外務省・新着情報

令和4年12月24日
正面を向き、写真撮影に応じる、林大臣と中央アジア5か国の外務大臣の様子
外相会合で発言する、林大臣の様子
林大臣と中央アジア5か国の外務大臣による、共同記者発表の様子

 12月24日、飯倉公館において、林芳正外務大臣が議長を務める「中央アジア+日本」対話・第9回外相会合が開催され、同会合に引き続き、共同記者発表、ワーキング・ランチが実施されたところ、概要は次のとおりです。

  1. 外相会合では、まず、議題1として「激変する国際情勢の中での中央アジアと日本との協力」について、また、議題2として「従来からの不安定化リスクへの対処のための協力」について議論が行われました。
  • (1)議題1においては、冒頭、林大臣から、国際社会は、ロシアによるウクライナ侵略を受けて食料やエネルギー供給など様々な面での影響を受けており、ロシアと歴史的・経済的に関係が深い中央アジアにとっては、その影響が特に顕著である旨述べました。また、林大臣から、こうした中で、日本として、中央アジアの持続可能な発展の達成に向け、特に、「人への投資」、「成長の質」などに重点を置いた新たな発展モデルを推進していきたい旨発言しました。中央アジア各国の外相からは、それぞれの持続可能な発展に向けた日本との一層の協力強化に関心が示されるとともに、中央アジア人材が、日本の特定技能制度や技能実習制度等の活用等も含め、日本での経験を活かして母国の経済発展に貢献するという好循環を創出する可能性や、二国間クレジット制度(JCM)を活用した脱炭素分野での協力についての関心が表明されました。また、厳しい国際情勢を踏まえ、ロシアを経由しない輸送路である「カスピ海」ルートについても今後の協力の方向性について意見交換を行い、来年第1四半期に「中央アジア+日本」対話の枠組みで本件についてシンポジウムを開催し、さらに議論を深めることで一致しました。
  • (2)引き続き、議題2において、「従来からの不安定化リスクへの対処のための協力」についての議論が行われました。女性や少数派を含む全てのアフガン人の権利の尊重、包摂的な政治体制の構築が必要との点で一致するとともに、各国からは、先週発表された中央アジア5か国を対象とする暴力的過激主義防止のためのコミュニティ強靭化及び域内協力を促進するための6億円規模の無償資金協力並びに国境管理や国境地域の生活改善分野における日本の累次の支援への謝意が表明されました。
  1. 共同記者発表に引き続き実施されたワーキング・ランチでは、議題3の「地域情勢・国際情勢」について意見交換を行い、林大臣から、ロシアによるウクライナ侵略への対応や東アジア情勢を始めとする国際情勢について我が国の立場を説明しつつ、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた日本と中央アジアとの協力について率直な意見交換を行いました。
  2. その上で、日本及び中央アジア5か国の各国外相は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化するパートナーとしての相互の協力の重要性を確認し、全ての国の独立、主権、領土一体性、国際紛争の平和的解決といった国連憲章やその他の国際法を堅持する重要性で一致しました。また、不拡散体制の重要性に留意し、軍縮分野で協力していく意図を確認するとともに、北朝鮮について、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認し、拉致問題を含む国際社会が懸念する人道的問題の解決の重要性を確認しました。会合終了後には、6か国外相による共同声明を発出しました。
  3. 次回外相会合はカザフスタンで実施される予定です。
(参考1)「中央アジア+日本」対話

  • (1)中央アジアの安定と発展には地域共通課題の解決に向けた地域協力が不可欠との観点から、日本がその地域協力を促していくために平成16年に立ち上げた対話枠組み(同年8月、カザフスタンで第1回外相会合を開催)。
  • (2)本対話の外相会合はこれまでに8回開催。直近会合は、令和4年4月の第8回会合(オンライン)。対面での前回会合は令和元年5月の第7回会合(タジキスタン)。東京での開催は平成24年11月の第4回外相会合以来10年ぶり3回目。

発信元サイトへ