財務省・新着情報
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日時 令和4年12月2日(金)16:00~17:00 |
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場所 財務省 第3特別会議室 |
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内容 〇令和5年1-3月期における物価連動債の発行額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・物価連動債については、P.3のとおり、令和4年度発行計画では、1回の入札当たり2,000億円で年4回の発行としつつ、「市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整」することとされている。また、P.4のとおり、買入消却についても、「市場の状況や市場参加者との意見交換も踏まえ、必要に応じて実施する」こととされている。本日は、令和5年1-3月期における発行額等について、御意見をお伺いするもの。 ・10-12月期については、P.5のとおり、市場の状況や市場関係者との意見交換を踏まえ、11月に発行額2,500億円で入札を行うとともに、買入消却入札を毎月200億円実施することとしたところ。発行入札及び買入消却入札の結果はそれぞれP.6、P.7のとおりである。 ・流通市場の状況については、P.8、P.9のとおりである。この半年程度の推移をみると、BEIはグローバルな動きの影響も受けながら、ごく足元ではやや大きめに振れる場面も見られたものの、カレント債は概ね80~90bps台での推移が続いている。 ・こうした中で、皆様から事前に御意見を伺ったところ、発行入札の結果からはカレント銘柄の需要は引き続き良好とみられるとの御意見を頂戴した一方、流動性の改善や投資家層の拡がりは未だ限定的との声もきかれた。もっとも、こうした参加者を含めた全ての参加者から、現状の発行額と買入消却額はバランスしていることから、現状維持が望ましいとの御回答を頂戴した。 ・こうした経緯や皆様の御意見も踏まえ、P.10に当局の提案をお示ししている。令和5年1-3月期については、10-12月期と同様、2,500億円の発行入札を1回行うこととする一方、毎月200億円の買入消却入札を行うこととしてはどうかと考えている。 ・以上、物価連動債市場についての状況とそれを踏まえた令和5年1-3月期の発行予定額等にかかる当局の提案について御説明した。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・当局の提案に賛成する。食料品価格や電力料金の値上げが続いており、日本のCPIが上振れするという思惑から、11月の入札は外国人投資家中心に需要を集めて堅調な結果であったが、政府の総合経済対策で来年度以降はCPIが約1.2%以上押し下げられるというコンセンサスがある中で、米国のCPIの数値が予想を下回ったのをきっかけに、外国人投資家中心にやや売りの引き合いが増えているのかなという印象がある。ターゲットとしてBEIで100bps前後を売り目線としている投資家が多いが、米国のCPIが少し弱かったことを受け、少し早めに売っている投資家が多いのかなというような印象である。 ・発行額も買入消却の額も現状維持でお願いしたい。 2.令和5年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について 〇令和5年1-3月期における流動性供給入札の実施額等について、理財局から以下のように説明を行った。 ・流動性供給入札については、P.12のとおり、令和4年度発行計画では、 ・P.13のとおり、10-12月期においては、残存1-5年ゾーンについては奇数月の11月に、残存5-15.5年ゾーンについては毎月、残存15.5-39年ゾーンについては偶数月の10月と12月に、それぞれ5,000億円ずつの発行とした。これらの結果はP.14~P.16のとおり。 ・こうした中で、令和5年1-3月期の流動性供給入札について、皆様から事前に御意見を伺ったところ、一部の参加者から、一部銘柄で需給がタイトな状況が続いているという御意見や、残存15.5-39年ゾーンの入札が軟調な結果となることがあったとの御意見をいただいた。もっとも、こうした参加者を含む全ての参加者から、ゾーン間の発行額のバランスを変更する必要があるほどに需給状況に大きな変化がみられているわけではないことから、現状の発行額等を維持することが適当であるとの御回答を頂戴した。 ・これを受け、P.17にあるとおり、令和5年1-3月期におけるゾーン毎の発行額の当局の提案を作成した。残存1-5年ゾーンについては奇数月の1月と3月に、残存5-15.5年ゾーンについては毎月、残存15.5-39年ゾーンについては偶数月の2月に、それぞれ5,000億円ずつの発行としてはどうかと考えている。 ・令和5年1-3月期における流動性供給入札のゾーン毎の発行額等については、本日の会議内容も踏まえて総合的に判断することとしており、改めて皆様の御意見を頂戴したい。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・どのゾーンも投資家のオフ・ザ・ランの購入ニーズ、業者のショートカバーニーズがある。日銀買入オペの継続が見込まれる中で、流動性供給入札は必要であると認識している。流動性供給入札の発行総額が一定となっている状況で、近々に、ある年限の需給調整を行わなければならないという状況ではないと考えているため、令和5年1-3月においては、現状維持という当局の提案に賛成する。 ・当局の提案を支持する。特に残存7-10年のゾーンで日銀買入オペの影響があり、残存5-15.5年ゾーンの流動性供給入札は増額してもよいと思っているが、一方で、今年度の発行額が12.0兆円ということであれば、このゾーンを増やすと他のゾーンを減らさなければいけないこととなる。需給状況、入札結果からすると超長期ゾーンを減らすのがよいと思うが、1-3月は生保からの超長期ゾーンの買いが増える時期であるため、減らすのは難しい。減らせるゾーンがないので、増やすこともできないことから、当局の提案を支持する。 3.令和5年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について 〇令和5年度国債発行計画の策定に向けた現状と課題について、理財局から以下のように説明を行った。 ・まずは、国債管理政策の現状として、令和4年度第2次補正予算における国債発行計画の見直しについて説明する。新規国債の増加額は約22.9兆円となった一方で、昨年度の財政融資資金の運用実績等を踏まえた調整により財投債を8.5兆円減額するなどした結果、国債発行総額は、約9.7兆円増の約227.5兆円となった。 ・カレンダーベース市中発行額の推移を年限別にみると、短期債の発行割合について、令和元年度は2割以下であったところ、コロナでの国債発行額の増額に伴い、令和2年度3次補正後には約4割まで増加したが、足元では約3割まで減少している。令和4年度第2次補正予算に伴う変更では、短期債中心の増額を行ったが、概ねのトレンドとしては短期債の発行割合を縮小してきている状況。 ・国債発行残高については、令和4年度末の普通国債残高の見込みは、1,042.4兆円となっており、令和4年度末に初めて1,000兆円を超えるという見通しである。 ・平均償還年限について、フローベースでみると、2次補正後は7年7ヶ月となっており、1次補正後の7年9ヶ月と比べると若干短くなっているが、令和3年度の7年3ヶ月に比べれば長い状況がまだ続いている。ストックベースでも同じような状況で、9年台を保っている。 ・国債管理政策の基本的な考え方は、(1)確実かつ円滑な発行により資金を確実に調達すること、(2)中長期的な調達コストを抑制すること、の2つであり、そのために、市場との対話を丁寧に実施していくこととしているところ。こうした基本的な考え方は、今後も維持していく予定。 ・内閣府の中長期試算に基づき、令和5年度以降も令和4年度2次補正後計画の年限構成割合を維持するものとして、財投債や復興債を除き将来の国債発行額を試算すると、内閣府の中長期試算は今年7月の数字であることに留意する必要があるが、令和6年度にかけて国債発行額が徐々に低下し、その後、比較的安定して推移するような見込みとなる。 ・現在の金利の動向をみると、各国の金融政策の影響等を背景に、海外金利が上昇している。 ・日本国債市場もつられる形で、超長期ゾーンを中心とした金利上昇がみられ、引き続き注視が必要な状況。 ・イールドカーブをみても、カーブがスティープニングしていることが見て取れる。 ・日本銀行の動向について、日本銀行の金融政策、国債買入オペの考え方が国債市場や金利に与える影響にも留意する必要。日本銀行の国債買入比率を見ると、残存1年超10年以下のゾーンを中心に、場合によっては発行額に対して100%を超えるような買入がなされている。 ・日本銀行が国債保有割合を増加させてきた一方で、銀行等は近年国債保有割合を減らしてきた。なお、令和2年度以降、銀行等の国債保有割合がやや増加傾向にあったのは、担保需要の増加等が寄与していたと考えられるが、日本銀行の新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペの終了に伴う変化等には留意が必要である。 ・生命保険会社については、資産と負債のデュレーション・ギャップを埋める観点から超長期の国債を購入するという状況が続いており、国債保有額は増加傾向、年限別にみると、残存10年超の国債保有額が多くなっている。引き続き、超長期ゾーンのニーズは一定程度存在すると考えられるが、各社の対応の進捗には留意が必要だと考えている。 ・地方銀行については、国債保有額は減少傾向にあったものの、概ね下げ止まっており、年限別にみると、残存10年超の国債の保有額が大きくなっている状況。 ・個人による国債保有の動向をみると、国債発行残高に占める家計の保有割合は近年1%前後となっている。金利が高い時はもっと高い水準となっていたが、現在はそこまで伸びていない。 ・こうした市場の状況や、投資家動向を踏まえ、令和5年度の国債発行計画について検討していくことになるが、現時点での当局の基本的な考え方として、今後様々な経済状況を見ながらではあるが、仮に国債発行総額の減額が可能となった場合、カレンダーベース市中発行額において、短期債を中心に減額しつつ、利付債の発行総額は現状程度として検討を進め、短期債に依存した資金調達構造を是正することを検討している。 ・なお、足元の状況から大きな変化がないことを前提として、まずは検討を行っていきたいが、仮に市場環境に大きな変化があった場合には、弾力的に見直すことも排除していない。 ・皆様からいただくご意見を踏まえ、検討していくこととなるので、本日は活発に議論いただけると幸いである。 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・いずれの年限も発行額の据え置きが望ましい。 ・来年度の発行額はほぼ現状維持がよいと考えている。足元は海外金利の上昇が止まり、日本銀行に対してチャレンジするような海外勢の売り等もかなり止んできている状況。そうした中で、生損保の需要も回復し、超長期金利に関しても日銀買入オペの増額によって需給は復調してきている。日銀買入オペの変更がなければ、来年度は生損保の規制対応の終了に伴う需要の減退を多少意識して発行額を減額する必要があったかもしれないが、足元の環境であれば、特に日銀買入オペが生損保勢の需要減退を補うだけ増えているので、減額は必要ないと思っている。来年度に向けては、日本銀行の政策修正をにらみつつもそれがあるかどうかわからない状況だと思っているので、国債発行について何か予断を持って動くべきではないと個人的には考えている。ある程度、現状維持としつつ、何か起きた場合にはそれを見た後で柔軟に対応するという姿勢が適切であると思う。 ・イギリスの債券市場の混乱もあって、一時期、円金利も超長期ゾーンは非常に大きな金利上昇と不安定な値動きになっていたかと思うが、現状は、海外金利が落ち着いてきた中で、大きな流れとしては円金利の超長期ゾーンは落ち着きを取り戻しつつあると感じている。海外金利が再上昇した場合、イールドカーブ・コントロールにより10年金利がピン留めされているという状況の中で、超長期ゾーンは金利上昇を伴った不安定な状況になることもあり得ないわけではないが、日本銀行の超長期ゾーンの買入れの増加が一定の下支えになってくるのではないかと想定している。利付債の発行額を減らすということであれば、超長期ゾーンは候補になるものの、利付債の発行総額は変えないという前提に立てば、超長期ゾーンを減らすには他の年限を増やすことになる。中長期ゾーンはイールドカーブ・コントロールが続くという前提に立てば、増やせないこともないが、将来的にイールドカーブ・コントロールが変わる可能性もあり、安易に中長期ゾーンを増やすべきではないと感じており、結局、中長期ゾーン・超長期ゾーンとも現状維持が落ち着きどころとしてよいのではないかと考えている。 ・超長期ゾーンをどうするかが一番のポイント。30年債、40年債の金利上昇が著しかったが、日銀買入オペの増額で需給が大きく改善した。日本銀行の政策変更があるかもしれないという中で、今の日銀買入オペは未来永劫続くものでもなく、生保の需要も今後減退していく可能性も一つのシナリオとしてあり得るので、超長期ゾーンの減額を検討すべきと考えている。一方、利付債の発行額は一定にするということなので、超長期ゾーンを減額した分、中期ゾーンを増額するというのは一案だと思う。 ・基本的には各年限据え置きでよいと思っているが、どのゾーンも少々の増額減額は対応できると思っている。今の状況であれば、10年以下の年限で少々の増額減額を行うのはあり得るが、一番よいのはT-Billの増えた分を減らすことだと思っている。 ・基本的にはあまりいじらないほうがよい。特に利付債についてはあまりいじらないほうがよいと思っている。40年債の需給はそれほど強くなかったが、今年度増額したばかりであり、中長期的に育成していく年限だと理解しているので、来年度は現状維持がよいと考えている。 ・超長期ゾーンについては、増額・減額ともにある程度の幅を持って対応可能であると思う。長期ゾーン、中期ゾーンに関しても、日本銀行の政策が、今しばらく続くということであれば増額・減額ともに対応可能であると思う。 ・発行額の据え置きを希望する。超長期ゾーンのカレント銘柄はスプレッドが乗っているが、日本銀行の政策修正があれば、カーブがフラットニングし、金利上昇局面では投資行動の変化も期待できるので、据え置きでよいかと思う。 ・短期債を中心に減額し、利付債の発行総額は現状程度とする方針について特段異論はない。調達年限の長期化の観点から、短期債は一旦減らすという方向感は正しいと考えている。 4.最近の国債市場の状況と今後の見通しについて 〇出席者から出された意見等の概要は以下のとおり。 ・GX経済移行債(仮称)について、統合発行であれば、市場への影響は非常に限定的。一方、個別の銘柄として発行される場合、発行額又は年限によって、既存の銘柄と流動性が異なる可能性があるため、消化の面で不安が出てくるかと想像している。 ・国債市場の流動性は最悪期と比較すれば幾分改善しているが、引き続き非常に低位で悪い状況である。今後の見通しは、都区部CPI公表以降、海外金利が低下しているなかでも、円金利はアンダーパフォームしているように、海外とのダイバージェンスが今後も続く可能性があるので、その点に関しては留意が必要。 ・海外は概ねインフレピークアウトかなという感じで金利も下がってきているのに対して、11月の東京都区部のCPIの上振れや、最近の日本銀行関係者の発言等を通じて、イールドカーブ・コントロールに対するアタックが再燃した。日本は価格調整スピードが非常に遅い経済で、来年春に値上げするものを今の時点で表明するような構造になっているので、イールドカーブ・コントロールに対するアタックが強まるという面もあると思う。 ・10月頃をグローバルな金利のピークとして、足元の国債市場は落ち着いてきたのかなと見ているが、日本国債のプライシングはドル円が戻っても弱いままで据え置かれており、日本銀行の金融政策の出口の観測が根強くマーケットに残っていて、金利の低下と上昇についてそれぞれどの程度動くのかという頭の体操をしたときに、市場がショート気味に構えて金利上昇の方をより大きく警戒するというのは首肯できるもので、当面この環境に変わりはないと考えている。 |
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