外務省・新着情報

令和4年12月2日

 12月1日から2日まで、武井俊輔外務副大臣は、ポーランド共和国を訪問し、第29回欧州安全保障協力機構(OSCE:Organization for Security and Co-operation in Europe)外相理事会等に出席したところ、結果概要は以下のとおりです。

  1. 第29回OSCE外相理事会には、加盟57か国及び「協力のためのパートナー」11か国の代表が参加し、12月1日及び2日の2日間開催されました(日本は「協力のためのアジア・パートナー国」であり、2022年は日OSCEパートナーシップ30周年。)。
  2. 武井副大臣は、同理事会の2日目(12月2日)に、スピーチを行い、概要以下のとおり述べました。
  • (1)日本の外務副大臣として、本理事会に出席できることは光栄です。
  • (2)国際社会は今、歴史的な転換期を迎えています。我々が守り続けてきた法の支配に基づく国際秩序が、脅かされています。ロシアのウクライナ侵略は、欧州に留まらず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、厳しく非難します。また、ロシアの核の脅しは断じて受け入れられず、ましてやその使用はあってはなりません。我々、アジア・パートナーがOSCE外相理事会に参加するのは、同志国が連帯して断固とした対露制裁を継続し、ウクライナ及び周辺国を支援する必要があるためです。我々は、侵略に立ち向かうウクライナと共にあります。
  • (3)インド太平洋に目を向ければ、中国とロシアが、軍事的連携を強化する動きも見られています。岸田総理大臣が、6月のNATO首脳会合において述べたように、欧州とインド太平洋の安全保障は切り離せません。我々は、「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」との危機感も持っています。
  • (4)東シナ海及び南シナ海においては、力を背景とした一方的な現状変更の試みが継続・強化されています。中国は不透明な形で国防費を継続的に増大させ、軍事力を広範かつ急速に強化・近代化させています。また、北朝鮮による前例のない頻度と態様での弾道ミサイルの発射などは、東アジアの厳しい安全保障環境を否応なく国際社会に突きつけています。
  • (5)こうした我々が守ってきた国際秩序に対するあからさまな挑戦に対しては、地理的な範囲にとらわれず、国際社会が連携して反対や懸念の声を上げていかなければなりません。OSCE加盟各国の理解と協力を求めます。
  • (6)OSCEが、多様な価値観を有する多くの国の参加を得て、信頼醸成という重要な役割を担ってきたことに敬意を表します。日本は、30年に亘り、グローバルな安全保障課題に取り組む最も歴史の長いアジア・パートナーとして、民主化や地域の安定に向けた取組においても、OSCEとの協力を強化してきました。ウクライナのOSCE特別監視団への専門家の派遣、中央アジアやアフガニスタンにおける国境管理能力強化のための財政支援などを実施してきました。こうした協力は、OSCE地域の平和と安定が、国際社会の安定、ひいては日本の平和と安全に直結するとの考えに基づくものです。
  • (7)我々は、OSCE加盟国が他の加盟国を侵略するという極めて許し難い事態に直面しています。同時に、OSCEが設立以来取り組んできた対話に基づく信頼醸成による包括的な安全保障が、これまでになく求められています。今年は、日・OSCEパートナーシップ30周年です。国際社会が直面する幅広い安全保障上の課題に対処し、ルールに基づく国際秩序を実現するため、OSCEとの協力を継続していきます。
  1. また、武井副大臣は、OSCE外相理事会のマージンで、OSCEトロイカとアジア・パートナーと意見交換に参加し、欧州とインド太平洋の地域情勢に触れつつ、30年にわたる日・OSCE協力について述べるとともに、引き続き、OSCEとの連携及びOSCEを通じた貢献を継続していく旨述べました。これに対して、OSCEトロイカ側からは、日・OSCE30周年に対する祝意及び日本の貢献への謝意の表明、アジア・パートナー国との協力強化の重要性などに言及がありました。

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