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西村大臣閣議後記者会見録 (令和4年12月9日(金) 09:27~09:53  於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、冒頭、私から1件でございます。福島県外での除去土壌の再生利用実証事業について申し上げます。
 福島県外での除去土壌の再生利用実証事業につきまして、新宿御苑で実施予定の事業に関する住民説明会を12月21日(水)に開催いたします。再生利用の本格化に向けましては、県外での実証事業は重要でございますけれども、実施に当たっては、地元の皆様の御理解が欠かせないものであります。御理解が得られるように、丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えております。冒頭は以上です。
 

2.質疑応答

(記者)幹事社、毎日新聞の岡田です。おはようございます。7日の中環審の部会で、熱中症対策のための特別警戒アラートを新しく設けるといった、気候変動適応法の一部改正に向けた考え方の案というのが示されました。実効性を持たせる制度とするために重要と考えている点を含め、法案提出に向けた考えをお聞かせください。
(大臣)まず、近年における熱中症の死亡者は1,000人規模の高水準で推移している、こういったことなどから熱中症対策というのは喫緊の課題だというふうに認識しております。また、あわせて、熱中症対策推進議員連盟の皆様からも3日の日に決議案の手交をさせていただきましたし、また、御指摘のありましたように12月7日に中央環境審議会の環境保健部会を開催して、御意見を審議したところでございます。この保健部会の中において、熱中症特別警戒アラート、今、御指摘のあったものの発表であるとか、あと、自治体によるクーリングシェルターの確保といった熱中症対策を気候変動適応法に位置づけることについて御審議いただいたところでございます。環境省としても、熱中症対策の強化のためには、こうした取組が効果的だというふうに考えておりまして、次期通常国会への法案提出を目指して、早急に作業を進めているところでございます。
 
(記者)テレビ朝日の川﨑です。よろしくお願いします。冒頭の発言に関して、環境調査研修所のほうでは芝生広場での利用ということだったのですが、新宿御苑ではどういった除去土壌の再利用になるでしょうか。
(大臣)新宿御苑の除去土壌の県外再生利用実証事業、これはですね、除去土壌を用いた花壇を造成する実証事業ということで計画をいたしております。この事業で施工時や維持管理時、こういったときの安全性等の確認をしてまいりたいというふうに考えております。除去土壌の再生利用に関する理解醸成の場としても活用したいと思っております。なお、一般入園者の立ち入りがない場所というのを今のところ想定しております。
(記者)一部で名前が挙がっている国立環境研究所での実証事業については、どのように、どこまで分かっていらっしゃいますか。
(大臣)つくばの国立環境研究所においても実証事業を行うべく、今、関係者の皆様と調整中でございますが、まだ、詳細は決まっていない状況であります。
(記者)そうすると、今、環境省で検討されている場所としては、少なくとも3か所ということになりますか。
(大臣)そうですね。現在、今、3か所で調整しておりますけれども、それ以外の場所でも検討はしております。
(記者)実際に、環境調査研修所の周辺の住民にお話を聞いたところ、住民の方からですが、「環境省は地方環境事務所も各地にある中で、あるいは国の国有地も含めると、人が近くに住んでいない土地もあるのに、なぜ埼玉の住宅地に持ってくるのか分からない、是非大臣に聞いてみたい」という声があったのですけれども、この点に関してはどういうふうに説明されますでしょうか。
(大臣)環境省が自ら管理している施設の中から、一定の施工できるスペースが確保できるかどうか、こういったことなどを考慮しまして、環境省の中から検討して、そして、その上で、地元、関係する自治体と協議、相談をしながら選定をしたという状況でございまして、いずれにしても、地元の皆様の御理解を得られるように、その事業内容でありますとか、安全対策について、丁寧な説明を尽くしてまいりたいと考えています。
(記者)あともう一点すみません。昨日、自民党の環境・温暖化対策調査会の要望に訪れていましたけれども、小泉元大臣が「ガソリン補助金は1日100億円、出口を明示してやめるべきだ」と話していました。また、井上会長も、「足元の状況ではやらざるを得ない状況であると思うが、やり続けると脱炭素に反する」というふうに話をしていましたけれども、大臣としては、どうこれを受けとめて、どうするべきだと考えていらっしゃいますか。
(大臣)昨日、小泉元大臣もおいでいただいて、報道陣の退席の後、様々な意見交換やその件についても話をさせていただきました。井上調査会長もおっしゃっていたように、足元の状況をしっかり見つつ、ただ、小泉元大臣がお話されたように、1日100億円というものが果たしてよいものなのかという御指摘も、確かに意味するところは理解できますので、ただ、足元の暮らし、経済、守りつつも、しっかりとカーボンニュートラルの実現に向けては歩みを進めていかなければならない。そういった中で、小泉元大臣の御指摘に関しても、しっかり見つつ、やっていかなければいけないというふうに思っています。
(記者)ガソリン補助金に関しては、あまり長期間やり続けるべきものではないというふうに考えていらっしゃいますか。
(大臣)環境省として、補助金を決定するかどうかということについては、言葉を尽くすのは差し控えたいと思いますけれども、ともかく環境大臣とすれば、カーボンニュートラルに向けて、着実な歩みを進められるように努力をしてまいりたいと思っています。
 
(記者)朝日新聞の関根です。冒頭の除染土の関係で幾つかまた伺いたいのですけれども、「地元の理解が欠かせない」というお話でしたけれども、この「地元」というのは具体的にどういう関係者を指すのかということについて教えていただけませんか。つまり、首長さんなのか、議会なのか、あるいは地元町内会、町内会というのは、施設そのものがあるところの町内会だけなのか、あるいは市民全体なのか、どういう範囲を考えているのか、またその理解のとり方ですよね。これは具体的にどういうふうな状況が生まれれば理解を得られたというふうに環境省として判断するのか、その基準みたいなものについてどう考えていらっしゃるのか教えてください。
(大臣)地元自治体ということで、当然、自治体というのは、そこの執行部、首長さん、また議会が一体となったものが自治体でありますし、また、当然、その自治体の中の当該施設の近隣の住民の皆様というのを今回、住民説明会含めて、説明を尽くさなければいけないというふうに考えております。この辺、どの辺の範囲で説明会、お声がけするのかということに関しましても、当然、各自治体の執行部の市長さん等々と相談しながら進めているところでございます。
(記者)あとすみません、前回、所沢の件はリリースもありませんでしたし、閣議後会見でも大臣から御発表もなかったのですけれども、今回はあったというのは、これはどういうお考えなのでしょうか。
(大臣)前回、所沢のときは、ホームページ上で告知させていただいたというふうに承知しておりますが、より丁寧に説明をしたほうがよいだろうということで、今回会見で、前回以上に丁寧に説明をさせていただくことにしたということでございます。
(記者)最後伺います。8,000ベクレルの基準ですけれども、環境省の従来からの説明なのですが、100ベクレルというのが、その廃棄物を安全に再利用できる基準であって、8,000ベクレルというのは、その廃棄物を安全に処理するための基準であると。これ、炉規法上の位置付けから説明されていると思うのですけれども、この除染土の再利用の基準を再利用の基準ではなくて、廃棄物処理の基準でもって8,000ベクレルにしているという、そのことの理由について、ちょっともう一度改めて説明していただけますでしょうか。
(大臣)御承知だと思いますけど、炉規法のクリアランスレベルというのは100ベクレル/キログラムでございますが、これは原子力発電所の解体等によって発生するコンクリートや金属といったものを想定しておりまして、放射線防護に係る規制の枠組みから除外して、制約のない自由な流通を認める基準でございます。今回の除去土壌に関しましては、かつてこういったことを取り扱った基準という、国際的な基準というものがございませんので、1日3時間、年間250日、除去土壌を用いる盛土工事等の作業員について8,000ベクレルの除去土壌を扱った場合の追加被ばく量、これが0.9ミリシーベルト/1年ですね、に相当するということで、こういった条件のもとでIAEAの国際的な放射線防護基準である、年間1ミリシーベルトの線量限度を超えないように設定した放射線濃度であるということでございます。
(記者)安全サイドに寄るなら100にしてもいいと思うのですけど、ただ、100にすると、正直なところ、福島の除染土の再利用って進みませんよね。だから、福島の復興を進めるために、その要素も勘案したというふうに捉えていいのでしょうか。
(大臣)当然、福島の復興を進めなければなりませんが、それよりも、このIAEAの放射線防護基準である年間1ミリシーベルト、この線量限度を超えないように設定したということでございます。

(記者)熊本日日新聞の福山です。よろしくお願いいたします。水俣病の特措法に基づく住民健康調査に関して伺います。環境省が開発を進めてきた客観的診断手法について、一部報道で、AIによる脳のMRI画像解析などによる方法を開発したとの話が出ましたが、開発内容について教えてください。
(大臣)水俣病の関係団体から健康調査の実施を求める要望が出ているということは承知しております。環境省においては、健康調査について、水俣病特措法に基づいて、今御指摘のあった客観的評価法の開発を進めてまいりました。12月16日(金)に、その成果の整理の報告会を、国立水俣病総合研究センターで行う予定でございます。この報告会の詳細につきましては、本日の午後に報道発表でお知らせをさせていただきたいと思っております。また、MRI画像のAI解析等々のお話がございましたけれども、そういった報道があったことは承知しておりますが、成果の整理につきましては、その報告会において研究者の皆様方から説明いただくということになっておりますので、その説明をお聞きいただければと思っております。
(記者)関連して、開発中のその手法を用いて、どういった住民健康調査で調査をするのかということは、これまで一度も環境省はお示しになっておりませんでした。今回の、さっき大臣がおっしゃられた報告の場で、その辺りの説明をなさる御予定ですか。
(大臣)成果の整理について、研究者の皆様から御報告をしていただくということでございます。その研究者の皆様がどういった御報告をされるか、今ここで申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
 
(記者)フジテレビの藤村です。冒頭発言の中の除染土なのですが、事業の開始はいつからか、理解が得られた場合ですが、教えていただけますでしょうか。
(大臣)これから住民説明会でございますので、これで様々な説明をさせていただき、また、住民の皆様の御理解を得られた上でということですので、その見通しは、今ここではちょっと申し上げる状況ではございません。
 
(記者)NHKの林と申します。1点目、除染土についてなんですけれども、新宿御苑の実証事業の場所について、「人が立ち入らない場所でやる」というふうに発言されましたけれども、一方で、県外でやることは、国民の理解の醸成に役立つというところで、見えないところでやることと、理解醸成につなげるというのは、その辺はどういった整合性というか、何か取組を発信するということでしょうか。
(大臣)見えないところでやるということではなくて、御苑内の、例えば、新宿御苑というのは芝生等々があって、皆さんが自由に歩き回る場所でございますので、そういった場所ではやらないと。一般的に、そういった散策で人が入らない場所でやりますと。ただ、そこでやっているということは、見学会等々を予定しておりますので、隠すという意味では全くなくて、実証事業中でございますので、その安全性を見るために、お子さんたちが立ち入るようなところではやらないということです。
(記者)見学会などをやることによって、どういう事業をしているかというのも、しっかり発信する場にするということですか。
(大臣)そうです。発信しつつ、そこにおける科学的知見をしっかり得ながら、それを併せて発表させていただきたいと思っています。
(記者)ありがとうございます。水俣病に関して、先ほどの質問で、6日に地元の患者団体から要望があり、具体的に地元の医師との協議会、協議の場をつくったりであったりとか、そういう具体的な要望があったと思うのですけれども、それに関する環境省としての対応というのは、現時点でどのようなものを考えているのでしょうか。
(大臣)この要望は先ほど申し上げたように、健康調査の実施を求める要望をいただいておりますので、それを受け止めた上で、これまで客観的評価法の開発というものをしっかり進めてまいりました。それが、大体その成果の整理ができたということで、研究者の皆様方からお話がございましたので、その報告会を12月16日に国立水俣病総合研究センターで行うということであります。
(記者)その要望についても、何らか現時点で、環境省としての対応というのは示される予定でしょうか。
(大臣)今回はその報告会において、研究者の皆様の整理の報告をするということでございますので、今の段階で私のほうからその中身等々についてはお話は控えさせていただきたいと思います。
 
(記者)共同通信の村越です。水俣病の客観的診断手法の件についてなんですけれども、内容はこの場ではおっしゃらないということだったのですが、2009年から開発を進めてこられたということで、成果の一定の整理ができたということについて、大臣の受け止めをお伺いできればと思います。
(大臣)しっかり皆さんからの御要望を受け止めて、ここまで、まとめることができたというふうに思っております。この水俣病を含めた公害病、そういったものをしっかりとサポートしていくという環境省の使命からして、今回まとまったということは、まずもってよかったなということでございます。しっかり、これからさらに、この客観的法を用いて、今後の対応もしっかりやっていかなければならないというふうに考えています。
 
(記者)熊本日日新聞の福山です。水俣病に関して関連で伺います。歴代大臣の、そして今、西村大臣も重ねて、「成果の整理」というお言葉をお使いになっていますが、すごく漠然としております。結局、開発が完了した、完成したというふうに捉えてよろしいですか。
(大臣)完了したかどうか、その細かい報告まで、まだ現時点においては、私自身は聞いておりません。しかし、これまで、小泉大臣が「2年ぐらいの間にまとめたい」ということでございましたので、私も大臣就任以降、しっかりその期限が守られていけるようにということで今まで努めてまいりました。その形が今回、成果として整理されたということであります。
 
(記者)共同通信の出崎です。熱中症の法案の関係でお伺いしたいのですが、大臣としましては、近年の猛暑についてどういう印象を持っているかということと、あともう1点が、もともとは自民党の議連が議員立法での法案提出を目指していたと思うのですが、それが閣法になった経緯というのを伺えますでしょうか。
(大臣)熱中症に関しては、先ほど申し上げたように年間1,000人規模の水準で死亡者が出ているということで、喫緊の課題というふうに認識しておりますし、また、ヨーロッパにおいて、そしてカナダにおいて、異常に、50度近いような熱波もあったというような中で、この課題を克服しなければいけないという問題意識は当然持っております。あわせて、今回、自民党の熱中症対策推進議員連盟の議論を経まして、この議論の中で、しっかり閣法としてやるべきだというお話がその議連の会議の中であったというふうに承知しております。そこに関係する10を超える省庁全てが出席しておりましたので、その中で政府として制度化を進めるということについて、全ての省庁の合意形成がなされましたので、それを受けまして、環境省として、閣法として提出を目指すということになった次第です。
 
(記者)環境新聞の小峰でございます。来週の金曜日、12月16日にも国家安全保障戦略が、9年ぶりの大改正として閣議決定される予定です。その国家安全保障戦略の中に、環境面から、どのような施策を盛り込みたいと大臣は考えていらっしゃるのでしょうか。例えば、環境安全保障戦略及び安保3文書の中には、島しょ防衛の強化が相当盛り込まれるはずですけれども、この島しょ防衛の強化と、今、注目されている「30by30」の海域の環境保全との関係だとか、「30by30」の陸域を含めた、今年の春に施行された土地調査法の環境面からの実施とか、様々なことがあると思います。要は、来週の金曜日にも閣議決定される予定の国家安全保障戦略にどのような環境安全保障戦略を、大臣は盛り込みたいとお考えなのか、概念だけでもよろしいですからお話をお聞きしたいということです。
(大臣)国家安全保障戦略と環境問題というのは、御指摘のように、関連したところもございますけれども、外交安全保障上のものと「30by30」を直接的に結びつけるということではなくて、しっかり環境、陸と海の30%を2030年までに保全する取組、こういったことを進めていくことによって、地球全体の長い将来を、未来を考えたときの保全といった観点から、しっかりこういった施策は進めてまいりたいというふうに考えております。ちなみに、もし国会の調整がお許しいただければ、COP15、生物多様性枠組条約締約国会議がカナダで開催されておりますので、そちらに出席の上、今申し上げたような「30by30」でありますとか、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを含めた様々な議題について、その場で議論させていただきたいというふうに考えています。
 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=uIb_Txok-Bw&list=PL9Gx55DGS7x6EKIxL2xudMsVk4iNBVPnE

(以上)

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