厚労省・新着情報

 

 

○日時

令和4年4月25日(月)15時00分~16時51分

○場所

Web会議
日比谷国際ビルコンファレンススクエア(8階)
東京都千代田区内幸町2丁目2-3

○議題

1.特定保健指導の見直しの方向性について(実施方法WGの進捗報告)
2.今後の進め方について(案)
3.その他

 
○議事

○杉田保健事業推進専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第2回第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙のところ御参加いただきまして、ありがとうございます。
本日は、オンラインによる開催としています。まず初めに、発言の仕方などを説明させていただきます。会議中御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
また、議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、異議なしの旨を確認させていただきます。
本日の構成員の出欠状況ですが、岡﨑構成員と長崎構成員からは欠席との御連絡をいただいております。岡﨑構成員の代理として、高知市保険医療課長の大原様、長崎構成員の代理として、山梨県福祉保健部国保援護課課長の山下様に御出席をいただいております。
本検討会の構成員の交代がございましたので、御紹介させていただきます。鈴木構成員にかわりまして、地方公務員共済組合協議会の天野構成員に御就任いただいております。また、伊藤構成員にかわりまして、日本労働組合総連合会の小林構成員に御就任いただいております。よろしくお願いいたします。
続きまして、事務局に異動がありましたので紹介いたします。健康局健康課女性の健康推進室長の田邉でございます。医療介護連携政策課医療費適正化対策推進室長の堤でございます。
本日の会議ですが、健康局健康課長と保険局医療費適正化対策推進室長は、公務の都合で途中退席させていただきます。御了承ください。
次に、資料の確認をお願いいたします。議事次第、座席表、資料1、2-1、2-2、参考資料1、2になります。過不足等あれば、マイクもしくはコメントでお申し出ください。大丈夫そうですか。
会議の冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。
それでは、以降の進行を座長にお願いいたします。
○中山座長 どうもありがとうございます。座長を担当させていただいております京都大学の中山健夫です。
構成員の先生方、本当に大変お忙しい中をお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速、議事に入りたいと思います。議事次第をご覧ください。本日の議題は、1つ目が、特定保健指導の見直しの方向性について(案)(実施方法WGの進捗報告)、2つ目が、今後の進め方について(案)、3つ目がその他となっております。
それでは、まず資料1、特定保健指導の見直しの方向性についての案、事務局から御説明をお願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 厚生労働省の医療介護連携政策課長でございます。
資料1、特定保健指導の見直しの方向性について(案)という資料に沿って、御説明差し上げます。
去る12月9日、第1回のこの検討会におきまして、効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループというものを設置して御議論いただくということを御了承いただきました。その後、ワーキング・グループを1月25日、それから4月12日と2回開催をいたしまして、御議論をいただいてございます。本日ここで資料1としてお示ししております資料は、そこのワーキング・グループで御議論いただいている状況について、御報告する資料でございます。今日この検討会でまた御指摘を頂戴いたしまして、そうした御指摘も踏まえて、また引き続きワーキングで御議論いただくことになるというものでございます。
お進みいただいて、2ページでございます。見直しの方向性ということで、この検討会から大きな方向性としてお示しいただいたものは、個人の受診者の行動変容につながり、成果が出たことを評価する方向(アウトカム評価の導入、ICTを活用した取組など)で検討してはどうかということで頂戴いたしております。
 そうしたことを踏まえまして、ワーキング・グループにおいては、ストラクチャー、プロセス、アウトカム、こうした3つの柱に沿って御議論いただいているところであります。
 1つ目の柱、ストラクチャー、特定保健指導の実施体制等についてでございます。2ページの見直しの方向性(案)というところをご覧いただきます。特定保健指導につきましては、モデル実施の取組を第3期からやっているところでございますが、こうしたモデル実施を委託して実施するに当たっては、委託方法を事業成果に着目した契約に見直していく必要があるのではないか。その際、成果連動型民間委託契約方式などを参考に、モデル実施にあった委託方法を普及していく必要があるのではないかということ。
 それから、2つ目でございますが、そうした場合におきまして、市町村国保では多くが直営でございまして、こうしたモデル実施を行うことが可能なのかといった論点もございました。そうしたことにつきまして、モデル実施を導入している市町村国保におきましては、個々の希望に応じて支援方法を対象者が選択する取組といったものを採用して、アウトカムとポイント制を併用して評価しているといったことがわかりました。こうした直営の市町村国保でも導入しやすいように、個々の市町村国保の取組事例の収集・周知を進めてはどうかといたしてございます。
 それから、ストラクチャーの2つ目の柱で、3ページにお進みいただきまして、ICTを活用した遠隔面接等でございます。見直しの方向性(案)というところの1つ目の固まり、初回面接の分割実施の促進についてというところでございます。初回面接の分割実施という仕組みは、これも第3期におきまして見直しが行われたものでございまして、検査結果が判明しない段階におきまして、健診受診の当日に腹囲、体重、血圧、喫煙歴等の状況から、特定保健指導の対象になると見込まれる方、そうした方に対して初回面接を行いまして、行動計画を暫定的に作成していただきます。その上で、後日、全ての項目の結果から医師が総合的に判断を行って行動計画を完成させる。そうしたような取組が、いわゆる初回面接の分割実施でございます。こうした分割実施を実施している保険者では、特定保健指導の実施率の向上とか対象者の負担軽減に資する、こうしたメリットが聞かれているところでございます。
 一方で、実施されていない理由を聴取いたしますと、実施体制の構築が困難であるとか、委託先でなかなかそうしたことが実施できない、そうした実施体制が課題となっていることがわかりました。ICTによる初回面接の分割実施など、柔軟な実施体制の普及を進めてはどうかといたしてございます。
 それから、2つ目が、ICTを活用した遠隔面接が有効な事例の普及ということでございます。今回、特定保健指導におけるICTの活用につきまして、可能な範囲で調査を行い、そうした結果も踏まえて御議論をいただいてございます。面接の事前調整・準備、対象者のICT環境、ICTリテラシーが低い方への対応、あるいは指導者側のICTリテラシーも必要といった課題が挙げられている一方で、どうしても、その勤務形態とか、あるいは立地によって、ICTを活用しなければ特定保健指導の実施が困難な状況もあるということでございます。そうした中で、ICTを活用した遠隔面接が有効な事例の普及に向けて、個々の課題に対応できるよう、留意点などを、この「特定保健指導における情報通信技術を活用した指導の実施の手引き」とか、「標準的な健診・保健指導プログラム」、こうしたもので具体的に示していくこととしてはどうかとしてございます。
 4ページにお進みいただきまして、2つ目の大きな柱、実施する特定保健指導等の内容、いわゆるプロセスの部分でございます。
 1つ目の固まりが、ICTを活用した加入者への働きかけということでございます。モデル実施におきましては、この生活習慣改善のために、加入者が健康情報を自ら記録し管理するアプリを活用している事例もございます。そうした中で、この効果的なアプリの機能、活用方法とはどのようなものかということについて、御議論いただいてございます。
見直しの方向性(案)というところでございますが、アウトカム指標であります腹囲とか、体重、あるいは対象者が選択した「行動目標」や「行動計画」に沿った指標、例えば、歩数、食事内容など、こうしたものを自動で、あるいは入力する形で記録をし、こうしたものが分かりやすい形で表示される機能、こうしたものが効果的ではないかということ。それから、実際に面談・相談のためのチャットやビデオ通話等の機能があると効果的ではないかということ。こうしたことも含めまして、保健指導対象者個々人に行動変容を促し、生活習慣改善に資するような、効果的なアプリの機能や活用方法について、「標準的な健診・保健指導プログラム」で具体的に示していくこととしてはどうかとしてございます。
5ページにお進みいただきまして、プロセスの見える化でございます。見直しの方向性(案)というところをご覧いただきますと、特定保健指導の指導内容、あるいは指導による対象者の行動変容に係る情報を収集し、「見える化」を推進するということ。これは、こうした情報を分析することでエビデンスが構築され、最終的に質の高い保健指導という形で対象者個々人に還元されていくということでございます。ただ、その際、現場負担も考慮した収集項目というものを考えていく必要があるのではないかということでございます。2つ目のポツでございますが、「見える化」に必要な収集項目につきましては、厚労科研の研究班で特定保健指導のプロセス評価の体系について検討していただいているところでございますので、その成果を踏まえて検討することとしてはどうかとしてございます。
6ページにお進みいただきまして、3つ目の柱、特定保健指導の対象者の身体状態の改善等、いわゆるアウトカムでございます。これにつきましては、今モデル実施という形でアウトカム評価が導入されているわけでございますが、見直しの方向性(案)というところをご覧いただきますと、特定保健指導のアウトカム評価は、実施率の向上等、一定のメリットがある一方で、2cm・2kgというアウトカム評価指標が、必ずしもなじまない対象者もいらっしゃるのではないかと。そうした中で、アウトカム評価を原則としつつも、従前のポイント制、すなわち介入の時間と手段に応じたポイント、そうした評価を併用することとしてはどうかとしてございます。
ちょっと7ページを先にご覧をいただきますと、評価体系のイメージというものが出てございます。メタボリックシンドロームに関する評価指標といたしましては、腹囲・体重、2cm・2kg、こうしたものを達成するということ、これがアウトカム指標であるわけでございますが、例えばその2cm・2kgは達成できなかったけれども、それに至る前の中間的な目標、例えば1cm・1kgのようなものを達成した場合には、一定のポイントを付与する。これもアウトカム評価でございます。あるいは、こうした腹囲・体重だけではなくて、例えば「食事や栄養」に関する目標を設定した保健指導の対象者につきましては、そうした目標に係る「行動変容」が起こった、そうした場合に、一定のポイントを付与することによって、これもアウトカム評価の1つとして評価をしてはどうかと。
こうしたメタボリックシンドロームに関する評価だけではなくて、喫煙についても、何カ月間の禁煙を達成したといったことをアウトカム評価として一定のポイントを付与してはどうかと。
こうしたアウトカム評価だけではなくて、一番下でございます保健指導の実施についての評価、いわゆる従前のプロセスとして介入の時間と手段に応じたポイント、こうしたものを付与して、これらを総合して180ポイントを達成した場合に、特定保健指導を終了することとしてはどうかというものでございます。180ポイントという数字自体に意味があるというよりは、これは今まで180ポイントという数字でやってきたものでございますので、ここでの評価体系のイメージのポイントは、アウトカム評価を原則としつつも、従前のポイント制の評価も併用する形で、総合して一定のポイントを達成した場合に特定保健指導が終了する、そうした考え方としてはどうかというものでございます。
7ページの真ん中より下のあたりで、この「行動変容」が起こったということにつきまして、これをどういった指標ではかっていくかということでございますが、8ページにお進みいただきまして、行動変容のステージモデルというものがございます。「無関心期」、「関心期」、「準備期」、「実行期」、「維持期」、こうした5つのステージを通ると考えられる中で、特定保健指導を行っている中で、食事や栄養に関する目標、こうしたことについて、例えばこの方は実行期に入ったとか、例えば維持期に入ったとか、そうした状況を評価いたしまして一定のポイントを付与する、そうしたことをしてはどうかというものでございます。
以上、駆け足でございますが、一通り、特定保健指導の見直しの方向性について、現段階でワーキング・グループにおいて御議論いただいている状況を御報告させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○中山座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ワーキングの主査を務められています津下構成員から、進捗について御追加があれば、どうぞよろしくお願いいたします。
○津下構成員 ありがとうございます。効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループの主査を務めております津下と申します。
1月25日、4月12日に会議を持ちました。その中で、特に第3期にさまざまな弾力化が実施されましたが、その進捗状況とか、それによる効果、それから研究事業などを踏まえたディスカッションをいたしました。
ただいま御説明いただきましたように、まずポイント制については、さまざまな御意見がこれまでもあったところでございますけれども、モデル実施の中で2cm・2kgという目標を明確にしたことでモチベーションが上がったとか、そのような効果もちゃんと出ていたというような御報告もいただきました。また、目標達成者の割合が23%ということでございましたので、2cm・2kgを達成していない、そのほかの方々には追加の保健指導を行うことで終了に持っていったということです。このようなモデル実施に取り組んだことで、新たな保健指導の方法を開拓された保険者さんが多かったかなと思いました。
例えばICTの活用とか、健康増進施設との連携とか、産業保健との連携とか、さまざまな方法で効果が出るやり方を、保険者さんの特性に合わせて工夫されていたということがあります。その結果、2cm・2kgの目標を設定する意義についてとか、さまざまな工夫をできた点がメリットとして挙げられました。ただ、モデル実施自体、十分に保険者が広がっていないという課題もありまして、事務的な煩雑さとか、またプログラムをどうやってつくったらいいのだろうとか、という声もありました。これを広げるためにどうしたらいいかということについては、今後さらに実施しやすい方法の検討が必要だろうということが議論されました。
先ほど御説明ありましたように、この2cm・2kgだけではなく、より本人に合った多様な指標、例えば喫煙者であれば禁煙ができたら、それは保健指導の効果としては非常に有効なものと言えるわけですけれども、禁煙したばっかりに体重が増えて2cm・2kgを達成できないと。これは効果がなかったと言えるかどうかということも議論にはなりまして、やはり特定保健指導が目指すほかの行動変容をどう評価するかということが重要だろうと思います。
また、2cm・2kgに達しなくても、その間でも内蔵脂肪が減少することが検査値の改善につながるということがわかっておりますので、その他の指標を立てて具体的な評価を行うということについても、前向きな御意見がありました。
それから、ICTの活用については、特に初回面接のオンラインの実施については、これがあったからコロナ禍でも保健指導が実施できたという意見が非常に多くありました。ただ、ICTが抱える限界といいますか、対面とはやはり違う面もございますので、そのような特性も考えながら、オンラインの初回面接を広めていくことは重要ではないかという御意見が多かったと思います。
さらに、アプリについては、初回面接をしたあと、その行動変容につなげていくためには継続的なサポートが必要なのですけれども、面接とか保健指導者のかかわりだけではなく、セルフモニタリングとか、それから本人に合った適切な情報提供とか、そのようなことができるアプリが非常に急速な勢いで開発が進んでおりまして、このような特定保健指導になじむようなアプリの有効活用についても、積極的に検討してはどうかというような御意見がありました。
第3期で弾力化の中でさまざま工夫したことについて、次の制度の中にうまく取り込んでいくこと。また、これを広げるためには、どちらかというと先進的な保険者さんとか保健指導機関が進めていらっしゃるということがありまして、それを広げていくためには、より広く実施しやすい方法の横展開が必要なので、そこには制度的な後押しが必要になってくるというふうな御意見があったかと思っております。
以上です。
○中山座長 津下構成員、非常に広範な御検討、丁寧な御検討をいただきまして、どうもありがとうございました。
それでは、今の御報告について、ストラクチャー、プロセス、アウトカムのデータの課題が整理されていますので、そこの順番でそれぞれお気づきの点を御遠慮なく御発言いただければと思います。
まずは、ストラクチャー(構造)について、実施体制について、いかがでしょうか。できるだけ多くの方々に御発言いただければと思っていますので、質問で答えられるところは答えていただきますけれども、持ち帰って、後でまたワーキングで深めていただいてということを重視したいと思います。
それでは、どうぞ御遠慮なくお願いいたします。では、中島構成員、どうぞ、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。
今回の検討会では、保健指導の効果に着目した「アウトカム指標の導入」と、「ICTの活用」の2つが提案されており、それとともに効果のある保健指導とはどういうものかを「見える化」していこうという提案が、大きな方向性であると理解しております。
協会けんぽとしては、その方向性を否定するものではございません。ただ、今回の特定健診・特定保健指導の見直しにあたっては、こうした仕組みは、メタボリックシンドロームと呼ばれる内臓脂肪の蓄積が、高血圧や高血糖、脂質異常を引き起こす共通因子であることに着目し、メタボリックシンドロームの該当者や予備群を減らしていくためのハイリスクアプローチにあるということを基本線に制度が導入されたものだと承知しており、そのような観点から、3点申し上げたいと思っております。
1点目は、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の状況が改善しているのかどうかについてです。そして、改善しているとすれば、その改善に特定健診・特定保健指導がどのように貢献しているのかについて、それぞれ共通認識を持っておく必要があると考えております。
メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の推移に関しては、厚生労働省において複数の実績値が存在していると承知をしております。まず、本年2月28日に健康局が開催した「第17回健康日本21(第二次)推進専門委員会」で示された目標項目別の評価一覧において、2008年と2019年を比較すると8.3%増加しており、総合評価は「悪化している」となってございます。
一方で、保険局において、特定健診・特定保健指導の実施主体である保険者からの報告を取りまとめた2019年度分の実施状況が公表されており、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群に関する2008年度と対比した減少率として、3つの値が存在しております。
具体的に申し上げると、「メタボリックシンドロームの該当者及び予備群の減少率」は4.9%増加していますが、そのうち服薬者を除くと7.6%減少しているとあり、また、メタボに加えて血糖値のリスク判定範囲を広げるとともに、、BMIも含めた「特定保健指導の対象者の減少率」で見ると、さらに減少率は拡大して、13.5%の減少となっています。
健康局の示した実績値では「悪化している」となっている一方で、保険局の示した実績値では、「増えている」ものもあれば、数字の取り方によっては「減っている」ものもあるわけでございます。
2008年度からスタートした特定健診・特定保健指導によって、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群が減少しているのかについては、これら4つの指標を踏まえ、共通認識を持っておく必要があると思っております。第4期特定健診・特定保健指導の見直しの議論を進めていく前提として、これまで保険者が取り組んできた特定健診・特定保健指導を、「効果があった」と見るのか、それとも「効果がなかった」と見るのかでは、議論の方向性そのものが変わってくると考えており、厚生労働省としての統一的な見解を示していただきたいというのが1点目です。
2点目は、メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍を減らすという観点から、「2cm・2kg減」や「1cm・1kg減」が、メタボリックシンドロームの該当者及び予備群を減らすことと、医学的にどのようなエビデンスや因果関係をもつのか。そこを明らかにした上で、わかりやすく国民に説明していく必要があると考えております。
また、アウトカム指標の一つとして行動変容の変化を評価する案が示されていますけれども、この場合にも、メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍を減らすために最も有効な行動変容に着目すべきであると考えております。
最後に3点目として、ICTやアプリの活用についてです。確かにこれらを活用することによって、保健指導に要するマンパワーの効率化が図られることは否定いたしません。
しかし、単に効率化に資するという理由だけで導入するのではなく、それが保健指導の質の向上に繋がるものでなければなりません、こうした観点から、まずは、メタボリックシンドロームの該当者及び予備軍の減少に繋がった効果のある保健指導の「見える化」について、早急に成功事例を分析し、保健指導の質の向上に繋がる諸要素を明らかにした上で、その要素に合致したICTやアプリを導入すべきという順番で議論していくべきではないでしょうか。そのような分析がなされないままで、ICTありき、アプリありきで議論が進むことは、必ずしも効果の出ない保健指導が量産されることに繋がるのではないかと危惧しています。
以上、3点でございます。よろしくお願いいたします。
○中山座長 中島構成員、非常に重要な御質問、どうもありがとうございました。やっぱり全体にかかわることなので、これについては、まず厚労省、またはワーキングのほうから、御回答いただければと思いますが、よろしいでしょうか。お願いいたします。
○水谷医療介護連携政策課長 厚生労働省の医療介護連携政策課長でございます。
中島委員、御指摘どうもありがとうございます。中島委員から、今、数字を御紹介いただきました。健康局でやっております「健康日本21」におきましては、メタボリックシンドロームの該当者、それから予備群の人数ということで、これは特定健診の受診者の中で、このメタボリックシンドロームの該当者、予備群の該当者の割合という概念がございます。そうした割合で、国民全体の該当者の割合を推定、推計して出しておる数字ということになります。これが平成20年の策定時は1,400万人、それが令和元年には1,516万人ということで、増えている状況にあるということが、「健康日本21」の数字でございます。
一方、特定健診・保健指導の世界におきましては、これをどうした指標で見ていくかということは、今までもさまざまな議論があったわけでございます。そうした中で、私どもとしては、これを特定保健指導の対象者の減少率ということで見ていってはどうかと。これは、先ほど中島委員から御紹介がございました2008年度と比べまして2019年度は13.5%減少しているというのが、この数字でございます。これは性・年齢階級別の調整を加えている数字でございまして、先ほどの「健康日本21」の割合でもって国民全体の該当者数を推定するというアプローチよりは、この性・年齢階級別という要素を加味しているという点において若干の違いはございますが、ただ、それ以外にも、当然、中島委員から御指摘がございました服薬をしている方であるかどうか、あるいはメタボリックシンドロームの該当者・予備群全体であるかどうか。それによって、今申し上げた13.5%の減少という数字が、例えば非服薬者のうちのメタボリックシンドロームの該当者・予備群の減少率は7.6%の減少になりますし、メタボリックシンドローム該当者・予備群の減少率で見ますと、実はプラスの4.9%になるということで、まさに数字が、プラスもマイナスも含めて、あるという状況でございます。こうした中で、何をより着目して見ていくかということにつきましては、第3期のこの特定健診等実施計画期間におきましては、この特定保健指導対象者の減少率で見ていくということで、私どもはこれまで指標を示させていただいているところでございます。
ただ、この特定保健指導にどういう効果があるのか。これはこれまでもさまざまな分析等々がなされてきていて、ここにいらっしゃる先生方にもさまざまな分析をいただいているところでございます。例えば第2回のこのワーキング・グループでお示しした分析では、2018年に、モデル実施の積極的支援を実施した方の体重、腹囲というのは、2019年の特定健診受診時に、腹囲で言えば0.6cmから1cm、体重であれば0.5kgから0.9kg減少している。こうした結果が得られているわけではございますが、いずれにいたしましても、こうしたものを見るときには、年齢構成の影響とか、あるいは特定健診を受診された方と、そうでない方、そもそもの健康意識の違いの問題とか、あるいは効果を判定するまでの期間の長さ、そうしたさまざまな要素がありますので、引き続きこうしたものをなるべく排除する形で、どういった比較ができるのかということについて、検討してまいりたいと思います。
それから、2点目に御指摘いただきました、まさにエビデンスがある形できちんとお示しをしていく。あるいは、3点目に御指摘をいただきましたICT、アプリの活用は、あくまで保健指導の質の向上につながるような形で行うべきということ、まさにおっしゃるとおりかと存じます。
私どもも改めて、この特定保健指導というものは何を企図しているかということで、標準的な健診・保健指導プログラムに書いてある一節を改めて申し上げさせていただきますと、「生活習慣病予防のための保健指導とは、対象者が自らの生活習慣における課題に気付き、自らの意志による行動変容によって健康課題を解決し、健康的な生活を維持できるよう、必要な情報の提示と助言等の支援を行う」と書いてございます。アプリの使用にいたしましても、あるいはアウトカムによるそうした評価にいたしましても、こうした特定保健指導の目指すもの、こうしたものを常に念頭に置きながら議論していくべきだと思いますし、また引き続きワーキング・グループにおいて御議論いただきたい、そのように考えてございます。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。
津下構成員、この件についてでしょうか。
○津下構成員 はい。ありがとうございます。
今、厚生労働省のほうから御説明いただいたことと重複することになりますけれども、1つは、メタボリックシンドロームというのは服薬者も含んでいるということです。服薬者については、内蔵脂肪が大きくても特定保健指導の対象ではありません。また、加齢とともに服薬者は増えるということで、高齢化、人口構造の変化によって、メタボリックシンドローム自体が増えていくということが起こっております。一方では、特定保健指導は服薬している人は除外した対象者に対して実施するものということになっておりますので、データのずれが起こっているということがあろうかと考えております。
もう1点、ICTの活用、アプリの活用については、本当におっしゃるとおりで、やはり研究としてアプリを導入する際も、本人の行動目標やアプリのリテラシー等、それからどういう機能を活用していくのがいいのかということを、丁寧にお話をしながら導入しているということです。どんなアプリでもいいということではなさそうだと思っております。この点についても、さらに特定保健指導に適したアプリの利用方法などについて、ワーキングでも議論していきたいと考えております。
以上です。
○中山座長 津下構成員、どうもありがとうございました。
それでは、次、鎌田構成員、今村構成員、岡村構成員、河本構成員の順番でお願いいたします。それでは、鎌田構成員、お願いいたします。
○鎌田構成員 日本看護協会の鎌田です。御説明ありがとうございます。
この資料1について、全体としての意見ということでよろしいでしょうか。
○中山座長 結構です。
○鎌田構成員 ICTのことは先ほどから出ていますが、現場からもICTを活用した働きかけの推進については、異論ありません。ただ、先ほど触れていました、ただ単にアプリを使えばよいということではなく、やはり成果に結びつくICTの活用が重要であると思っております。具体的な活用方法についても、示されればよいのではないかと思っております。例えば目標設定を明確にした上で、対象に応じたICTをうまく使いこなす必要がありますので、ICTが選択できる能力や、それを踏まえた保健指導ができる、人材育成も非常に重要ではないかと思っております。
また、メタボ改善率の向上に向けた、保健指導の質の向上ということが重要になってくるかと思いますし、現場のほうでは毎年繰り返し保健指導対象となる方への御対応に苦慮していると思います。保健指導事業の評価を困難にしている1つの理由としては、評価指標の収集が困難で収集に時間を要するということもあります。あと、評価体制が整っていないのではないか、例えば保健指導情報を管理する仕組みがどうなのかということとあわせて、この分析や集計のスキル、ソフトがありますので、そういったところの人材育成等が必要ではないかなと思っております。
また、見える化することによって、対象者の健康状態の評価や保健指導の効果について評価できることは非常に重要だと思います。今後は、どういうふうに保健指導の効果があったのか。さらに、保険者が判定できるように情報提供ができるようになればいいと思います。
評価のところで、1つ、一番最後に挙げているところに、評価体系のイメージで、2cm・2kg、いろいろ書いてありますけれども、このようにメタボの改善率というのも重要になってきます。今回の説明にあるかもしれませんけれども、生活習慣の改善がどうだったのかといったところも、しっかりと見ていく必要があると思います。そこには、食で言えば減塩ができたのか、減量はどうなったのか、身体活動、運動はどうだったのか、適量飲酒、禁煙、そのような個人の健康づくりについても、何か評価する仕組がアプリの中に入っていけばいいのかなと思いました。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。ワーキングのほうで、ぜひ御検討を深めていただければと思います。どうもありがとうございます。
それでは、今村聡構成員、お願いいたします。
○今村聡構成員 ありがとうございます。
また、ワーキングの先生方、本当に詳細な御検討をいただいて、本当に感謝申し上げます。
このストラクチャーの中で、ICTの活用というのは非常に重要だと思っております。ICTというのは、必ずしもオンラインということだけではないと思うのですけれども、今、医療のほうではオンライン診療やオンライン服薬指導というのが急速に進んでいて、エビデンスがどこまであってやっているかということよりも、いろいろとにかく社会的な動きの中で進んでいる部分が非常に多い。もともとこのオンライン診療などの話が起こってくる前に、この特定健診・特定保健指導でオンラインでの指導というのは認められていたはずなのですね。それがどうして普及しなかったのかという、まずはその分析がどうなっているか。
それから、エビデンスは重要なのですけれども、もともと電話やメールによる保健指導にもポイントが今までついているわけですよね。すると、電話よりもさらにずっと進歩しているさまざまなICTツールを活用することは、エビデンスがないとやってはいけないという話ではなくて、これは進めながらある程度エビデンスを集めていくということをするしか多分ないと思っていて、走りながら考えるというのも変なのですけれども、そういうことで取り組んでいただければと思います。
ただ、いろいろICT機器を活用する場合のさまざまな課題というのがあるわけで、ここで費用的な問題も多分出てくると思うのですけれども、民間事業者のシステムみたいなものを使ったオンラインの指導という話になると、民間の事業者さんによって全くコストが違っているのですね。例えばオンラインでお互いにスマホ同士でやれば、それほどITリテラシーが高くなくてもできるのかといったら、いや、さすがにそういうことではないだろう。医療ほどではないけれども、機微に触れるいろいろな情報をやりとりするので、やっぱり国がある程度共通のシステムというか、こういう基準をつくる必要がある。単なる手引きではなくて、いわゆる指針のようなルールを明確にしていただいて、こういう基準、受ける場所はどうであるとか、こういう機器を使ってくださいというような、ある程度のルールというものをやっぱりしっかりつくった上で進めていっていただければというふうには思っております。
国民の皆さんが、診療だけではなくて、こういうものに触れていくということで、今はこういう会議もオンラインでやることについて、だんだんみんな慣れてきているのですけれども、保健指導を受けるに当たっても対面に近い指導というものもできるのではないかなと思っておりますので、その点をぜひ御留意いただければと思います。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。
津下構成員、ワーキングの立場からいかがでしょう。ICTは大きな課題ですけれども。
○津下構成員 ありがとうございます。
まさに、今村先生がおっしゃったように、これまでオンラインが広がらなかった理由として、実施の基準がよくわからなかったことが挙げられるかと思います。この方法が許されるかどうかとか、どういう方法だったら情報管理は大丈夫なのかとか、どこまで整備するか、それが不明確だと、なかなか進まないということがあります。また、しっかりしたシステムだと導入コストが高いこともあって、そういった小さな保険者や、直営でやっているようなところが活用しにくかったかもしれません。
ただ、このコロナ禍で急速にオンラインの環境が整ってきたということ、それから対象者もシステムに慣れてきたということがあります。特定保健指導だけのためにオンライン対応を対象者にしていただくのは難しいのですけれども、日ごろお仕事で使っている人ならば、オンラインでサクサクと面接もできたりするということで、双方が温まってきたのではないかと思います。このコロナ禍の情勢の中で、このオンラインもうまく活用していくと、
これまで遠隔できなかった、または出張などで中断していた方々、島しょ地区の方々、そういう方々へも保健指導ができるようになったと。そういうメリットも見えてきているので、先生のおっしゃる指針とか安心して使える環境を示していくというのは、重要なことかなというふうに思いました。ありがとうございました。
○中山座長 どうもありがとうございます。
ICT、アプリ、それからPHRの議論も厚労省では進んできています。民間のPHRの事業者のガイドラインなどもありますから、それを何か準用、援用していくようなことも可能かもしれませんね。また、ぜひ御議論いただければと思います。
では、次は岡村構成員、お願いいたします。
○岡村構成員 まず、これは人材育成のところで御検討いただきたいところなのですけれども、これもやっぱり職種、専門職の自己研鑽というのもすごく大事だと思います。これは、例えば看護系、管理栄養士系、いろいろな方が取れるような、例えば学会でも資格というのがありますね。例えばこれは糖尿病でも高血圧でもいろいろあるのですけれども、そういうものをやっぱり活用して自己研鑽を進めていただくようなことをやっぱり書き込んでいただいたほうがよくて。これは自分でやるにしても、何か書いてないと、例えば研鑽のための試験を受けに行く時間もつくれないとか、そういう何か障壁というのはやっぱりありますので、そういう資格制度の活用は、これはもう幅広く、多分全部列挙したら十幾つか関係してくるのがあるかと思いますが、試験を受けて資格にするような、そういう資格があれば、ぜひそれの取得を推進していただくようなことは書いていただくと、非常に皆さん励みになるし、資質も上がるのではないかと思いますので、そういうことをぜひ御検討いただきたいなと思っております。
それから、アウトカムのところですが、組み合わせてある程度ハードルをそろえておかないと、事業評価なんかと絡んだりすると、簡単に達成しやすいアウトカム指標のところに殺到する危険性があるだろうと見ておりまして、例えば1cm・1kgとかになってしまうと、前の晩に脱水させたらいくのではないか、みたいなそういう危険性も若干伴うので、1cm・1kgなら、何かほかの生活習慣の変化と組み合わせるとか、何かしておかないと、多分どうしても取りやすいところに流れていくのではないかと思いますので、そこはちょっと御検討いただければなと思いました。
以上です。
○中山座長 岡村先生、どうもありがとうございました。確かに専門職の生涯学習、人材育成の仕組みに絡めるというのはすごく重要ですね。ありがとうございます。アウトカムについても、貴重な御指摘、本当にどうもありがとうございました。
それでは、その次は、河本構成員、木野構成員、今村知明構成員、武藤構成員、中野構成員、それから田中構成員の順で御発言いただきたいと思います。それでは、河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。健保連の河本です。私からも全般にわたりコメントをさせていただきます。
ワーキング・グループでも、保険者の取組や努力が報われる制度設計を求めてまいりましたが、アウトカム評価の導入あるいはICTを活用した取組により、受診者の行動変容につながり成果が出たことを評価するという今回の見直しの方向性については賛成です。
まず、ICTに関しては、コロナ禍等により在宅勤務などの働き方の見直しが急激に進んでいる状況を考えると、ICTを活用した特定保健指導のニーズは、極めて高いものがあると思います。複数の構成員から御指摘のあった点を留意することはもちろん必要だと思いますが、ICTの活用は、確実に進めるべきだと考えております。
次にアウトカム評価についてですが、やはり保険者の努力が反映される、シンプルでわかりやすい仕組みにしていただきたいと思います。例えば2cm・2kg減少や禁煙の達成、あるいは受診勧奨による医療機関の受診については、達成されれば、その保険者の努力を認めて保健指導の達成とする。あるいは、1cm・1kg減少など2cm・2kg減少に至らない場合は、先ほど岡村先生からも御指摘がございましたが、これにあわせて、例えば運動習慣、食事習慣の改善など、1項目を達成すれば保健指導を達成とするといったイメージです。これはポイント設定の仕方ということになるのかもしれませんが、できるだけシンプルでわかりやすい仕組みを御検討いただければと思います。
また、これまで特定保健指導中に退職したケースや初回面接で難病とか透析患者であることが判明して、保健指導を中止したケースについても、保健指導対象者として分母に算入されておりましたが、こういうケースについては保健指導対象者の分母から除外できる取り扱いにすべきかと考えております。
 
○中山座長 どうもありがとうございました。
全部、津下先生にお答えいただいていると多くの先生方の御発言ができないので、恐縮ですけれども、御意見いただいて、それをワーキングのほうでまた御検討いただくようにできればと思います。
それでは、木野構成員、お願いいたします。
○木野構成員 ありがとうございます。全般についてのお話になろうかと思いますので、よろしくお願いします。
まずは、今回の検討会の中で、資料1によって見直しの方向性の案を具体的にお示しいただいたわけです。我々も、日々、試行錯誤しながら特定保健指導等を実施しております。そういう意味では、この資料の2ページ、3ページにもありますけれども、柔軟な対応の普及とか、事例の収集等の取組というのは、きちんと進めていただきたいと思っております。
我々のような小さな町では、特定保健指導の対象者というのはそれほど多いわけではありません。ICT、アプリを活用するとしても、その利用者は非常に少ないと思われます。そういう意味では、ICT、アプリは、全部それに頼るということではなく、選択肢の1つとして位置づけていただくとともに、アプリの提供等、利用環境の整備に対する支援があると、非常にありがたいなと思っております。
次に、5ページの特定保健指導の「見える化」に必要な収集項目については、現場の負担にも十分に配慮して設定していただくとともに、収集した情報の分析方法等については、保険者のほうが、それが非常に理解しやすい、わかりやすい方向で御指導いただくと、非常にありがたいなとそんなふうに思っています。
さらには、6ページのアウトカム評価については、それのみを評価の中心にするのではなくて、資料にも記載がありますように、従前のポイント制の評価の併用や段階的な評価も組み合わせながら、より対象者の行動変容につながるものにしていただければありがたいと思っています。
それと、蛇足ではありますけれども、アウトカム評価は、単に対象者に対する評価ということもあるのですけれども、現場の担当者はある意味で非常に忙しい中で特定保健指導等もやっておりますので、そういった方たちの仕事の達成感、充実感につながっていけば、これはより効果的になってくるのではないかとそんなふうに思っていますので、どうかその点も含めてよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○中山座長 木野構成員、どうもありがとうございました。モチベーションがきちんと高められるような、その仕組みづくりを本当に目指していきたいと思います。どうもありがとうございました。
では、今村知明構成員、お願いいたします。
○今村知明構成員 今村です。
今、ストラクチャーの議論のところで、エビデンスの創出が導入の前に必要だという議論があって、今村聡先生がおっしゃったように、走りながら考えるしかないというのは全くそのとおりだと思うので、ただ、そのエビデンスを創出する、特にこれは政策評価としてエビデンスをつくるのですけれども、今の段階でどんなものを政策評価のエビデンス、効果と考えるのかというのは、ここに導入するときにも、ぜひ並行して考えてもらいたいです。
私は後出しで政策評価をしてくださいということをよく言われるのですけれども、後から評価してくれと言われても、その前の段階をそろえずに評価するということは、ものすごく難しいのですね。今あるデータで調整するというのは、やっぱりどうしても限界があって、今の段階ならば、どういうことを前段の情報として持って、政策評価としてどういうものをするかということを考えてもらえるステップだと思うので、ぜひこのワーキングで、何が必要かということと、では、それが効果があるかどうかをどうはかるかということを、議論をしていただきたいと思うのです。やってみて効果を見るというのはそのとおりなのですけれども、全てやった後に効果を見るのは無理なのですね。ぜひ、やる前にその前段の部分の前固めということをしてほしいと思っています。
あと、アウトカムは後で議論すると考えてよろしいですか。
○中山座長 ええ、また戻ってきますので結構です。
○今村知明構成員 以上です。
○中山座長 今村先生、どうもありがとうございました。今、厚労省と経産省の、いわゆる大規模実証事業のほうも動いておりますので、何かあったら、うまくそういったような成果がきちんと反映させていかないといけないかなというふうに思いますし、ぜひ、またワーキングのほうでも御議論いただければと思います。ありがとうございます。
それでは、引き続いて、武藤構成員、お願いいたします。
○武藤構成員 人間ドック学会の武藤です。
先程来、お話のあるICTですね。我々の施設でも遠隔支援がすごく増えていまして、ちょっと簡単に御説明させていただきたいのですけれども、コロナ禍の前は我々は大体7,000人ぐらいの特定保健指導を行っているのですけれども、コロナの前は、5人ぐらいしか、数人ぐらいしかやっていなかったのですけれども、それが現在は1,400人、大体30%以上が遠隔支援になっておりまして、かなり伸びています。先ほど津下先生がおっしゃったように、やっぱり慣れの問題があるみたいで、実際にやってみると、遠隔のほうがいいという意見が多くて、運用的にはほとんど困ることがないというような状況です。
あと、効果に関しては、しっかりとした論文にするほどのデータではないのですけれども、一応とりあえず今までやった人たちの、完了した人のデータを見てみますと、実際に対面で行ったものと遠隔で行ったものと、体重減少効果は全然変わりがなかったというところです。むしろ若干遠隔のほうがよかったみたいなのですけれども、多少はバイアスがありますから恐らくそこまで大きな差はないと思いますけれども、遜色ないという感触は得ております。
あとは、アウトカムのほうですけれども、いろいろな、体重減少とか、あとは行動変容とかを評価するというのは、大変ごもっともな意見として非常にいいと思いますが、ただ、あまりいろいろな指標があると、恐らく現場では非常に混乱する可能性がありますので、それが、現場が混乱しないように、わかりやすいような指標にまとめていただけるとありがたいと思います。
以上です。
○中山座長 武藤構成員、どうもありがとうございました。
それでは、引き続き、中野構成員、よろしいでしょうか。お願いいたします。
○中野構成員 国保中央会の中野と申します。よろしくお願いします。ありがとうございます。
アウトカムの指標とか保健指導の評価を行って取組の見える化を図る、こういったことについては全く異議ございません。そのためには、我々、高齢者世代の多い国保の特性を踏まえた健診についても、しっかり行っていきたいと思っています。
この場で言うお話ではないかもしれませんが、国保の被保険者は前期高齢者が非常に多くて、全体の半分弱、今は45%程度が前期高齢者であります。その世代の方は、皆さんおわかりだと思うのですけれども、恐らくメタボからフレイル予防に切りかわっていく時期ではないのかなと。それもある日突然になるというのではなくて、恐らく段階的になっていく。それから個人差も非常に大きい。早い人では恐らく65歳前後から、メタボからフレイルになっていくという方もかなり多いのではないかなというふうに考えまして、この辺についても、保健指導をどうしていくのかということも、なかなか難しい課題ではあると思いますが、御議論いただければと思っております。
それからあと、ICTの活用ですね。これについては、我々、へき地とか離島を抱えておりますので、この保健指導を行っていく上で非常に有効なツールであるということは認識しているところでございます。ただ、やはり高齢者の方を指導するとなりますと、かなり困難になっていくということですので、なかなか難しいとは思うのですけれども、例えば操作のしやすいICTを示すとか、そういったものもあるといいのかなと思っております。もし、効果的な取組や事例の提供、高齢者対象の事例がありましたら、御提供いただければと思います。
以上でございます。ありがとうございます。
○中山座長 ありがとうございました。確かに国保の前期高齢者のフレイルへの移行、両方の問題というのは、ちょっと非常に確かに、ここではないかもしれませんけれども、大きな問題かなというふうに感じますね。また、これは厚労省で改めて議論を深めていただければというふうに思います。ありがとうございました。
それでは、田中構成員、よろしいでしょうか。お願いいたします。
○田中構成員 ありがとうございます。今までいろいろとお示ししていただきまして、ありがとうございます。
ICT等の利用に関しましては、構成員の先生方の御発言と、私もほぼ同じように思っております。私のほうも、今、ここが中心の議題ではないのかもしれないですが、先ほどの中野構成員様が言われていたことと似たようなことなのですけれども、やはり高齢者の世代のところですね、65歳とか74歳になるまでのところというのは、もちろんメタボのところのお話ではあるのですが、75歳になりますとフレイルということが注目されてまいりますので、そこら辺が上手に移行できていくような形で、特に自治体のほうが混乱しないような形で、何らかのプログラム等で示していただくことも重要かなと思っております。
それからあと、アウトカム評価のところですが、1cm・1kg、途中の努力を評価するということに対しましては、私も気持ちとしてはわかるのですけれども、1cm・1kgとなると、ちょっとどうかなというのが実際に感じるところでもございます。それと、行動変容のところのステージを合わせていくとなると、行動変容の時期も明らかに違う無関心期から実行期に移っていくとか明らかな場合は明らかなのですが、どちらかよくわからないような微妙なところもございます。もしこれを検討されるとなりますと、事例なり何なり、かなり慎重に議論していただくということが重要になってくるかなと思いました。
以上でございます。
○中山座長 田中構成員、ありがとうございました。
それでは、すみません、ストラクチャー、プロセス、アウトカムという形で言っていたのですけれども、先生方からもう全体を通していろいろコメントをいただきまして、どうもありがとうございます。今村知明先生、よろしければ、先ほど御発言されていなかった部分をどうぞ御追加ください。
○今村知明構成員 ありがとうございます。
では、アウトカムについて、ちょっと発言させてもらいたいと思います。2cm・2kgを加えること自身は賛成なのですが、本質的な問題として、病気の人は2cm・2kg必ず減りますよねというのがあります。なので、それをどう考えるのですかというところをちょっと整理をしてほしいと思っています。それは、このメタボ健診の究極の問題で、病気になるとメタボは改善するのですね。ですから、その問題を避けて全部2cm・2kg減ればいいというような話には多分ならないと思うので、病気になって減る人をここからどう除外するかというところは大きなテーマだと思うのです。先ほどの、事前の状況を合わせてもらわないと評価ができないというのは、こういう病気の人を例えば医療費で評価すると必ず病気の人は医療費が高くなりますから、そういうふうなことを除外してあげないと効果は見えないというふうなことがあると思うのです。ですから、メタボの予備群さえ減ればいいという発想と、本質的に病気になった人の問題というのは、また別の問題だと思うのです。
先ほど健康行動と掛け合わせればちょっとはよくなるという話があるのですけれども、でも、この掛け合わせがなかなか難しいところで、今、禁煙と2kg・2cmが出てきていますけれども、例えばぜんそくがちょっと悪くなった人であれば、多分禁煙して2cm・2kg減ると思うのですね。ですから、すると、あまりそこに重きを置くと、ポイントは上がるのですけれども、特異的な病気の人を集めていくというふうな面があって、そこをどう除外していくのかということ。もしくは、もうそれは入れて考えるのだというふうに割り切るというようなこと、そこをちょっとワーキングのほうでも、この2cm・2kgを入れるのであれば、ぜひ議論してほしいというふうに思っています。
以上です。
○中山座長 今村先生、御指摘どうもありがとうございます。
津下先生、これに対して何かお答え等をいただけますでしょうか。
○津下構成員 今の評価のことで言うと、医療費適正化効果の分析のワーキングでは、例えば少数例でも、がんの患者さんが入ったりとか、大きな医療費がかかる病気の人が入ることによって評価がうまくいかなくなってしまうということがありますので、どういう方を分析時には除外するかということを整理した上で分析を行いました。そのように、医療費に大きな影響を与えるような疾患については、事業評価という点では配慮していく必要があるだろうと思います。
一方では、保健指導の現場で複雑な場合分けをあまりに多くしてしまうと、運用も難しいということがあります。現在、特定保健指導では、糖尿病、高血圧、脂質異常症の薬剤を飲んでいる人は除外対象になったりしておりますけれども、事前に保健指導の除外対象にすべき方が、例えば質問票とか、レセプトを見て除外するということはできないので、どういうことが可能なのかというのは、検討していただいてもいいのかなというふうに思いました。
それからもう1つ、2cm・2kgの話が出ておりますが、これは積極的支援の事業評価の話であります。65から74歳の方は積極的支援に該当しても動機づけ支援になりますので、180ポイントがなくても保健指導終了ということになります。ですから、行き過ぎた減量を支援しているということにならないように、前期高齢者についてはこの制度開始時から配慮されていました。ただ、このときにはフレイルという概念というのがそれほど明確ではなかったために、前期高齢者にどんどんやせましょうというメッセージは出しにくいねという判断だったかと思います。生活習慣に気をつけていただきながら、地域の健康づくりの活動とにつなげていくのがいいですよねということで、65から74歳については、積極的支援に該当しても動機づけ支援にするというルールの中で安全性に留意してやってきたのですけれども、フレイルの概念が出てきた今、その前期高齢者に対して適切な支援については検討していくというのが重要かなというふうに思います。
それからもう1つ、保健指導の効果を評価するのに質問票とか検査値というのは全部NDBで収集されているのですけれども、どのような保健指導をしたかというデータが収集されていない。支援のタイプと、それから終了したかどうかだけはわかるのですけれども、それ以上の細かい分析は、情報を入れるところはできるのですけれども、欠損していてもいいわけですよね。そういう中で評価をしていくならば、どういうことが、特定保健指導の項目として入力が必須な項目なのかを明確にすることが必要と、今村先生のお話を聞いて感じたところでございます。今後も検討していく必要があると思います。ありがとうございました。
○中山座長 津下先生、どうもありがとうございました。
では、今村聡先生と、それからその次に小林先生にお願いします。今村先生、お願いいたします。
○今村聡構成員 ありがとうございます。2回目の発言になってしまって恐縮です。私も最初にストラクチャーのところしか申し上げなかったので、座長から全体を通してというお話なので発言いたします。
1点は、7ページにあります評価体系のところで、これについては既に津下先生も触れておられたのですけれども、禁煙についての評価というところで、これは日常診療をしていると禁煙を頑張ってしていただいたら、ものすごく太ってしまいましたという人が結構多くて、そういう指導では十分ではないのかもしれないのですけれども、やっぱりなかなか難しいところがあります。これは、例えばほかの数値が悪くなってしまって、アウトカムとしては、そっちは悪い、だけど禁煙できたというところを全体としての評価をどうするかというようなことは、ワーキングである程度の方向性が出ているのかどうか、もしわかれば教えていただきたいというのが1点です。
もう1点は、先ほど田中委員からもちょっと御指摘があったステージモデルというところの話ですけれども、実際に健診していて、この方が今どの程度の意識を持っているかということを、問診票のところで、もしそういう対象になったら保健指導を受けたいみたいなところに○をつけるというのもあるのですけれども、例えば6カ月以内に行動を変えようと思っているというのは、本当にこの人の関心期なのか、1カ月以内だったら準備期に入っているのかというのは、正直、そういう発言だけでは全くわからないような気がしております。今、どのステージにいるかを把握するというのは、すごく難しいなというのが正直な印象なのですけれども、こういったものを、先ほど事務局からポイントのところで検討するみたいなお話がちょっとあったのですけれども、その辺はどのようにお考えになっているのか、もしわかれば、この2点について教えていただければと思います。
○中山座長 ありがとうございます。
では、津下構成員、お願いいたします。
○津下構成員 まず喫煙についてなのですけれども、まだワーキングで詳細に検討したわけではないのですが、今までも禁煙について、特定保健指導で禁煙をした方で、どのように体重が変化するかなどについての研究報告などは出されたことがございました。それによりますと、やはり一時期的には2kg程度増加する傾向にあるのですけれども、経年的に見ればもとに戻っていくということが観察されているという報告もございます。それから、ニコチン依存の状態だと、また特に体重増加が大きいというようなことも触れられていました。その研究者の先生のお話ですと、やはりそれであっても禁煙した効果は上回るのではないかという結論が出されていましたが、まだこのあたりは十分なディスカッションが必要だというふうに思います。
また、行動変容ステージを質問票だけで判断するというのは非常に厳しくて、やはり保健指導者とのコミュニケーションとか、またはセルフモニタリングのデータとか、さまざまなことを総動員して判定しなければなりませんし、行動変容のステージというのは動くもので、上がってもまた戻ったりとか、いきなりドーンと下に落ちたりとかいうことも、環境などが変われば起こり得るということと思います。本人の行動、習慣が定着してきたことを評価する方向というのはありだとは思うのですけれども、どういう形で把握すればよいのかについては、ワーキングの中でも、ちょっと懐疑的といいますか、現在、検討中ということになっております。
○今村聡構成員 ありがとうございます。引き続き御検討のほうをよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○中山座長 どうもありがとうございました。
それでは、小林構成員、お願いいたします。
○小林構成員 ありがとうございます。
まずスライド6に書かれた行動変容のステージモデルに関連して発言いたします。既に検討されているのかもしれませんが、コロナ禍で私たちのワークスタイルも、ライフスタイルも、とりわけ現役世代については大きく変わり、、これがすぐ以前のように戻るということは、なかなか考えにくいかなと思っております。
それに伴い、例えば対象者本人が思っている以上に生活習慣が変化していることに本人が気づいていない例もあるのではないか、その辺を意識するとより指導の効果につながっていくのかなと思います。
また、先ほどから先生方がたくさん御指摘しているICTやアプリの活用は、特定保健指導の実施率の向上にもつながると思いますし、離脱の減少にもつながっていくと思っておりますが、個人情報の保護や安心して使える環境、質の向上、エビデンスの確保など、先生方が御指摘のさまざまな点は、ぜひこれからも検討を深めていただければと思っております。
以上です。
○中山座長 小林構成員、御発言どうもありがとうございました。
それから、今村知明先生、よろしいですか。どうぞ。
○今村知明構成員 先ほど津下先生にお答えいただいたので、それのこちらからの報告なのですけれども、ワーキングで、ぜひ質問票の前段階で、今聞いている以外の「大きな病気をした」というのを聞いてもらえれば、ありがたいかなと思っています。これは、今、実際に私がNDBなどを分析していて、そういう、自分がどう思ったかというような項目が最終的には必要かなと思っていまして、先生がおっしゃるとおり、NDBで切るということはもう不可能なのです。医療費が高い疾患だけ抜いたらバイアスがかかって、一定の疾患だけ抜くというのは極めて困難ということがあって、最終的には自分でメタボ以外の病気をしたかなというふうなことを判断してもらって抜くということ以外、現実には難しいのかなというふうに思っています。
実際に分析していますと、60歳以上になってくると、病気そのものが多くなりすぎて、メタボの健診の効果を見るのは非常に難しいです。ですから、評価は見るとしたら、若い人ほど評価が見やすくて、もう65を超えてくると皆さん病気されますので、その中で少し減ったというのは、減るとしたら、100から3減ったというのを評価するのは難しいのですけれども、10から3減ったというのは評価できると思うので、お年寄りの場合は特に全体の数が増えてしまっているので、評価指標として、病気が多くなってしまった人たちを評価するのは難しいということなんかも、ぜひちょっとワーキングで検討していただければというふうに思います。
追加ということで、以上です。
○中山座長 ありがとうございました。今村先生、例えば先ほどの自分が病気したかどうかを聞く、一言加えるというと、その特定保健指導のときに、例えばですけれども、「この1年、2年で入院をしたことがありますか」とか、そんなようなイメージなのでしょうか。
○今村知明構成員 入院だけやったらNDBで見られるのですけれども、入院でごっそり切るとバイアスがかかって、全然違う結果になるのですね。とても信じられないものになるので、もうそうなるとNDBで切ることが難しくて、自分で大きな病気をしたかどうかというようなことになるかなと。非科学的なのですけれども、現実問題、そういうところがあると思います。
○中山座長 ありがとうございます。自覚的な何かそういったようなこと、何かもう1つ、対象者本人からの情報を追加するとかですね。
○今村知明構成員 そうですね。体重が落ちるとか、腹囲が減るとかいうような現象につながるような病気をしたかという意識だと思うのですけれども。
○中山座長 いえいえ、これは重要な御提案だと思います。どうもありがとうございます。
議案1について、いろいろ御意見をいただきました。本当にどうもありがとうございました。津下先生も、本当に非常に大変だと思いますけれども、また引き続きどうぞ御検討いただいて、皆さんで検討を進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○津下構成員 よろしくお願いします。
○中山座長 それでは、次の議題2のほうに進めたいと思います。今後の進め方について、資料2-1と2-2について、事務局から説明をお願いいたします。
○佐々木健康課長 よろしくお願いします。健康課長、佐々木でございます。
議題2につきましては、資料の2のシリーズでございまして、まずは資料2-1、新たなWGの設置と検討の方向性についてをお開きください。
2ページ目でございます。この検討会の中で、特定健診・特定保健指導の健診項目について御議論いただくということが想定されるわけでございますけれども、一度、基本的考え方を整理させていただきました。上段にございますように、検査項目、質問項目につきましては、例えば虚血性心疾患とか糖尿病、こういった疾患に関して評価する基本的な項目と、それから生活習慣病の重症化を評価する詳細な健診の項目で、かつ介入可能なもので構成されているところでございます。
そして、標準的な質問項目につきましては、4点、生活習慣病リスクの評価、保健指導の階層化、それから健診結果を通知する際の「情報提供」、あと地域の健康状態の比較、こういった観点も重要であるとされているところでございます。前回、第3期の御検討の中で、健診項目の見直しの考え方として整理されたものを下段にお示ししてございます。要は、科学的エビデンスに基づき検討することを原則にするということが、提案されたわけでございます。
それを踏まえまして、3ページ目でございます。この間、特定健診等について、厚生労働科学研究をお進めいただきました。向かって左側は「特定健康診査および特定保健指導における問診項目の妥当性検証と新たな問診項目の開発研究」ということで、まさに中山先生に研究代表者となっていただきましたし、それから、向かって右側「健康診査・保健指導における健診項目等の必要性、妥当性の検証、及び地域における健診実施体制の検討のための研究」、並びに「効果的な実施に資する研究」ということで、こちらは岡村先生に研究代表者となっていただきました。それぞれ、文章中に書いてございますように、第4期の特定健診等実施計画、それから標準的な健診・保健指導プログラムの策定、こういったものを念頭に置いて、これまで研究、御議論等をいただいているところでございます。この場をおかりしまして、先生方に厚く御礼申し上げたいと存じます。
その上で、検討の体制でございますけれども、資料の4ページ目でございます。こちらは、新たなWGの設置と検討の方向性(案)ということで提案させていただいております。最初のポツにございますように、健康増進に関する科学的な知見を踏まえた技術的事項に関するワーキング・グループ、ちょっと長いですけれども、略称「技術的事項WG」を設置したいと考えております。
そして、検討の方向性でございますけれども、下段にございますように、科学的知見、それから診療ガイドラインの改正、こういった状況を踏まえまして検討したいと。具体的には、生活習慣病に係るリスク評価の精緻化とか、個人に対する生活習慣の問題点を注意喚起していく、そういうものに資する方向で質問項目、健診項目等について検討してはどうかとさせていただいております。
構成図が下段にございますように、こちらは検討会の中で既に先行してございます効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループと並べて、こちらは技術的事項WGを設置したいと考えております。そして、この具体的な開催要綱案及び構成員の案につきましては、資料2-2でお示ししてございますので、あわせて御参照いただけたらと存じます。
今後のスケジュール(案)でございますけれども、5ページ目でございます。スケジュール表がございまして、技術的事項WGについては、黄色で示しているところでございます。実施方法WGと並走する形とさせていただきまして、取りまとめ結果につきましては、こちらの検討会のほうに御報告させていただきたいと思っております。今後のスケジュールにつきましては、議論を踏まえて適宜調整してまいりたいと考えております。
ざっと以上でございまして、あと参考資料といたしまして、現行の特定健康診査の検査項目、並びに現行の標準的な質問票をおつけしているところでございます。どうぞよろしくお願いします。
○中山座長 どうもありがとうございました。もう1つのワーキング・グループを立ち上げる御提案ということですね。ただいまの事務局からの御説明につきまして、御質問、御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
山本構成員、それから次に今村聡構成員、それから河本構成員、田口構成員でお願いいたします。山本構成員、お願いいたします。
○山本構成員 ありがとうございます。日本歯科医師会の山本でございます。
今回、特定健診の、いわゆる質問項目等を評価するということでございますが、今回のこのワーキング・グループの中に歯科の先生方が入っていらっしゃらないということで、歯の本数について前回、質問項目として入れていただきたいということでお話をさせていただいたわけでございますけれども、質問項目からは外されたということです。糖尿病との関連性ということでは、歯の本数かなり必要だと考えておりますので、ぜひその辺のことも検討をお願いしたいと思います。要望でございます。よろしくお願いします。
○中山座長 ありがとうございます。
では、今村聡構成員、お願いいたします。
○今村聡構成員 ありがとうございます。
事務局から御説明のありましたこのワーキングの設置と検討の構成については、賛成をしたいと思います。
1点ちょっと意見というか、お願いというかなのですけれども、2ページのところで、そもそもこの健診項目の基本的な考え方で、4つ目に「地域の健康状態を比較する」という表現がございます。もちろん当然のことながら、この辺のデータを地域ごとに比較するということは重要なことなので、このこと自体は結構だと思うのですけれども、もともと健診というのは、昔は地域保健の枠組みの中で実施をされていたのを、特定健診・保健指導が始まってから、いわゆる保険者ごとに、その健診を行っていることになったのだと思います。
したがって、保険者は、例えば1つの例を挙げると、喫煙率が保険者によって、全く違っている。つまり、いわゆる保険者間の比較というものは、非常に重要ではないかなというふうに思っております。当然、保険者によってその年齢構成などが違っているので、その辺の分析というのは私は専門家ではないのでなかなか難しいのですけれども、そういった問題はあるにしても、やっぱり保険者によって相当所得水準などが変わっていると、健康状態においても相当に差が出ているのではないかなと思っているのですけれども、今まで喫煙率以外に保険者間による健康状態のさまざまなデータの比較というのは、あまりしっかりと見たことがないので、ぜひ考え方の中にそういう視点を持って進めていただきたいなと思っているので、ちょっとお願いをさせていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○中山座長 どうもありがとうございました。本当に、おっしゃる通り、特定保健指導は、母集団、分母がきちんと把握できたということが大きなことだと思いますので、その中での相互の比較ということは、これからちょっと検討を深めていく必要があるかというふうに思います。どうもありがとうございました。
それでは、河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。特定健診の健診項目については、安全衛生法の健診項目と平仄を合わせることが大前提だと考えております。その意味では、ワーキング・グループの運営には保険局と健康局が事務局ということですが、労働基準局としっかりと調整をしていただくこと、また、その調整に遺漏なきように強くお願いしたいと思います。
その上で、問診票につきましては、過去の喫煙状況を把握して禁煙が継続しているか、保険者が保健指導の効果を検証できるような設問に改めることも含めて御検討いただければと思います。
 
○中山座長 どうもありがとうございました。労働安全衛生法との関係は、厚労省の事務局のほうは、ぜひ御調整をよろしくお願いいたします。
では、田口構成員、お願いいたします。
○田口構成員 私からは、先ほどお示しいただいたこの資料の4ページ目について、お尋ねがございます。ここにありますのは生活習慣病にかかわるリスク評価の精緻化や、個人に対する生活習慣病の問題点に関する注意喚起ということで、「個人に対する」というふうに書かれているのですけれども、どの程度集団に関して御考慮いただいてこの質問項目を見直されているかというあたりをちょっとお尋ねしたいと思いました。
というのは、実態では、「健康日本21」の基本計画とか、あと保健事業の計画とか、地区診断の分析に使われております。それが大変貴重なデータになっていることは私も存じ上げているのですが、例えば飲酒だったり、睡眠だったり、朝食だったりということなのですが、その生活習慣の改善ということがアウトカムに重要ということを思いますと、これを挙げたというのは大変重要だと思うのですね。そうすると、集団のアウトカムとの因果関係を分析するという観点でも重要ですので、このあたりはどのぐらい御検討いただいているかというところをお伺いしたいと思いました。
他の活用方法として私が知っている限りですと、重症化予防事業の対象選定であったり、あと歯科健診の受診勧奨の対象の階層化というあたりも、活用されているというふうに伺いました。どう活用しているかというところを踏まえた上で、ワーキングでは、ぜひ再検討いただければと思います。もう1点あるのですけれども、よろしいでしょうか。
○中山座長 はい、どうぞ。
○田口構成員 質問票の具体的な項目に関して、になります。この資料につけていただいた質問の10番と11番というところなのですけれども、運動の項目になります。もちろんエビデンスがあってこの項目だということを理解はしているのですけれども、運動習慣がない人が実行するには、ハードルが高いように思っています。例えば1日の歩数等とか、達成しやすい平均値を設定するなど、工夫が必要なのではないかと思いました。この項目が今後、保健指導の評価指標になり得る可能性もあると思っておりますので、もう少し変化しやすい項目を追加してはどうだろうかというふうに思いました。
あともう1点、実務的なことなのですけれども、「生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば、利用しますか」というところで、これを「いいえ」にしたけれども、結局、対象者になって通知が来たときにクレームになりやすいという、運用上のことなのですけれども、そういう意見も伺っていますので、この項目をなくしてもいいのではないかと、個人的には思っており、御意見させていただきました。
○中山座長 御意見どうもありがとうございました。各論的なことは、これからまさにワーキングでの議論ということになるかと思います。その手前のところで先ほどの項目の検討については、私が研究班のほうで今検討している中では、先ほどの個人のこと、集団のこと、それから地域の健康レベル、健康状態の比較を行うというような集団の視点も含めて議論するように努めております。その成果をワーキングのほうに返して、ワーキングで議論していただければというふうに思っております。どうもありがとうございます。
津下先生、このことについてでしょうか。もしよろしければ。どうぞ。
○津下構成員 このことというか、私も一個人として意見を言おうかなと思ったのですけれども。
この質問票について、これまでの連続性とか、評価指標としての位置づけとかがあり、変えるにはかなりエネルギーが要る話なので、コンセンサスをとってということは重要だと思います。
22番なのですけれども、特定保健指導の場面で、初回なのか、今までもリピートをしている方なのかを知ることができればよいと思います。初回の方には割と詳しく説明をしたりとか、リピートしている方には去年の指導で本人がどんなことを行動変容したかとか、そんなような指導の中身が変わっていくかもしれないし。効果としてはリピートしている人のほうが結果が出にくいということがあるので、こういう保健指導の歴を質問票で聞いておくと、対応が便利なのかなというふうに思った次第です。田口構成員がおっしゃられた22番を変えるとしたら、「今まで受けたことがありますか」と聞いてもいいのかなと思いました。
今まで該当していても1回も受けたことがない人には、特に受けてほしいというメッセージを出せればいいのかなと思った次第です。また、御検討に加えていただければと思います。
○中山座長 どうもありがとうございました。
では、今村知明構成員、お願いいたします。
○今村知明構成員 2つあります。
1つは、先ほどの指摘と同じなのですけれども、「何か大きな病気をしましたか」と聞くとしたらここかなと思いますので、今後の御検討をお願いしたいと思います。
2つ目が、ここで血圧を下げる薬、血糖を下げる薬、コレステロールを下げる薬が出ていますけれども、誰もがNDBを分析できるようになったら、これは聞かなくてよくなってくると思っています。実際、薬を峻別することは可能になっていると思うので、それが、我々のところでやってみて、この自称糖尿病の薬を飲んでいる人の正確度がどれぐらいですかということをやってみていまして。それが、感度で見ると8割ですね。ですから、2割の人は飲んでいても書いてくれないです。ですから、10万人が飲んでいますよと言ったら、本当は12万人なんですよというところがあります。この逆の特異度のほうですけれども、特異度だけ見たら99.99%なのですけれども、でも飲んでいる人の数が少ないので、大体1割が飲んでいないのに「飲んでいる」と○をつけます。ですから、10万人が○をつけられたら、そのうちの1万人は実は飲んでいないというようなことがあって。足し合わせると10万人だと1万人ぐらい少なくなるというぐらいなのでしょうけれども、ちょっとこれ自身はやっぱり不正確な数字です。
ただ、特定健診の中で分析するためにはこれはあったほうがいいので、レセプトとつないでというのが実際に可能になるまでもう少しかかるでしょうから、今はこれでいいと思うのですが、もう少ししてきたら、本当に飲んでいる人をちゃんと峻別して分析したほうが。結構ずれている、要は3割ずれているということなのですね。そこら辺を考えて、今後の質問票の作成をしていただくのがよいかなと思います。
以上です。
○中山座長 今村先生、貴重なデータを本当にどうもありがとうございます。本当に当面は、うのみにしないで、これを慎重に使うと。それから、本当にNDBとの連携が仕組みとしてつくられていくことを本当に待ちたいというふうに願っております。どうもありがとうございます。
では、中島構成員、それから鎌田構成員でおねがいします。中島構成員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。
先ほど河本構成員からおっしゃられたことを、協会けんぽとしてもお願いをしたいと思っております。資料2-2にございますけれども、健診項目等を検討する際には、労働基準局をしっかり入れた検討を省内でやっていただきたい。事業主健診のデータをもって特定健診に代えることができるという制度的な仕組みになっておりますし、40歳未満の事業主健診データも保険者は持つという方向性が示されているわけですけれども、やはり労働安全衛生法に基づく健診としっかり連携をとってやっていくということが重要ですので、健診項目を見直す際には、労働基準局を事務局体制の中に入れていただくということが必須だと思っております。事務局においては、前向きに御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中山座長 どうもありがとうございます。
これは、厚生労働省の事務局のほう、重ねて御調整をよろしくお願いいたします。
それでは、鎌田構成員、お願いいたします。
○鎌田構成員 ありがとうございます。
標準的な質問票については今後、各論で前向きな検討をされるということですが、1つ思ったのは、保健指導の効果と課題を客観的に捉えるために、保健指導終了時の各保健師による声かけや質問が大事かなと思っております。そのときの質問内容の標準化が、あってもいいのかなと思いました。例えば、簡素な内容での、本人に自覚を促すという意味で、例えば健診結果からあなたはどのようなことがわかりましたか、体のことでは、メタボリックシンドロームであることとか、血糖値が高く、糖尿の疑いが出ていている、血圧のこと、心臓病、その5つぐらいの項目で、この結果から、あなたはどのようなことがわかったのかと、自覚していただく。
また、この生活習慣病の発症や重症化を予防するために、あなたは今後どのような行動が必要と考えますかといったところで、例えば減量であるとか、減塩とか、運動とか、本人の自覚を促すような、簡単な保健指導終了時のアンケートがあると、より本人の自覚を促すことができるのかな思いました。そのためには、保健師の質問内容の標準化であるとか、記録の工夫とかが要るのかなと思っております。
あと歯科の、先ほど歯科医の先生も言われましたけれども、この13番のところに「食事をかんで食べる時の状態はどれにあてはまりますか」とありますが、やはり歯科の問題というのは非常に大事だと思っていますので、例えば過去1年間で歯の健康づくりのために歯科健康診査や専門家による口腔ケアなどを受けましたかみたいな質問がどこかにあってもいいのかなと、ちょっと具体的になりますけれども、そういったところを思いました。
以上です。
○中山座長 どうもありがとうございました。保健指導のときの保健師さんからのいろいろなサポーティングなコミュニケーションはすごく大事だと思います。標準的な健診・保健指導プログラムのほうも、この機会にかなり充実できるのではないかと思いますので、またワーキングのほうで議論を深めていただければと。どうもありがとうございます。
それでは、太田構成員、お願いいたします。
○太田構成員 よろしくお願いします。私は、全国後期高齢者医療広域連合協議会として参加していますけれども、愛知県豊田市長として少し発言をさせていただきます。この検討会とは少しずれる発言になろうかと思いますけれども、御容赦ください。
豊田市では、昨年からSIB(Social Impact Bond)の制度を利用して、民間企業から、具体的には5億円の寄付金を頂戴して、それを原資にして65歳以上の介護予防事業に取り組んでいます。5年間です。狙いは、介護予防、フレイル予防なのですが、プログラムは、今、約40あります。内容は、スポーツ、健康、趣味、エンターテイメント、あるいはコミュニケーションの活性化、こういった非常に幅広に捉えています。こういう幅広に捉えた健康づくりをすることによって、誰もが自分に合ったものを選択できるようにしていこうというような取組なのですが、そうは言うものの、やはり将来的には、今回テーマになっています特定保健指導の対象になる方はたくさん出てくると。
思うのは、その特定保健指導の行動変容の指導内容が、やっぱり運動、禁煙、節制が主になろうかと思います。早い話が、運動、禁煙、節制ができるような人は、もうそもそもそんなのをやらなくたって問題ないので、なってからそこを攻めるというのは、そもそもとてもハードルが高いなという気がします。そのときに、行動変容の中身が、もっと幅広に、緩やかに、いろいろな選択肢が示されれば、いろいろな可能性が出てくるのではないかというふうに、今回、豊田市がSIBに取り組んでいて、そんなことを思います。
この検討会とは直接関係ないと思いますけれども、この検討会での議論を通して出てくるものに加えて、そういったようなものをつないでいただけると、現場としてはとてもいろいろな取組がしやすくなるかなと、そんな印象を持っていますので、お願いいたします。
○中山座長 太田構成員、どうもありがとうございました。ちょうど議題1のほうのストラクチャーの議論のところで、SIBについては少し言及があったのですけれども、先ほどあまりSIB自体の話が出ませんでしたので、情報提供どうもありがとうございました。5億円は何年かけてのプロジェクトというイメージなのでしょうかね。
○太田構成員 5年間です。
○中山座長 5年間で5億。
○太田構成員 はい。5年間、5億円です。
○中山座長 それは企業のほうから出してきて、それで成果報酬的に、何らかの益が出たものが、企業のほうにバックされるという感じなのですね。
○太田構成員 そうです。イメージとしては、医療費の削減につながれば成果が出ただろうというような、まさにイメージなのですけれども、これはやってみないとわからないところがあります。
○中山座長 それで、いろいろな効果がありそうなことをいろいろ試しながら、まさに走りながら考えるとなるかもしれませんけれども、試しながら成果を出そうと努力していくという感じなのですね。
○太田構成員 そうですね。自分の健康づくりでは、こんなメニューもあるのかという、そのイメージを持ちたいというふうに思っています。
○中山座長 なるほど。どうもありがとうございました。
これについては、少し時間もありますので、SIBまたはPFSについて、何か御知見、御経験のある方、何かお話をいただければありがたいですけれども、どなたかありますでしょうか。もし特になければ、厚労省のほうから、この点については、SIB、PFSについてというのは、何か御追加というのはありますでしょうか。
○水谷医療介護連携政策課長 厚生労働省の医療介護連携政策課長でございます。
資料1のほうで、まさに成果連動型民間委託契約方式、Pay For Success、あるいはSIBという形で論点を提示させていただきました。今回、アウトカム指標という形で2cm・2kgとかそうしたことを掲げてございますが、今、例えばPay For Successの契約でどういったことを評価指標としているかということですと、今申し上げたモデル実施の2cm・2kgのほか、例えば初回面談時から実績評価時で体重が2kg以上減少したとか、やはりそうしたアウトカムの指標が、どうしてもなじみやすいということであろうかと思います。
今回、アウトカム評価という中で、今のアウトカムの指標も、体重、腹囲だけではなくて、いろいろな観点から御議論いただくことになるわけでございまして、そうしますと、そうした契約方式におきましても、どうしたものをこの契約における評価指標とするかということにも当然影響してくるものと思いますので、そうしたことも含めて御議論いただければと考えてございます。
以上です。
○中山座長 ありがとうございました。こういった方法も、今はチャレンジですけれども、捉えていく可能性は十分ありと、試行錯誤になりますけれども、本当に先進的なところは、ぜひこういったところも挑戦していくことが大事かと思います。そのときに、本当に何を、エビデンスがまだできていない領域を、エビデンスをつくりながら、当たり前ですけれども、本当にやりっぱなしにできるような領域ではなくて、結果を出さないといけないわけですものね。ですから、まさに豊田市のお取組は非常に貴重な先例になってくるのではないかと思います。
それでは、いかがでしょうか。全体を通してでも結構ですので、何か追加の御発言を御希望の方があればおっしゃってください。
津下先生、お願いします。
○津下構成員 ありがとうございます。
冒頭の「健康日本21」の評価の中で気になっていることといいますと、肥満者とかメタボリックシンドロームの該当者が、特定保健指導が始まって5年間は減少しました。その後、また増加に転じるということで、これは国際的にも肥満に対する対応にはどこも非常に苦労しているということはあるのですけれども、日本は1回減らすことができた国ということなのですね。それだけメタボということが国民に対してインパクトがあり、そして、実施方法も行動変容という概念が新たに導入されて進んできた部分があります。
なので、この制度をずっとやっているにもかかわらず、例えば若年期の肥満者が増えてきて、40歳に入るところで、どうしても世代が交代していきますので、40歳未満の方の肥満対策とか、禁煙とか、そういうことをしっかりやっておかないと、40歳になってから慌てて減量するということを繰り返していても本質的ではないと思われます。また、保健指導しても、その人がその行動をずっと続けやすい環境づくりとを一緒になってやっていかないと、積極的支援の場で声がけしていただいている間はいいけれども、終わったあとに戻ってしまうということがあります。評価を考えたときに、特定保健指導でできる範囲と、その特定保健指導以外のこともしっかりと頑張っていただかないと結果につながらないものがあります。住民の健康意識の向上とか、実施できる環境をつくるとか、さまざまな基盤があって、そして特定保健指導で気づきを与えて、本人にしっかり考えてもらう時間ができて、そして効果を生めるというふうに思います。この第4期に入るときに、そういうポピュレーションアプローチとか、環境づくりとか、それからどういうメッセージを出したらより国民がやろうと思うような仕掛けづくりができるかとか、いろいろそういうこともあわせて工夫の余地があります。ちょうど「健康日本21」も、第3次というか、次に移るタイミングなので、その辺の方法論についても、幅広にイメージをしていくということが必要かなというふうに感じております。
特定保健指導で全て肥満対策、メタボ対策ができるかといったら、保健指導の参加者には関われるけれども、参加しない人にはかかわれない、健診を受けない人にはかかわれない、また若い人から入ってきたところにはかかわれない、服薬者、例えば抗コレステロールの薬を1錠飲んでいるから、メタボであっても特定保健指導ではかかわられない、そういうような制度の中で、限られた範囲しか動けていないかなという気がします。他分野と協調しながら、その効果が生み出せるようにしていかないといけないのかと感じています。健診受診率を高めることも非常に重要だというふうに感じていますので、また御検討をよろしくお願いいたします。
○中山座長 津下先生、どうもありがとうございました。本当におっしゃるとおりで、特定健診・保健指導のためではなくて、それはある意味では特定健診・保健指導は大切な1つの構成要素にすぎないわけで、もっと全体像、それからあとライフ構想を通したような環境づくりということは、本当に大事だと改めて思います。本当に御発言どうもありがとうございました。
今村聡先生、お願いいたします。
○今村聡構成員 ありがとうございます。
今、津下先生、そして座長のおっしゃったことに関係することなのですけれども、特定健診・保健指導から逸脱する話になりますが、私どもも学校医として小学校の児童の健診をしております。最近、小学校1年、2年、3年、4年、5年、6年と、6学年やったのですけれども、しばらくの間、肥満の方たちというのは結構少なくなっていたのですけれども、昨今、低学年はいいのですが、ところが、3年生あたりから非常に肥満の子が増えてきて。6年生の男子とかいうと、コロナの影響があるのかどうかわかりませんけれども、ものすごい肥満者が多いのですね。
これは、恐らく個人の話ではなくて、御家庭の食生活というか、そういうものがすごく影響していて、特定健診・保健指導も、例えば体重が多いメタボの方に対して個人にも介入しているのですけれども、じゃあ、その方の御家庭の中全体がどういう食生活や運動習慣を持っているかという話になると、ちょっと別の話になるかもしれないと。だから、なかなか難しい。この特定健診・保健指導の枠組みの中でやるのは難しいので、津下先生がおっしゃったように多面的に取り組んだほうがいいというのは、もうまさしくそのとおりだと思っています。お父様、お母様は体重が減りましたけれども、子供さんはどんどん肥満になって、将来の肥満のもとになってしまっていると。だから、40歳になってから介入という話ではないというのは、もう本当にそのとおりだと思いますので、厚生労働省も、その辺は文科省とかと多分やっておられるのだと思うのですけれども、密接に連携しながら、国全体として国民にどういう対応するかということを御検討いただきたいなと。今日の話とちょっと逸脱して恐縮ですけれども、お願いしたいと思います。
以上です。
○中山座長 今村先生、ありがとうございます。まさに本当に、厚労省は、文科省とも連携されてと思いますけれども、ただ、この構成員の皆さんはそのように思われていると思いますので、改めてどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
では、いろいろな角度から非常に重要な深いお話をいただきまして、本当にどうもありがとうございました。新しい特定健診・保健指導をよりよいものにするとともに、それを通して、もう本当に日本の国全体の健康づくりのことを考えていけるような、そのような方向にぜひ進めていきたいと願っております。
本日の議事は、以上で終了したいと思います。
それでは、事務局のほうから、次回の日程など、連絡事項をお願いいたします。
○杉田保健事業推進専門官 次回の日程は、事務局で調整の上、改めて御連絡させていただきます。
○中山座長 わかりました。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しい中、御参集いただき、活発な御議論を本当にどうもありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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