経産省・新着情報

2022年11月11日(金曜日)
9時13分~9時33分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

先端半導体

何点か私から冒頭申し上げます。
まず、一つ目に次世代半導体の設計、製造基盤確立に向けた取組の概要であります。
2020年代後半における次世代半導体についてであります。
次世代半導体の量産に向けた研究開発機能を担う新たな技術の研究開発プラットフォームの名称を「技術研究組合最先端半導体技術センター」、略称「LSTC」とし、東哲郎氏を理事長にお迎えすることで関係者間で合意いたしました。
この技術組合には産総研、理研、東大、東工大、東北大、NIMS、物質・材料研究機構といった国内の主要な研究開発機関が参画いたします。日米で合意しております次世代の半導体の共同研究開発、この中核的な役割を担っていただくことになります。年内の立上げを目指し、必要な作業を加速するよう事務方に指示をしているところであります。
また、この製造基盤の確立に向けた研究開発予算700億円の採択先をRapidus株式会社とすることにいたしました。この会社はトヨタ、NTT、ソニー、NECなど、国内の主要な企業が出資をして設立された会社であります。
半導体はデジタル化、脱炭素化を支えるキーテクノロジーであります。米中の技術覇権が激化する中、経済安全保障、そうした観点からも一層重要性が増しているわけであります。その中でも「Beyond2ナノ」と言われる次世代半導体、これは量子、AIなどを含むあらゆる分野で大きなイノベーションをもたらす今後の中核技術であります。アメリカをはじめ海外の研究機関、産業界とも連携しながら日本のアカデミアと産業界が一体となって取り組むことで我が国の半導体関連産業の基盤の強化、競争力強化につなげていきたいと考えております。
LSTCに参加する主要メンバーのお名前を含め、詳細につきましては事務方からブリーフィングさせていただきます。

タイ出張

二つ目に来週11月15日から18日まで、APEC閣僚会議などに出席するためタイ及びシンガポールにいたします。タイにおけるAPEC閣僚会議におきましては、コロナ後、そしてウクライナの侵略後のサプライチェーンの強靱化、そしてクリーンエネルギーへの移行など、様々な課題がある中でAPEC地域において正に貿易、投資、人の移動、こういったものを活性化させ、持続可能な成長につなげていく、その成長軌道に乗せていく、そのためにどういうことが必要なのか、そういった対応について議論できればと思っております。
また、タイ、シンガポールでは関係各国の経済閣僚、エネルギー閣僚などとも会談したいと思っております。信頼関係の構築、そして2国間の国間の経済関係の一層の発展、地域での連携強化につなげていきたいと思っております。また、コロナの感染拡大も見られ始めていますので、防疫措置には万全を期していきたいと思います。

広島出張

3点目、明日12日、広島県に出張いたします。
まず、広島市内で中国地方の経済界の皆様と意見交換を行う予定であります。その後県内の先端メモリ半導体の国内生産拠点であるマイクロンの拠点、それから大崎上島にあります次世代高効率火力発電及びカーボンリサイクルの実証の現場、拠点を視察する予定であります。
私から冒頭以上です。

質疑応答

放射性廃棄物最終処分場

Q:よろしくお願いします。
高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に関して2点伺います。
1点目が道内2町村で行われている文献調査が今月で終了の目安となる2年を迎えます。進捗状況と今後の見通しを教えてください。

2点目は、文献調査が始まる際に当時の大臣がほかの自治体からも手が挙がることを期待したいという発言をされていましたが、この2年で手は挙がっていません。NUMOと経済産業省による取組の成果が出ていないことに対する大臣の御所見を伺えますか、よろしくお願いします。

A:まず、北海道の2自治体における文献調査でありますが、現在NUMOにおきまして、これまで収集した文献を整理、分析をしております。具体的にどのような地域が文献調査の次の段階の対象となり得るか、判断するための評価基準の策定を進めているところであります。今後策定した基準に基づいて、2地点の調査報告書の取りまとめに向けた作業に着手する考えであります。
御指摘のとおり当初目安としておりました2年を迎えるところでありますけれども、全国初の調査でもあり、今後別地域で行う調査にも影響を与えるということもありますので、調査の取りまとめに向けては、透明性のあるプロセスで丁寧に評価することが重要だと思っております。このため今月中を目途に審議会を開催いたしまして、技術的、専門的な観点からNUMOの評価基準の妥当性などを議論いただく予定にしております。文献調査の取りまとめに向けた今後の見通しについては、審議会の議論を踏まえた上でお示しをしていければと思っております。
その上で御指摘のとおり最終処分、社会全体で必ず解決しなければならない重要課題であります。できるだけ多くの地域で文献調査を実施することが重要という認識は今も変わっておりません。最終処分の必要性が広く国民の皆さんに理解され、共有され、そして北海道以外の地域でも文献調査を実施できるように、これまでも行ってきておりますが、引き続き国が前面に立って全国での対話活動などに取り組んでいきたいと考えております。

先端半導体

Q:よろしくお願いします。

冒頭にありましたLSTCとRapidusの関係なのですけれども、今後この2本柱で先端半導体の開発に挑んでいくことになると思うのですが、この分野は計画的に大規模な投資が必要でありますし、人材の確保ということも課題になると思いますが、大臣は量産化に向けて今後の課題は何だと考えるのかということ、また政府としてどのような役割があるのかということをお伺いできればと思います。

A:まず、大前提として半導体が今後のデジタル化や様々な技術であるAI、量子といった今後期待される最先端の技術開発、それを支える中核のテクノロジーであると、また脱炭素化に向けたいろいろな技術も開発されていきますけれども、その中でも半導体は使われていくということでありますので、今後の新しい経済、社会を作っていく上で極めて重要なテクノロジーであり、さらに米中の覇権の争いを見ても、経済安全保障上極めて重要なテクノロジーであります。
その上で、正に今日本の企業が必要としているようなそうした半導体については、海外からの投資も含めて、先般視察いたしました熊本にあるTSMCのJASM、それから明日視察いたします広島のマイクロン、それからキオクシアにも投資してもらいます。こういったところに国内投資を進めてもらうことで、今日本の産業が必要としているような半導体についてはしっかり確保していくと同時に、その基盤を国内の関連する企業が周辺に立地をする、共同で何かを作っていく、そうしたことを含めて国内の投資も促していきたいと思っております。言わば半導体のサプライチェーンをしっかり日本の国内に構築をしていくということを進めていきたいと思っております。
同時に熊本や広島でも見られるように、地域で半導体の人材を育てていこう、これは大学、高校、高等専門学校、高専、こういったところで幅広く人材育成の取組が進み始めています。こうした取組にも我々は支援をしているところであります。
今必要とされること、少し先に必要とされることのその基盤をしっかり作りながら、そして次世代、「Beyond2ナノ」と言われる微細な最先端の半導体の開発について、アメリカをはじめとして各国と連携をしながら、有志国と連携をしながら取り組んでいく、その大きな一歩がこの技術研究組合、LSTCの設立であり、Rapidusへの支援であると認識しております。
さらに今回こうした大きな方向性の中で、補正予算でも1.3兆円の予算を確保しておりますので、今申し上げた当面の国内で必要となる基盤を作っていく、そうしたことにも取り組んでまいりますし、次世代のこうした新しい技術開発にも今回支援していくということで1.3兆円を有効に活用していきたいと思っておりますので、できるだけ早期に補正予算を成立させていただいて、実行に移していきたいと考えております。

対ロ輸出規制

Q:日本の中古車がロシアに多く流入していて、ウクライナ侵攻の前線で使用されている可能性が出ている問題があります。

経済産業省として、まずこの状況について把握をしているか、その上で輸出規制の強化など、対応は検討されていますでしょうか、お願いします。

A:報道があったことは承知をしておりますが、まずロシアに対する経済制裁ですけれども、アメリカ、EUなどと連携しながら取り組んでおります。実施してきているところであります。乗用車の輸出禁止については、G7首脳がプーチン大統領を支えるオリガルヒなどに対する奢侈品の入手を困難とする旨、合意したことを踏まえた措置であります。
具体的には、日本は本年4月から600万円を超える乗用車について輸出を禁止しているところでありますけれども、これは欧州、ヨーロッパでは5万ユーロを超えるもの、アメリカでも5万ドルを超えるものについて規制対象にしていくということで、連携しながら取り組んでいるところであります。御指摘の点については、ウクライナ情勢や国際社会における議論を踏まえながら、欧米と連携をして適切に対応していきたいと考えております。
特に我が国にとって重要なのは、国際社会の平和、安全の維持を期する観点から、ロシアに輸出される乗用車などが軍事用途に転用されることがないこと、これが重要でありますので、引き続き外為法の厳格な運用に取り組んでいきたいと考えておりますが、輸出される乗用車などが軍事用途に使用される具体的な情報がある場合には、いわゆるキャッチオール規制の対象として、輸出者は経済産業大臣から許可を得ることが必要となります。こうした措置を取ることがあり得るということであります。
引き続き輸出などに当たり懸念がある場合には、経済産業省に相談するよう、また関係団体に対して注意喚起も行っていきたいと思いますし、しっかりと情報収集もしていきたいと思います。

原発政策

Q:原発の運転期間延長に関してお伺いいたします。
原子力小委員会で議論が進んでいるところですけれども、運転期間の考え方について、経済産業省の事務局は、これまで原発事故を踏まえた原子力への国民理解を勘案した一定の抑制を考慮すべき事項の例として示していました。一方で今月の8日の同委員会では、運転期間について上限を撤廃する案への賛同が相次いで、利用政策化、あるいは抑制は必要ないとの考えが多数派のようです。

経済産業省としては、考慮事項で挙げているように何らかの抑制が必要とお考えでしょうか、大臣のお考えをお願いいたします。

A:今週の8日に開催された原子力小委員会、ここで運転期間の在り方についてこれまで委員から頂いた御意見などを整理しまして、考えられる選択肢をお示しました。それを踏まえ更に議論を深めていただいたところであります。
御指摘のように、委員からは様々な御意見を頂いております。三つの案に対してそれぞれ賛成の表明があったり、あるいはそれ以外の視点からの御指摘もあったと聞いております。そうした様々な御意見を更に整理していきたいと思っております。
現時点でまだ議論の途上でありますので、具体的な方向性が何か決まったものではありません。引き続き結論ありきではなく、様々な専門家から幅広い御意見を頂きながら、年末に向けて議論を深めていきたいと考えております。
非常に慎重なお立場の方からのヒアリングなども今予定をしていると聞いておりますので、幅広く御意見を伺いながら、また透明な形で常にオープンに議論しておりますので、オープンな形で引き続き議論を深めていきたいと考えております。

先端半導体

Q:大臣冒頭御説明いただいたNSTCですけれども、先端半導体の技術開発の計画との連携が軸になるということですけれども、ただIPEFでは半導体のサプライチェーン強化が課題になっていますけれども、米国以外どういった国との連携を想定しているというか、期待しているのでしょうか、お願いいたします。

A:まず、次世代の最先端の半導体の開発については、アメリカを日米の協力を軸としながら、もちろん有志国、ヨーロッパであったり台湾であったり、様々な最先端の研究開発をする能力のあるような企業、研究機関を有する国々とは連携していきたいと思っておりますが、基本は日米での共同開発、これは既に合意しておりますので、これが軸になっていくと思います。

他方既に今それぞれの産業で使われている半導体については、これも様々なレベル、様々な用途、様々な種類がありますので、一概には申し上げられませんけれども、IPEFでの議論、そして今回のAPECでも議論になると思いますけれども、そういった重要物資についてのサプライチェーンの強靱化、あるいは必要なときの融通であるとか、そういったことも含めて、いろいろなレベルでいろいろな形で議論しておりますので、同志国、有志国とそうした連携は是非深めていきたいと考えております。

暗号資産

Q:海外の暗号資産交換業者による資金繰りの悪化とか買収騒動で、日本法人の業務停止命令が出されたりということが起こっておりまして、日本政府、経済産業省さんも暗号資産を利用するWeb3.0の推進に向けて、関連の税制改正などを要望しておりますけれども、こういった海外の騒動の受け止め、またWeb3.0の推進に向けてどのような影響をもたらすとお考えか、お伺いできますでしょうか。

A:仮想通貨、あるいは暗号資産と言われる様々なブロックチェーンを使っての新しい技術開発が進んできています。私ども経済産業省の立場としては、こうした様々なイノベーション、技術開発を起こしていく、是非そうした環境は作っていきたいという気持ちがあります。
一方で消費者の保護、投資家の保護であったり、あるいはプライバシーの保護であったり、そういった要請もありますので、バランスをどう取っていくかということが重要だと思いますし、様々投機的な動きをしている部分もあると思いますので、そういったあたりをよく見極めながら、様々なイノベーションを起こしていく、そういう環境は整備していきたいと思っていますので、そうした観点からの税制などの要求は金融庁をはじめとして関係省庁とも連携しながら取り組んでいるところであります。
日々状況は変化をしておりますし、イノベーションのスピードも速いですから、そうしたものをフォローしながらイノベーションを起こしていく環境と、そして投資家、消費者、あるいはプライバシーの保護といったことも含めて、そのバランスをどう取っていくかというところで政策を考えていきたいと思っております。
 

以上

最終更新日:2022年11月15日

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