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令和4年7月22日
ビデオ・メッセージを発出する、鈴木外務副大臣の様子
OSCEアジア・パートナー・グループ会合で発出される、鈴木外務副大臣のビデオ・メッセージの様子

 7月22日、欧州安全保障協力機構(OSCE)本部が所在するウィーンにおいて、日・OSCE30周年を記念して、OSCEアジア・パートナー・グループ会合がハイブリット形式で開催され、鈴木貴子外務副大臣がビデオ・メッセージの形で出席したところ、概要は以下のとおりです。

  1. 22日のOSCEアジア・パートナー・グループ会合は、「日・OSCE30周年の協力 平和構築へのアプローチとしての人間の安全保障」と題したテーマの下開催され、OSCE加盟国から30か国以上、OSCEのアジアパートナーとして日本、韓国、タイ、アフガニスタン、オーストラリアの代表が出席しました。同会合では、これまでの日・OSCE間の協力を概観したほか、各国から日本の協力に対して謝意が述べられました。また、ロシアによるウクライナ侵略により厳しさを増す安全保障情勢を踏まえ、OSCE加盟国とアジアパートナー国の今後の協力等について議論が行われました。
  2. ヘルガ・シュミットOSCE事務総長(Ms. Helga Schmid, the Secretary General of the Organization for Security and Co-operation in Europe (OSCE))の冒頭発言に続き、鈴木外務副大臣がビデオ・メッセージの形で出席したところ、発言概要は以下のとおりです。
  • (1)本日、日・OSCEパートナーシップ30周年を記念するアジア・パートナー・グループ会合を共催いただいたスウェーデン議長、ポーランド議長、OSCE事務総長を始め、関係各位に対し、感謝申し上げます。日本の外務副大臣としてスピーチの機会をいただき、光栄に思います。
  • (2)いま、国際社会は歴史的な岐路に立っています。ロシアによるウクライナ侵略は欧州だけの問題ではなく、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙。改めて、最も強い言葉でこれを非難します。日本は、引き続きロシアに対して断固とした制裁を継続し、ウクライナ及び周辺国を支援します。
  • (3)また、アジアに目を向けると、東シナ海・南シナ海においても、力を背景とした一方的な現状変更の試みが継続・強化されています。国際社会は、このような試みが世界のいかなる地域においても決して許されないことを、結束して示していかなければなりません。今こそ、OSCE、そして加盟国とアジアパートナーの協力を強固にする必要があります。
  • (4)6月にNATO及びパートナー諸国の首脳会合で岸田総理が表明したとおり、欧州とインド太平洋の安全保障は切り離せません。日本はグローバルな安全保障課題に取り組むパートナーとして、OSCEとの間で、時代の要請に応じた不断の協力を行ってきました。
  • (5)例えば、ウクライナの特別監視団に専門家を派遣したほか、アフガニスタン周辺の中央アジア諸国の国境管理能力強化に関して協力を行ってきました。また、先月のOSCEアジア共催会合における気候変動セッションへの参加やジェンダー平等に関するネットワーク構築支援も行ってきています。日本は引き続きOSCEによる包括的安全保障アプローチにおける協力を進めていきます。
  • (6)本日の会合のテーマを踏まえ、人間の安全保障に対する日本の考え方についても申し上げます。日本は、1998年以来、人間の安全保障を外交の重要な視点に位置づけてきました。2000年の九州・沖縄サミットではG8で初めてこの考え方を中核に据えたほか、同年の国連ミレニアムサミットでは「人間の安全保障委員会」の設立を呼びかけ、緒方貞子元国連難民高等弁務官がその共同議長として議論を主導していくなど、日本は人間の安全保障の考え方を、国際社会で長年にわたり、提唱してきました。そして、このアプローチに基づき、世界の様々な地域において強靱な国・社会づくりに取り組んできました。
  • (7)現下のウクライナにおける状況は、正に人間の安全保障に対する危機であり、国際社会は連携して対処しなければなりません。折しも、本年2月、UNDPが公表した人間の安全保障に関する特別報告書では、従来の2つの柱である「保護」と「能力強化」に加えて、「連帯」の重要性が提唱されています。日・OSCEパートナーシップはまさにこうした「連帯」の考えに根ざすものです。日本は、この連帯も通じ、国際社会における平和構築の実現に引き続き取り組みます。
  • (8)日・OSCEパートナーシップが30周年を迎えるこの機会に、活発、かつ、有意義な議論が行われることを心から祈念します。

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