外務省・新着情報

令和4年11月13日
東アジア首脳会議が行われている様子 東アジア首脳会議(写真提供:内閣広報室)
東アジア首脳会議に参加している岸田総理大臣の様子 東アジア首脳会議(写真提供:内閣広報室)
東アジア首脳会議に参加し、他国首脳の発言を傾聴している岸田総理大臣の様子 東アジア首脳会議(写真提供:内閣広報室)

 現地時間11月13日午前10時40分(日本時間午後0時40分)から約2時間半、カンボジア・プノンペンにて第17回東アジア首脳会議(EAS)(議長:フン・セン・カンボジア首相)が開催され、岸田文雄内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 EASにおける協力

 岸田総理大臣から、日本は一貫してASEAN中心性・一体性を支持している旨述べました。また、ASEANのイニシアティブである「インド太平洋に関するASEANアウトルック」の優先分野に沿って協力を行うことを重視しており、今後も関連の取組に積極的に貢献していく意向を表明しました。

2 地域情勢

  • (1)ウクライナ情勢
     岸田総理大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、国際法に違反する行為である旨述べた上で、力による一方的な現状変更の試みは、世界中のどこであっても決して認められない旨強調しました。また、ロシアの核兵器による威嚇は断じて受け入れられず、ましてや使用はあってはならないと強調し、77年間の核兵器不使用の歴史がある中、仮に今回核兵器が使用されることがあれば、それは人類に対する敵対行為であるとして、そうさせないよう、国際社会全体として明確なメッセージを発していく必要があると訴えました。
     他の参加国からも、ロシアによるウクライナ侵略を非難する旨の発言がありました。
  • (2)東シナ海・南シナ海、台湾、香港及び新疆ウイグル自治区等
     岸田総理大臣から、東シナ海では中国による日本の主権を侵害する活動が継続・強化されており、南シナ海でも軍事化や威圧的な活動等、地域の緊張を高める行為が依然続いていると指摘しました。また、本年8月のEEZを含む日本近海への弾道ミサイル着弾に言及した上で、台湾海峡の平和と安定も、地域の安全保障に直結する重要な問題である旨述べました。さらに、香港情勢及び新疆ウイグル自治区の人権状況に対する深刻な懸念を表明しました。加えて、地域における経済的威圧への強い反対を改めて表明しました。
     他の参加国からも、南シナ海における航行・上空飛行の自由の重要性、国連海洋法条約を始めとする国際法に沿った紛争の平和的解決の重要性等について発言があった他、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する発言がありました。また、香港情勢や新疆ウイグル自治区等の人権状況に対する懸念の表明や、経済的威圧についても言及がありました。
  • (3)北朝鮮
     岸田総理大臣から、北朝鮮は、先月来、我が国上空を通過するものも含め、極めて高い頻度で弾道ミサイルを発射しており、これらは、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦であるとして、到底看過できない旨述べました。その上で、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向けて、国際社会が一体となり、安保理決議を完全に履行することが不可欠である旨指摘しました。更に、拉致問題の即時解決に向けて、各国に引き続きの理解と協力を求めました。
     他の参加国からも、北朝鮮による弾道ミサイル発射が極めて高い頻度で続いている状況に懸念が表明され、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の完全な履行の重要性や、拉致問題の早期解決の支持に言及がありました。
  • (4)ミャンマー情勢
     岸田総理大臣から、悪化するミャンマー情勢への深刻な憂慮を表明するとともに、「5つのコンセンサス」の実施に向けたASEANの努力を引き続き最大限後押ししていく旨述べました。また、引き続きの人道支援に向け、暴力の即時停止と安全で阻害されない人道アクセスを強く求める旨述べました。
     他の参加国からも、ミャンマー情勢への深刻な懸念が表明され、「5つのコンセンサス」の履行の重要性が強調されました。

3 結語

 最後に、岸田総理大臣から、国際秩序の根幹が揺らぎ、国際社会が歴史の岐路に立つ今、EASの重要性はかつてなく高まっている旨指摘し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現と地域・国際社会の平和と繁栄の確保のため、今後も日本はEASを始めとしたASEAN主導のフォーラムを通じて、地域協力を強化していく意向を強調しました。


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