外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】本日、地方の魅力を世界に発信する「地方を世界へ」プロジェクトとして、駐日外交団、それから武井副大臣と共に、ここ長崎を訪れさせていただきました。
 外交と言いますと、外国にどうしても目が向きがちでございますが、特色ある日本各地の魅力、これは日本外交の大きな資産であると思っております。これを活用しない手はないわけでありまして、また、水際措置が大幅に緩和されてお客様も増えている、この機会を捉えてインバウンド需要を回復すること、これは地方経済の活性化という意味でも非常に大事だと思っております。外務大臣としても、自ら先頭に立って、こうした地方の魅力、これを発信していきたい、そうした考えから長崎に来させていただきました。
 今日は、世界文化遺産の構成資産であり長崎の歴史を象徴する「旧グラバー住宅」と「大浦天主堂」、そして、長崎の伝統の蒲鉾の製造工場、これを視察させていただきました。改めて、長崎の持つ魅力と潜在力というのを外交団の皆様とともに感じさせていただいたところであります。この後は、9月に開業した西九州新幹線に外交団の皆さんと一緒に乗車させていただくことになっております。楽しみにしております。
 また、昼食会、また車座対話では、外交団に加えて、知事さん、市長さん、そして地元経済界の皆様、そして、車座対話では若者の皆さんを含めて長崎を拠点に様々な分野で活躍する皆様との間で、この長崎の魅力の発信、また我が国の外交政策について議論を深めることができたというふうに思っております。
 今回の訪問、これは外交団の皆さんに長崎の魅力を存分に堪能していただいて、理解を深めていただくということで、長崎の魅力を世界へ発信していく、有意義な機会になったと思っております。引き続き、地方の魅力を世界に発信するために尽力をしていきたいと思っております。

質疑応答

【記者】あらためて今日、長崎で観光地の視察や経済関係者との意見交換などを行った所感とともに、さらなる水際対策の緩和やインバウンド回復への対応など、今後の政策にどのように取り組むかお考えを伺います。また、核廃絶を訴える関係者などとの車座対話も踏まえ、核軍縮に向けた取組をどのように進めていくのかも、あわせてお願いします。

【林外務大臣】この長崎の歴史や伝統、これを感じることができる各所の視察や、若者を含めて長崎でご活躍をされる方々との意見交換等を通じて、改めて、長崎の持つ魅力と潜在力を感じることができました。今回の訪問は、長崎の魅力を世界に発信していく有意義な機会になったと思っております。
 水際対策については、先月から、査証免除措置の適用再開、それから個人観光の再開、入国者総数の上限撤廃など大幅な緩和を実施しております。これによりまして、10月の外国人観光客は、9月の15倍以上、約29万人まで回復したところであります。
 引き続き、「地方を世界へ」プロジェクトを始めとする我が国の多様な魅力の発信や、査証緩和等を通じて、インバウンド需要の力強い回復に向けて取り組んでいきたいと思っております。
 また、車座対話で核軍縮に関する活動等にかかわる若い方々、ナガサキ・ユース代表団というものがあるのですが、そこの皆様の活動や経緯を直接お聞きし、大変心強く感じて、長崎の明るい未来に触れることができたと思っております。
 核軍縮をめぐる国際社会の分断の深まり、またロシアの核兵器による威嚇などによって、「核兵器のない世界」に向けた道のりというのが一層厳しくなっているわけでありますが、このような中で、「核兵器のない世界」の実現に向けて、本日のやり取りも踏まえて、政府として引き続き全力で取り組んでいく決意というのを新たにできたと思っております。
 来月に開催予定の「核兵器のない世界に向けた国際賢人会議」、これも活用しながら、G7広島サミットも念頭に、「核兵器のない世界」に向けた国際社会の連携、これを一層高めるとともに、現実的かつ実践的な取組、これを強く進めていきたいと考えております。

【記者】今回、訪れられた長崎市は被爆地であり、来年のG7関係閣僚会合の保健相会合の開催地でもあります。こうした機会にあわせて、外務大臣をはじめ各国の閣僚に被爆地長崎に足を運んでもらい、原爆資料館ですとか被爆者との対話、こういったものを働き掛ける考えはないかをお尋ねします。また、今年のNPT再検討会議の方でも岸田首相が表明された「ヒロシマ・アクション・プラン」、この「ユース非核リーダー基金」の1000万ドルの拠出について、現段階でのご対応、例えば拠出状況ですとか、具体的な内容について教えてください。

【林外務大臣】被爆の実相に正確な認識を持つということは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点である、こういう認識を持っております。8月のNPT運用検討会議でも、こうした認識を踏まえて、岸田総理から、「ヒロシマ・アクション・プラン」の柱の一つとして、各国の指導者等による被爆地訪問、この促進を通じて、被爆の実相に対する正確な認識をさらに広げていくということを表明させていただきました。
 こうした観点で、先月、我が国が国連総会に提出しまして、第一委員会というところで139か国の支持を得て採決されました核廃絶決議におきましても、指導者等による広島及び長崎訪問を歓迎しつつ、被爆の実相に対する認識の向上を促進していくように各国に求めているところでございます。引き続き、こうした活動、また各国への個別の働きかけも通じ、各国指導者等による被爆地訪問の促進に取り組んでいきたいと思っております。
 「ユース非核リーダー基金」ですが、これは未来のリーダーを日本にお招きして、被爆の実相に触れてもらうことにより、核廃絶に向けた若い世代のグローバルなネットワークを作る、こういうことを目的として、岸田総理が本年8月のNPT運用検討会議で立ち上げることを表明されたものです。現在、こうした趣旨を踏まえて、国連側と詳細について調整を進めております。この基金を活用しながら、被爆の実相に対する正確な認識というのを世界に広げていきたいというふうに考えております。

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