農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和4年9月2日(金曜日)10時50分~11時11分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)青森県への出張について
  • 令和5年度農林水産予算概算要求について
  • 青森県への出張について
  • ロシア・サハリン州との協力事業に関する援助金について
  • 水田活用直接支払交付金の見直しの検討について
  • 円安による農林水産業への影響について
  • 乳用種の初生雄牛価格等の下落について

冒頭発言

大臣

  私の方から、1点だけ御報告がございます。令和4年8月3日からの大雨により、北陸・東北地方、大変な被害が出ておりまして、JAグループの皆さんや、あるいはまた、行政の皆さんからも、いろいろな陳情をいただいております。そこで、農林水産関係被害に関わります現地調査として、明後日、4日でございますけども、日曜日に青森に私は伺うことにいたしております。被災された現地の方々の声を丁寧に聞きながら、どのような支援が必要かしっかり考えてまいります。詳細についてはこの後プレスリリースいたします。

質疑応答

  • 令和5年度農林水産予算概算要求について

記者

  農林水産省が8月31日に発表した2023年度の概算要求についてお伺いします。22年度当初予算から約17%増の2兆6808億円とされましたけれども、食料安保は事項要求とされましたが、改めてこの概算要求のねらいについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

大臣

  今、御質問がありましたように、概算要求として2兆6808億円ということで要求いたしておりますが、現下の食料を巡る状況を踏まえて、食料安全保障の確立、これが一つ。それから農林水産業の、これは従来もそうなんですが農林水産業の持続可能な成長を推進するための要求として、2兆6000億円あまりを要求しているところであります。要求のポイントとしては、一つは生産基盤の強化、二つ目が輸出力の強化、それから三つ目がみどり戦略の推進。これらを柱に盛り込んだほか、食料安全保障の強化に向けた対応に係る経費は事項要求として提出して、予算編成過程で検討することにいたしております。今後年末に向けまして、必要な予算をしっかりと確保できるよう全力で対応していきたいと思っておるところでございます。

  • 青森県への出張について

記者

  冒頭御発言のあった青森への調査のための視察ですが、大雨被害を受けたということですけども、大臣、どんなことに一番注目して調査されるか、ちょっと方針を伺えればと思います。

大臣

  伺って地元の皆さん方がどういったような御要望があるのか聞いて、どういった対応ができるのか検討したいと思います。私もずっと自民党の災害対策委員長として、全国ほとんどの災害を見てまいりました。北海道に台風が三度行った時も北海道を見てまいりましたし、それから関東方面の豪雪対策だとか、あるいは台風19号の千葉県だとか、それから関西にも上陸しましたんで、そういったものについての対応をやってきたんですが、今回青森で初めての体験というのが、リンゴ園が600ヘクタール、水に浸かっているんですよ。今まで私は果樹も、福岡県の朝倉だとか、愛媛県のミカン園だとか見てきたんですが、これらはほとんど傾斜地に植わっていて、そこが崩れたというのが多かったんですが、今回は平野部が水に浸かっていると。他では朝倉だとか愛媛のミカン団地のように、また植え直して、そしてまた3年ぐらいは収入がないよというのが、従来の果樹団地の被害だったんですが、青森の場合ちょっと違って、水に浸かっておりまして、来年から収穫はできるのではないかと。こんなことを現地の人たちからは聞いておるんですが、今回行って、詳しくお話を聞きながら、農水省としてどういったような支援ができるか検討してみたいと思っていますが、従来にないことがやっぱり求められてくるんだろうというふうに思っております。内容は、行ってからいろいろお聞きしながら、またそれを持ち帰って内部で検討したいと思っています。

  • ロシア・サハリン州との協力事業に関する援助金について

記者

  先日、一部で報道がありました北方4島の安全操業の件で、サハリン州との協力事業に関する援助金1億5000万円を支払う方向で調整しているという報道があったんですが、ホッケ漁が始まる中で漁業者の生活にも絡む話ですので、所管は外務省ということですが、農水省として大臣の現状の把握と受け止めについてはいかがでしょうか。

大臣

  ロシアの漁業協定については、新聞等々で、皆さん方の報道でよく承知はいたしておりますが、サハリン州との協力事業ということでございますので、所管が、これは逃げではないんですが、外務省でありますので、私の方からはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしましても、協定の下で、日本漁船の操業が行われるように、関係省庁と連携して対応してまいりたいと、こんなふうに思っております。

  • 水田活用直接支払交付金の見直しの検討について

記者

  水田活用の直接支払交付金のことでお伺いします。来年度の交付金についてですね、農水省は、飼料用米について専用品種の推進などを目的に見直しを検討する方針を示しましたけれども、改めてですね、どういった問題意識で、どんな見直しを考えて検討しているのか教えてください。

大臣

  十分御承知のことだと思いますが、要は飼料用米について、これまでも長年にわたって進めてきましたし、一時期には60万トンまでいったんですけれども、それがだんだん他のものに変わってしまっているということで、主食用米に戻りやすいというのが一つあるんですよ。それで、これは決定したわけではないんですが、専用品種を植えてもらうと主食用米には戻れませんよと。ただ農家の皆さん方からは、いわゆるコンタミ(ネーション)がある、混ざってしまうから、なかなか専用品種は嫌だとか、私の地元でもそういうことを聞いておるんですが。ただ、やっぱり専用品種でないと収量が低いし、主食用米でも餌米でもどちらでもやれるよということではなかなか農家の皆さん方の方針も決定しづらいと、こんなふうにも思っているし、やはり定着性がないと。ある年にはどんと増えたり減ったりとか、こういうことになってくると、飼料メーカーも、今年はどのぐらいの飼料用米がうちの工場に来るんだろうかという、その辺の配合の割合とかいろんなこともあるもんですから、やっぱりある程度は専用品種であれば、これは一つは定着していくだろうというのがありますし、また飼料メーカーも非常に操業の計画を立てやすいと、こんなことがあります。それともう一つはですね、麦、大豆をやめて、今我々は食料の安全保障で、麦や大豆を奨励していこうと思っているのですが、それをやめて、取り組みやすい飼料用米へ転換してしまうと。だから麦、大豆の方を減らして、また飼料用米を作ろうとか、そういう産地もありまして、麦とか大豆の産地づくりが後退してしまうと、こういう問題もいろいろ抱えております。そうした課題を踏まえながら、今後よく論点を整理しながらやっていかなければならないんですが、具体的な支援内容については、予算編成過程において検討したいと思っております。いずれにしても、例えば米粉にしてもそうなんですが、米粉もやっぱり専用品種があるわけですから、飼料用米のような形で、主食用米にいつでも変えられるということでは、定着性に問題が出てくると思いますので、今回の水田活用交付金についての使い方も、ただ出すだけではなくて、規制とまで言いませんが、何とか定着をさせる方向で考えてまいりたいということで、私の方から指示をしているところであります。そうでないとですね、自分のところの水田を見た時に、すぐ分かる。あそこは飼料米だな、ここら辺も飼料米だなと。なんで分かるかというと、雑草が生えてしまっているから。結局、飼料用米というのは何でも刈り取って、それを餌にするだけですから、そうすると隣は主食用米が植えてあっても、そういうヒエなんかがはびこっているところには、飼料用米があるわけですよ。管理がなかなかいきとどいてないので、私は地元ではよく言うんですけども、捨て作りみたいなことをして金をもらうというのは、これは駄目ですよと。そうでなくてちゃんと飼料用米なら飼料用米として収量も上げて、ちゃんと取っていただかないと。捨て作りというか、もう主食用米を作れないから、飼料用米でもまいとけとか、植えとけとか、そういうようなのではせっかくある田んぼを活用できていないというのがあるもんですから、今も質問があったように、専用品種にきちっと固定した形でやったらどうかと。これはまたいろいろ議論のあるところであると思います。農家から見れば選択が広がっていくわけですから、どちらでもいい、使い勝手がいいようにしておいた方がいいに決まってるんですけど、それでは先ほど言ったように定着していかないということだと思います。私は地元を見てそんなことをやっぱり考えます。

記者

  追加でですね、現実的には、専用品種ではなくて、主食用の一般品種で取り組んでいる産地も多いと思うんですね。そういう中で、例えば専用種に強く限定してしまうとですね、かえって飼料用米に取り組みにくくなってですね、主食用米に戻ってしまうのではないかという懸念もあると思うんですけども、そこら辺はどうお考えですか。

大臣

  要は、農水省もですね、主食用米が増えてきたときには餌米に回せばいいやとか、そういった安易な考え方が役所自体にもあったと思うんですよ。やっぱりきちっと腹を決めて、飼料用米なら飼料用米、そうでないとやっぱりこれだけトウモロコシ、あるいは輸入飼料代が上がってきていますから。きちっとしたものを日本でできるものは日本で。トウモロコシの代わりに、米を使って。そしてそれを飼料にしていくという、私はそれが筋だと思いますけどね。

  • 円安による農林水産業への影響について

記者

  円安の進展についてお伺いします。外国為替市場で一時期、1ドル140円台まで円安ドル高が進みまして、今ちょうど9月上旬を目途とされている物価高対策でも、対策を検討されているかと思うんですけれども、改めまして、特に農林水産関係ですと、飼料ですとか、肥料高について、ますます明るい兆しが見えないといった懸念も出てきそうなんですけれども、率直に大臣の今の受け止めと今後何か対策が必要になりそうかどうか、まだ分からないかと思うんですけれども、今後の見通しについてお伺いしたいです。

大臣

  飼料対策については、見通せないところもあるし、先物取引などで、トウモロコシなどがやっぱり上がってるなというのは、感じているんですけども、この対策については、酪農もそうですが、地元でちょうど共進会があって、先週の土曜、日曜は地元に帰って最終選考を見に行ったんですが、やっぱり、畜産農家の皆さん方は、この餌対策を何とかしてくれというようなことはおっしゃっておられます。これにつきましては、今後の飼料価格の動向も踏まえ、必要な対応をしていきたいと思います。党の方でも、森山先生を中心にした食料安全保障検討委員会で議論が何回もされて、党の方でもいろいろおまとめになって、検討されているということも聞いておりますので、できるだけ早く、このことについての省としての結論を出していきたいとこういうふうに思います。

  • 乳用種の初生雄牛価格等の下落について

記者

  今の質問に関連してですね、配合飼料価格の高騰も影響して、例えば乳用種の雄の子牛の価格がですね、急落してると思うんですけども、そういう現状大臣どう御覧になっていて、対策の必要性についてどう考えておられますでしょうか。

大臣

  先ほど言いましたように、鹿児島の共進会で農家の皆さんの話を聞いておりますと、肥育農家の話では、餌高だとか、そういったもので子牛の価格が下がってきたのは、肥育農家にとっては非常に朗報だということなんですけれども、ただ、それだけでは喜んではいられないと。我々は繁殖農家そして肥育農家、両方が成り立つような政策が必要なんだと、こういうこともおっしゃっておられました。ですから、子牛対策をどうするか。今、質問ありましたように、特に宮崎県が安くなってるんですよ。それで、私の地元・鹿児島県もそれに引きずられた形で安くなっておりますが、どうしても肥育農家の皆さん方は、先の展望が見えない。したがって(買付けの)ボタンを押しづらいんだと。いわば、子牛の値段をそこでやっぱり抑えてしまってるというところがありますから、これは肉が、外食需要とか輸出とか、あるいはインバウンドで来られた方々が、和牛を食べていただければ、それでもって、国内の需要が伸びていく、あるいは海外への輸出が伸びていく。それによって肥育農家の皆さん方も先の展望を見い出せるということで、一概にその子牛対策といっても、安くなったから何とかするかとなると、非常に難しい面はあるんですよ。最低保証基準価格が、今のところ54万1000円なんですよ。ですから保証基準価格はまだ割り込んでいないんですが、だんだんその最低ラインのところまでに下がりつつありますから、ではどうするかというのも、少し今回の飼料のことやらを含めて、党の方でも検討されているというふうに聞いておりますから、党の方とも御相談申し上げながら、検討をさせていただきたいと思っております。特に、ホルスタインの雄のぬれ子価格が極端に下がりました。私も1回だけ経験したんですが、もう10年ぐらい前だったと思うんですけども、ぬれ子がやはり今回と同じように、本当に3万円ぐらいで売られていると。北海道の(酪農の)皆さん方は、副産物収入と言っておられるんですけど、以前はこの値段が良くなって、副産物じゃなくて、生乳よりもずっとこっちのがいいという話もあったんですが、今では8月(の時点)で3万6800円になっているんですよね。だから、これではもうやっていけないというか、副産物収入では経営が成り立っていかないというふうに思っておられると思います。ただ、どうすればいいかは10年ぐらい前にこのぐらいの価格に落ちたときが1回だけあったんですが、子牛自体に対する対応というのは、当時はなかったというふうに記憶しています。今回、何か党の方から出てくるのか、ちょっとその辺は党の方にもいろいろお伺いしながらやっていかなければいかんだろうと思っております。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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