外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】今回、総理特使として大統領就任式に出席するため、日本の外務大臣としては2年半ぶりに当地を訪問いたしました。日本にとってフィリピンは隣り合う海洋国家であり、基本的価値や戦略的価値これを共有する戦略的パートナーであります。
また、両国はアメリカの同盟国でもあります。この機会に、フィリピンの新旧政府要人と会談し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた更なる協力や、地域・国際社会の諸課題に対する連携強化について意見交換を行ったところでございます。
 本日は、マルコス大統領を表敬いたしまして、昨日はサラ・ドゥテルテ副大統領を表敬をいたしました。これらの表敬におきまして、ポストコロナの経済回復に向けた協力、観光を含む人的考慮の再活性化、フィリピン沿岸警備隊の装備・能力構築のための支援、自衛隊とフィリピン国軍の間の訓練等の強化・円滑化を一層推進することを確認をいたしました。また、ミンダナオ和平プロセスを引き続き後押しする日本側の意向も伝えたところでございます。

 地域・国際情勢についてですが、まず、私から、東シナ海・南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みや、経済的威圧に強く反対する旨、また、比中仲裁判断を堅持し、海洋権益を守っていくとのマルコス大統領の立場を支持する旨を述べたところでございます。その上で、マルコス大統領との間で、法の支配に基づく海洋秩序、これをを維持・強化していくために両国間で緊密に協力していくことで一致をしたところでございます。 また、ロシアによるウクライナ侵略につきましては、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、いかなる地域でも力による一方的な現状変更を許容してはならないとの認識を共有をいたしました。
 そのほか、北朝鮮の拉致、核、ミサイル問題、ミャンマー情勢等でも連携強化を確認をしたところでございます。
 昨日ですが、ドゥテルテ前大統領、またロクシン前外務大臣とお会いをいたしました。私から、両名の御尽力により両国の関係が「黄金時代」と評されるように至ったことに謝意を伝達し、ドゥテルテ政権下で立ち上がった経済協力インフラ合同委員会や外務・防衛閣僚会合「2+2」これらも活用しながら協力を一層強化していきたい旨をお伝えをいたしました。先方からは、1兆円規模のインフラ協力、海上保安能力支援、また新型コロナ対応、ミンダナオ和平への貢献等につき謝意が述べられたほか、政権交代後も両国の関係強化に尽力していく旨の発言があったところでございます。
 本日午後には、フィリピン沿岸警備隊を訪問し、日本の資金協力により私の地元、下関市で建造されました巡視船「テレサ・マグバヌア」を視察をいたしました。沿岸警備隊関係者から、南シナ海情勢や海上法執行等の業務について説明を受け、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の重要性に思いを新たにしたところでございます。
 日本政府としては、地域の重要な戦略的パートナーであるフィリピンとの間で、政権を越えて、二国間関係の強化や「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力を一層推進をしていく決意でございます。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】フィリピンとの安全保障協力に関してお伺いします。4月に「2+2」をやってですね、海洋安全保障での協力というのをこれまで進めてきたと思うんですけれども、次期政権ともですね、こうして協力を進めていくことを今回滞在を通して確認出来たのかということとですね、加えてRAAですとかACSAの「2+2」の方で言及ありましたけれどもそれの進展とですね、レーダーとか宇宙船供与というのもやってきましたけども何か新しいそういった供与案件みたいなところも話があったのかというところをお願いします。

【林外務大臣】安全保障分野や海上保安分野につきましては、本日のマルコス大統領及び昨日のサラ・ドゥテルテ副大統領への表敬におきまして、フィリピン沿岸警備隊の装備能力向上など海上のための支援やですね自衛隊とフィリピン国軍の間の訓練との強化・円滑化等の分野の協力を一層推進するということを確認をしたところでございます。共に海洋国家であり地域の重要な戦略的なパートナーであるフィリピンとの間で、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けまして、この安全保障分野や海上保安分野を含めて二国間関係を一層強化していくことが重要であります。「2+2」の枠組も活用してマルコス新政権と緊密に連携していく考えであります。このマルコス大統領とドゥテルテ副大統領の表敬においては、自衛隊とフィリピン国軍の間の訓練等の強化・円滑化についてやりとりを行いましたが、協定に関する具体的な議論は行っておらないところでございます。いずれにいたしましても、我が国としては地域の重要な戦略的パートナーであるフィリピンとの間で「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力や二国間関係を一層強化すべく、マルコス新政権と緊密に連携していく考えであります。

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