外務省・新着情報

冒頭発言

 先程の会見でも岸田総理からご言及があったところですが、今回2度目になりますアフリカにおける開催となったTICAD8を、ここチュニジアで成功裏に終えることができました。2日間にわたって、日アフリカの首脳間でアフリカ開発を集中的に議論した訳でございますが、岸田総理は、開会式、閉会式、共同記者会見を含むTICAD8の全てのセッションにオンライン等で参加をされました。また、計10か国・機関のアフリカの首脳級とのテレビ会談も実施をされましたところでございます。
 私も、総理特使として、チュニジアを訪れまして、TICAD8の全てのセッションに参加をいたしました。日本は、1993年にこのTICADを立ち上げて以降、約30年間に亘りまして、アフリカが自らが主導する開発、これを支援していくとの精神で取り組んできた訳でありますけれども、今回のTICAD8では、そうした日本らしいアプローチ、これを強調しながら、日本はアフリカと「共に成長するパートナー」として、「人」に着目した取組を、これを推進していくとのメッセージを力強く打ち出したところでございます。私自身、アフリカの首脳や閣僚、ビジネス関係者と触れ合う中で、そうした日本の姿勢に理解と賛同が広がっているということを実感しているところでございます。
 また、3日間の滞在中、ホスト国のチュニジアのサイード大統領を表敬して総理親書をお渡しするとともに、同国のジェランディ外務大臣を含めて、計21か国の要人と会談を行い、アフリカ諸国が抱える課題、またアフリカをとりまく複雑な国際情勢についてつっこんだ意見交換を行うことが出来ました。特に、私からは次の2点についてですね、しっかりと伝達をさせていただきました。
 一つ目は、不公正・不透明な貸し付けへの対処、すなわち開発金融の重要性であります。
 TICAD8のセッションで岸田総理からもアフリカ各国の債務の透明性・持続可能性向上への取組、これを支援すべく、アフリカ開発銀行との協調枠組みである「EPSA」の下で、債務健全化を含む改革を進める国への支援ということで最大10億ドルの特別枠の創設を発表したところでございます。
 それを受けて私からは、アフリカ各国との個別の会談におきまして、問題意識のさらなる共有を図り、公正・透明な開発金融のため共に取り組んでいく、そのことを確認しました。
 二つ目は、ロシアによるウクライナ侵略、そしてそれが引き起こす影響への対応でございます。
 私から、アフリカ諸国に対して、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、国際社会で一致して対応していく、このことが必要であるということを強調させていただきました。また、日本として、アフリカの食料安全保障の強化、これに力強く取り組むということを伝達をいたしまして、この困難な状況においてもアフリカ諸国としっかり連携して対応していくと、こういうことを確認させていただきました。
 次回ですが、2025年に日本でTICAD9が行われますが、その前年の2024年に閣僚会合を開催することでも一致しています。今回の成果を踏まえまして、アフリカ各国と共に様々な課題に取り組みつつ、日アフリカ関係を一層深化させていきたいと考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】先ほど大臣2点強調されたと思います。いずれも中国、ロシアと、アフリカ諸国と関係が深い国にかかわる背景があるかと思うんですが、アフリカの国によっては必ずしも日本の立場と同じではないところもあるんですが、今回さまざまなバイ会談や全体の会合を通じて、どのような反応・手応えがあったとお考えですか。

【林外務大臣】はい、まずロシアによるウクライナ侵略についてですが、この、我が国から、会合の中でも、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でありこれまで築き上げてきたルールに基づく国際秩序を守って、力による一方的な現状変更の試みを許してはならない、また我が国としてアフリカの食料安全保障の強化に力強く取り組んでいくことをアフリカ諸国に伝達をいたしました。そして、二国間でも、こうした我が国の考え方を伝えつつ、困難な状況だからこそアフリカ諸国と連携して対応していくことを確認をいたしたところでございます。
 これに対してアフリカ諸国からも、ウクライナ情勢がもたらす食料危機がアフリカに大きな影響を及ぼしていることなど、様々な指摘があったところでございます。引き続き、我が国からの支援を含め、我が国の立場を各国に対して丁寧に説明しながら、アフリカ諸国との連携を深めていきたいです。
 また、中国が「債務の罠」の振る舞いをしていることについての御質問がございました。我々も1993年にTICADを立ち上げてからですね、アフリカ自らが主導する開発を支援していくとの精神で取り組んでまいりました。そして今回のTICAD8では、そうした日本らしいアプローチを強調し、日本はアフリカと「共に成長するパートナー」として、「人」に着目した取組を推進していくとのメッセージを力強く打ち出しました。特に、透明で公正な開発金融を確保することは、アフリカの高い潜在力を開花させて、人々の暮らしを向上させるために重要です。今回、アフリカ各国の債務の透明性・持続可能性向上への取組を支援すべく、アフリカ開発銀行との協調枠組みである「EPSA」の下で、債務健全化を含む改革を進める国への支援として最大10億ドルの特別枠の創設を発表したところでございます。
 日本として、さらにアフリカ各国と協力しながら、国際機関とも連携し、債務管理能力の構築支援も続けていきます。

【記者】今大臣からの開発金融についてご意見がありましたけれども、中国によるですね、質より量とも言えるような援助の動きに対するですね、日本政府も今回これに対抗するように人への投資ですとか、成長の質というのを重視した支援策を打ち出した会合になりましたけれども、今後中国と援助・支援を巡ってですね、差異化を図ってアフリカを支援していくというお考えなのでしょうか。

【林外務大臣】我々が先ほど申し上げたようにですね、公正・不透明な貸し付けへの対処、開発金融というのはこの中国ということを名指しして申しあげているわけではないのでございます。アフリカにはですね、人口構成、それから色んな資源、色んなことを考えますと大変大きな潜在成長を行う、こういう風に考えておりますので、こうした潜在的な力を活かしてしっかりと経済成長に繋げていくためにはですね、やはりこの透明で公正な開発金融を確保するということが大変に大事だと、こういう観点から、TICAD全体の会議でも、先ほど申し上げましたように、そういうメッセージを発信するとともに、バイの会談でもそういうことを、それぞれつっこんで議論したとこういうことでございます。

【記者】今回のTICAD8では、アフリカ各国から日本企業の進出に期待する声が色々あったと思いますけれども、ただ、日本企業にとってアフリカの治安でしたり、様々なハードルがあるかと思いますが、こうした環境面について日本政府としてどのように対応していく考えでしょうか。

【林外務大臣】先ほども申し上げましたが、アフリカは若い人口に支えられて、そういった意味でダイナミックな成長が期待できると、一方で今お話にもあったとおり、こうした環境面に課題が残っている、これも事実であると考えておりますので、政府としてはこれまでも改善に向けて取組を進めてきたところでございます。
 こうした中、コロナ禍もあったもののですね、TICAD7で表明した200億ドルの対アフリカ民間投資は概ね実現をみたところでございます。そのうえで総理からございましたように、TICAD8でもですね、今後3年間で官民総額300億ドル規模の資金を投入をする旨を表明があったところでございますので、日本からアフリカへの投資の流れを加速化することを期待をしているわけでございます。
 そうした投資環境の改善ということについてもですね、二国間で議論したところでございます。
 加えて日本経済界からもですね、スタートアップ向け投資ファンド創設、この計画が発表されております。こうした新たな取組が更にリスクマネーの呼び水となるようにですね、官民で協力していきたいと考えております。

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