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令和4年11月20日
会合で発言する林外務大臣
会合会場の様子

 11月20日、林芳正外務大臣は、三極委員会アジア太平洋委員会東京地域会合に出席し、「歴史的大転換の先のアジア太平洋の平和と繁栄のために」と題する講演を行ったところ、概要は次のとおりです。

  1. 現在、国際社会は歴史の大転換点を迎えており、自由、法の支配、平和で安全な生活といった日々の「当たり前」を揺るがす変化が生じています。過去30年間のアジアの経済的、政治的プレゼンスの向上の基礎となった、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序への挑戦にいかに臨むか、我々の知恵と覚悟が問われています。
  2. この時代の指針として、国際法の原則に基づく「法の支配」こそが重要です。「力による支配」を許さず、特定の国に都合のよい恣意的な法の解釈も認めるべきではありません。国連憲章やそれに続く国際社会のコンセンサスに立ち戻り、これを誠実に遵守することが重要です。来年から国連安保理非常任理事国を務める日本は、法の支配の強化のための行動の第一歩として、1月に「法の支配」をテーマとする会合の開催を検討しています。
  3. アジア太平洋地域の平和と繁栄の旗頭たり得るのが「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」であり、今や多数の国が関連する取組を発表しています。日本は来年のG7議長国として、FOIPの提唱国として、FOIPの新たな展開を推し進めるべく、来年春までに新たなプランを発表します。
  4. 世界経済の新たな現実を前に、自由で公正な経済秩序を維持していくために、自由貿易と安全保障の両立は避けられない課題です。日本は、経済安全保障の確保に向けて、同志国との間で制度の調和を図りつつ、一層の連携強化や国際規範の形成に取り組み、国際社会の議論をリードしていきます。同時に、自由貿易を推進するための取組も継続していきます。
  5. アジア太平洋地域は、法の支配に基づく秩序の受益者であるだけでなく、その担い手であることを今一度自覚せねばなりません。日本は戦後一貫して、平和国家として地域の国々に寄り添ったきめ細やかな外交によって、地域諸国の信頼と期待を得てきました。この姿勢を堅持しながら、新たな時代のアジア太平洋の平和と繁栄のため、法の支配に基づく国際秩序の擁護に取り組んでいきます。
(参考1)三極委員会

 1973年に、日本・北米・欧州の各界を代表する民間指導者が集まり、「日米欧委員会」として発足した民間非営利の政策協議グループ。90年代以降参加国が拡大したことにより、名称が「日米欧委員会」から「三極委員会」に改められた。3地域(アジア太平洋、北米、欧州)持ち回りで年1回3日間の総会を開催するとともに、各地域の会合も年1回開催されている。

(参考2) 

三極委員会アジア太平洋委員会東京地域会合における林外務大臣講演「歴史的大転換の先のアジア太平洋の平和と繁栄のために」(日本語英語

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