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令和4年11月17日
APEC閣僚会議に出席する林外務大臣

 現地時間11月17日(日本時間同日)、タイ・バンコクにて開催されたAPEC閣僚会議における、林芳正外務大臣の発言概要は以下のとおりです。同会議では、タイのドーン・ポラマットウィナイ副首相兼外務大臣(Hon. Don Pramudwinai, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs)及びジュリン・ラクサナウィシット副首相兼商務大臣(Hon. Jurin Laksanawisit, Deputy Prime Minister and Minister of Commerce)が議長を務め、日本からは、林芳正外務大臣及び西村康稔経済産業大臣が参加しました。

1 第1セッション(議題:バランスの取れた、包括的で持続可能な成長)

 林大臣は、アジア太平洋地域の成長のためには「平和と安定」が不可欠であることを強調した上で、ロシアによるウクライナ侵略は、主権及び領土一体性の侵害かつ武力の行使を禁ずる国際法の重大な違反であるとともに、国際秩序の根幹を揺るがすものであると述べました。また、核による威嚇を深刻に懸念しており、断じて受け入れられず、ましてやその使用はあってはならない旨述べました。加えて、ロシアによる侵略により、食料やエネルギー等の安定供給が脅かされ、世界経済及びアジア太平洋地域の発展が大きな影響を受けていることに触れ、現下の世界経済の悪化はロシアに対する経済制裁によるものであるとの偽りのナラティブに反論しました。林大臣から、こうしたロシアの行動を厳しく非難するとともに、直ちに侵略を止めるよう強く求めました。
 その上で、人間の安全保障の重要性に言及し、APECにおいても、「誰一人取り残さない」社会を実現するため、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成を含む人間の安全保障の強化に向けて、短期的な緊急人道支援に加えて、中長期的な技術協力を通じた能力構築に貢献する考えを示しました。
 さらに、女性や中小零細企業等、全ての人による公平な経済的機会へのアクセスを確保する取組の重要性を指摘し、国際女性会議WAW!の開催やAPECにおける取組を通じ、包摂的な地域の成長に貢献する決意を表明しました。

2 第2セッション(議題:地域の再連結)

 林大臣は、本格的な経済活動の再開及びコロナ禍からの経済回復に向け、安全な人の越境移動の再開が重要であることを強調し、日本が、個人旅行の再開、入国者総数の上限の廃止など、水際措置を大幅に緩和したことや、国内では更なるワクチン接種を進める等、感染症対策にも注力していることを紹介しました。
 また、国際スタンダードに則った「質の高いインフラ」の開発・投資の重要性を指摘し、APECにおけるインフラ関連法制のピアレビューや能力構築といった取組を通じて、日本が地域の連結性の強化に貢献していくことへの決意を表明しました。併せて、国際的なルールやスタンダードに沿った透明で公正な開発金融が重要であることを指摘しました。

3 第3セッション(議題:開かれた持続可能な貿易・投資)

 林大臣は、アジア太平洋地域が「世界の成長センター」として繁栄し続け、自由で公正な経済秩序を構築することが重要である点を強調しました。
 その上で、WTOを中核とするルールに基づく公正で開かれた多角的貿易体制の維持・強化の重要性を強調し、第12回WTO閣僚会議(MC12)での漁業補助金協定交渉の妥結を評価するとともに、協定の早期発効と残された論点に関する交渉に貢献する考えを示しました。
 また、国際的なルールの下で、地域の経済連携を質的に更に強化することの重要性を強調し、CPTPPの他の参加国と連携しつつ、不公正な貿易慣行や経済的威圧とは相容れないCPTPPの精神と原則を守り、そのハイスタンダードを堅持する考えを表明しました。併せて、RCEP協定では、各国が、義務を透明性を持って誠実に遵守することが重要であり、同協定の完全な履行に向け、日本も協力する姿勢を示しました。
 最後に、APECの議論に建設的に参加し、全ての人々と未来の世代の繁栄のために、APECプトラジャヤ・ビジョン2040の実現に向けて、着実に行動計画を実行に移していく決意を述べました。

[参考]APEC参加国・地域(21エコノミー)

 タイ(2022年APEC議長)、日本、豪州、ブルネイ、カナダ、チリ、中国、香港、インドネシア、韓国、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、パプアニューギニア、ペルー、フィリピン、ロシア、シンガポール、台湾、米国、ベトナム。
 (注)APECには、香港は「ホンコン・チャイナ」、台湾は「チャイニーズ・タイペイ」の名称で参加。

[参考2]2022年APEC閣僚共同声明(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く/英文(PDF)別ウィンドウで開く

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