外務省・新着情報

令和4年11月12日
日ASEAN首脳会議を前に、岸田総理大臣とASEAN首脳らが記念撮影を行っている様子 ASEAN首脳との写真撮影(写真提供:内閣広報室)
日ASEAN首脳会議が行われている様子 日ASEAN首脳会議(写真提供:内閣広報室)
日ASEAN首脳会議において、岸田総理大臣が発言を行っている様子 日ASEAN首脳会議(写真提供:内閣広報室)

 現地時間11月12日午後2時25分(日本時間午後4時25分)から約1時間、カンボジア・プノンペンにて第25回日ASEAN首脳会議(議長:フン・セン・カンボジア首相)が開催され、岸田文雄内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。なお、会議の開始前及び終了後は、各国首脳が岸田総理大臣に歩み寄り、親しく会話(日本のASEANへの貢献への謝意等)する場面が見られました。

1 日ASEAN友好協力50周年特別首脳会議

 フン・セン首相の冒頭発言の後、岸田総理大臣から冒頭発言を行い、日ASEAN友好協力50周年となる来年の12月を目途に東京で特別首脳会議を開催したいと述べ、来年の50周年に繋げるべく、各国の考えや関心をよく聞きたい旨述べました。これに対し、多くの国々が発言の中で支持を表明しました。これを受け、議長であるフン・セン首相が各国首脳が日本の提案を受け入れたことに謝意を表明し、2023年に通常の日ASEAN首脳会議に加えて、特別首脳会議を開催することとなりました。

2 日ASEAN協力

  • (1)新型コロナからの経済回復
     岸田総理大臣から、ロシアによるウクライナ侵略がエネルギーや食料価格の高騰をもたらしていることへの懸念を表明しました。
     また、日本のASEAN包括的復興枠組への支持の一環として、総額2,950億円の財政支援円借款を供与している旨紹介し、これからも持続可能な成長を支援していく意向を表明しました。
     さらに、日本の専門家の派遣を含め、ASEAN感染症対策センターを引き続き支援していく意向を表明しました。
  • (2)インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)
     岸田総理大臣から、AOIPに沿った日本の協力について概要以下のとおり述べました。
    ア 日本は、ASEAN一体性・中心性を支え、「自由で開かれたインド太平洋」と本質的原則を共有するAOIPへの支持をいち早く表明した。2020年のAOIP協力に関する日ASEAN首脳共同声明以来、具体的な協力案件が計89件に上っている(AOIP協力プログレスレポートを紹介(別添参照))。
    イ 来年の日ASEAN友好協力50周年に向け、(1)海上交通安全等の海洋協力、(2)質の高いインフラ投資等の連結性支援、(3)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを始めとした保健、気候変動対策、防災、(4)サプライチェーン強靱化、デジタル技術、食料安全保障の強化といった幅広い経済分野での協力を強化していく。
    ウ 我が国の知見・経験を最大限活かして、「アジア・ゼロエミッション共同体構想」を実現していきたい。
  • (3)これに対し、ASEAN各国からは、新型コロナからの回復の支援をはじめとする上述のような各種取組や、ASEAN感染症対策センターの設立支援等について、高い評価と謝意が表明されました。さらに日本のAOIP協力についての高い評価とともに、引き続きの緊密な協力への強い期待が表明されました。これを受け、岸田総理大臣からは、日ASEAN協力の重要性について各国と見解を共有していることが確認でき心強い旨述べました。

3 地域・国際情勢

 岸田総理大臣から、地域・国際情勢についても、日本とASEANは多くの点で考えを共有しているとした上で、概要以下のとおり発言しました。

  • (1)ミャンマー
     悪化の一途を辿るミャンマー情勢に深刻な懸念を表明するとともに、ASEANの取組を引き続き後押ししていくとした上で、日本としても、ミャンマー側に対し、事態打開に向けて、「5つのコンセンサス」の早期履行を直接強く求めていく旨述べました。
  • (2)ロシアによるウクライナ侵略
     ロシアによるウクライナ侵略や違法な「併合」は、ウクライナの主権及び領土一体性を侵害し、国連憲章をはじめとする国際法に違反する行為であることに触れた上で、力による一方的な現状変更の試みは、世界中のどこであっても決して認められない旨強調しました。また、ロシアの核兵器による威嚇は断じて受け入れられず、ましてや使用はあってはならない旨強調し、77年間の核兵器不使用の歴史がある中、仮に今回核兵器が使用されることがあれば、それは人類に対する敵対行為であるとして、そうさせないよう、国際社会全体として明確なメッセージを発していきたいと訴えました。
  • (3)東シナ海・南シナ海等
     東シナ海及び南シナ海における力を背景とした一方的な現状変更の試みや、経済的威圧への深刻な懸念を表明しました。
     また、台湾海峡の平和と安定の重要性を指摘し、ASEAN側が最大限の自制を求めたことを評価したい旨述べました。
     複数の国から、南シナ海における航行・上空飛行の自由の重要性、国連海洋法条約を始めとする国際法の尊重の重要性等について発言がありました。
  • (4)北朝鮮
     北朝鮮は、先月来、我が国上空を通過するものも含め、極めて高い頻度で弾道ミサイルを発射しており、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であるとして、到底看過できない旨述べました。その上で、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向けて、国際社会が一体となり、安保理決議を完全に履行することが不可欠である旨述べました。更に、拉致問題の即時解決に向けて、各国に引き続き理解と協力を求めました。
     複数の国からも、北朝鮮による弾道ミサイル発射による緊張に懸念が表明され、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の遵守の重要性や、拉致問題の即時解決への支持が表明されました。

4 結語

 最後に岸田総理大臣から、日ASEAN関係50周年(Golden Jubilee)を、その公式キャッチフレーズのとおり、日ASEANの輝かしい友好関係(Golden Friendship)を示す絶好の機会(Golden Opportunity)としたいと述べました。


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