外務省・新着情報

冒頭発言

外務大臣としての抱負

【林外務大臣】この度、第二次岸田改造内閣の外務大臣を拝命いたしました。引き続き、よろしくお願いをいたします。
 昨年11月に、外務大臣を拝命してから約9か月のうちに、国際情勢は、目まぐるしいスピードで変化をしてきました。その中で、これまで日本外交が積み上げてきた成果を土台にして、私(林大臣)自身、就任後17か国を訪問するとともに、対面会談・オンライン会談を約240回行いまして、各国の外務大臣との間で信頼関係を構築をしながら、多くの外交課題に対応してまいりました。
 今、国際社会は、歴史の岐路に立っております。この先も我々が、自由で開かれた、ルールに基づく国際秩序を維持し、平和と繁栄を享受していくことができるか否か、非常に重要な局面にあると考えております。
 今なお続く、ロシアによるウクライナ侵略は、欧州にとどまらず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす極めて深刻な事態です。また、今般の中国による一連の軍事活動、特に我が国EEZを含む、我が国近海への弾道ミサイル発射は、我が国の安全保障及び国民の安全に関わる重大な問題です。更に、北朝鮮による核・ミサイル開発、東シナ海・南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試み、軍事バランスの変化による緊張の高まりなど、安全保障環境は、厳しさと不確実性を増しております。
 これらの課題への対応のため、年末に向けて、新たな国家安全保障戦略等の策定、防衛力の抜本的強化の議論に、引き続き貢献していくのは当然のこととして、「骨太の方針」で決定したとおり、ODAの拡充、更には、外交実施体制の抜本的強化を含む、外交力の強化にも全力で取り組んでいく必要がございます。
 その中で、まずは、日本の外交・安全保障政策の基軸である日米同盟を更に深化をさせ、その抑止力・対処力を強化してまいります。また、先般の日米経済版「2+2」のフォローアップも含め、経済安全保障に関する取組も強化をしていきます。
 同志国の集まりであるG7の政策協調が、これまで以上に密接に行われるようになっており、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力も一層重要になってきております。日本は、来年のG7の議長国として、普遍的価値に基づく国際秩序の維持・発展のための外交を積極的に展開をしてまいります。
 また、国際社会の分断が危惧される中、安保理改革を含む国連の機能強化、国際社会の新たな課題に対応したグローバル・ガバナンスの在り方の模索にも果敢に取り組んでまいります。更に、ウクライナ侵略には、引き続き経済制裁等により毅然と対応し、ウクライナ及び周辺国等への支援を強化していきます。
 「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けては、日米同盟を基軸としつつ、日米豪印の取組等も活用するとともに、ASEAN、欧州、太平洋島嶼国等の国と地域との協力を深化をさせ、TICAD8を通じ、アフリカとの連携を強化してまいります。
 また、北朝鮮の拉致、核、ミサイルの問題にも、引き続きしっかり対応していきます。この観点から、日米韓協力を一層推進していくことも重要であります。
 更に、「核兵器のない世界」の実現に向け、現在開催中のNPT運用検討会議への対応も含めて、政府としての取組を一層前に進めたいと思います。また、地球規模課題への対応にも、引き続き積極的に貢献してまいります。
 外交課題は山積しておりますが、時代を画する変化の中、引き続き外務大臣として、「普遍的価値を守り抜く覚悟」、「日本の平和と安定を守り抜く覚悟」、そして、「核軍縮・不拡散や気候変動など、地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する覚悟」、これら3つの「覚悟」を持って、対応力の高い、「低重心の姿勢」で、日本外交の新しいフロンティアを切り拓いていく考えです。
 その上で、旧統一教会との関係について、岸田総理から、国民の皆様の疑念を払拭するため、個々の政治家としての責任において点検し、厳正に見直すようご指示をいただきました。
 私(林大臣)について申し上げますと、自ら点検を行ったところ、旧統一教会との関連が指摘される団体から、今から10年前の2012年当時、取材を受けたという事実が確認をされました。当該団体の現状についての認識を欠いたものであり、申し訳なく存じます。今後は、当該団体と一切関係を持たないことをここにお約束したいと思います。
 私(林大臣)からは以上です。

旧統一教会との関係

【朝日新聞 野平記者】大臣、今、冒頭おっしゃられた、旧統一教会との関連団体から取材を受けた件ですけれども、以前、会見での際、関係なかったということをおっしゃられてたと思うんですけれども、この度判明した経緯を教えてください。また、その取材というのは、具体的にどういったものだったのかというのも教えてください。

【林外務大臣】御指摘の8月2日でございますが、私(林大臣)自身の認識として、旧統一教会との関係がないということを述べたものでございましたが、今般、総理からの指示を踏まえて、改めて点検を行ったところ、冒頭申し上げたとおり、2012年に、関連団体からの取材を受けたことが確認をされたため、それを明らかにしたものでございます。いずれにせよ、今後は当該団体と一切関係を持たないことを、ここにお約束をしたいと思います。
 この2012年2月に、世界日報側から、当時の民主党政権や、外交・安全保障、来年度予算案等に関して、私(林大臣)の議員事務所に取材申し込みがあり、これに応じたものでございます。

【共同通信 前田記者】大臣、関連で統一教会の関係なんですけれども、もう点検は既に終えられて、もうこれ以上はおそらくないということなのかということと、献金であるとか、選挙の活動に関して、そういう支援というのは、なかったということでよろしいでしょうか。

【林外務大臣】今回改めて点検を行いましたが、今回点検を行った限り、御指摘の団体から、献金や選挙活動の支援を受けたことはない、ということでございます。

日韓関係

【時事通信 田中記者】外交上の課題についてなんですけれども、日韓関係について、日本企業の半島出身労働者の問題に絡んだ、日本企業の資産の現金化が、月内にも行われるというような見立てが報道されていますが、この現在の状況の切迫度について、どのような問題意識をお持ちかということと、これにどのように対応していくかということについてお願いします。

【林外務大臣】そうですね、日韓関係でございますが、北朝鮮への対応も始めとして、地域の安定にとって、日韓・日韓米の連携、これは不可欠であると考えております。
 今、ご指摘のあった、旧朝鮮半島出身労働者問題、更には慰安婦問題等によって非常に厳しい状況にありますが、このまま放置することはできないと考えております。
 国と国との約束を守ることは、国家間の基本的な関係の基本であると思っております。日韓関係を健全な関係に戻すべく、日本の一貫した立場に基づき、韓国側と緊密に意思疎通をしていきたいと考えております。
 また、総理からは、再任に当たって、国際情勢、大変厳しいので、しっかり対応してほしいという話がございました。中韓両国との関係についても、この点を踏まえ、しっかりと対応していきたいと考えております。

これまでの働きぶりについての自己評価

【朝日新聞 野平記者】大臣、昨年11月の就任後に、ロシアによるウクライナ侵略ですとか、難しい判断を迫られる局面も多々あったかと思うんですけれども、これまで1年弱の働きぶりについて、ご自身では、どのように評価していらっしゃいますでしょうか。

【林外務大臣】私(林大臣)のこれまでの取組、また今後の考え方については、冒頭申し上げたとおりでございますが、この外交の取組、またこの成果というのは、歴史が評価をするものであろうというふうに考えております。
 その上で申し上げれば、これまで約9か月のうちに、国際情勢が目まぐるしく変化をしてきておりまして、多くの外交課題に対応してきたところでございます。引き続き、岸田内閣の外交責任者として、冒頭申し上げました3つの「覚悟」を持って、対応力の高い、「低重心の姿勢」で、日本外交の新しいフロンティアを切り拓いていきたいと考えております。

故安倍元総理大臣の国葬儀

【NHK 岩澤記者】安倍元総理大臣の国葬について伺います。来月行われる予定の国葬の参列者の人数や、海外からの要人の参列予定など、現在の準備状況についてお聞かせください。

【林外務大臣】現時点で、この具体的な参列者については未定でございます。引き続き、外務省として海外からの、「国葬儀」への参列者に対する接遇等に遺漏なきを期していきたいというふうに思っております。
 具体的な参列者等々については、先ほど申し上げましたように、まだ未定ということでございます。

旧統一教会との関係

【共同通信 前田記者】統一教会の方に戻るんですけれども、世界日報の方から取材を2012年当時に受けられたということなんですけれども、これ適切性というか、どのように判断されていらっしゃいますでしょうか。

【林外務大臣】先ほど申し上げましたように、議員事務所に取材申し込みがあって、これに応じたということですが、当時、当該団体が統一教会と関連しているという認識なく、受けたということでございます。
先ほど冒頭に申し上げましたように、そのことについては、大変申し訳ないことであって、今後は、この当該団体とも一切関係を持たないことを、ここにお約束したいというふうに思います。

イスラエル・パレスチナ間の衝突

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 再任お祝い申し上げます。中東地域に関する質問です。イスラエルによるガザ地区攻撃によって、多くの犠牲者と破壊が発生しています。イスラエルの一部でも犠牲が出ているかもしれません。ガザ地区側からイスラエルに対するロケット弾の発射があったことはわかっていますが、問題の本質は、イスラエルの軍事力による占拠です。 この問題に対する日本の対応と、日本は現状変更に反対しているが、この件については別のアプローチを取るのかどうかお聞きします。ありがとうございます。

【林外務大臣】8月5日、これは現地時間でございますが、イスラエル軍が、ガザ地区のパレスチナ武装勢力関連施設等に対する空爆を行いまして、これを受けて、ガザ地区から、イスラエル領内にロケット弾等が断続的に飛来するなど、暴力の応酬に発展してしまったわけでございますが、現地時間の7日に、停戦が合意されたというふうに承知をしております。
 今次の衝突によりまして、一般市民に多数の死傷者が発生しておりますことを深く憂慮するとともに、犠牲者の家族に対して、哀悼の意を表したいというふうに思います。
 日本は、今般の停戦合意が、ガザ地区における情勢の安定化に貢献し、社会経済状況の改善に繋がるということを強く期待をしております。今般の合意が維持されるように、全ての当事者に、その遵守と最大限の自制を求めます。
 日本としては、中東地域の人々が抱える問題は、暴力によって解決されるものでは決してなく、紛争当事者間の交渉と、そして、相互の信頼を築く努力によってのみ解決されるものと確信をしておりまして、全ての関係者に対して、そのような努力を最大限行うように促していきたいと考えております。

林大臣の長崎訪問

【毎日新聞 今野記者】話題は変わるんですが、昨日のことで、長崎の原爆資料館を訪問されました。訪問された感想と、あと被爆地の思いに触れまして、開催中のNPTでの意義ある成果に向けて、どのように日本として尽力されるか、改めて伺いたいです。

【林外務大臣】長崎の平和記念式典に、外務大臣として、総理にお供して出席をさせていただきました。式典においても、いろいろな形で、例えばコーラスですとか、メッセージですとか、地元の方々を中心に、いろいろなメッセージをお聞きして、二度とこういうことを起こしてはいけないという思いを新たにしたところでございます。その後、総理にお供して、厚労大臣とともに、また農水大臣も、現地の政治家ということで、ご同行されましたが、資料館を視察をさせていただきました。
 やはり、被爆の実相に触れることが大事だというふうに普段から申し上げてきておりますが、まさに私(林大臣)自身、いろいろな展示を通じて、そのことに、まさに直に触れることができて、こういう悲惨なことが、二度と繰り返されないようにしなければならない、という思いを強くしたところでございます。

台湾情勢(邦人退避計画)

【日本経済新聞 三木記者】台湾についてお伺いします。中国軍の軍事演習で台湾周辺の緊張が高まっている中で、台湾にいる日本人の退避の重要性が指摘されています。政府として、この退避計画の必要性と、その検討している状況があれば教えてください。

【林外務大臣】海外に渡航・滞在する邦人の保護、これは、外務省の最も重要な責務の一つでございまして、平素から、在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況、これを想定しまして、必要な準備・検討を行っておりまして、邦人保護の強化を図っているところでございます。
 有事における我が国の個々の対応については、個別具体的な国や地域名を挙げて、つまびらかにするということは、事柄の性質上、控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、邦人の安全確保に万全を期すべく、政府として全力を尽くす考えでございます。

日中関係

【読売新聞 金子記者】今の質問の関連なんですけれども、来月、日中国交正常化50年ということなんですけれども、かなりの状況が非常に悪いという中で、大臣として、日中の対話を再開するために、どのように取り組んでいかれるか、また、この日中の関係について、総理から、具体的に何か指示を受けたか、それについて伺いたいと思います。

【林外務大臣】日中の両国間には、隣国であるが故に様々な問題がございます。尖閣諸島を巡る情勢含む、東シナ海、また南シナ海における一方的な現状変更の試み、我が国周辺における軍事活動の拡大・活発化、これは日本を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念でございます。
 こうした中、今般の中国による一連の軍事活動、特に、我が国の排他的経済水域を含む我が国近海への弾道ミサイル発射は、我が国の安全保障及び国民の安全に関わる重大な問題であり、中国に対しては、強く非難し、抗議するとともに、今般の中国側の行動は国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものであるとして、軍事訓練の即刻中止を求めたところでございます。
 このような時こそ、しっかりと意思疎通をするということが重要であり、中国側との対話については常にオープンであるということを申し上げてきております。
 その上で、日中関係については、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力をするという「建設的かつ安定的な日中関係」、これを双方の努力で構築していく必要があると考えております。
 総理からは、再任に当たりまして、国際情勢、大変厳しいので、しっかりと対応してほしいというご指示をいただいております。中韓両国との関係についても、この点を踏まえて、しっかりと対応していきたいと考えております。

靖国神社参拝

【共同通信 前田記者】靖国神社の参拝についてお伺いをします。8月15日の終戦の日が近づいておりますけれども、大臣、この日に合わせた靖国神社参拝というのをお考えかどうかをお聞かせください。

【林外務大臣】岸田内閣の一員として、適切に判断したいと考えております。

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