内閣府・新着情報

日時

2022年8月10日(水)13:00~15:03

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

(構成員)
【会議室】
後藤座長
【テレビ会議】
黒木座長代理
木村委員
(オブザーバー)
【会議室】
中川丈久 神戸大学大学院法学研究科教授
【テレビ会議】
大石委員
丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
川出敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
山本和彦 一橋大学法学部教授
(事務局)
加納事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 中間取りまとめに向けた議論
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○友行参事官 それでは、時間になりました。

本日は、皆様、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第39回「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を開催いたします。

本日は、後藤座長、中川委員は、会議室にて御出席、その他の委員の皆様は、テレビ会議システムにて御出席です。

議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載しております。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

なお、本日の会議は、ウェブ会議による開催となります。感染症の拡大防止の観点から、報道関係者を除く一般傍聴者の皆様には、オンラインにて御参加いただいております。議事録については、後日公開いたします。

次に、ウェブ会議による開催に当たりましてお願い申し上げます。

ハウリング防止のため、御発言いただく際には、マイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

御発言の際には、あらかじめチャットでお知らせください。座長に御確認いただき、発言者を指名していただきます。指名された方は、マイクのミュートを解除して、冒頭でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。

御発言の際、配付資料を参照する場合は、該当ページの番号も併せてお知らせいただけますと幸いです。

なお、御発言の際には、可能であれば映像のマークをオンにしていただけましたら、どなたがお話しになっているのか分かりやすくなりますので、御協力をお願いいたします。

音声が聞き取りづらい場合には、チャットで「聞こえない」などと記入していただき、お知らせいただくようお願いいたします。

なお、8月1日付で事務局に人事異動がございました。前任の渡部に代わりまして、岡本が審議官として着任しておりますので、一言御挨拶申し上げます。

○岡本審議官 どうも、こんにちは。

8月1日付で、消費者委員会担当の審議官になりました岡本と申します。よろしくお願いいたします。

○友行参事官 それでは、後藤座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.中間取りまとめに向けた議論≫

○後藤座長 座長を務めております後藤です。本日もよろしくお願いいたします。

それでは、本日の議題に入らせていただきます。

前回までの会合では、「加害者の財産の隠匿又は散逸の防止に関する制度を含め、多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益を剥奪し、被害者を救済するための制度」の検討に関し、実際の被害事案や被害予防及び救済のための現行制度の活用等について、参考人等へのヒアリングを行ってきました。

本日は、これまでのヒアリング結果等を踏まえまして中間的な整理を行うとともに、その整理を踏まえてワーキング・グループ後半にどのような論点を更に議論していく必要があるか、意見交換を行いたいと思います。

議論を整理する観点から、本日の意見交換につきましては、資料1の中間取りまとめ(案)の記載順に従って、3つのパートに分けて行いたいと思います。

それでは、まず事務局より中間取りまとめ(案)の「はじめに」「第1.これまでの検討の経緯等」及び「第2.近年の多数消費者被害」につきまして、説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、お手元に資料1を御用意いただけますでしょうか。「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ中間取りまとめ(案)」でございます。

めくっていただきまして、目次でございます。

「はじめに」から14ページの「小括」のところまで、最初に御説明いたします。

まず、1ページ目の「はじめに」でございますが、2つ目のパラグラフのところでございます。

この消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループにつきましては、平成30年の2月の消費者委員会本会議において設置されております。

その後、このワーキング・グループの検討の経緯を、その下にずっと述べておりますが、3つ目の「WGでは」のところの段落では、令和元年6月に報告書として、「公正な市場を実現するためのルール及び担い手のベストミックスを目指して」というものを取りまとめましたというところでございます。

その後、検討が続きまして、下から2つ目の段落の「令和3年8月に取りまとめられた」というところでございますが、このときのルール形成のワーキング・グループの取りまとめについては「自主規制の実効的な整備・運用による公正な市場の実現を目指して」というところでございます。

このルール形成のワーキング・グループ本体において、これまで2つの報告書を取りまとめており、今、3つ目の取りまとめにかかっているというような位置付けでございます。

1ページ目の一番下のところの段落から「近年」と始まっております。

2ページ目にいっていただきまして、悪質事業者の対応について、何らか必要だというような記載、悪質事業者による大規模な消費者被害が発生しており、そうした場合に一度発生した被害を十分に回復することは難しいのが現実であるというような現実を踏まえまして、2段落目「消費者委員会は」というところでございます。

自主的取組や民事ルールでは対応しきれない悪質商法に関して、実効的な法整備や違法収益の剥奪、財産保全等の制度について検討するため、ルール形成ワーキング・グループを再開させたというところでございます。

「本中間取りまとめの構成は、次のとおりである」とございます。まず、不当な収益を剥奪し、被害者を救済するための制度が必要だということが、るる確認されてきたということと、我が国における検討会での検討過程などを最初にまとめております。これが「第1.」のところでございます。

次に、近年発生した消費者被害について、ヒアリング等に基づき、事案を整理したものが、「第2.」のところでございます。

それを踏まえまして、悪質商法への対応として、現行制度でどのような対応が可能か、各制度についての考察などをしているところが「第3.」でございます。

最後の「第4.」のところは、悪質商法に対応するための制度として必要な要素を検討し、今後、中間取りまとめ以降、更に議論することが必要と考えられる事項を整理するという、そういう構成となっております。

3ページ目にまいります。

「これまでの検討の経緯等」、これは事実関係を歴史的に並べているものでございます。

1ポツのところは、様々な法律の附則ですとか、国会附帯決議や消費者基本計画にどのような記載があるかということを振り返っております。

(1)の消費者委員会等設置法のところでは附則のところに、「不当な収益を剥奪し、被害者を救済するための制度について検討」、それで、「必要な措置を講ずるものとする」というような記載がございます。

(2)のところも同様な記載があります。

(3)のところの第三次消費者基本計画、これは、一期前の基本計画のところですが、2行目のところから、「不当な収益を剥奪し、被害者を救済するための制度について、消費者裁判手続特例法に基づく被害回復制度、景品表示法の課徴金制度の運用の状況を踏まえつつ、幅広い検討を加える」といった記載がございました。

(4)のところでございますけれども、令和4年の4月、5月の特別委員会などの附帯決議においては、「特定適格消費者団体又は行政庁による破産申立及び行政庁が加害者の財産を保全し、違法収益を剥奪する制度などを含め、検討を行うこと」というようなことが、つけられているというところでございます。

4ページ目にまいります。

「消費者庁等における検討」ということで、少し長めに振り返っております。

(1)のところは、国民生活審議会総合企画部会、これは、経済企画庁の時代でございますが、「守る」ワーキング・グループというのがございまして、そこでも検討がなされたといったところでございます。

具体的な検討の内容につきましては、2段落目のところ「前者について、報告では」といったところで、マル1、マル2、マル3といったところでございます。

直罰規定ですとか、課徴金制度の導入など、検討の必要性が述べられたといったところでございます。

(2)のところは、消費者庁における検討会でございますが、集団的消費者被害救済制度研究会報告書になります。

それから(3)のところは、それを受けて、消費者委員会のほうで検討したもので、集団的消費者被害救済制度専門調査会報告書と出ております。

5ページ目にまいりまして、(4)ですが、「財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度に関する検討チーム取りまとめ」というところでございまして、こちらについては、消費者庁のほうでの検討チームの取りまとめでございます。

ここで検討されたことの具体的なものとしましては、2段落目の「検討チームでは」とありますように、マル1加害者の財産の隠匿・散逸を防止するための方策、マル2行政による経済的不利益賦課制度を中心に検討がございました。

(5)平成25年6月の消費者の財産被害に係る行政手法研究会の取りまとめでございますが、こちらも消費者庁に検討の場が置かれていたものでございます。ほぼ同様の検討の内容が出ているところでございます。

それから、6ページ目にまいりまして、(6)でございます。景品表示法に関する課徴金制度の導入の違反行為に対する措置の在り方についてというところでございますが、ここは答申等ございますけれども、消費者庁のほうから諮問を受けて、委員会のほうから答申を行ったというようなことでございます。

こういう形で、消費者庁や、それから消費者委員会において検討がずっとなされてきたというような歴史がございます。

こういった検討を踏まえて、3ポツのところの「法改正」がなされています。

(1)としては消費者安全法ですが「消費者の財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入」とございます。

7ページ目の上から5行目辺りですが、消費者安全法の改正によりまして、財産事案に係るすき間事案への行政措置が導入されたといったところでございます。

(2)は、消費者裁判手続特例法の成立でございます。

これについては、(2)の3段落目のところでございます。平成25年4月、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案が国会に提出されて、可決されたといったことがございます。

(3)は、景品表示法の課徴金制度の導入でございます。これについても、課徴金制度が導入されたというような記載をしているところでございます。

8ページでございます。

4ポツのところに、この「第1.」の「小括」としてございます。

以上述べたように、加害者の財産の隠匿・散逸の防止に関する制度を含め、多数の消費者に被害を生じさせた不当な収益を剥奪、被害者を救済するための制度については、幾つかの法改正が実現しているというところでございます。消費者安全法、消費者裁判手続特例法、それから景品表示法の課徴金などでございます。

ただ、悪質商法による被害に遭った消費者の被害回復に関し、行政が主体となって不当な収益を剥奪し、被害者を救済するための制度については、更に課題があるといったような形で取りまとめを行っています。

次に、「第2.」のところにまいります。「近年の多数消費者被害」でございます。

ここでは4つ取り上げてございます。

このワーキング・グループの場で御報告いただいたものも多く含まれておりますので、説明は簡単にいたします。

まず1つ目が、ジャパンライフでございます。

この会社自体は、昭和50年3月28日に設立されたといったところでございます。割と歴史の長い会社となっております。

この会社が起こした事件については、皆様、御承知おきのことと思います。

9ページにいきまして(2)の「経過」のところでございますが、設立から大分経って、消費者庁は平成28年から平成29年12月までの間に、4回行政処分を行っております。

その後、3段落目ですが、平成30年2月9日に被害者らにより、破産申立てが行われて、現在でも破産手続が継続中ですというところでございます。

結果として、この関係者は、詐欺罪で実刑判決を受けております。破産手続を受けて、その配当率の見込みとしては、僅か1パーセント未満とされているのが実際のところでございます。

次は、WILLの事案でございます。

事案の概要としては、ここに記載のとおりでございますが、会社自体は平成27年10月1日に設立といったところでございます。正に、ジャパンライフなどが行政処分を受けるちょっと前に設立されているといったところでございます。

10ページのところに、具体的なビジネスモデルが書いてございます。10ページの(2)の上、3行目の辺りですが、実際には本件商品の賃貸事業から収益を得ておらず、賃借料の支払いを本件商品の販売による売上に頼っていることが認められたと記載がございます。

(2)の「経過」のところでございますが、平成30年に消費者庁は、WILLに対して特商法違反を理由とする行政処分を課しております。その後も何度も消費者庁は注意喚起などを打っております。令和元年7月には、消費者庁は、行政処分を行っております。また、同種の類似の行為を行っている株式会社の別の名義の会社に対しても、注意喚起を行うなどしています。

続いて、令和元年11月、それから令和3年3月においても、特商法違反とする行政処分などを行っております。

直近では、令和3年6月にVISION株式会社等による、また、それと同種の会社に対して、同様な事案が行われる可能性が高いことを、消費者安全法に基づき注意喚起したというようなところでございます。

この会社自体については、今、どうなっているのかが分からないというような状態になっておりまして、もしかすると、依然として活動しているかも分からないといったところでございます。

3ポツのケフィア事業振興会でございます。

事案の概要でございますが、昭和60年に設立された会社で、最初は通信販売から始めております。その後、オーナー制度ということを言ってみたり、それから、11ページにまいりますが、平成29年10月からサポーター制度というような名称を打って、会員を集めていったというようなことでございます。

(2)のところでございますが、最終的には平成29年4月頃から徐々に支払いを遅延したというようなことで、支払遅延の報道がなされたことを契機に、会員からの返金がどっと増加して、それを経て、12ページのところにまいりますが、平成30年9月には、事業者自ら破産手続開始申立を行ったというような終わり方になっております。

この事業者についても最終的に役員などについては、詐欺罪や出資法違反の罪に問われているといった形になっております。

4つ目が、MRIインターナショナルといった事案でございます。

こちらは、ワーキング・グループのほうで、当事者の弁護士の方からお話がございました。詳しい説明は、そちらのほうであったかと思いますので、こちらでは簡単に御紹介いたしますが、そもそもこの会社は、12ページの(1)の事案の概要のところにございますように、平成20年に金融商品取引法上の第二種金融商品取引業の登録をしていたということで、米国に本社を置いて、日本にいる日本人から資金を集めるという、そういったビジネスモデルで行っておりました。

そして、この事業の実態でございますけれども、12ページの2段落目のところ「MRIは」というところでございますが、少なくとも、平成23年以降、本件ファンド持分を取得するために出資した顧客の資金について、本事業に用いることなく、他の顧客の配当に充てていたというようなことが確認できているといったところでございます。

これを受けて、13ページのところでございますが、平成25年4月に関東財務局は、この事業者に対して、第二種金融商品取引業の登録を取り消したというような流れになっております。

(2)(3)の「経過」のところでございますが、民事的な手続を日本とアメリカで行ったというところでございます。

(イ)の米国のところでは、特徴的なこととしては、平成25年9月に、米国証券取引委員会が違法収益吐出手続の提訴や一方的緊急差止命令の申立てをして、翌日裁判所が一方的緊急差止命令を決定したというような動きがあったという御紹介があったところでございます。

14ページにまいりまして、イの刑事事件のところでございます。こちらについても、最終的には、アメリカのほうで、関係者は、詐欺という形で罪に問われているといったところでございます。

「第2.」のところの実際の事案、今、4つだけ御紹介しましたけれども、WILLのほうは、最後どうなっているか分かりませんが、最終的には警察が動いて詐欺や出資法違反で罪に問われるといった事案でございます。

ただ、これは、かなり後の方の段階で、こういった警察が動いているといったような実態があるのだろうと思います。

お手元の参考資料のところに、今、御紹介した各事案について、ジャパンライフ、それからWILL、ケフィア事業振興会、MRIインターナショナルということで、個別に調査した資料が参考資料として付いているかと思います。後で、御参照いただいても結構でございます。

簡単に御紹介しますと、ジャパンライフについては、被害者数は7,000人で、被害額は2,000億円に達しております。

それから、WILLについては、まだ、今、会社がどうなっているか分からないので、不明でございます。

ケフィア事業振興会については、被害者数は3万人、被害額は1,000億円というようなところでございます。

また、最後のMRIインターナショナルは、被害者数が8,700人、被害額が1,365億円ということでございまして、様々な法改正や、制度整備がされてきてはいるけれども、依然として、こういった消費者に対する大規模な被害を生じさせるような事案が起きているといったことを、「第2.」のところで確認したところでございます。

それを受けまして、本体資料の資料1の14ページに戻ります。5ポツの「小括」でございます。

以上、今、「第2.」のところで御説明した事案に共通する本質的な問題点は何だろうかというところでございます。

まず、マル1として高配当・高利益が得られることをうたうことによって、消費者を強力に誘引するといったところでございます。

マル2として、その事業スタイルとして、事業による利益が上がらずに、最初からもしかすると利益を上げられる仕組みではない場合もあると考えられると。約束した配当ないし利益の提供ができない状態になると、他の消費者から得た出資金から、それを他の配当に回すと、そうせざるを得ない状況に陥っているというところでございます。

マル3として、こういった事業スタイルですと、出資が増えるほど配当ないし利益の提供をしなければならない金額が増えるため、更に出資者を集めて被害が拡大するという構造的な問題があるといったところでございます。

これに対して消費者はどうかというと、「また」のところでございますが、外観上、利益が出ているように見られるため、被害を認識することが難しいというのが、どの事案についても言われていることでございます。

また、事業者が破綻したときには、被害が相当程度拡大していて、事業者の財産が散逸していると、被害回復を図ることは難しい状態に至ることが指摘できるというようにまとめております。

「第2.」の小括のまとめ方は、今の案では、これまでの議論を踏まえてこういうような形にしております。

ここのところは、これから行政が主体となって不当な収益を剥奪し、被害者を救済するための制度を作るといったときに、どういった事案を対象とするのかといったところに関わってきますので、この被害の特徴のとらまえ方は、この小括に書いてあることでいいのか、これから、こういったツールを行政に持たせるときに、対象の事案をどうするかといったお話につながっていきますので、その辺りについて、特に御意見があればいただきたいというところでございます。

とりあえず、ここまでの御説明は、以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、これより30分程度意見交換の時間とさせていただきます。ただいまの説明を踏まえまして、御意見等のある方は御発言をお願いいたします。御発言をされる際にはチャット欄に御投稿ください。よろしくお願いいたします。

中川委員、よろしくお願いします。

○中川委員 ありがとうございます。2点ほど質問をさせていただきたいと思います。

1つは7ページの上から2段落目で、行政手法研究会で検討した内容を、消費者安全法に組み込んだとあるのですけれども、行政手法検討会のどういう提案を消費者安全法に入れたのかということについて、教えていただければと思います。

もう一点は、8ページ以降のジャパンライフ以下の各事案です。ここに挙がっている事業者の行動パターンというか、たとえば財産隠匿をするなどという意味で逃げようとしているといいますか、そういう行動をしたと見られるのかどうかです。

ジャパンライフであれば、結局、破産手続に最後は行ったのだけれども、単にビジネスがうまくいかないからお金がないというだけではなくて、あちこちに資金を移動してしまったのではないかというようなことが、このジャパンライフ以下の4つの事案で、うかがわれるかどうかということについてお尋ねしたいと思います。

後者は、分かる範囲でということで。

○後藤座長 事務局、いかがでしょうか。

○友行参事官 まず、後者の財産の隠匿を、どのような形でしたかどうかというのは、多分分からないですね。

○事務局担当者ジャパンライフ以下の各事案ですけれども、財産隠しのような行動をしたかどうかというところまでは、事務局では把握しておりませんで、具体的には、ジャパンライフでしたら、破産管財に当たった管財人の弁護士などではないと、直接的には分からないのではないかなと思っております。

ただ、MRI事件に関しましては、米国が本社だということもありますが、日本にいる日本人を被害者としつつ、その金額は、得たものは全て米国に送金していたという意味では、日本には残していないと、そのような行動をとっているということは指摘できるかと思います。

それと御質問の前者の点ですけれども、具体的には6ページ辺りに書いてあるとおりではあるのですが、消費者安全法の制定当初は、勧告・命令の対象となっている重大事故が、生命・身体分野の事故に限られておりまして、財産事案は含まれていなかったのですが、制定当初より、ここは含めるべきではないかという議論がございました。

そのような指摘を踏まえて消費者庁の検討会を経て、多数消費者財産被害事態という概念が成立しまして、それに対して、勧告・命令を発することができるようになったという改正でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、他にございませんでしょうか。

黒木座長代理、よろしくお願いいたします。

○黒木座長代理 ありがとうございます。非常に分かりやすい説明をありがとうございました。

私は、この14ページの小括のところの事業者の特質として、マル1、マル2、マル3とまとめていただいておりまして、この考え方というものと、それから、日弁連が、2021年8月19日に、「ポンジ・スキームの事案についての行政による被害回復制度の導入を求める意見書」というのを出していまして、ポンジ・スキームを行う事業者は、結局、市場の中にいる必要がない事業者であるということを前提として、いろいろな方策を考えるということを提案しています。この小括のマル1からマル3までの要件、これは、ほとんど日弁連が言っているポンジ・スキームではないかなと思うのですけれども、マル1からマル3までの事業者の本質的な問題点というところについての考え方というものについて、まず、確認をさせていただければと思います。

「また」以下のところは、正に被害者の捉え方としては、このとおりでありまして、したがって、このようなマル1からマル3までの要件に該当する場合には、被害者の主導による救済が極めて厳しいということも同時に言えるという理解なのかという点についても、併せて御回答をいただければ大変有り難いと思います。

○後藤座長 よろしいですか。

○友行参事官 マル1からマル3に挙げているところは、正に、他の消費者から得た出資金などを他の消費者の出資に充てるというところについては、正にそれが破綻必至商法のポンジ・スキームというところだと考えております。

最終的には、それは、どんどん人を増やしていかなければ、持ちこたえられない形なので、出資者が増えるほど、配当ないし利益を提供しなければならない金額は増えるという、マル3のところも、それも併せて、それを一体としてこの形を、いわゆるポンジ・スキームと言われていると認識しています。

こういう仕組みを取ると、すなわち、配当が配られている間は、その「また」以下にあるように、被害に気付かないというところで、被害に気付いたときには、相当程度の人がこの取引に関わっていたり、相当程度のお金をこちらにつぎ込んでいたりということに、結果としてつながっていくというようなことだと、そのように考えています。

○黒木座長代理 ありがとうございました。

そういう御理解だということで、報告書案を検討させていただきます。どうもありがとうございました。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○加納事務局長 事務局の加納ですけれども、今の黒木座長代理の御指摘に関してなのですが、日弁連の意見書の案というのは、私どもも拝見しておりまして、検討の参考にさせていただいておりますけれども、日弁連の考え方は、私どもというか、私個人ということになるかもしれませんが、理解としては、やはりそのスキームに着目をしていて、そのスキームが、事業として破綻するというような、そういうことであるがゆえに、今回の小括のところで言いますと、マル2辺りに書いてありますように、他の消費者から得たものを回さざるを得なくなるというような、そういう発想なのかなという印象を受けております。

今回ちょっと私どもで、マル1、マル2、マル3と書きましたけれども、そのスキームの問題プラス、やはり、大きいところはマル2、マル3のような他の消費者から得たものを回すという構造になると、それはもう不可避的に破綻するのではないかというような発想にちょっと立っておりまして、ですからスキームのいかんを問わず、マル2とかマル3のような状態に陥ると、こういう危険性があるのではないかというような、どちらかというと、そういう発想ですので、ちょっと今までのポンジ・スキームと言われている枠組みとは違うアプローチを試みておるつもりでありまして、ただ、実質に着目するというような要素が出てまいりますから、そこはどうなのだろうかという議論は当然あるだろうなと思っていますので、ここはちょっと、できれば委員の皆様からも御意見いただきながら議論を深める必要があるかなと思っております。

ちょっと補足でございますけれども。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

黒木座長代理、いかがですか、何かコメントございますか。

○黒木座長代理 ありがとうございます。

では、発言させていただきます。今の御発言ということになると、これは、結局のところ、日弁連の場合の読み方と、あまり変わらないと思ってはいます。ただ、加納事務局長のお話で、ちょっとそこがよく分からないところがあるのですけれども、最終的に、ぐるぐる回しに陥ってしまっているという点は、これは一緒であって、ぐるぐる回しになってしまったら、事業としてはほとんど意味がないという理解も、恐らくそうなのだろうと思うのですよ。

そうすると、結局会社法は準則主義なので、どういうふうに考えるのかという点だけ違うのかと。設立時から悪意を持っていなくても、こうなったらという意味で、この小括のほうは広い、設立の意図とかまで考えずに、広く対象となると考えているのか、ちょっとその辺りのところが、ちょっと今のでは分かりにくかったので、教えていただければ有り難いです。

○加納事務局長 広くなる可能性はあると、それはスキームのいかんにかかわらず、このマル2、マル3の状態に陥った状態は危険ではないかという発想に立ってみたという点で、日弁連の考え方とはちょっと違うかなと、今のところ私どもとしては考えております。

○黒木座長代理 なるほど、分かりました。広くなる可能性があるということですね。ありがとうございました。

○加納事務局長 ただ、それは実質的というふうになりますので、行政規制になじまない側面が出てまいりますから、それで本当に大丈夫だろうかという観点の検証は、当然要るだろうなと思っていますので、ここはちょっと突っ込んで議論をいただきたいなと思っております。

○黒木座長代理 了解です。分かりました。

○後藤座長 ただいまの小括のところですね、突っ込んで議論をいただきたいという御発言もありますので、委員の方々から何か御意見がありましたら、出していただきたいのですが、いかがでしょうか。

お願いいたします。

○大石委員 今、黒木座長代理が御発言になりました場所です。今、お話しになられていたことと、内容的には違うかもしれませんが、以前、なぜ被害が拡大するかという理由をご説明いただいたときに、このマル1、マル2、マル3で回っていることのように見えるためにというのも、もちろん理由としてあるのですけれども、加えて、やはりそのために、被害者自身も被害に遭っていることに気が付きにくいし、仮に、何かおかしいのではないかと感じたとしても、いや、自分は利益を得ているから大丈夫だと思いたい、ということで、なかなか被害というところに目がいかないということでした。そのために、被害が発覚する時期が遅くなり、その間、更に被害が拡大するのだ、というお話だったと思います。

ですので、実際に、この中に書いてある内容そのままだと思うのですけれども、やはり、被害者として、消費者自身が認識できないとか、発覚するまでの期間がどうしても長くなることなども、入れていただければと思いまして、発言させていただきました。

○後藤座長 ありがとうございます。

大石委員、発覚するまでの期間の問題とかをどこかに補うというような形で、具体的に小括のどの部分をお直しになるということでしょうか。

○大石委員 ありがとうございます。

もし入れるとしましたら、最後の「また」以降のところでしょうか。「外観上、利益が出ているように見られるため、その間、個人が被害を認識することが難しく、事件の発覚が遅くなる」とか、その辺りに時間がかかってしまう、というようなことを入れていただければと思っての発言です。すみません、日本語がうまく噛み合っておりませんが、そのため、事業が破綻し被害が顕在化した時点では、被害が拡大しているという、何かそういう感じのことが一言入るといいのかなと、ちょっと思いました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

事務局、いかがでしょうか。

○友行参事官 そういった形で入れ込みたいと思います。

○後藤座長 では、そういう方向で、文案はもう少し整えるかもしれませんけれども、今の御発言の趣旨で小括を補うという形にしたいと思います。

それから、先ほど御発言いただいた加納事務局長は、今、ご用事で席を外しておりまして、事務局のほうで小括について何か補うことがあれば補っていただきたいと思いますが、そうでない場合には、ここの部分については、問題意識は共有させていただいた上で、先に進みたいと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、14ページの部分まで、他にございませんでしょうか。

中川委員、よろしくお願いします。

○中川委員 小括の部分です。今後対象として議論するのは悪質商法であると、それが、今、マル1、マル2、マル3で説明されたスキームということなのですね、括弧付きでいわゆるビジネスモデルというか、スキームに対して、どう規制をかけていくのか、禁止とか制約とかをかけていくのかという方向の話があると思います。それにプラスして、先ほど御質問しましたように、彼らがどれぐらい財産を隠しているのかについても取り上げるのか。14ページの下から2行目で、財産の散逸というのは、なかなか微妙な言葉です。このビジネスモデルないしスキームだと、結局は、すっからかんになるという意味で散逸という語を使っているのか、財産を隠しているわけではなくて、単に最終的には被害を回復するお金がなくなるビジネスモデルです、スキームですという意味だと理解するのか。それにプラスして、危なくなってきたら事業者のほうがさっさと他のところに財産を隠してしまって、あとはもうぐるぐる回しで手を挙げると、最終的に自分で破産申立てをするという行動をとる可能性がある。

つまり、隠す行動、ビジネスモデルそのものではなくて、その事業者の体質というか、行動パターン、行動様式といいますか、単に散逸ということではなくて隠匿ということですね。それに対しても追及しなくてはいけない。名前を変えてどんどん他で違法行為を繰り返していくと、これは何と言うのですかね、ある種の逃亡ですけれども、財産隠匿と合わせて逃亡と言ってもいいかもしれませんが、そういう行動様式の面も、これから扱うということなのか。今、小括を拝見していると、そこまでは必ずしも書かれていないのですけれども、この後のページをみると、隠匿という語が出てくるので、その両方について扱うかどうかということですね。

今の質問をもっと簡単に言いますと、最初のほうで悪質商法という言葉と、悪質業者という言葉が出てきて、これは微妙に違う気もするということです。悪質商法は、要するにスキームの話なのですけれども、悪質業者となると、発見されそうになると、少しやばくなると名前を変えたりとか、ビジネスモデルを変えたりとか、あるいは財産を隠匿するという、そういう行動をする人々という意味になると思うのですが、その両方を対象にするのかどうかというところを、この小括で明確にしたらどうかなと、これが私の質問というか提案というか、両方やったらいいかなというのが提案ですけれども。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

事務局いかがですか。

○友行参事官 正に今の時点では、両方を視野に含めてやったほう方がいいと思います。こんなにお金を集めて全然残っていないというのは、やはりどこかに隠しているということ、実は分からないですけれども、ですので、検討する際には、そこも散逸だけではなくて、隠匿というのも併せて検討したほうがいいと思います。

○中川委員 よろしいですか。

○後藤座長 お願いします。

○中川委員 そうだとすると、小括は「また」の次に、もうワンパラグラフ加えて、こういうスキームをやっている場合には、まだ今のところはっきりとは分からないけれども、財産の隠匿であるとか、名義を変えた規制逃れといいますか、そういった行動もしばしば見られるのではないかみたいな感じで書かれたらどうかなと思いました。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

小括の部分は、この中間取りまとめの後の後半部分の議論についても大きく影響を与えるところでありますので、慎重に書き下す必要があると思いますけれども、今、中川委員から御指摘いただいた点について、財産を隠匿するというような悪質事業者の行動様式の部分について書き加える形で、必ずしもスキームだけの問題ではないということ、先ほど加納事務局長ももっと広いとおっしゃっていましたけれども、小括の部分について少し書き加えるという方向でよろしいでしょうか。委員の方々、この問題について、小括の今の議論について、何か御意見がありましたらお願いします。ただいま丸山委員が御発言の御意向なのですが、この論点に関してということでよろしいでしょうか。

○丸山委員 はい、同じ論点に関してです。

小括を見る限りでは、前半部分の記述を受けて、このような商法ではとなっているのですけれども、今回検討している対象は、何らかの商法によって限定されるということではなく、様々な財産の回収困難事案について、対応策を考えるということにあったと思いますので、先ほどの中川委員の御指摘にもありましたように、可能な限り射程を広くする検討ができるような形で、小括の書きぶりも考えていただければと思います。

特定のスキームや何らかの投資事案だけに限るというようなニュアンスにしないほうがいいのではないかと、そういう趣旨でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

木村委員、いかがでしょうか。

○木村委員 ありがとうございます。

確認させていただきたいのが、先ほど消費者がなかなか知る機会がないというお話があったのですけれども、こういった商法の場合に、例えば、途中で運用状況のお知らせですとか、何か利用者が知るような機会が規定されているのか、いないのかというところ、今さらなのですけれども教えていただければと思うのですが、こういう商法の場合は、必ずしもそういう運用状況を知らせるような義務はないという理解でよろしいのでしょうか。

○後藤座長 事務局、お願いいたします。

○事務局担当者 今回問題としている、ジャパンライフとかWILL等ですと、特商法の処分がされておりますが、そのような法律の枠組みの中では、運用状況を消費者、購入者に報告するというような規制はないかと思います。

MRIインターナショナルについては、金商法の登録をした上での商売ということになりますので、金商法上の規制を受けますが、金商法の第二種の登録でどのような義務を課されているかというのは、正確にはお答えできません。お調べして回答します。

○木村委員 分かりました。では、とりあえず義務はないという理解でよろしいですね。

○事務局担当者 ない場合もあるということで、御理解をいただければと思います。

○木村委員 分かりました。ありがとうございます。

○後藤座長 必要であれば、ここは事務局で調べていただいて、必要に応じて補うということにしていただけたらと思います。

○事務局担当者 かしこまりました。

○後藤座長 この部分、大事な議論がされていると思いますので、最初に問題提起していただいた黒木座長代理、今の議論の方向でよろしいでしょうか。スキームの問題だけではなくて、悪質事業者が隠匿するというような行動様式ですね、そういうものも含めて可能な限り射程を広く取れるような形で小括の部分を書き直す。こういう御提案で議論は進んでおりますけれども、黒木座長代理、そういうことでよろしいでしょうか。

○黒木座長代理 大変すばらしい方向に行っていると思っております。この報告書も、正にこの小括において、どういう対象を考えるのかというところを取り上げているのがこの小括だと思うのですけれども、おっしゃるとおりで、対象は、ただ単にスキームだけではなく、事業者のそういうような隠匿、いろいろな形で隠匿の回復するところまでやらなければいけない。

そして、やはり「また」以下のところが非常に重要で、結局、顧客の人たちから苦情が出るということは考えにくいので、被害者サイドからのイニシアチブが取りにくい事案であるということを「また」以下で確認され、そして、この結果として、事業の財産が散逸しているのだと、あるいは隠匿されているのだと、それを被害者のイニシアチブがないとしても、何らかの形で回復できるような制度を考えるという形で小括がまとまっていけば、非常にいい報告書になるのだろうと思っています。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、14ページまでで、他に何か御意見あるいは御質問はございませんでしょうか。よろしいですか。

それでは、14ページまでについての意見交換は、以上にさせていただきます。

引き続きまして、事務局より、中間取りまとめ(案)の「第3. 現行制度の概要・運用状況等」につきまして説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、「第3.」のところでございます。15ページのところから、まとめの35ページのところまで、御説明いたします。

「第3. 現行制度の概要・運用状況等」、最初1ポツの「民事的手法(消費者裁判手続特例法)」でございます。

こちらは、ワーキング・グループの中でも、2つの特定適格消費者団体に来ていただきまして、運用の実態などについてお話しいただいたところでございます。全国で、今、4団体が認定を受けているという形でございます。

(1)の概要の2つ目の段落のところでございますが、こちらは、制度の概要、正に、具体的には一段階目の手続があって、そして、二段階目の手続に進んでいくという、そういった制度となっております。委員の方は、よく御存じかと思っております。

過去に、この手続の特徴として、仮差押えができるというようなところで、ここで財産を保全するというような、我々の目指しているところの一つの仕組みがあるといったことかと思います。

16ページにまいりまして、こちらも法律が出来てから、幾つか改正事項がございます。この特定適格消費者団体が動きやすいように、16ページの(3)では、令和3年改正では、特商法等の行政処分に関して作成した書類を提供することが可能になったというような記載であります。

ただ、(4)の令和4年改正では、一つ御紹介しているのは、(4)の2段落目の下から4行目辺りですけれども、事業者自体の財産は散逸・隠匿される一方で、代表者や実質的支配者個人に財産が移転していることが珍しくない。そこで、悪質商法に関与した事業監督者・被用者を想定して、一定の要件を満たす事業者以外にも被告適格が拡大されたというように改正されているところでございます。

(5)は運用状況、それから(6)は、実際に訴訟を提起された事案について記載しております。詳しい説明は割愛いたします。

16ページ、それから17ページで学校があり、それから、イのところでは、株式会社ONE MESSAGEのところでございます。情報商材に関わるものでありました。

ウは、株式会社ZERUTAで、給与ファクタリングというような文言を使っている仕組みでありました。

18ページにまいります。

この民事的な手法の効果の一つとして、(7)でございますが、訴訟外の申入れ活動といったことも事業者から御紹介があったかと思います。

(8)は、対応が難しい場合があるケースといったところでございます。ヒアリングを行った消費者機構日本からは、消費者裁判手続特例法施行以降検討したけれども、回収可能性に不安があることで取り上げることを断念した事案が、約半数ぐらいあったというような報告がございました。

具体的には、どういう場合に回収可能性に不安があるかということでございますが、団体から言われたのは、ポンジ・スキーム型や情報商材型、投資勧誘型、定期購入、モニター商法型など、経営が最終的に破綻するといったものについては、難しいというような指摘がなされたところでございます。

(9)が評価でございます。この消費者裁判手続特例法についての評価でありますが、悪質商法への対応という観点からは、本制度には仮差押えがあって、実際に利用もされていると。特定適格消費者団体に対して、行政処分に関して作成した書類を提供することができるといったような法改正が、それから、悪質商法を念頭に、被告適格の拡大改正がなされたところといったところもあり、今後も更なる活用が期待されるというようなことでございます。割とさらりと軽めに書いているところでございます。

これから先、それぞれの法律について御説明を簡単に申し上げますが、最後のところに評価というようなことを記載しておりますので、この後、御議論をいただくときには、この現行制度の評価のところを特に着目させていただいて、御議論いただければと思います。

19ページにまいります。

行政的手法として、最初に(1)で消費者安全法の注意喚起がございます。

20ページにまいりまして、こちらも評価のところでございますけれども、注意喚起でございますので、悪質商法の被害を予防、未然予防というような効果があるといったところでございます。もちろん、これは今後も積極的に注意喚起することが行われるべきだというような記載ぶりとしております。

それから、(2)でございます。景品表示法の課徴金納付命令でございます。対象行為は優良誤認、それから有利誤認となっております。

20ページの下から課徴金納付命令の趣旨になりますが、21ページにいっていただきまして、事業者が不当表示を行う動機を失わせ、不当表示規制の抑止力を高めることによって、それを防止することを目的とする。また、景品表示法の課徴金制度は他法律と異なり、消費者の被害回復の促進の観点も含まれているといったところでございます。

ここの部分でございますが、21ページのオの自主返金の実施による課徴金額の減額でございます。

算定された課徴金に対して、それを消費者に返金するといったことでございます。

2段落目の「そして」のところでございますが、認定を受けた事業者が手続に従って返金を実施した場合は、その返金額が課徴金額から減額されているという、そういう制度になっております。

そういった意味では、消費者の目指すところの手法の一つの被害回復を促進という面も持ち合わせているといったところでございます。実際にそういうことが行われた例もございます。

22ページにまいります。

運用状況、それから、最後のキのところの評価でございます。

課徴金は実績もありますし、消費者に返金されたという事例もありますけれども、そもそも悪質事業者が自主的な返金を行うだろうかというようなことを、ここでは述べております。

(3)は、特商法や預託法でございます。指示・業務停止命令・業務禁止命令というような仕組みがございます。

22ページから23ページにかけまして、指示や業務停止、それから業務禁止命令について記載しております。

預託法もほぼ同様の規定がございます。取引停止命令、措置命令、それから、24ページに入りまして、業務禁止命令というものもございます。

運用状況ですが、少し字が小さいですけれども、以下のとおりであるということで、2桁の実績があると。

一方、預託法は、ほぼ処分件数などは、直近はないという形になっております。

それから、エのところですが、預託法は法改正されておりまして、原則禁止ということになっております。やった場合は罰則が設けられて、もし、やるといった場合にも、手続がそもそも厳格で、消費者庁があらかじめ消費者委員会の意見を聞くというような立て付けに変わりました。これは相当厳しい立て付けだと思いますので、これに基づいて事業を行っていくのは、なかなか実際にはないかもしれないというような、そういうような言い方もあるかと思います。

この特商法、預託法の関連の規制についての評価が、オのところでございます。

特商法、預託法の指示、業務停止、業務禁止などの仕組みについては、もちろん積極的に活用されるべきであります。役員等に関する業務禁止命令もございます。

ただ、先ほど御紹介したように、ジャパンライフの件では、ほぼ同じ団体に対して4回行政処分を行っているわけです。ここですと、特定の業務に、もしくは取引の停止にとどまるため、ジャパンライフのように、販売形態、取引形態を変えると、また、事業の本質が変わらなくても、潜脱的に事業が続いていくといったようなことは、実際問題あったというところでございます。

それから、25ページの(4)の、これは消費者安全法の勧告と命令でございます。

消費者安全法では、その注意喚起、先ほど申しましたもののほかに勧告という手続がございます。最初の段落の下から2行目、3行目のところでございますが、多数財産被害を発生させた事業者に対しては、そういった不当な取引を取り止める、その他必要な措置を取るべき旨を勧告することができるとなっております。

それから、消費者安全法の改正があったといったところは、先ほどは、隙間事案、財産事案に対しても、これができることになっているというようなところは、改正としては過去にあったというところでございます。

25ページから26ページにいきまして、勧告に従わない場合は、イにありますように、命令であります。

それから、ウやエについては、この規定を発動するに当たっての多数消費者財産被害の考え方や、財産被害事案の消費者事故等についての定義などを記載しているものでございます。

オの運用状況でございます。27ページのところでございますが、勧告は2件でございます。

それから、カの評価でありますけれども、こちらについては、注意喚起と同様、勧告・命令に対しても、積極的に活用すべきというような書きぶりでございます。

それから、(5)は、破産手続開始申立の類いになるものでございます。

最初のアの「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律」については、こちらは、金融機関に対して、監督官庁が破産手続の開始の申立権を持っているというようなところでございます。

これは、とても強力なものでありまして、金融庁がその権限を持っているといったところでございます。

それから、イのところは、債権者による破産手続開始申立てでございまして、一般の人が、もしくは弁護士、弁護団を組んで、多数の被害者が債権者として申し立てる破産法上の破産手続というものがあるといったところでございます。

それから、28ページにまいります。

(6)会社法の解散命令でございます。こちらもワーキング・グループで、法務省からヒアリングをしたところでございますが、アのところは概要でございます。これは、イのところで申立要件というところがございます。マル1会社の設立が不法な目的に基づいてされたとき、マル2会社が正当な理由がないのにその成立をした日から一年以内に事業を開始していない、又は休止したとき、マル3として業務執行取締役等が法令もしくは定款で定める会社の権限を逸脱したときなどでございます。

申立要件は、これだけございまして、効果としては、会社は解散し、清算手続に入ります。裁判所は、利害関係人等の申立てにより、職権で清算人を選任してというような、最終的に会社自体がなくなるという手続でございます。

財産の保全については、この会社解散命令の申立てがあった場合には、保全がなされるといったところでございます。

これは、今、議論しようとしている立て付けに若干近いというようなことは、外から見ると言えるところであります。

30ページにまいります。

こちらのオ、法務大臣に対する通知義務が、官庁においてはありますというところで、法務大臣に通知する場合は、まず、その通知する役所が、事実誤認に足りる証拠を添えて通知すべきということになっております。

カのところが、実際の運用状況でございます。ワーキング・グループの場でも御説明がありましたが、平成27年度からずっと見てみますと、2件とか0件だったり、1件、2件、1件、3件、0件といったような、そういった推移となっております。

31ページにまいりまして、評価でございます。

仕組みとしては、会社を解散させられたり、財産を保全できたりといったようなことを持ち合わせておりますので、1行目に本制度の活用が図られるべきであるとしております。その場合の一つとして悪質商法において、潜脱的に違法行為が繰り返されることにより被害が拡大するとともにその回復が著しく困難になる場合があるのではないかといったところでございます。

ただ、法務大臣自身は独自の調査権を持たないというようなことでございますので、これを動かすためには、それを申し立てる、通知する官庁がしっかり調べるといったことが必要だということでございます。

31ページの3ポツの刑事的手法にまいります。

最初が(1)の組織的犯罪処罰法でございます。

アが没収・追徴の仕組みとなっております。割と細か目に仕組みについて記載しております。

32ページ目にまいりまして、真ん中辺り「同条3項は」というところでございますけれども、犯罪被害財産を没収することができるというような規定がございまして、それはどんな場合かというのが32ページの真ん中から下ぐらいのマル1、マル2、マル3でございます。団体の活動として、犯罪行為を実行するための組織により行われたものということや、それから、マル2として、犯罪被害財産について取得もしくは処分もしくは発生の原因につき事実を仮装し、隠匿する行為が行われたとき、それから、マル3として、当該犯罪被害財産について、情を知って、これを収受する行為が行われたときなどとなっております。

イのところ、保全に関してですが、こういった場合については、裁判所又は裁判官が没収保全命令を発するという仕組みになっております。

(2)のところは「被害回復給付金支給制度」でございます。

こうした組織的犯罪処罰法に基づいて没収した財産によって得られた金銭について、それを給付資金として保管して、それを、犯罪行為の被害者に給付する制度といったところでございます。

(3)が運用状況、幾つか運用実績があるということでございます。

(4)は評価でございます。この制度は、犯人・被害者間の民事上の権利義務の確定を図る被害者による個々の損害賠償請求の行使とは別に、行政が主体となって、犯人から没収・追徴の裁判の執行等により国庫に帰属した金銭を原資として、給付金を支給するといった、そして被害回復を図るといった制度であります。

今、このワーキング・グループで検討していただいている不当な収益の剥奪、被害救済制度の先行的な例と考えることもございます。

ただ、こういった仕組みで全ての場合が対象となるのかどうかということについては、もう少し検討が必要かということで、対象とならない消費者被害事案もあるのではないかといったような記載をしているところでございます。

34ページ目の4ポツ、その他特別な制度ということでございます。振り込め詐欺救済法でございます。

(1)ですが、最初の段落の真ん中辺りで、被害を受けた者からの預金口座等への振込みが利用されたものを対象に、捜査機関等からの情報提供によって、犯罪利用預金口座の凍結・失権手続等の必要な措置を行って、それを原資として被害者に給付金を支払う、分配金は払うといったような仕組みでございます。

(2)のところが運用状況でございまして、令和3年度については、24回行われという記載でございます。

35ページにまいりまして、評価でございます。

こちらについては、裁判所を介さずに、迅速に財産口座の保全凍結を行って、そして、それを分配できるといったところは、この制度の特長で、評価の側面といったところで、そういった形で記載しています。

以上、現行の制度についてどうなっているかということを整理したものについて、5ポツのまとめでございます。

ここに、それぞれの評価を、全部並べてしまうと、同じことの繰り返しになりますので、割と簡潔に記載しておりますけれども、以上に述べた既存の制度を最大限に活用すべきと、特に行政的手法としては、消費者安全法の注意喚起、隙間事案に関する勧告・命令、課徴金、特商法のそれぞれの執行が重要だというような記載ぶりにしております。

「第3.」につきましての御説明は、以上でございます。

この評価の部分について、このワーキング・グループが目指しているもの等に照らしてどうか、ワーキング・グループは目的としているものに対して、足りているか、何が足りないかということなどについて、御意見、御議論をいただければと思っております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいま御説明いただきました、第3の部分について30分程度で意見交換をさせていただきたいと思います。

ただいまの説明を踏まえ、御意見等のある方は御発言をお願いいたします。御発言をされる際にはチャットの欄に御投稿ください。

山本委員、よろしくお願いいたします。

○山本委員 ありがとうございます

幾つか申し上げたいのですが、その前提として一つ確認したいのですが、16ページ以下で、この消費者裁判手続特例法の訴訟提起がされた事案というのが挙がっていて、4件あるということなのですが、この中で、この報告書の対象になる事案として事務局等が考えておられるのは、どれなのか、あるのか、ないのか、恐らく、東京医大とかは、対象ではないということになるのだろうと思いますけれども、それ以外、ONE MESSAGEとかZERUTAというのは、この報告書の射程なのか、それともそれとは違う問題なのかというのを、先ほどの、1でしたか、最初のところの整理とも関係しますけれども、この点、ちょっと確認したいと思いました。

○事務局担当者 事務局といたしましては、御指摘のとおり、この大学の案件は、この報告書、このワーキング・グループが主題として取り上げていくものとは、全く性質が違うかと思っております。

逆に17ページのウで書いております、給与ファクタリング事業者については、これは明らかに違法行為を行っていた事業者ということであり、また、裁判も欠席判決ということで、まともに裁判した場合には、争ってこなかったというようなところもあります。意図的に違法な行為をやっていたというような悪性質があるのではないかと思われますので、ウに掲げたZERUTAについては、対象となり得るのではないかと思っております。

次にイの情報商材の事業者については、そもそも情報商材というものをどう評価するのかというのは、難しいところもあると思いますので、正面からワーキング・グループにおいて対象としているような事業者ですというのが、やや難しいのかなと、考えておるところです。

○山本委員 ありがとうございます。了解しました。

ということは、先ほどのスキームの問題ではないというお話がありましたけれども、ああいうぐるぐる回しというか、自転車操業というか、必ずしもZERUTAも、そういう例ではないと思うのですけれども、つまりのところ、何らかの違法行為というか、意図的な違法行為というか、そういうものがあるものについての被害の防止あるいは財産の保全というのが、本検討会の趣旨だと、そういう理解でいいですね。

○事務局担当者 はい。前半の議論も踏まえまして、そのように理解して間違いないかと思います。

○山本委員 分かりました。それを前提にして、何点かのコメントですが、別に中間報告書を直してもらいたいということでは、必ずしもないのですが、今後に向けてということなのですが、まず、財産被害の防止と、それから回復というのは、二つ目的があって、それぞれ、当然のことながら違う問題だと理解しておりまして、後のほうの行政の措置などを見ると、被害防止に特化した制度も取り上げられているように思いました。

それとパラレルに考えると、民事的な手法では、いわゆる団体争訟、差止訴訟ですね、これは、被害防止に特化した制度だと思いますけれども、それもバランス上、掲げるべきなのではないかという気がしました。それは、全体構成の問題です。

それから、今のところの消費者裁判手続特例法のところなのですけれども、現在の叙述は、かなり東京医大とかも含めて、全体的な叙述になっているのですが、報告書の関係では、やはり悪質商法との関係で、この制度がどういう特質を持っていて、どこに限界があるのかということを確認するということが、実は重要なところなのかなと思っていまして、そういう意味で、評価で今後も悪質事業者に対して更なる活用が期待されるという、期待すること自体は自由だと思うのですけれども、しかし、それはやはり、どこかに限界があって、やはり活用されて、その上のところの団体からのヒアリングとして、いわゆる悪質商法については、回収可能性に不安があるとかで、やはりなかなか利用が難しいという指摘があるので、単に期待するということでは、やはり済まないので、期待する以上は、どこが問題で、どこにどういう手当てをして、それで期待していくということが必要なのかなと思いました。

繰り返しですが、別に文言を変えてくれということではなくて、今後それを検討していかないと、恐らくあまり意味がない話になるのだろうなと思ったということです。

最後、3点目は破産のところなのですけれども、これは形式的な話と言えば、形式的な話なのですけれども、書きぶりとして、ここだけ評価がないように思います。この27ページから28ページのところで、アとして金融機関の更生特例法の叙述があって、イとして債権者申立ての話があるということなのですが、本来、ウに評価というのが多分あるのではないかと思うのですが、それが書かれていないのが、全体のバランスとしては、やや違和感を持ちました。

更生特例法は、そもそもこういうものに対して、適用が可能なのかという問題がもちろんあって、そこで可能にしていくためには、立法論的な議論が必要になるという消費者庁申立てというようなものが必要になるということかと思います。

それから、イの債権者申立てについては、最後のところで、限界があるという弁護団からの指摘がされていて、ここは一種評価に相当する部分なのかなとは思いますけれども、他とのバランスからすれば、評価というのがあったほうがいいのかなと思いました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

事務局、いかがでしょうか。

○友行参事官 山本委員からいただいた、最後のところからになりますけれども、確かに破産のところについては評価がなく、そこについては加えたいと思います。

それから、消費者裁判手続特例法のところだけではないかもしれませんが、評価のところの書き方が、今後検討していくことに対して、若干、甘いというような御指摘だったと思いますけれども、そこをどういうふうに書くかどうかについて、山本委員は、修文まで求めるものではないとおっしゃっておりましたけれども、考えたいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

被害防止の関係で、団体訴訟についての御意見もありましたけれども。

○友行参事官 差止めを入れるということですね。

○後藤座長 はい。

○友行参事官 それは、入れたいと思います。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

○山本委員 ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

では、黒木座長代理、よろしくお願いいたします。

○黒木座長代理 まだ、質問だけで、意見はまだなのですけれども、16ページのところの(3)令和3年法改正のところです。

ここは、裁判手続特例法の中で、特商法と預託法の行政処分に作成した書類で内閣府令で定めるものを提供することが可能となったということ、これは、条文はそのとおりで、何も異論はないのですけれども、これは、具体的に、内閣府令の審議の状況とか、実際上は、どういう形で提供することが可能なのかという点について、教えていただきたいと思っています。

特定適格消費者団体が仮差押えをできるというのは、いわゆる被保全権利を特定せずにできますので、財産保全という点では大変強力な武器になる可能性があることだと思いますし、91条がこういう形で導入されたというのは、非常にすばらしいのです。これがどういう形で動くのかということについて、現在どういうものが提供でなされているということについて、規範がどういうふうになっているのか、ちょっと、まだ、私が、そこを不案内なものですから教えていただければと思います。よろしくお願いします。

○事務局担当者 黒木座長代理が御指摘された内閣府令に定めるもの、その検討状況については、すみませんが、調べたものが手元にあるわけではございませんので、即答できません。後で御回答いたします。

○黒木座長代理 分かりました。これは、非常に重要でありまして、こういうような処分、関係するものができれば、仮差押えが非常にしやすくなる可能性が出てくる、もちろん、どういうような形でお金が動いているのかというところまで、ポンジ・スキームだというようなことをやるためには、一定程度の調査が必要でしょうから、そういうような書類が出てくる、資料が、もしも、特定適格消費者団体が得ることができれば、被保全権利を特定せずに、差し押さえるべき財産というものについての特定ができれば、仮差押えがしやすくなりますので、非常に重要な制度だと思いますので、よろしくお願いいたします。

○後藤座長 この部分は、調べていただいて、中間取りまとめに書き加えるということでよろしいですか。

○事務局担当者 黒木座長代理の御指摘は、中間取りまとめに更に書き下したほうがよいという御指摘と理解してよろしいでしょうか。

○黒木座長代理 はい、もしも分かるのであれば、今のような問題意識があって、91条ができていると私個人は思っていますので、そうすると、やはり、その点について、もう少し書き加えていただけると、非常に有り難いと思います。特定適格消費者団体の運営に携わる人たちにとってみても、それは、インセンティブが高くなると思います。

○事務局担当者 お調べして、案を御提示いたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、川出委員、よろしくお願いいたします。

○川出委員 ありがとうございます。

資料の31ページ以下の被害回復給付金支給制度に関してですが、33ページからの(4)評価の最後のところで、この制度の「対象とならない消費者被害事案もあることからすると」、これとは別に消費者の権利の実効性を高め、被害回復を図る制度を検討する必要があると考えられるという記載がなされています。確かにそのとおりなのですが、本制度とは別の制度を検討する必要がある理由は、それにとどまるものではないと思います。といいますのも、本制度が実際に機能するのは、手続を開始する時点で没収、追徴すべき財産が残っている事案に限られます。実際にも、この制度は、大規模なヤミ金の事案を契機に設けられたもので、そこで問題となった出資法違反の事例のように犯人の手元にお金が残っている事例はよいのですが、先ほど話題になったポンジ・スキームみたいなものは、法律上は組織的詐欺として制度の対象となるとしても、犯人の手元にお金が残っていませんので、その没収、追徴のための財産の保全もできず、結局、被害回復につながりません。本制度には、そういった意味での限界もあるのだということを、一言付け加えておいていただいたほうがよいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

事務局、いかがでしょうか。

○事務局担当者 御指摘をいただきましたことは、書き加えまして、文章を整えたいと思います。もともとは、(4)の部分自体が、このワーキング・グループで深く掘り下げて議論をしておりませんでしたので、過去の検討会報告書の記載を引用していただけでございます。御指摘いただいたことも踏まえて書き直したいと思います。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

それでは、他にございませんでしょうか、中川委員、よろしくお願いします。

○中川委員 先ほど、今後の議論の対象としてスキームと、それから行動様式と、それを言い換えると、悪質商法と悪質事業者と言い換えられるかなという話をしたわけですけれども、今、御説明いただいた15ページ以下の評価のところは、悪質商法と悪質事業者という語が交互に出てきます。使い分けているような、使い分けていないような感じがします。

スキームについて議論をするのであれば、行政がいいのか、民事がいいのか、あるいは刑事なのかという話以前に、そもそも何を禁止するかとか、そういう実体法の話が、まず出てくるのかなと思います。極端なことを言うと、ぐるぐる回しになった時点で、それは違法であるとか、そういう実体法を規定するのかどうかという話につながるのかなと。

その上で、違反というか、法令違反が発覚した場合に、どのように実効的に抑止したり、被害回復に持っていったりするかというときに、悪質事業者だと、今ある方法ではうまくいかないな、では、民刑行をどう組み合わせますかという話になる。ここは何か二つの次元が違うような気がします。悪質商法というスキームについて、例えば、適格消費者団体の損害賠償請求の共通義務確認というのがうまくいくのか、そのときの保全が機能しているのかというのも、保全というのは、悪質事業者を念頭にして考えているのか、それとも、このスキームについては、そもそも保全したって、先ほど発言があったように、そもそもお金が残っていないのだからと、あるいは最初からないのだからというので、意味がないとか、同じ保全についてもスキームについて見るのと、隠匿するような人あるいはその行方をくらまして、どこにあるか分からないというものに対して、では、どうやって、保全というか、追及していくのか、金融機関にいろいろ報告命令をするとか。

スキームと行動様式のどちらを見るかで、それぞれの評価がまたいろいろ変わってくると思うのです。

18ページは、どちらかというと、悪質事業者を念頭に置かれた評価が書かれているのかなという気もするのですが、悪質商法という言葉もあって、つまり悪質のスキームに対してという話なのですが、必ずしもそうでもない気もする。両方の面があると思うのですけれども、書き分けたほうがいいと思います。しかし、これまでにそうした議論をしたわけではなくて、むしろこれからの議論だと思いますので、そこは、例えば、こういうことが考えられるけれども、今後の議論であるみたいな感じの評価にしてはどうかなと思います。

行政的手法の場合も、20ページの課徴金であるとか、それから22ページの特商法の業務停止というのも、これも何を違法にするかという意味では、スキームそのものについて、もっと踏み込んだ規制が必要ではないか、預託法が正にその典型ですけれども、原則禁止にしたと、そういう実体法の話も書かれている、だから、そちらのほうもこのワーキングでやるのかどうかですね。それとも、こういう悪質商法に手を染めている人は、大体悪質事業者なので、この行動様式からすると、今ある業務停止では、やはり駄目だから業務禁止にいくのかと、そういう話で、これは悪質事業者向けだと思うのです。そのように書き分けていく必要があるかなと思いました。

ついでに申し上げると、最初の「はじめに」も悪質商法と悪質業者あるいは悪質事業者という言葉が出てくるのです。悪質商法が1ページの下から2行目で、2ページの上から2行目が悪質事業者で、また最後の4行、5行辺りが悪質商法に戻っているのですね。この辺りも書き分けたほうがいいかなと思いました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

事務局、いかがでしょうか。

○友行参事官 御指摘のとおりだと思いました。悪質商法、悪質事業者は、もう一度そういう目で文書を確認いたします。

○後藤座長 これは、ワーキング・グループの、現在、中間取りまとめ案の検討ですけれども、その後の後半部分で議論する重要な問題になってくると思いますけれども、とりあえず、この中間取りまとめ案の中でも、悪質商法という表現と悪質事業者という表現を、今、中川委員からの御意見を踏まえて、少し検討し直してみる。場合によっては現在の中間取りまとめ案の表現を変えるということも考えていただいて、少し見直しをしていただくということがいいのではないかと思うのですが、よろしいでしょうか。

○友行参事官 承知いたしました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

大きな課題だと思いますので、今後の議論が必要と思いますけれども、現時点で対応できる部分については対応していただいたほうがよろしいのではないかと思います。

それでは、他にございませんでしょうか。

黒木座長代理、よろしくお願いいたします。

○黒木座長代理 今の中川委員の御発言も、非常に重要な点を御指摘いただいて有り難いと思っております。

その関係で、実は様々な隙間事案に関する消費者安全法なのですけれども、この点についての評価、20ページですけれども、ここの点についても、もう少し議論が必要かなと思っているところです。

すなわち、消費者安全法でいきますと、多数消費者財産被害事態というところが、消費者安全法の2条8項にありまして、ここについて条文を見ますと、政令で定めるものというのが規定されていますね。前項に定めると、ここで消費者安全法の2条8項の、このような取引というのは、ある意味では、非常に今の御指摘の点に近いものを、今の明文の規定として法上あるのではないかと思うのですけれども、ただ、2条8項の2号に関する政令がまだ制定もされていないというようなことだと思います。

したがって、このようなところについても、もう少し深掘りをしていくことが必要であって、隙間事案とかそういう、何が消費者財産被害事態なのかということについても、実は、まだこの国がきちんとした形で、国民に対してもできていないという点も含めて、やはりこれは、議論を進めていくことが必要なのではないかなと思います。したがってその意味で、この評価という点についても、ちょっと甘いのかなと思いまして、この辺りも少し付け加えていただけるといいと思います。

○後藤座長 いかがですか。

○友行参事官 今の御指摘は、最初のページのところは、消費者安全法の注意喚起のところから御指摘をいただきましたけれども、具体的に何か加えるとしましたら、そこも加え、また、もしかすると、27ページのところで、消費者安全法の勧告とか命令などの評価について、もう少し書き込むかというふうな御指摘だと理解しました。

○黒木座長代理 そうです、ごめんなさい、20ページではなくて27ページです。

○友行参事官 ですので、ちょっと検討させていただきます。

○黒木座長代理 ありがとうございます。

これにつきましては、日弁連は、2022年の2月18日に「公正な消費者取引を確保するために分野横断的に適用される行政ルールの整備を求める意見書」という意見書を取りまとめています。そこでも、この問題意識を出しておりますので、御参考いただければ有り難いと思います。

○友行参事官 承知しました。

○後藤座長 それでは、丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 今、議論されている現行制度の運用状況や活用可能性というところなのですけれども、もう既に様々な御指摘がされているところなのですけれども、今回のワーキングがフォーカスしている、悪質事案について、まずは、そういった取引を、いち早く止める、個人は被害に気が付いていないかもしれないけれども、止めるという段階で、活用可能性や運用の可能性があるのは、どの制度なのか、そして、保全というところで活用の可能性があるのが、どの制度で、さらに、利益を剥奪して配るという段階で、活用の余地があるのが、どの制度なのかという、今回のワーキングでフォーカスしている対象について、どのレベルで、活用の余地を残しているのか、あるいは、現行制度では、カバーできない、ないし限界があるのかという視点で少し整理をしていただけると、何が足りないのか、何が活用の余地があるのかというのが、もう少し伝わりやすくなるのではないかと思いました。感想程度でございますけれども、そういった印象を持ちました。

○後藤座長 事務局、いかがでしょうか。

○友行参事官 おっしゃるとおりだと思います。こうした事案に対応するような制度が必要だといったときに、なぜ必要かというその理由と、それから現行法では、なぜ駄目なのかというようなことも併せて提示していかないといけない。

その中で、現行法では、この目的に照らして、それが活用できるのか、できないのかということを、分かりやすく示していくということは必要だと、御指摘のとおりと思いますので、そちらのほうも順次作業をしていきたいと思っております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

今の丸山委員の御指摘、非常に重要な御指摘だと思います。これも後半部分において議論すべき大きな問題だと思うのですが、中間取りまとめにおいても、やはり評価の部分で一定の方向性というのを、それぞれの制度の機能とか射程とか、そういうようなところを見据えた形で出していただいたほうが、より中間取りまとめの精度が上がると思いますので、そこの部分について少し見直しをしていただいて、取引を止めるということ、保全ということ、剥奪して配るということ、そういう機能別に各制度を検討する視点も入れていただくほうがよろしいと思いますので、あまり時間はないと思いますが、よろしくお願いいたします。

黒木座長代理、よろしくお願いいたします。

○黒木座長代理 何度もすみません、非常に重要な報告書なものですから、発言をさせていただきたいのですけれども、31ページの解散命令についての評価です。

これについては、いろいろな案件の中で、こういう解散命令というものについて、参考になるということでまとめていらっしゃいます。しかし、会社法826条を読むと、これは関係官庁の義務規定ではないかなと思うのです。義務規定であるにもかかわらず、これが動いていない。かつ、消費者安全法とかで国民に対しては注意喚起しておきながら、法務省に対しては、この通知もしない、されたことがないということ。

この辺りの826条が、通知がなされていないという事実についての評価というものも、やはりここには何らかの形で入れるべきではないかなと思っております。実際上、法務大臣の申立てによる解散命令は、会社法上の解散命令がないということですし、書籍によると戦前しかないというような話でしたので、やはりこの点についての評価が必要かと。この解散命令にフォーカスすることについて全く異論ありません。しかし、今、制度上のネックになっているところ、あい路になっているところはどこなのかということについても、もうちょっと評価していってもいいのではないかなと思っています。

○後藤座長 事務局、いかがですか。

○友行参事官 会社法のところについては、所管官庁が来てヒアリングをいたしました。そういったときのやり取りも、もう一度見直したりなどをしながら、ここのところに書く文言について考えます。

○後藤座長 黒木座長代理にお伺いしたいのですけれども、通知がなされないことに対する評価というのは、結構難しいのではないかと思うのですが、これは、実際文章にするとなると、黒木座長代理のお考えでは、どんな評価になるのでしょうか。

○黒木座長代理 だから、これもまた議論をしていかなくてはいけないと思うのですけれども、826条は、多分、義務規定なのですね。ここのところで、例えばジャパンライフとか、そういったような、それで数年にわたる24か月とか、36か月とかという業務停止を業法上されているわけで、しかも、確かジャパンライフに関しては、この調査の過程で公認会計士も確か調査の中に入っているような調査をされていたと思います。これは、正しいかどうか分かりませんが、そういうようなことをされていて業務停止をしているような場合には、これは、826条で、しかもそれは2回目、3回目となると、あと、3号、824条の3号かな、その適用もあるのではないかなと思うようなところでして、法務大臣の通知がないから直ちにオーケーにならないので、例えば、法務大臣からも通知をしてもらうとか、その辺りのところの、会社法の解散命令にフォーカスを当てた報告書をまとめるのであれば、どうやったらファンクションするのかというところを検討していかなければならないので、現在のあい路はどこにあるのかというのを、まず、ある程度浮き彫りにしたほうがいいのではないかなと思っています。

この書き方は、まだ、私としても、これというものがあるわけではないので、今後の成案に向けて検討していきたいと思っていますけれども、やはりそこがないと、解散命令を一つの、もう一回フォーカスを当てることについて異論はないのですけれども、フォーカスしたからといって、10年経っても20年経っても、結局、使われませんでしたということに陥りかねないなという危惧感からの発言です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

○加納事務局長 事務局の加納ですけれども、会社法上の解散命令の制度が、現状としてあまり活用されてなさそうだということは、データその他から言えるかとは思いますけれども、そのあい路は何かという話になり、かつ、826条の官庁との通知がされていないとすると、それは何なのかというところにつきましては、その実情をもっと把握しないと何とも言いようがないかなという気はいたします。

ちょっと推測として、この824条の規定自体が、そもそもあまり活用されていないと、この申立自体は、別に、法務大臣以外でも社員、債権者とか、そういった主体もあるわけですけれども、そういうのも含めてあまり活用されているようには見受けられないというのがありますので、そもそもこの824条の規定の存在自体が、あまり認識されていなかったということが実情ではないかと、推測ですけれども、思われるところでありまして、まずは、こういった規定があると、活用の可能性があるものとして、こういった規定があるということを、まず、整理するということで、今回はちょっとこういう形でまとめてみたというところでありまして、それを活用させていく検討が必要だというところは、私も異論はございませんけれども、評価として何かということになりますと、それは一体どういうものがあるのかというのをある程度調べるとかいったことをしないと、なかなか書けないかなという感じはいたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

○黒木座長代理 事務局長がおっしゃるのは、正しく今までないから、これについて評価もできませんというのは、そうなのでしょうと思います。しかし、これを活用しようと考えたときに、想定される問題点とは一体何なのだろうということについて、ある程度やらないと、結局、824条のこの解散命令というものにフォーカスして、被害回復を考えようとしている特に法律実務家の側では、どういうことをしていったら、例えば、この解散命令が機能するのか、例えば826条に基づく通知というものを、例えば消費者庁にしてもらいたい場合には、どういうことを被害者側はやったらいいのかとか、そういうようなことも含めて、やはり何かしないと機能しないのではないか。結局、弁護団方式の破産申立てというところしか、この国にはないねみたいな話になりそうな気がしていて、おっしゃることはよく分かりますし、お立場上も、そこは、なかなか難しいのは分かるのですけれども、使える報告書にするという観点からもう少し深掘りしたいなというのが、私の個人的な意見です。

○後藤座長 これは、中間取りまとめでどこまで書けるかということになると思うのですが。

○黒木座長代理 はい、それはよく分かります。だから、問題意識として、どこまでどの段階で、最終的なゴールを見付けるかは別として、解散命令を機能させることが最終的なゴールにならないと、解散命令にフォーカスしても、結局10年経っても、ここで言ったけれども、あまり動けていないねということになりそうだなということを申し上げたいというだけです。

○後藤座長 ありがとうございました。

このワーキング・グループは、これからまだ続くわけでして、後半部分でより深く議論すべきところも併せて、本日、種々の御意見をいただいていると理解しています。

本日いただいた御意見については、中間取りまとめとして反映できる部分は最大限反映するということですが、後半部分に回して、ある程度時間をかけて議論したほうがよい部分については、後半部分に回すということにさせていただけたらと思っております。そういう形で本日の議論も受け止めさせていただきたいと考えています。

よろしいでしょうか。

○黒木座長代理 はい、その点は異論ありません。個人的には、全く異論ありません。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

それでは、他にございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、次の部分でありますけれども「第4. 中間取りまとめ以降の議論に向けて」につきまして説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、35ページでございます。

「第4. 中間取りまとめ以降の議論に向けて」という、この中間整理の最後のところになります。

まず、1つ目としてどのような事案に対処が必要かという項目でございます。先ほどの、14ページの小括のところでも整理していただいたようなスキームとか事業とか、いろいろなことがありますけれども、そういった構造を、この射程とするということで、一旦整理していただくと、それをさらに、もう少し類型化をしていくというような議論も必要ではないかといったところでございます。

それを類型化していく中で、足りない制度というものは何かということの検討にもつながっていくというところかと思います。

ですから、繰り返しの整理になってしまうかもしれませんが、どのような事案に対処が必要かということを、もう一度、御議論いただき、確認し、それから、36ページの2ポツとしては、悪質商法に対応する制度に必要な要素は何かといったところでございます。

今でも幾つか御議論をいただいておりますけれども、今回、行政が主体となって動くということを考えておりますので、行政が果たすべき役割として、市場から早い段階で退出されるべきという早さのことでありますとか、他にも幾つか財産を保全するといったようなこと、こちらは(2)のところに書いてありますけれども、まず、行政がどういう役割を持つべきかというところの議論であります。

その前提として「実体を把握することが必要となり」と記載しています。実際の契約数の話でありますとか、それに見合う事業をやっているというのであれば、商品の話ですとか、契約書、財務諸表も確認することが必要であり、そういった権限を行政庁に持たせるということが、最低限必要であるかと思います。

財務諸表を見ていく中で、流用していることでありますとか、それから顧客資産を分別管理しているですとか、もっと考えればいろいろ出てくるのではないかと思われます。

あとは、財産保全の制度というのは、一つとして必ずあるかと思います。先ほど財産隠しというお話もありました。散逸だけではなくて、隠匿するというような部分も着目が必要かと考えられます。

それに対応する手段として「これに関し」とありますけれども、仮差押命令ですという場合に、それを発動しようと思ったときに、どうやって財産を特定していくのかというような、実際にこれを回していくときに、どうやっていくかというような議論が後半にはどうしても必要になっていくかと思われます。

その財産の動きとかを確認していくためには、下から3行目辺りになりますけれども、破産管財に関する実務の運用が、実際、今どうなっているのかということをヒアリングしたり、確認したいですとか、財産の所在を早期に把握するための方法はどうしたらいいかというようなことであります。

すなわち、このワーキング・グループにおいて、どういった対象を取り締まるのかということを明確にして、それを行うために必要なものは何なのかということを、後半に向けて御議論していただく。ですから、できればこの中間取りまとめにおいては、この第4のところにおいては、具体的に後半には、どのような論点を検討していくと、その論点を検討していくに当たっては、こういう分野のヒアリングが必要だとか、こういう分野の調査が必要だというような話につながっていけばいいかなと思っております。

目的は、最初に申し上げたとおりでございまして、行政が主体となって悪質な事業者について財産を保全したり、違法収益を剥奪したり、消費者に対して被害救済を行うと。早い段階でそれを見付けると、財産の隠匿も財産の散逸も許さないというようなことを目的にしているわけなので、その目的に向かって、具体的に行政庁がそのツールを持つために、どのような制度が必要か、どのような要素が必要かということを後半の部分のところで御検討していくための一定の整理を、このページで行えればいいなと、そのための御議論をお願いできればと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

大変恐縮ですが、司会の不手際で、本日のワーキング・グループは、13時開始で15時までという予定で進行しておりましたけれども、現在、既に15時に近く、4分前ぐらいの状態になっています。

この最後の第4の部分については、本来の時間というのは、20分程度で議論するということを予定しておりますけれども、もし、可能でありましたら、この20分ぐらいの時間をいただいて議論させていただきたいと思います。そういうことで、進行が遅れていて大変申し訳なく思っておりますけれども、予定で20分、この範囲で議論をさせていただきたいと思います。

それでは、御意見を出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

中川委員、よろしくお願いします。

○中川委員 ここも、また繰り返しですけれども、もう一度悪質商法とスキームの話と、それから、事業者の行動パターン、悪質事業者に対して必要なものは何かという書き分けができる範囲でやってみてはどうかなというのが1点です。

もう一点は、先ほど会社法の解散命令の話がありましたが、ここに出てこないのですが、これは、今から議論をするのではなかったかなと思ったのですけれども、保全だけ出てきているというのは、なぜなのでしょうか。これは質問です。

○友行参事官 これから御意見をいただいて、つなげて膨らませていくということで考えております。

○後藤座長 それでは、川出委員、よろしくお願いいたします。

○川出委員 ありがとうございます。

まず、最初の「どのような事案に対処が必要か」というところですが、先ほど山本委員から御指摘があったように、ここで取り上げるべき対象は破綻必至商法だけではないと思います。もちろん、それが中心になるとは思いますが、それ以外のものも対処が必要な事案に含まれることがわかるような記載にしておいたほうがよいと思います。

それから、2つ目の「悪質商法に対応する制度に必要な要素」の部分ですが、ここは、(1)行政が果たすべき役割、(2)財産保全制度というように区分されています。ただ、御説明を伺った限りでは、(2)のほうも、行政的な手法という意味で行政が果たすべき役割を問題にしているように思います。むしろ、内容としては、(1)のほうは、先ほどのご指摘に照らして言えば、これから被害が出るのを防止するためには何を考えなければならないかという話であり、(2)のほうは、被害回復のために財産を保全するためには何を考えなければならないかという話ではないかと思います。その意味で、(1)と(2)の区分、具体的には(1)のタイトルが内容と整合していないように思いますので、そこを整理したほうがよいのではないかと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

○友行参事官 御指摘のとおりと思います。説明していて苦しいという感じも若干ありますので、もう少し今日の御議論を踏まえて整理したいと思います。

○後藤座長 それでは、他にございませんでしょうか。

よろしいでしょうか、中川委員、よろしくお願いします。

○中川委員 事務局長が最初にスキームのところで、実質的判断があるので行政では難しいのではないかと話をされていましたね。あの関係で、今まで全然議論はなかったのですけれども、行政が関わるのだけれども、裁判所も関わるという、要するに行政が提訴するというパターンで、ああいう微妙な要件のものをクリアできないかということも、本邦初ではありますけれども、検討課題としてはどうかなと考えます。

そうした手続として現在あるのは、緊急停止命令だけしかない、独禁法とか、金商法にもあったかな、労働組合法にもあったと思いますけれども、緊急停止命令という非訟事件になっているのですけれども、それがあるだけなのですが、別に緊急停止命令だけではなくて、普通の訴訟プラスそれの保全という形で、法律に書く形で行政が提訴する。その代わり裁判所の判断があって形成判決になると思いますけれども、その命令をかけると、そういった手続を作ることで、そういう微妙な要件のものも取り込んでいくということができないかという、こういうアイデアもあってもいいかなと思います。

○後藤座長 後半の検討への課題として、どうもありがとうございます。

他にございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。

○黒木座長代理 黒木ですけれども、簡単なコメントをお願いします。

○後藤座長 お願いいたします。

○黒木座長代理 非常に中間取りまとめ、考えていただいていることは分かるのですけれども、できたらフレキシブルデータで委員に配っていただければ有り難いと思います。それだけです。よろしくお願いします。それにコメントを付けたりして返したほうが、特に今後の議論に向けてという点は、少し皆さんのフレキシブルデータでやったほうがいいのではないかなと思っております。

○後藤座長 この点は、いかがですか、事務局として。

○友行参事官 では、そのようにいたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

他に、御意見ございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、本日の審議は、以上にさせていただきたいと思います。

本日は、多様な意見を出していただいて、今回の中間取りまとめで注意すべき点、訂正すべき点ということを出していただきましたけれども、それを超えて、後半の部分についての御意見、そちらに回さざるを得ない大きな問題というのも複数出していただきました。

そういう意味で、できる限り本日の御意見を反映させて中間取りまとめをするということにしまして、その後、中間取りまとめの段階では、まだ、まとめ切れない部分や、調査などが必要な部分については、後半部分の課題とさせていただく。そういうことで、本日の御意見をまとめさせていただきたいと思います。


≪3.閉会≫

○後藤座長 それでは、本日の議論は以上にしたいと思いますけれども、事務局から何かお知らせ等ありましたら、よろしくお願いいたします。

○友行参事官 本日も長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。

日程につきましては、確定次第、また改めて御連絡申し上げます。

○後藤座長 本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)

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