外務省・新着情報

冒頭

【林外務大臣】昨日から2日間にわたりまして、ここ、ドイツのミュンスターにおいて、日独「2+2」及びG7外相会合に出席するとともに、各国とバイ会談等を行いました。
 まず冒頭ですが、北朝鮮による弾道ミサイルの発射について一言申し上げます。北朝鮮は、10月4日に日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したほか、11月2日には1日としては最多の弾道ミサイルを発射しました。3日にもICBMの可能性があるものを含む、複数の弾道ミサイルを発射いたしました。これらは我が国及び地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、このような例を見ない頻度と態様での発射は到底看過できません。G7外相会合においては、私からこうした日本の立場を述べ、G7として緊密に連携して対応していくこと、これを確認いたしました。
 また、北朝鮮による一連の弾道ミサイル等の発射を受けまして、昨日朝ですが、朴振・韓国外交部長官と電話会談を行ったほか、ブリンケン米国国務長官とも昨日G7外相会合の合間に話をいたしまして、日米韓の安全保障協力を含む地域の抑止力の強化、それから安保理における更なる対応等について、引き続き日米、日米韓で緊密に連携していくということを再確認いたしました。
 また、先程、改めてブリンケン長官と会談を行いまして、こうした一層厳しさをます安全保障環境を踏まえて、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化に向けて、引き続き日米で緊密に連携していくことを改めて確認をした次第です。
 それから昨3日、ドイツとの間で、2回目となります日独「2+2」を実施をいたしました。ロシアによるウクライナ侵略への対応について議論するとともに、インド太平洋地域への関与を深めるドイツとの間で「自由で開かれたインド太平洋」の実現における協力の強化で一致をいたしました。
 また、ドイツとの安全保障協力の深化に向けた新たな法的枠組みに向けた調整、日NATO及び日EU協力の更なる具体化と拡大の重要性について一致できたことは有意義でありまして、次回会合に向けて協力を進めていきたいというふうに考えております。

 そしてG7外相会合ですが、今年10回目となるG7外相会合に出席いたしました。まずウクライナ情勢に関するセッションでは、オンラインで参加いたしましたウクライナのクレーバ外相からですね、G7の支援に対する謝意と高い期待が示されました。
 私からは、ロシアの侵略を改めて非難をするとともに、ロシアによる核の脅しを深刻に懸念しており、断じて受け入れることができないこと、ましてやその使用はあってはならないということなどを強調いたしました。また、「汚い爆弾」に関するロシアの虚偽の主張は認めることはできないという旨も述べました。さらに、日本として、これまでに行ってきた支援に加えて、これから厳しい冬を迎えるウクライナの越冬支援、これを含むですね、支援を行っていくことを申し上げました。
 このほか、中国をはじめとする地域情勢やアフリカをめぐる諸課題についても率直な意見交換を行うことができました。

 また、バイ会談ですが、今回のG7会合の機会に、イギリス、カナダ、EU、フランス、イタリア、アメリカ、ガーナ、ケニアとの間で外相会談を行いました。これらのカウンターパートとの間でですね、北朝鮮による弾道ミサイル発射、またロシアによるウクライナ侵略等、国際社会の喫緊の課題や二国間関係の強化について議論をいたしました。
 ロシアによるウクライナ侵略、北朝鮮によるミサイル発射などですね、国際社会をめぐる状況が一層厳しさを増す中で、こうした喫緊の課題についてG7外相の間で踏み込んだ議論を行うことができました。
 来年は我が国がG7議長国を務めることになります。ベアボック外相からバトンを引き継いで、国際社会をめぐる状況が一層複雑さを増す中でですね、これらの諸課題にG7として結束して取り組むべく議論をリードしていきたいと考えております。 私からは以上です。

質疑応答

【記者】今、言及がありましたが、長期化するロシアのウクライナ侵攻ですとか、新体制、3期目の習近平体制が発足した中国、あと大臣の訪問中もですね、北朝鮮の弾道ミサイルの発射がありましたけれども、こうしたたくさんの議題がある中で、大臣として最も強く訴えられたことは何でしょうか。またどういった成果が得られましたでしょうか。あと、G7の議長国として、どのようにリーダーシップを発揮されるのでしょうか。

【林外務大臣】私からは、ロシアによる核の脅し、また、北朝鮮による例を見ない頻度での弾道ミサイル発射など、国際社会が様々な課題に直面する中で、法の支配に基づく国際秩序を維持する。これが重要であること、そして、力によるも一方的な現状変更の試み、これは決して認められない、ということなどを強調させていただきました。
 国際社会が歴史の分岐点に立つ中でですね、我が国としては、来年のG7議長国としてウクライナやインド太平洋等の地域情勢、さらにはグローバルな課題への対応における議論をしっかりと主導していきたいと思っております。

【記者】ミサイル発射を繰り返す北朝鮮についてお伺いします。今回のG7外相会合、二日間を通してですね、ブリンケン国務長官とのバイ会談等で北朝鮮の対応を協議されたと思うのですけども、それを踏まえて今後具体的にどのように対応をしていきたいのか。それを教えて下さい。

【林外務大臣】G7外相会合や日米外相会談において、北朝鮮が前例のない頻度や態様で挑発行為を行っているということは、地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦である。こういう認識を共有いたしました。その上で、北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射を強く非難して、北朝鮮への対応において緊密に連携していく、このことを確認いたしたところでございます。
 我が国としては、日米韓の安全保障協力を含む地域の抑止力強化すること、それから安保理における更なる対応等について、日米や日米韓で引き続き緊密に連携をしてG7を含む同志国とも協力しながら、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化、これを目指していきたいと考えております。

【記者】昨晩のワーキングディナーの際に中国についても意見交換されたということですけれども、大臣からどういった発言をされたのかという点と、新指導部についてどういった認識の一致があったのか、また今後日本がどのように中国と向き合っていく考えか教えて下さい。

【林外務大臣】日中両国間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試み、それから中国による台湾周辺での一連の軍事行動、特に、とりわけ日本の排他的経済水域を含む日本近海への弾道ミサイルの着弾を含めて、数多くの課題や懸案が存在しております。また、台湾海峡の平和と安定、非常に重要であります。さらに、香港情勢、新疆ウイグル自治区の人権状況についても深刻に懸念しているところでございます。
 同時にですね、日中両国は、この地域と世界の平和と安定にとって大きな責任を有しております。中国に対しては、主張すべきは主張してですね、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含めて対話をしっかり重ねて、共通の諸課題については協力するという「建設的かつ安定的な日中関係」これを日中双方の努力で構築していくことが重要だと考えております。
 今回のG7外相会合において、地域情勢に関する議論の中で、私から、中国には主張すべきことは主張して、大国としての責任を果たすよう求めていくと同時に、中国と協力できる分野について、我々の立場に基づいて、協力する用意があるということをしっかりと伝える必要もある。こういう旨、述べさせていただきました。
 我々としては、こうした考えに基づいて、これからも対中外交に取り組んでいきたいと思っております。

【記者】今回G7で中央アジアに関するセッションがありましたけれども、今後、G7と中央アジアの関係をどのように発展させていきたいかと、そのために日本政府としてどのように貢献していくお考えかお聞かせください。

【林外務大臣】本日のG7外相会合における中央アジアに関するセッションというのがございましたが、ここでですね、私から、私自身、今年の四月にですね、カザフスタンとウズベキスタンを訪問しておりますので、このことに言及しながら、中央アジアが抱えています様々な諸問題に対応して、G7が中央アジアのパートナーとして信頼を勝ち取っていくことが重要である。そういう旨を指摘して、このことについて意見の一致を見たところであります。
 こうした議論も踏まえてですね、日本としては引き続き「中央アジア+日本」対話、こういうものを活用して、中央アジアに対する関与を強化していきたいと考えております。

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