外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】国連総会のハイレベルウィーク、これは、193の国連加盟国から、多くの首脳そして外相が集まる絶好の外交の機会でございます。今年の国連総会のテーマは、「歴史的分水嶺(A Watershed moment)」でございます。正に、ロシアのウクライナ侵略という暴挙などによって、国際秩序の根幹が揺らぐ中で、国連はその信頼が問われておりまして、試練の時を迎えております。

 こうした認識の下で、今日から5日間、多くの国と様々な形で意見交換を行う中で、法の支配とその中核を担うべき国連の役割の重要性、これを確認したい、と思っております。そして、国連の機能を全体として強化すること、安保理改革はもちろんですが、総会、また事務総長の役割、こうしたものも含めて、国連全体を強化しようと、これを各国と共に探りたいと思っております。

 今日ですが、まず、ジャパン・ソサエティのジョシュア・ウォーカー理事長やその他の理事の方々との昼食懇談会に引き続きまして、ジャパン・ソサエティそのものの視察を行いました。また、その後、マルタのボージュ外務・欧州・貿易大臣、そして韓国の朴振(パク・チン)外交部長官と会談を行いました。

 韓国の朴振(パク・チン)外交部長官とは、午後4時から約55分間、3か月連続となる日韓外相会談を行いました。パク長官との間で、現下の戦略環境において、日韓そして日米韓、この協力を推進していく重要性について改めて一致をいたしました。また、北朝鮮への対応における更なる連携で一致し、パク長官から拉致問題について改めて支持を得ました。旧朝鮮半島出身労働者問題につきまして、パク長官より、韓国側の立場について説明があり、これに対し、私より、日本側の一貫した立場を伝えました。その上で、パク長官との間で、外交当局間で行われている建設的なやりとりを評価しつつ、日韓関係を健全な関係に戻すべく、問題の早期解決に向けて、両国間の協議のやりとりを継続していくことといたしました。

 皆様ご承知のとおり、諸般の事情が許せば、明日の昼前に総理が到着をされまして、夕刻には一般討論演説が行われることになっております。国際社会が未曾有の困難に直面する中で、このハイレベルウィークの機会に出来る限り多くの国々の皆様との意見交換を行って、来年日本がG7の議長国を務め、また安保理非常任理国入りをすることを念頭に、日本外交のプレゼンスを高めるべく努力をしていきたいと考えております。私からは以上です。

質疑応答

【記者】私から2点お願いします。先ほど大臣が冒頭におっしゃいました徴用工問題の関係なんですけれども、韓国のユン・ソンヨル政権で検討している解決策に関して何か前向きな発言はあったのでしょうか。また、日韓の首脳会談についてですね、会談の中ではどのような発言があったのでしょうか。

【林外務大臣】はい、パク長官からは、旧朝鮮半島出身労働者問題に関する韓国側の立場についてご説明がありまして、これに対して私から、日本側の一貫した立場を伝えたところであります。その上で両外相はですね、外交当局間で行われている建設的なやり取り、これを評価しつつ、日韓関係を健全な関係に戻すべく問題の早期解決に向けてですね、両国間の協議を継続していくことといたしました。これ以上の詳細については、先方の発言を含めて外交上のやり取りでありますので差し控えたいと思います。また、首脳会談等についてですが、日韓首脳間の接点については、何ら決まったことはございません。

【記者】冒頭、国連の機能強化についての言及がありましたけれど、このハイレベルウィークを通じて具体的にどのような形で国連の機能強化を進めていきたいとお考えでしょうか。

【林外務大臣】はい、先ほども申し上げましたように、この5日間で多くの国から首脳や外務大臣がいらっしゃいます。バイももちろんでありますし、それからまあミニマルチというんでしょうか、この数カ国が集まって会合するということ含めてですね、まさにこの総会のテーマそのものが歴史的分水嶺ということもありまして、ここから先、どのようにしていくのかということを議論していければというふうに思っております。やはり普遍的な価値を守り抜く覚悟というのが、我々の外交の三つの覚悟のうちの最初にくるわけでございますが、その普遍的な価値の中で、法の支配、というものが謳われております。その法の支配を補う中核というのが国連であるわけでございまして、改めてこの重要性をですね、色々な会合を通じて確認できればと思っております。

【記者】日韓会談の冒頭で肘タッチをされましたけれども、会談の雰囲気自体はどんな感じだったのでしょうか。

【林外務大臣】そうですね、パク長官とは先ほど申し上げましたように、3か月連続で外相会談を行っております。日韓、日米韓協力、これを推進していく重要性ということで一致をしております。それから私とパク長官との間で、当局間で行われている建設的なやり取りをしたということもございます。色々な意味で難しい課題を抱えた両国間ですけれども、両国間でしっかりとこれを解決して行こうというところについてですね、会談が行われていることについては、先ほど申し上げましたように、この3か月連続で行われている事も含めて、また、外交当局間でのやり取りこれが建設的であるという評価も含めてですね、そういう雰囲気の中で会談が行われているということでございます。

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