外務省・新着情報

令和4年11月12日
ASEAN+3首脳会議を前に行われた、全体での記念撮影の様子 ASEAN+3首脳会議(写真提供:内閣広報室)
ASEAN+3首脳会議で、岸田総理大臣が韓国及び中国の首脳と並んでいる様子 ASEAN+3首脳会議(写真提供:内閣広報室)
ASEAN+3首脳会議において、岸田総理大臣が発言を行っている様子 ASEAN+3首脳会議(写真提供:内閣広報室)

 現地時間11月12日午前8時20分(日本時間午前10時20分)から約1時間30分間、カンボジア・プノンペンにて第25回ASEAN+3(日中韓)首脳会議(議長:フン・セン・カンボジア首相)が開催され、岸田文雄内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 ASEAN+3協力のレビュー及び今後の方向性

(1)我が国のASEAN+3協力

 岸田総理大臣から、来年からの新たな「ASEAN+3協力作業計画」に基づき、デジタル経済や強靭な農業といった新たな分野を含めた取組を着実に進める意向を表明しました。その上で、日本は、インド太平洋に関するASEANアウトルックを強く支持し、ASEAN+3の枠組みでも、AOIPの以下の4つの優先分野に沿って、以下のような具体的協力を進めていく旨述べました。
(ア)海洋協力
 船舶の通航を支援する管制官の育成、海洋プラスチックごみ対策の計画策定や海洋モニタリングの支援といった取組を進めていく。

(イ)連結性
 ASEAN連結性マスタープラン2025に基づき、質の高いインフラ投資を促進する。同時に、情報通信技術(ICT)、法制度整備、人物交流の活発化といったソフト連結性の分野も支援していく。

(ウ)SDGs
 人間の安全保障の理念に基づき、SDGsの達成に向けて、ASEAN+3緊急米備蓄やASEAN食料安全保障情報システムの支援、ASEAN感染症対策センターの早期稼働に向けた全面的支援の継続、エネルギー安全保障、持続可能な成長の確保及び気候変動に対応するバランスの取れた脱炭素化の支援等を実施する。2030年に向けてASEANが地域全体の気候変動戦略行動計画を策定することを支援していく。

(エ)経済・金融
 イノベーションやスタートアップへの投資、サプライチェーンの強靱化を共に目指し、ASEAN包括的復興枠組の実施を支援していく。
 金融分野でも、チェンマイ・イニシアティブの更なる機能強化に向けた議論に貢献していく。ASEAN+3において、日本が提案した金融デジタル化の影響や自然災害リスクに対する財務強靭性の向上に係る新しいイニシアティブにつき、来年に具体的な成果を得られるよう貢献していく。

(2)各国の発言

 多くの国が本年のASEAN+3設立25周年に言及し、来年以降は、新しい「ASEAN+3協力作業計画(2023-2027)」に基づき、ASEAN+3協力を進めていくことを確認しました。また、各国から、将来の公衆衛生上の危機に対応するための地域の医療品備蓄の構築への期待や、ASEAN感染症対策センターの運用開始への期待が表明されました。さらに、複数の国から、チェンマイ・イニシアティブの強化、ASEAN+3緊急米備蓄の更なる効果的活用、RCEP協定の完全な実施、デジタル分野におけるASEAN+3協力拡充の重要性等を強調する発言がありました。

2 地域・国際情勢

 岸田総理大臣から、ASEAN中心性と一体性に対する内外からの挑戦を、共に乗り越えるべく手を取り合わねばならない旨述べた上で、地域・国際的な課題について、概要以下のとおり発言しました。

(1)ウクライナ情勢

 ロシアによるウクライナ侵略や違法な「併合」は、ウクライナの主権及び領土一体性を侵害し、国連憲章をはじめとする国際法に違反する行為である旨述べた上で、アジアを含むいかなる地域においても、力による一方的な現状変更の試みは認められない旨強調しました。その上で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化が、持続的な成長と健全な国際社会の発展のために不可欠である旨指摘しました。また、ロシアの核兵器による威嚇は断じて受け入れられず、ましてや使用はあってはならない旨強調しました。

(2)北朝鮮

 北朝鮮は、先月来、我が国上空を通過するものも含め、極めて高い頻度で弾道ミサイルの発射を行っており、これは、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であり、到底看過できない旨述べました。また、その上で、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向けて、国際社会が一体となり、安保理決議を完全に履行することが不可欠である旨述べました。更に、拉致問題の即時解決に向けて、各国に引き続き理解と協力を求めました。
 各国からも、北朝鮮による最近の弾道ミサイル発射に懸念が表明され、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の遵守の重要性に言及がありました。

(3)ミャンマー

 悪化するミャンマー情勢への深刻な憂慮を表明するとともに、「5つのコンセンサス」の実施に向けたASEANの努力を引き続き最大限後押ししていく旨述べました。

3 結語

 最後に、岸田総理大臣から、この地域において、力ではなく、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化していくため、ASEAN+3の下での協力を深化させていく旨述べました。


発信元サイトへ