外務省・新着情報

令和4年6月30日

 6月30日、フィリピン訪問中の林芳正外務大臣は、マニラで行われたフェルディナンド・マルコス・フィリピン共和国第17代大統領(H.E. Mr. Ferdinand R. Marcos, Jr., 17th President of the Republic of the Philippines)の就任式に出席し、その後、マルコス大統領への表敬等を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 大統領就任式(現地時間30日午前11時30分(日本時間同日午後12時30分)から約1時間15分)

 林大臣は、岸田文雄内閣総理大臣の特使として、マニラのフィリピン国立博物館において行われたマルコス大統領の就任式及び公式レセプションに出席しました。林大臣は、この機会に、エムホフ米国副大統領夫君、ハーレー豪州連邦総督、ドーン・タイ副首相兼外務大臣、エルワン・ブルネイ第二外務大臣、サイフディン・マレーシア外務大臣を含む各国からの列席者と言葉を交わしました。

2 マルコス大統領への表敬(現地時間30日午後6時(日本時間同日午後7時)から約25分間)

マルコス新大統領を表敬し、座って会談を行う林外務大臣の様子
  • (1)冒頭、林大臣からマルコス大統領に対し、就任への祝意を伝えつつ、岸田総理からの親書を手交しました。これに対し、マルコス大統領から、日本政府のハイレベルの就任式出席に謝意が表明されました。
  • (2)二国間関係に関し、マルコス大統領から、フィリピンの国づくりに対するこれまでの日本の貢献に謝意が表明されるとともに、今後も重要な戦略的パートナーとして協力関係を強化したい旨、また、観光を含め人的交流を再活性化したい旨の発言がありました。これに対し、林大臣から、両国が共に海洋国家かつ米国の同盟国であり、また基本的価値や戦略的利益を共有する戦略的パートナーであることを指摘しつつ、引き続き「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、ODAも活用しながらフィリピンと具体的な協力を進めていく旨、また、ミンダナオ和平プロセスを引き続き後押ししていくことを伝達しました。その上で、双方は、ポストコロナの経済回復に向けた協力、フィリピン沿岸警備隊の装備・能力向上のための支援、自衛隊とフィリピン国軍の間の訓練等の強化・円滑化等を一層推進することで一致しました。
  • (3)地域・国際情勢については、林大臣から、東シナ海・南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みや、経済的威圧に強く反対する旨、また比中仲裁判断を堅持し海洋権益を守っていくとのマルコス大統領の立場を支持する旨を伝達しました。その上で、双方は、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序の維持・強化に向けて、緊密に協力していくことで一致しました。
  • (4)また、双方は、ロシアによるウクライナ侵略が国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、いかなる地域でも力による一方的な現状変更を許容してはならないとの認識を共有しました。そのほか、北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題、ミャンマー情勢、安保理改革を含む国連の機能強化、軍縮・不拡散等でも連携強化を確認しました。

3 その他

フィリピン沿岸警備隊本部を視察し、説明を受けている林外務大臣の様子
フィリピン沿岸警備隊本部の内部で、関係者と写真撮影に応じる林外務大臣の様子
  • (1)現地時間30日午後3時30分(日本時間同日午後4時30分)から約30分間、林大臣は、フィリピン沿岸警備隊本部を訪問しました。エドアルド・ファブリカンテ・フィリピン沿岸警備隊副長官(Vice Admiral Eduardo D. Fabricante, Deputy Commandant of the Philippine Coast Guard)の案内を受け、日本政府の円借款により建造されたフィリピン最大級の97メートル級巡視船「テレサ・マグバヌア」に乗船し、視察を行いました。また、同副長官から、南シナ海情勢や海上法執行等の業務について説明を受けたほか、日本の専門家派遣を含む日本政府によるフィリピン沿岸警備隊の能力向上支援につき、深甚なる謝意が表明されました。
  • (2)また、林大臣は、30日夜に現地の日系企業関係者と懇談を行い、日フィリピン経済関係や現地のビジネス環境等について意見交換を行う予定です。

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