外務省・新着情報

ペルー情勢(邦人の安全確保)

【NHK 岩澤記者】ペルーの情勢について伺います。ペルーでは、カスティージョ前大統領の拘束に反発するデモが続き、ペルー政府は、14日、非常事態を宣言しました。現地では、日本人観光客が足止めされているという情報もありますが、邦人の被害など、現在政府が把握している状況を伺います。
 また、危険情報を引き上げるかどうかも含め、今後、どのように邦人に注意を呼び掛けていくかも、併せてお願いします。

【林外務大臣】12月7日のペルー国会におけるカスティージョ大統領に対する罷免等に反対をし、国内各地で公的機関等への破壊行為や、暴力行為を含む抗議活動が発生していることを受けまして、ペルー政府は、国内全土に、12月15日から30日間の非常事態宣言を発令したと承知しております。
 現時点までに、現地に滞在中の邦人の生命・身体への被害、これは確認されておりませんが、空港及び道路の閉鎖等により、移動が困難な状況が続いていると承知しておりまして、在ペルー日本国大使館は、移動が困難になっておられる邦人の方々と連絡を取りつつ、ペルー当局に対し、安全の確保等を要請しているところでございます。
 また、現地に滞在中の邦人の方々に対しましては、スポット情報や領事メール等により、随時注意を呼びかけてきておりまして、引き続き、邦人の安全確保に万全を期してまいります。
 危険情報レベルの引き上げにつきましては、状況に応じて、適切に判断してまいりたいと考えております。

新たな国家安全保障戦略等の策定(反撃能力及び中国の反応)

【共同通信 植田記者】安保3文書についてお伺いします。政府は、今日、安保3文書を閣議決定する方針です。反撃能力の保有を明記し、安保政策を大きく転換することとなりますが、まず、受け止めをお伺いします。
 また、中国の軍事動向について、「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と明記して、国家防衛戦略には「脅威」の表現も盛り込みます。中国は、既に反発しておりますが、見解をお伺いします。

【林外務大臣】ミサイルなどの技術が、急速なスピードで変化・進化しているなど、我が国を取り巻く安全保障環境が、急速に厳しさを増している中で、国民の命や暮らしを守り抜くために、いわゆる「反撃能力」の検討を行ってきたところでございます。
 御指摘の中国側の反応については承知しておりますが、新たな国家安全保障戦略等については、未だ決定されておりませんで、その具体的内容について予断することや、そうした反応についてコメントすることは差し控えたいと思います。

新たな国家安全保障戦略等の策定(同志国等との国際的協力/同志国の定義)

【テレビ朝日 澤井記者】関連してお伺いします。この後、閣議決定される3文書の中では、抑止力強化のための同志国軍への協力支援について書かれると思います。この日米同盟の強化に加えて、同志国との連携の拡大というのがポイントになっていると思います。先月、既に総理からも、総合的な防衛力の強化の取組の一つとして、抑止力強化のための同志国などとの国際的協力というのが挙げられていました。これは、ODAとは別に、同志国軍などに対して、抑止を目的に、装備品などの提供やインフラ整備を行う新たな取組だと思いますが、外務省としては、具体的にどのような支援・協力というのを想定されているんでしょうか。また、こうした場合の同盟国というのはどこの国を指すのか。

【林外務大臣】同志国。

【テレビ朝日 澤井記者】同志国、ごめんなさい、同志国というのは、どこの国を指すのか、定義があれば教えていただきたいのと、また、これによりウクライナに対しても、日本として、これまでと違った支援ができるようになるのでしょうか。

【林外務大臣】我が国を取り巻く安全保障環境が深刻化する中で、力による一方的な現状変更を抑止して、特にインド太平洋地域における平和と安定を確保し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、我が国自身の防衛力の抜本的強化に加え、同志国の抑止力を向上させることが不可欠であります。
 こうした目的を達成するため、開発途上国の経済社会開発を目的とするODAとは別に、同志国の安全保障上のニーズに応えて、資機材の供与等を行うための協力の枠組みの導入について、これまで議論を行ってきたところでございます。
 新たな国家安全保障戦略等は、先ほど申し上げましたように、未だ決定されておらず、その具体的内容について、予断することは差し控えたいと思います。
 そして、「同志国」という用語でございますが、一般には、ある外交課題において、目的を共にする国、これを指す言葉として用いられていると承知しております。
 ウクライナを含めて、いずれの国が「同志国」に当たるかについては、それぞれの外交課題について、日本と目的を共にするかという観点から、個別に判断しておるということでございます。

林外務大臣の中国訪問

【時事通信 田中記者】大臣の中国訪問についてお尋ねします。先の首脳会談で、大臣の訪中を調整するということが確認されていますが、一部報道では、年内にも実施する方向で進んでいるという報道もありますが、現在の調整状況について教えてください。また、実際に実現した場合に、本格的な中国との対話の再開ということになると思うんですけれども、具体的に、どのような点を確認したいかについて教えてください。

【林外務大臣】私(林大臣)の訪中については、現時点で、決まっていることは何もございません。
 その上で、先般の日中首脳会談において、首脳レベルを含め、あらゆるレベルで緊密に意思疎通をすることで一致しておりまして、その中で、中国側から招請されている私(林大臣)の訪中についても、今後調整を進めていくことで一致しております。
 引き続き、具体的な時期を調整してまいります。

米国のTPP復帰(カトラー・アジアソサエティ政策研究所副所長による提言)

【読売新聞 阿部記者】TPPについてお尋ねさせてください。米国のオバマ政権でのTPP交渉を担当したウェンディ・カトラー元USTR次席代表代行が、先日、米国のTPP復帰に向けた提言を発表しました。日本は、これまで米国に対して、繰り返しTPPへの復帰を求めてきていると思いますけれども、カトラー氏の提言をどう受け止めたかご所見をお願いします。

【林外務大臣】我が国といたしましては、米国によるインド太平洋地域の国際秩序の関与という戦略的観点から、米国のTPP復帰が望ましいという考え、これを一貫して米国に伝えてきております。
 有識者の作成した提言内容につきまして、逐一コメントすることは差し控えたいと思いますが、こうした論文も契機として「米国が復帰するには、TPPはどういった枠組みであるべきか」といった米国内でTPPに関する議論が改めて喚起をされまして、米国の復帰に向けた機運の醸成に繋がるということがあれば、日本にとっても望ましいと考えております。

ODA予算(戦略的・効率的活用)

【産経新聞 廣池記者】ODAに関連して伺います。財務省は、外務省に対して、ロシア非難の国連決議に反対した19か国に計128億円の無償資金協力を行うことについて、見直しを求めているとの報道がございますけれども、この事実関係と外務省の方針について教えてください。

【林外務大臣】お尋ねの報道については、令和4年11月29日の財政制度等審議会において、ODAの戦略的・効率的活用などを議論するに当たりまして、議論の参考資料の一つとして、提示された資料についてのものだと承知しております。
 また、ご指摘の支援の中には、人道的視点から実施される国際機関経由の支援、また現地NGO等に対する草の根支援も含まれておりまして、各国政府を対象にするものだけではないと承知しております、
 この無償資金協力案件の実施、これは外交的意義や相手国の人道・開発状況を始め、事業ごとに妥当性を判断しておりまして、仮に、ロシア関連の決議等に反した国に対して無償資金協力を実施した場合であっても、それが直ちに不適当であるというふうには、考えておらないところでございます。国際秩序が動揺する時代に入ってきておりまして、そういった国に対しても、ODAを含む様々な手段を用いて、外交的な働きかけをしていくということは、ますます重要になってきていると考えております。

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