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令和4年9月9日
握手する日・パラオ両首脳 握手を交わす両首脳(写真提供:内閣広報室)
日・パラオ首脳会談の様子 日・パラオ首脳会談(写真提供:内閣広報室)

 9月9日、岸田文雄内閣総理大臣は、午後0時30分から約1時間10分に亘り、スランゲル・S・ウィップス・Jr・パラオ共和国大統領(H.E. Mr. Surangel S. WHIPPS, Jr., President of the Republic of Palau)との間で日・パラオ首脳会談及びワーキングランチを行いました。両首脳のやり取りの概要は以下のとおりです。
 また、両首脳は、日・パラオ首脳共同声明を発出しました。

1 冒頭

 岸田総理大臣から、パラオは200年以上の交流がある重要なパートナーであり、ウィップス大統領の訪日を心から歓迎する、2024年の日・パラオ外交関係樹立30周年に向け、両国の関係を更に強化していきたい旨述べました。
 両首脳は、ロシアによるウクライナ侵略により国際秩序の根幹が揺らいでいる今こそ、民主主義や法の支配といった基本的価値を共有する国々が結束することの重要性を確認し、緊密に協力していくことで一致しました。

2 二国間関係

 岸田総理大臣から、日本は、太平洋・島サミット(PALM)を通じ、また「太平洋のキズナ政策」の下、太平洋島嶼国自身のアジェンダを尊重し、そのニーズを十分踏まえた協力を行ってきており、中でもパラオに対する支援を重点的に実施している旨説明しました。
 その上で、岸田総理大臣から、PALM9の5つの重点分野に沿って、観光業の回復に向けた人の往来の再活性化、海洋安全保障、気候変動、農畜産業、人的交流・人材育成、遺骨収集などの幅広い分野における日・パラオ協力の進捗状況について説明しました。
 会談に先立ち、日・パラオ間の無償資金協力「送電網整備計画」に係る交換公文が、柄澤彰駐パラオ共和国日本国特命全権大使とグスタフ・アイタロー・パラオ共和国国務大臣との間で、また、交通・観光分野に係る協力覚書が、斉藤鉄夫国土交通大臣とチャールズ・オビアン・パラオ共和国公共基盤・産業大臣及びニライベラス・メトゥール・パラオ共和国人的資源・文化・観光・開発大臣との間で署名され、両首脳はこれを歓迎しました。ウィップス大統領からは、これらに加えて、インフラや教育といった多くの分野でのこれまでの日本の支援に感謝する旨述べました。
 その中で、両首脳は、海洋安全保障を含む二国間の海洋協力の進展を確認し、岸田総理大臣から、7月の海上自衛隊護衛艦「きりさめ」のパラオ寄港及びパラオ巡視船との親善訓練等に触れつつ、引き続き、官民で連携し、パラオ海上保安当局の能力向上を支援していく旨述べました。
 また、両首脳は、パラオ水域における日本漁船の安定操業の継続に向け、引き続き緊密に連携していくことを確認しました。
 岸田総理大臣から、遺骨収集・慰霊事業へのパラオ政府の協力に対し謝意を述べました。

3 「自由で開かれたインド太平洋」、太平洋島嶼国情勢

 両首脳は、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた緊密な連携を確認しました。
 両首脳は、太平洋島嶼国地域の情勢を議論し、太平洋諸島フォーラム(PIF)協力をはじめとする、太平洋島嶼国の一体性の確保の重要性につき一致しました。
 岸田総理大臣から、太平洋島嶼国への支援と関与の一層の強化のため、日本は、PALMプロセスをしっかり進めるとともに、「ブルー・パシフィックにおけるパートナー(PBP (Partners in the Blue Pacific))」など同志国との連携も重視したい旨述べました。
 岸田総理大臣から、ALPS処理水の海洋放出に関し、日本は、今後も国際原子力機関(IAEA)を始めとする国際社会の協力を得て、安全性のための国内外の基準を満たしながら、高い透明性を持って取り組んでいく旨述べました。これに対し、ウィップス大統領は、PALM9以降の日本の取組に留意するとともに、PALM9におけるコミットメントに基づき、PIFの枠組み及び二国間関係を通じて緊密な対話を継続するとの日本の意向を歓迎しました。

4 国際場裡における連携

 両首脳は、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、断じて認められないという点で一致しました。
 両首脳は、安保理改革を含む国連全体の機能強化に向け、両国で連携していくことを確認しました。
 両首脳は、東シナ海や南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致しました。また、両首脳は、台湾海峡の平和と安全の重要性につき一致しました。
 両首脳は、北朝鮮情勢についても意見交換を行い、核・ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応において、引き続き連携していくことを確認しました。
 両首脳は、経済的威圧に強く反対することで一致するとともに、透明かつ公正な開発金融の重要性を確認しました。

[参考]日・パラオ首脳共同声明(英文(PDF)別ウィンドウで開く和文仮訳(PDF)別ウィンドウで開く

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