農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和4年11月4日(金曜日)9時19分~9時44分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • てん菜糖の交付金対象数量の見直しについて
  • 農産物の適正な価格形成の在り方の検討について
  • 輸出促進事業の再委託先について
  • 円安による生産者への影響及び支援策について

質疑応答

  • てん菜糖の交付金対象数量の見直しについて

記者

  一昨日、てん菜糖の交付対象の生産枠が今64万トンから、4、5年かけて55万トンまで減らすということが示されまして、自民党の部会でも了承されましたけれども、北海道の農家からは、転作の助成が出るにしても、今もう大豆とかじゃがいも植えて輪作をやっているんで、てん菜がないと輪作にかなり影響が出るとかですね、あと一方的に生産抑制されちゃうとですね、生産意欲が下がると。あと製糖工場も本別にあるんですけど、そこも閉じるという話になっていまして、そういう影響も出て、かなり地域に影響があると。ほぼ北海道の話ですが、こういう声が出ていますけれども、どのようにこの声に対処されていくか、お考えをお聞かせください。

大臣

  この季節になると、いつも甘味資源、北海道のてん菜、そして鹿児島、沖縄のサトウキビ、この価格決定等々が出てくるわけでありますが、我々も党の中でも議論していましたが、問題はてん菜でした。それはなぜかと言いますと、やっぱり砂糖の需要が落ち込んできている。特に昨今においては、コロナでお菓子類が売れない。砂糖が使われない。そういったことで、(てん菜糖の)在庫が積み上がってきまして、期末在庫を言いますと、平成29年では12万トンだったんですが、現在(令和3年見込)は10万トン上乗せして22万トンです。ということは、それの保管料だ何だとなってきますと、砂糖の会計が毎年赤字になって、赤字の累積として溜まってきていたわけです。過去もそういう繰り返しをやってきて、てん菜については毎年問題が出てきているわけです。それで本当に豊作を喜べないというか、出来過ぎると、また予定の64万トンを超えるということで役所の方も、それから党の方でも、ずっとこれは長年懸案事項でありました。したがって、何とかここで一区切りつけないと今後、会計の方も持たないと、赤字が累積していくものですから。だからここで何とかしようということで、今おっしゃいましたような産出量をある程度押さえ込んでいかなきゃいかんと、面積もということですが。それで今お話がありましたような形で、何とか毎年、この抑えた形で、てん菜をやっていかないといけないんじゃないかということで、我々もずっとこれは苦しい話なんですが、(令和)8(砂糖)年(度)で55万トンという、現行からすると64万トンですから、そうすると大体10万トン近い減産になるということになってこようと思います。したがって、役所の方でも北海道に何度も足を運んで農家の皆さんや団体の皆さんとも話し合って、そういう形でやっていただこうと。同じ甘味でも、鹿児島や沖縄のサトウキビ、サトウキビは皆さんもイメージがつくんですが、このてん菜というとなかなかイメージが湧かないと思いますが、一口で言えば砂糖大根です。大根の一種。それから砂糖を採っているんですけれど。ここを何とかやってこなければいけないという今の時期、毎年だったんですが、大きな懸案事項でありましたものを今回、何とか農家の皆さんの御理解を得ながら形を作っていかないと、このままでいくと砂糖会計がパンクしてしまう。それじゃもうこれは農家の方々に逆に迷惑になるので、今のうちから是正しようということでありました。御理解は、地元の新聞としてはいろいろあると思いますが、いろんな消費が減っている中で、どういう形で輪作体系も守りながら、そして他のものに移すというか転作の形を変えていただいて、何とか、北海道の場合は畑作ですから、そういう意味では他のものもまだ選択肢はあると、こんなふうに思いますので、水田みたいにやめろという話ではありませんので。水田と違って畑作の場合は、他作目への転換というのはそう簡単と言いませんけれども、水田よりはやりやすいだろうとこんなふうに思います。

  • 農産物の適正な価格形成の在り方の検討について

記者

  農産物の価格形成の在り方について伺います。先日、食料・農業・農村基本法の検証部会がありまして、委員の方から、再生産に配慮した価格形成の在り方が基本法見直しの最重点の一つだという御発言がありました。農水省としても、適正な価格形成について検証をする必要があるということで、業種横断的な仕組み作りを検討する必要があるということもおっしゃっているかと思います。改めてなんですけれども、農産物の価格形成に関する問題意識と業種横断的な仕組みについて具体的な考え方をお聞かせいただければと思います。

大臣

  いろんな団体の皆さんや、この前もJAの青年部の人たちが来て、何とかこの価格転嫁ができないかと、そういうことも御提言がありました。本当にそれができればいいんですけれど、今の段階では、日本の流通のやり方というのは、市場を中心に価格形成がされていますので、いわば相対での価格形成ということで、何とかその今のコストを価格に転嫁できないかと、でなければ農業やっていけないぞというお話をたくさんいただきました。我が省としても、手をこまねいているだけではなくて、皆さんも御承知のようにフランスのEgalim(エガリム)法というのがあります。これは価格転嫁をできる、コストから価格を形成していく、そういう法律でありますけれども、このエガリム法を日本で取り入れられないかということで、役所からもフランスに調査研究に行かせていただいて、今検討を進めているところですが、なかなかそう簡単にはいかないんじゃないかと。フランスの方も法律はできたんですけど、一部の農産物についてはこれが導入されていますが、まだ全体的に導入されたという話にはなっていません。これらのフランスの今からの動向等も踏まえながら、日本でどういうような制度設計ができるか、今一生懸命検討をしている段階でありまして、今おっしゃいましたように、検討会ではいろいろ出ておりますけれども、農水省が何か具体的な方向付けをしたかということもまだございません。今研究中だと、検討中だということで御理解をいただきたいと思います。

記者

  なかなか簡単にいかないという難しさを感じていらっしゃるところ、どういったところに難しさを感じていらっしゃるかもしお聞かせいただければお願いいたします。

大臣

  農家の皆さん方は価格転嫁して欲しいとおっしゃるし、今度の牛乳でも一緒なんですが、生乳を11月1日から10円上げた。そうするとその結果が小売の、いわば牛乳の段階でどれだけの値上がりになるかというのは、今、各小売店で出しておられますが、マスコミで取り上げるのは、牛乳が上がった、あるいは乳製品が上がったということで、消費者の皆さんからは困ったと、こういう話になります。ですから、生産者は価格転嫁したい、だけど消費者はそうなると価格が上がるんで、それは勘弁してよという話になりますのでね。ここの調和をどうとっていくかというのに非常に難しさがあります。我々は生産者の方を向いていますが、生産者だけがよければ消費者はどうでもいいよという話にはならないので。そこの調和が難しいだろうなとこんなふうに思うし、価格をどれだけ転嫁していくかというところも、御存知のとおり、この前、期中で(乳価を)10円上げましたからね。その結果が今、消費者の方ではハレーションが起こっているというか、特にテレビが取り上げられるのは、赤ちゃんなり、子供さんを持ってるお母さんたちが、もう大変だと。これだけ買い揃えたけれども今後が心配だ、とかというようなお話がどんどん出てくると。一方ではやっぱり安いに越したことはないし、消費者の皆さんの理解も得ながらやっていかなきゃならない。だからどういったような形で、丸く収めるような案というのは難しいと思うんですけども、国民の皆さんにもある程度受け入れられるような制度ができるのかということを研究を十分していかないと、大変なこれは問題を惹起していくんじゃないかと思います。

  • 輸出促進事業の再委託先について(1)

記者

  旧統一協会の関係で、2018年の輸出促進事業の一環で事業の再委託先が旧統一協会の関連企業だったことについての質問です。採択の基準では、事業を的確にできるかどうかということで判断されたため当時の決定には問題はなかったということで認識、理解しているんですけれども、今後の再発防止策の必要性については、何か対策をとる必要があるのかないのかについては、省としてどのようにお考えなのかというのがまず1点と、また再発防止策が必要である場合は、事業の採択の基準として、宗教との関係性についても検討する項目として盛り込むべきかどうかについてもお伺いできればと思います。

大臣

  先週から今週にかけましての農林水産委員会でも御質問が出まして、お答えしていたんですが、よく分かっていただきたいのは、輸出を促進するために、我が省では、外国の企業の皆さん方といいますか、そういった商社関係も含めまして、いろんな方々との取引をさせていただいておりますが、今回の場合は、日本にある会社ですけれども、テー・オー・ダブリューという会社と農水省は契約をいたしました。それはアメリカなりで販売する農産物の契約でありますが、このテー・オー・ダブリューは全体の企画をして、そして(例えば)ラスベガスでプロモーションをしながらやっていこうというところだったんですが、自分たちだけではやれないので、下請けといえば下請け、関連するような食品企業と再契約を結んだのが発端でありまして、この再契約を結んだのが、True World Foodsという米国の法人でありますが、(ニューヨーク所在の)日本のレストランが11レストランあるんですけど、そのうちの7レストランに食材を納めている会社です。ですから、先ほど言いましたテー・オー・ダブリューとこのTrue World Foodsが契約を結んで食材を卸していったと。ところがこのTrue World Foodsというところが、旧統一協会の関連のある会社だったというのが判明したというか、指摘を受けて、そして調べたところがそういうような(指摘のある)会社であったということでございます。委員会でも問題として出されたのは、何で農水省はそこまで調べなくて、簡単にお墨付きみたいなのを与えたのではないかという御質問もございましたけれども、農水省としてはテー・オー・ダブリューと第一次契約を結んだわけでありますから、その後の下請けなりというところまでは、なかなか(旧統一教会との関連について)調べがつかないといいますか、今までそういうことをしておりませんでしたので、テー・オー・ダブリューがきちっとやってもらえればよかったんですけれども、下請けの会社でそういったことがあったということでございます。したがって、今後はどうするかということの御質問もありましたが、旧統一教会に関して今、国会の方でも動いておりますので、他の省庁、文科省にしても動いておりますので、こういったことを見ながら慎重に今後は検討していきたいとこういうふうに思います。

記者

  今後の検討としては、農林水産省だけでなくても他の省庁も含めて、そういった契約の際に宗教との関連性を調べる必要があるという方向でお考えなのか、その辺りはいかがですか。

大臣

  それは農水省だけで検討はできませんので、今申し上げました他の省庁との関連もありますので、それらを総合的に検討していきたいというふうに思います。

記者

  いつごろまでに御検討されるとか、何かそういった見通しみたいなのがもしあればお伺いしたいです。

大臣

  いつまでにということは、まだ話は決まっておりません。ただ、やっぱり気をつけなきゃいけないと。世間にこういう形で騒がしている案件ですから慎重にしていかなきゃならんということでありますので、いつまでという期限は切っておりませんが、今国会に法律が出てくるのかということで今、与野党検討を進めておられますので、こういったものも見ながら、検討していかなきゃならないと思います。

  • 輸出促進事業の再委託先について(2)

記者

  今の質問で1点だけ。このTrue World Foodsですか、これ統一協会の関連企業・関連団体と、農水省は認定しているんですか。そういうふうに考えてらっしゃるんでしょうか。

大臣

  True World Foodsっていうのが再委託先になっておりますが、事業の目的に照らして、事業を的確に執行できるか否かの観点から判断したものであり、旧統一協会との関連如何による判断はいたしておりません。

  • 円安による生産者への影響及び支援策について

記者

  為替動向の影響について伺いたいんですけれども、ここのところドル円相場が148円前後と円安で推移している状況です。こういった肥料や飼料などの輸入をされている、購入されている生産者に対して、現時点でどのような影響が出ているか。具体的に数字が分かっているものもあれば、それも併せて教えてください。それと、現在、物価高対策としてこうした影響の緩和を生産者に緊急的な支援をされていますが、この円安基調自体はなかなか変わらないという見通しが多いと思います。この中で、緊急支援を重ねるという形で今後も支援されていくのか、それともまた現在の制度を見直す必要があるとお考えか、その点どういうふうに見ていらっしゃるか教えてください。

大臣

  なかなか為替相場の今後というのは判断できないんですけれども、今御指摘のように、円安によって肥料や飼料、あるいは生産資材その他のもろもろの値が値上がりしておりまして、農家の方からは大変だという声はいっぱい聞いております。ですから今度の経済対策の中でも、既に党の方にはお示ししておりますが、肥料対策、それから餌対策、こういったようなものを今回、計上させていただきました。これは価格的にはとにかく3四半期の価格と変えないで、この4四半期、12月までは価格を変えないということで予算計上をさせていただいたわけですけれども、ただ、来年以降どうなっていくのかというのはなかなか先が見通せません。先ほどありました円安の問題もあったり、あるいは生産の出来高がどうなのかというところもまだはっきりしない。特にとうもろこしなんかそうなんですが、そういった意味では見通せないところがあって、とりあえずは12月までの価格は据え置こうということで補正予算案で予算をお願いをしたわけでありますが、今おっしゃいましたように為替がどうなって、価格の形成というのは、原料代と運賃、それから為替、こういった要素が関わってきます。そうしますとその一つでも上がったり下がったりすると価格の変動があるということで、基金制度を作ったり、あるいは今回の肥料のように急な高騰でありましたので、国が7割を補填するというやり方で今やっておりますが、来年の春肥までは総理が約束をしましたので、このままいっても国の方で上がった分の7割は補填しようという考え方で今きております。ただ、餌については先ほど言いましたように、とうもろこしがどうなっていくのか、運賃がどうなっていくのか、為替がどうなってくるかによって変わってくるものですから、これは四半期、3ヶ月にいっぺんずつ、飼料の価格は改定を今までもやってきました。上がったり下がったり、今まで過去ずっとあるわけですが、今よく言われております高止まりということで餌はありますので、これが来年以降どうなっていくのかというのは、畜産農家もそうだし、私どもも注視しながら見ているところであります。ですから先のことは、様子を見ながら、その場その場で検討していかなきゃならない。そんなんじゃ不安だろうというお話も聞いておりまして、制度を見直す必要があるだろうと、御指摘のような声があることもよく分かっております。したがって、そういったことも総合的に勘案しながら、また相場等がどう動いていくのかというのも見ながら、検討させていきたいと思います。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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