外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】昨年11月の外務大臣就任後、初めてワシントンD.C.を訪問いたしました。国際社会が歴史の岐路に立っている中で、「法の支配」に基づく自由で開かれた国際秩序、これを守り抜いて、日米にとって戦略的に最も重要なインド太平洋地域の平和と繁栄を確保すべく、同盟国・同志国間の連携、これを一層強化する必要があると考えています。このような共通認識の下、ブリンケン長官を始めとする米国政府関係者と率直かつ有意義な意見交換を行い、日米両国が直面する国際社会の主要な課題にどう対処すべきか、その方向性を様々な分野において確認いたしたところでございます。
 まず、本日午前ですが、日米経済政策協議委員会、いわゆる経済版「2+2」の第1回会合に出席いたしました。詳細は共同記者会見で述べたとおりですが、現在の国際情勢に照らして、戦略的観点から、外交安全保障と経済を一体として議論することが不可欠であります。経済版2+2はこうした要請に応えるものでございます。今後もこれを定期的に開催することで一致をいたしました。今回この経済版「2+2」を通じて、日米同盟の適応力と、これらの分野において国際連携をリードしていく日米の決意を力強く発信することができたと考えております。
 そして、ブリンケン長官との間で55分間、ワーキング・ランチの形で、日米外相会談を行いました。ブリンケン長官との二国間会談は、電話会談を含めて今回で既に11回目となりますが、本日は、これまでのやり取りや5月のバイデン大統領訪日等を踏まえて、安全保障、地域情勢、経済等について幅広く意見交換をいたしました。
 安全保障については、日米間の安全保障・防衛協力、これを拡大進化させ、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していく、という事を再確認いたしました。その上で、先般の日米拡大抑止協議、この実施を歓迎するとともに、米国による拡大抑止の信頼性・強靱性を引き続き確保する観点から、今後とも様々なレベルで緊密な意思疎通を続けていくことで一致をいたしました。
 また沖縄をはじめとする地元の負担軽減の観点から、在日米軍再編を着実に推進していくということで一致をしたところでございます。
 地域情勢については、ロシア・ウクライナ情勢や、中国や北朝鮮をめぐる諸課題のほか、特に今般のロシアによるウクライナ侵略がインド太平洋地域に及ぼし得る影響について議論し、インド太平洋地域において力による一方的な現状変更の試みを許さぬよう、同盟国・同志国間の連携を一層強化していくことで一致をいたしました。また、台湾に関する両国の基本的な立場に変更はないことを確認した上で、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を改めて強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促すことで一致をいたしました。
 経済については、インド太平洋地域の経済秩序に対する米国の関与がますます重要となっているとの認識を共有いたしました。その上で、私から、IPEFへの支持と併せて米国の早期のTPP復帰を改めて促していたところでございます。 さらに今時訪問に際しまして、米国連邦議会の方々との夕食会、戦略国際問題研究所(CSIS)での講演、そしてマンスフィールド研修計画参加者及び同窓生との懇談、アーリントン国立墓地訪問も行いました。この後予定している外交・安全保障に関する米国人有識者の方々との夕食会も含め、短期間の滞在ながら、大変実り多い訪問となったと思っております。
 外交課題が山積する今こそ、日米同盟の真価が問われています。5月のバイデン大統領訪日に加えて、今回の私の訪米の成果も踏まえながら、インド太平洋地域の平和と繁栄の基盤たる日米同盟、これを一層強化すべく、引き続き緊密に連携していく、その決意を新たにしたところでございます。 私からは以上です。

質疑応答

【記者】今の大臣の方から台湾についてのご紹介もありましたけれども、今回経済版2+2ということで半導体ですとか、サプライチェーンについても経済版2+2の方の会合ではお話しされたかと思うんですけど、台湾との半導体ですとか、サプライチェーンの確保という観点で今後日本としてどう連携していきたいと考えますか。お聞かせください。

【林外務大臣】はい、今日の経済版2+2ではですね、外交安全保障や経済に跨がる様々な国際課題に関して広範な議論を行うことができました。こうした議論を通じて日米がリーダーシップを発揮して同志国とも呼応しながら真剣に取り組んでいく決意を示した、ということは成果だと思います。また、経済安全保障上の位置付けということですが、AI、量子などの革新的技術が出現する中で、経済安全保障と経済を補完する新しい課題、これが国家安全保障上の重要課題である経済安全保障という認識をされるようになってきたということでございますので、新たな国家安全保障戦略の策定に当たってですね、経済安全保障の重要な課題として位置づけ、政府としてしっかりと議論していきたいと思います。特に台湾に限定してですね、色んな具体的なやりとりがあったということではございません。

【記者】ブリンケン長官とのバイ会談なんですけども、ロシアのウクライナ侵攻が議題になったということでございますが、先日の穀物輸出合意の直後にロシアがウクライナを攻撃したこと、また、このロシアの侵攻による世界的な食糧危機について、ブリンケン長官とはどのようなやりとりがあったのでしょうか。

【林外務大臣】まず、ロシアによるウクライナ侵略についてはですね、引き続きG7をはじめとする国際社会と結束してですね、強力な対露制裁、それからウクライナ支援に取り組んでいくということを改めて今日は確認したところでございます。また今般のロシアによるウクライナ侵略によってエネルギーやですね、食料を巡る状況、これが大きく悪化している中で、G7そして国際機関がですね、こういったところと緊密に連携してエネルギーや食料の供給の確保、そして価格の安定化、さらにはですね、脆弱な国への支援等、こうしたことに対応していくことで一致をしたところでございます。

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