の義務化、あるいは諮問へ向けての段階で、ぜひ今の御意見は参考にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

続いて、菅委員、お願いいたします。

○菅委員 菅です。すみません。私は素人なので、的外れな質問であったらそのことも含めて御指摘いただきたいのですけれども、今、「交差反応」という言葉が出たのですが、検知するところの話とは少し場面が違うかもしれないのですが、「アレルゲンとしての交差反応リスク」みたいなことが木の実相互間でどの程度あるのかということですけれども、それを前提に、アレルゲンとして交差反応するかもしれないのだとすると、それを踏まえた形での表示を求めていく必要性が「木の実」のくくりの中で大きくなっていくのかなと思っておったのですけれども、今村委員のお話だと、全部ひとくくりにしたりするのはあまりよくないという御指摘もあったので、木の実相互間のアレルゲンとしての交差反応リスクみたいなことは、何を義務化するかとか、何を推奨表示にするかという選別において、どの程度反映されているものなのか、教えていただけたらと思います。お願いします。

○受田部会長 ありがとうございます。なかなかだんだん専門的なお話になっていき、これは結局、なぜ木の実のアレルギー症状が増えていっているかとかいうところにも関わってくるのかもしれませんね。お答えいただける範囲で、よろしくお願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御質問ありがとうございます。お答えいたします。交差反応のことに関しましても、当然、木の実類の中でも交差反応性のあるもの、ないもの、いろいろあるかと思うのですけれども、そういったことも踏まえまして、消費者庁のほうでは、アレルギーの専門家のお医者さんなどに入っていただいたアドバイザー会議を設置しておりまして、その中で今回の調査結果なども踏まえて専門的な御知見から御意見をいただいておるところでございます。当然その中でも交差反応の話についても出てきておるということでございますので、そういった御意見も聞きながら、今後、この義務化の在り方については検討していきたいと考えております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。統計的な調査結果から見ると、アレルゲンとしての深刻度は増していると。あとはそれをいかに識別、定量的、定性的に検知ができるかという方法論を含めて、しっかりとした裏付けを確立しておかなければいけないということかと思います。

そういった点を専門家の皆様で御議論いただいて、この調査結果を義務化に向けてどのように反映していくかという段階に入ったと理解ができると思いますので、今のコメントについても参考にしていただければというところでございます。

ほかにございますでしょうか。今村委員、お願いします。

○今村委員 今、専門家の意見を聞くということで、それは非常にいいことなのですけれども、検知法に関しては、専門家の先生はそんなに詳しくないのですね。だから、お医者さんサイドから見た意見の交差反応性と実際の検知をするときの交差反応性は別のものなので、その検知を開発する先生が、アレルギーを起こすような食べ物をちゃんと分別できるようなことをしないと、お医者さんの意見を聞いたとおりの検知法を作るということは非常に難しいのです。そこが検知法開発の一番難しいとこだと思いますので、ぜひそこには留意をして作ってもらいたいと思います。

そういう意味では、多分、カシューナッツとくるみを分けるというのはすごく難しいのですよ。それはピーナッツのときに経験したことそのものなので、それをぜひ考えてほしい。全部ひっくるめた抗体を作るというのは割と簡単なので、木の実という抗体を作るのは多分そんなに難しくないのですけれども、限定すればするほど食べられる人が増えるので、できるだけ狭い範囲で限定をかけるということが重要だと思っていますので、ぜひその辺を意見として考慮していただければと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。ここは参考にしていただくということで、戸谷委員、渡邊委員という順番でお願いいたします。

○戸谷委員 戸谷です。先ほどのお話で、3年ごとに消費者庁のほうで調査をされているというお話があったのですけれども、義務表示のものは、今お話があったように必要なものは当然増やしていく必要があると思いますけれども、表示の推奨品目は、今ここに挙がっている21品目は変わらなくて、今後また必要なものがあれば増えていくという理解でよろしいのでしょうか。というのは、3年ごとに調査されているというお話があったので、そうするといろいろなデータが積み重なってくるので、アレルギーは人の命に関わることなので簡単に考えるべきものではないと思いますけれども、相対的にアレルギーの発生頻度が低いものなどのデータがそろったときに、表示の推奨品目から外すものなどが将来あることは考えられるのでしょうか。制度の運営上の話なのですけれども、その点を教えていただければと思ってお聞きしました。

○受田部会長 ありがとうございます。入替え戦という言葉は適切ではないかもしれませんけれども、前回もたしか、まつたけに関しては症例がない、それについてどう見るかというようなお話もあったかと記憶しております。いかがでしょうか。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御質問ありがとうございます。この対象品目、義務品目、推奨品目の考え方につきましては、先ほど御説明したとおりですけれども、正にこの全国実態調査の状況を踏まえて追加する品目などを考えてきたところでございます。一方で、既に義務なり推奨という形で表示対象品目になっているものについて、落とすものがあるのかということでございますけれども、こちらにつきましては、今の時点で何らかこれについて落とすというところまで考えているものはございません。

ただ、今後の検討課題として、この対象品目の考え方についても引き続き検討していきたいと考えております。その際には、当然、先ほど申し上げましたアレルギーの専門家の方たちとかの御意見も聞きながら検討を進めていきたいと考えております。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。戸谷委員、よろしいですか。

○戸谷委員 結構でございます。また専門家の御意見を聞きながら検討するということでございますね。ありがとうございました。

○受田部会長 ありがとうございます。渡邊委員、お願いします。

○渡邊委員 ありがとうございます。ちょっと素人なので、一番最後の11ページの表を見て1点教えていただきたいのですけれども、これはお医者さんから、例えば下のほうでショック症例数ということで数字が上がってきているのですが、実際問題としては、すごく微量を摂取して、あるいは入っていることが分からないような状態で入っていたものを摂取してショック症状が出たのか、相当量、例えばそのものを食べてショック症状を起こしたのかとか、アレルギーの発症方法も結構違うような気がしました。というのは、この表示が義務化になると、どんどん義務になるものが入ってくると、今度は逆にアレルギーを持っている人が食べられるものが減ってしまうというのも一部あると思うのです。本当にどの程度のリスクがあるのかというのは、ちょっと私は分からないのですけれども、例えばイクラなどは、粒々を無視して超微量が練り込みで入っている場合というのはあまりないのではないかとか、例えば今回のくるみというのは、くるみそのものを食べたのか、あるいはくるみがちょっとだけ練り込んであるものも関係するのかとか、その辺りの情報はあるのでしょうか。

○受田部会長 ありがとうございます。11ページのショック症例数を含めた具体的な発症の現状の部分も含めて、いかがかというお話でございます。どうでしょうか。なかなかそれぞれを挙げていくのは難しい部分もあるかと思うのですけれども。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御質問ありがとうございます。別冊のほうで参考資料という形で今回の全国実態調査の報告書そのものについて配付しているところでございますけれども、具体的な調査方法につきましては、この報告書の最初のほうのページに調査方法として記載しているところでございます。ですので、今御質問があったようなところまで聞けているかどうかということでございますけれども、そこまでの部分については正直聞けていないということかと思います。ただ、調査対象として、食物を摂取後60分以内に何らかの反応を認め、医療機関を受診した患者ということでございますので、かなり反応としては出ている方かなと思います。その中でもショック症例に分類しているものにつきましては、非常に重篤な症状が現れた方ということで区分しているところでございます。

私からの説明は以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。詳細の部分については、渡邊委員が御質問になった以上のことはよく分からない部分がありますけれども、恐らく今の点、今村委員からコメントがいただけそうなチャットへの入力かと思いますが、いかがでしょうか。

○今村委員 今村です。多分1回目に調査設計したとおり今もやっていると思うので、同じだと思うのですけれども、基本的には病院にアレルギーで来たという人の数を数えています。ショック症状のほうは、アナフィラキシーショックという血圧が下がるとか、重篤な喘息を起こすとか、要は命に関わりそうだというケースや、エピペンというエピネフリンを打ったようなケースに限定しているので、命の危険のあった人という数だと思うのです。ですから、普通に蕁麻疹が出ましたという話がアレルギー物質のほうで、ショックのほうはアナフィラキシーショックという、小児科やアレルギーの先生ならばここから先はアナフィラキシーですよねという基準を持っていると思うので、その基準で切ったものなので、命の危険があった数というふうに数えてもらうべきだと。

摂取量はケースバイケースなのですね。ですので、摂取量を語ることは非常に難しくて、現状として、命に関わるような事件が起こったケースを数えるということで調査が設計されたという経緯があります。

以上です。

○受田部会長 今村委員から専門的なお立場で調査の詳細についてコメントをいただきました。ありがとうございました。

渡邊委員、よろしいでしょうか。

○渡邊委員 今のお話はよく分かるのですけれども、実際問題として、アレルギーの方というのは、自分がどういうものを食べるとアレルギーが出たかというのが分かっているケースと、あるいは全く分からないで来ているケースがあって、分からないで来ているケースというのは原因物質が非常に分かりにくい部分もあるのではないかと思っています。ここの数字は、すごく数字が上のほうにあるものは多分そんなに間違いないと思うのですけれども、そのようなある程度細かいデータも必要ではないかなという気がちょっとしていますので、そこまでできるかどうか分かりませんけれども、ただ数字だけというのもちょっとあれかなという気がします。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

今村委員、今の渡邊委員からのコメントに関して、要は、原因物質についての調査の確度、正確さという点については、調査のお立場からはいかがでしょうか。

○今村委員 当時は、原因不明のものの場合は血液の抗体検査をやってもらって、新たに小麦だというふうに分かったらそれを言ってくださいと言っています。ただ、本人がこれはイクラですと言ってきたものは、それはイクラと書いていると思うので、そこにちょっと不安定性があると思います。最後まで分からなかったものは原因不明というのでカウントしていたと思います。

○受田部会長 ありがとうございます。そういった調査の限界はあるとしても、できるだけ調査の正確さ、これがこの中に含まれるということで実施をしていただいているということかと思います。ありがとうございました。

前田委員、お願いします。

○太田参事官 受田部会長、消費者庁から発言を求められておりますので、お願いいたします。

○受田部会長 失礼いたしました。どうぞ。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 すみません。ちょっと補足させていただきます。資料のほうの5ページ目で今回の調査対象について御説明いたしましたけれども、その中で、今回調査の中で報告があった事例としては合計6,677例と申し上げておりますけれども、その下のほうになお書きで、原因物質が特定されていないものですとか不明なものなどにつきましては除外した上で、6,080例を解析対象としているということでございまして、それ以降の資料の中で数字が出てくるものの分母はこの6,080例となっておりますので、補足をさせていただきました。

以上です。

○受田部会長 正確な症例を上げているというコメントでございました。ありがとうございました。

前田委員、お願いいたします。

○前田委員 前田です。ありがとうございます。アレルギー患者の会の立場で申し上げるのですけれども、くるみは大変重篤ですし、患者さんも増えているというところで、このように義務化に向けて動いてくださっていることに感謝を申し上げたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。くるみを取り上げていく、要は義務化へ向けての動きに関して御評価をいただいているということかと思います。逆に言うと、そういう方向に向かっていくとすると、今後、諮問に向けての手続を含めて、より迅速にステップを踏んでいかないといけないということかと思います。さっきスケジュール感に関しても谷口課長からお話がございましたけれども、そういう御意見を踏まえつつ、また御対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。

大体チャットの御記入は一区切りついたかと思いますので、今回、この調査結果の御報告を受けて、委員からもいろいろな御意見、コメントをいただきました。今後、くるみの推奨表示から義務表示への変更に当たっては、繰り返しになりますけれども、可能な限り迅速に御準備を進めていただきたいと思います。その後、食品表示基準の改正に関して諮問をされましたら、食品表示部会としてもしっかりと審議・対応してまいりたいと思いますので、委員の皆様におかれましては、引き続き注視をしていただくよう、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。この議題については以上とさせていただきたいと思います。

○受田部会長 その他に入ります。本日、予定の議事は以上となりますけれども、そのほかに御質問、コメント等がございましたら、お願いをいたします。いかがでしょうか。

湯川委員、お願いいたします。

○湯川委員 ありがとうございます。今日の議題ではないのですが、新聞などでもたいへん話題になりましたアサリの原産地、あるいはしいたけの原産地表示の問題に関しまして、アサリについては長いところルールの確認ということで、Q&Aなどでの対応ということだろうと納得しているわけですが、しいたけについては、菌床に植菌したところを原産地とするという、いわゆる長いところルールの例外になるということで、既に栽培方法である菌床栽培、原木栽培が表示対象になっているということも考えれば、例えば菌床の原産地を書かせるという対応もあったのではないかなと考えます。

ここでお尋ねしたいのは、消費者庁として、こういった表示の課題に対応する場合、食品表示法の下位の文書、食品表示基準になれば私ども食品表示部会でも議論の機会があるわけですが、Q&Aなどになりますと、事後に報告をいただくぐらいしか機会がないわけで、どういった案件がQ&Aなどの下位文書での対応になり、どういったものは食品表示基準の改正になるのかといった、その考え方の基準をお伺いしたいというのが1点。それから、今回のしいたけの原産地をQ&Aでの対応と判断された理由をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○受田部会長 ありがとうございます。湯川委員から、アサリとしいたけのお話、具体例として食品表示基準、若しくは食品表示基準Q&Aの改定に至ったときの事例としてお話をしていただき、食品表示基準で対応するのか、食品表示基準Q&Aで対応するのか、その線引きの部分を伺いたいということ。さらに、しいたけの原料原産地に関して、これを食品表示基準Q&Aで受けたということの背景、理由についてということでございます。よろしくお願いいたします。

○消費者庁谷口食品表示企画課長 御質問ありがとうございます。お尋ねのありました、食品表示基準の改正をするのか、Q&Aの改正するのか、そちらについてどう判断しているのかということでございますけれども、食品表示基準のほうは、義務表示などで表示すべき事項あるいはその表示方法のルールを定めているというものでございますが、一方で、食品は様々ある中で、具体的にそのルールを適用するに当たっての適用方法ですとか解釈はQ&Aという形で詳細を示しているというような立てつけになっているということでございます。ですので、どちらで対応するのかというのは、基準で定めている事項を改正する必要があるということであれば、そちらを改正することになりますし、Q&Aで示している解釈の中でできる話ということであれば、Q&Aの改正で対応しているところでございます。

今回、今年3月に改正いたしましたアサリにつきましても、しいたけにつきましても、こちらについてはどちらもQ&Aの改正という形で対応しております。それは具体的な適用に当たっての解釈を示しているQ&Aの中で示されている内容を変えるということでございましたので、Q&Aの改正で対応したということでございます。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。

湯川委員、いかがでしょうか。

○湯川委員 ありがとうございます。もう少し詳しく聞きたいところもありますけれども、時間も迫っておりますので、今回はこれで結構でございます。ありがとうございました。

○受田部会長 ありがとうございます。

菅委員、1点お願いしますということですけれども、いかがでしょうか。

○菅委員 時間が押しているところをすみません。今のお話にも関係しないわけではないのですが、最近、「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」というものが出たり、少し前に「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」という名前のものが出たり、そして今回また「ガイドブック」というものが出たり、少し戻れば、加工食品の原料原産地に関する表示のルールは既に完全に施行されている状態ということですけれども、それぞれどういう形で普及啓発をしていかれたり、いく予定であったりするのかということについて、またどこかの段階でまとめて教えていただきたいと思います。食品添加物不使用表示に関するガイドラインについても、どうやってこれから広めていくのかとかいうことも大変気にしておりますので、今日の話題も含めて、ぜひそういう活動の在り方についても御報告いただけたらと思います。

以上です。

○受田部会長 ありがとうございます。菅委員からは、この4月に完全施行されている原料原産地表示に関しても、この食品表示部会において御報告をいただきたいという要請も以前にいただいていたかと思います。今日、湯川委員からも御質問をいただきましたし、また、菅委員から再度、ガイドラインあるいはガイドブック、今日のお話も含めて、今後またさらに普及啓発がどういう実施状況にあり、どこまでそれが進んでいるか。ここにはアウトプットに対して、アウトカムとして理解度がどれだけ増進していくかというようなことも関連するかと思います。ぜひ食品表示部会において少し時間をかけながら、こういった内容を御報告いただいた上でディスカッションできる機会をぜひ設けていただくよう、これは消費者委員会事務局にもお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

そういう形で、次回以降の食品表示部会で改めて時間を取らせていただくということで、今日は予定の時間を少し回っておりますので、議論に関してはここまでとさせていただきたいと思います。御了承のほどよろしくお願いいたします。

それでは、その他の内容は以上とさせていただいて、最後に、事務局から連絡事項等がありましたらお願いいたします。

≪4.閉会≫

○太田参事官 本日は長時間にわたり熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。次回の日程でございますけれども、またいろいろ本日御指摘いただいたような事項も含めて検討の上、改めて御連絡させていただきたいと思います。

以上でございます。

○受田部会長 ありがとうございます。

それでは、本日の部会はこれにて閉会とさせていただきます。

皆様、お忙しい中お集まりいただき、また、活発な御議論をいただきましたこと、改めて御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

(以上)

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