外務省・新着情報

令和4年11月4日
G7外相の記念撮影の様子
G7外相会合が行われているセッションの様子
アフリカからの招待国リーダーを含むアフリカセッションが行われている様子

 11月3日(木)から4日(金)まで、ドイツのミュンスターにおいてG7外相会合が開催されたところ、議論の概要は以下のとおり。今次会合には、林外務大臣を含むG7各国の外相及びEU外務・安全保障上級代表のほか、アウトリーチ国・機関からガーナ及びケニアの外相並びにAU副委員長が出席した。
 本年10回目となる今次会合では、2日間にわたり、ウクライナ情勢や中国・インド太平洋等について、G7外相等の間で突っ込んだ意見交換が行われた。
 会合の成果文書として、外相声明(仮訳(PDF) 別ウィンドウで開く英文(PDF) 別ウィンドウで開く)が発出された。

1 ロシア・ウクライナ

 ウクライナ情勢について、現状の評価や今後の見通しを含め、率直な意見交換が行われた。林大臣からは、ロシアによるウクライナ侵略を改めて非難するとともに、ロシアによる核の脅しを深刻に懸念しており、断じて受け入れることはできないこと、ましてやその使用はあってはならないこと、広島と長崎に原爆が投下されてから77年間、核兵器が使用されておらず、これが変わることがあってはならないことなどを強調した。また、「汚い爆弾」に関するロシアの虚偽の主張は認められない旨も改めて言及した。
 また、林大臣から、先般の国連決議が143か国という圧倒的多数の賛成を得て採択され、ロシアによる併合の試みは国際法に違反し無効だと非難したことを歓迎するとともに、国連憲章の原則に基づき国際社会が一致して対応することの重要性を指摘した。
 G7として、民間人や民間施設への攻撃を強く非難するとともに、引き続き結束して、越冬支援を含めウクライナを支援していくことを確認した。林大臣からは、日本として、これまでに行ってきた支援に加え、これから厳しい冬を迎えるウクライナの越冬支援を含む支援を行っていく、来年のG7日本議長年においても、G7を始めとする同志国が強力な対露制裁とウクライナ支援を継続・強化できるよう議長国として努力していく旨発言した。
 なお、冒頭の約20分間、クレーバ・ウクライナ外相がオンラインで参加し、ウクライナの最新状況について説明したほか、G7のこれまでの支援に対する謝意と更なる支援に対する高い期待が示された。

2 中国、北朝鮮、インド太平洋

 林大臣から、アジアで唯一のG7メンバーとして、中国、北朝鮮及びインド太平洋における最近の動向等について説明した。中国の党大会の結果も踏まえた今後の中国情勢や北朝鮮を含むインド太平洋地域の諸課題につき、率直な意見交換が行われた。
 林大臣からは、中国に対し主張すべきことを主張し、大国としての責任を果たすよう求めていくと同時に、中国と協力できる分野においては、我々の立場に基づき協力する用意があることをしっかりと伝える必要もある旨発言した。
 G7メンバーからは、ルールに基づく国際秩序の下でこそ効果的な協力が可能であるとの指摘があり、自由で開かれたインド太平洋の重要性について一致するとともに、力を背景とした一方的な現状変更の試みには反対していくことを確認した。また、G7として、台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認し、両岸の問題の平和的解決を求めた。
 北朝鮮については、林大臣から、北朝鮮が例を見ない頻度で弾道ミサイルを発射しており、先月4日に日本の上空を通過する弾道ミサイルを発射したほか、3日にもICBM級弾道ミサイルの可能性があるものを発射した、2日には1日としては最多の弾道ミサイルを発射するなど深刻な挑発である、このような暴挙は到底看過できない旨述べた。G7として、北朝鮮による度重なる弾道ミサイル発射を強く非難した。

3 イラン及び中央アジア

 イランについては、同国に対し、ロシアのウクライナ侵略へのいかなる支援も直ちに停止するよう求めていくことで一致した。林大臣からは、日本は、関係国によるイラン核合意への復帰及び中東地域の緊張緩和と情勢安定化に向けて、イランに対する働きかけを継続していく旨発言した。
 中央アジアについては、林大臣から、「中央アジア+日本」対話に関する日本の取組を説明した。中央アジアが歴史的、地政学的、経済的に微妙なバランスの上に立っている中で、G7がパートナーとしての信頼感を勝ち取っていくことが重要と指摘した。日本として、国際法や国連憲章の原則に基づく行動の重要性を共有する中央アジアと引き続き対話していく旨発言した。

4 アフリカ

 サヘル地域、アフリカの角地域、大湖地域の情勢等について議論が行われ、G7として連携し、アフリカの平和と安定に向けたアフリカ自身の取組を後押ししていくことが重要との認識が共有された。林大臣からは、エチオピアにおける敵対行為の停止について合意に至ったことを歓迎したほか、アフリカの角地域や大湖地域における紛争の解決に向けた関係国による仲介努力を評価する旨発言した。
 また、ロシアのウクライナ侵略がアフリカの食料・エネルギー安全保障に深刻な影響を与えていることについても認識が共有された。林大臣からは、日本として、アフリカの食料安全保障強化のため、食料支援、食料生産能力強化支援、農業人材育成等を実施していく旨述べるとともに、国際ルール・スタンダードに従った透明で公正な開発金融の重要性を改めて指摘した。
 なお、これらの議論にはムトゥア・ケニア外務・ディアスポラ担当長官、ボチュウェイ・ガーナ外務・地域統合大臣及びンサンザバガンワ・アフリカ連合(AU)委員会副委員長が参加した。


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