農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和4年12月27日(火曜日)11時32分~11時55分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)食料安定供給・農林水産業基盤強化本部について
  • 今年の振り返りと来年の抱負について
  • 総理指示について
  • 卵価の高騰について
  • 「食料安全保障強化政策大綱」について

冒頭発言

大臣

  本日、私の方から1点御報告がございます。それは今朝、閣議前に第3回の食料安定供給・農林水産業基盤強化本部が開催されたということであります。この本部長は総理でありますが、関係閣僚が入りまして、大綱を決定していただきました。今回の補正予算におきまして、輸入依存からの脱却に向けた構造転換対策を講じましたが、このような対策を継続的に実施するため、「食料安全保障強化政策大綱」を決定し、関係省庁一体となって、政策展開を力強く進めたいと考えております。ただいまも省本部を開きまして、幹部職員の皆さん方には、このことを、来年度の大きなテーマとして取り組んで欲しいということをお願いしたところであります。その上で官邸本部においては総理から2点指示がありました。一つは、「食料安全保障強化政策大綱」に基づき、農業の構造転換を力強く進め、この農業の構造転換というのは、今までのように、ただ、金さえあれば輸入する、金さえあれば資材を輸入する、こういうことではなくて、可能な限り、日本の中で使えるものは使おうと。こういうような構造転換でありますが、今までのやり方では今後国民に安定供給ができないよということを申し上げてきたところでございます。それから二つ目が、食料・農業・農村基本法につきましてでありますが、総理の方からは、改正案を来年度中に国会に提出することを視野に、来年6月を目途に食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめること。これらの二つの指示がございました。これを受けまして先ほど、既に申し上げましたが、省内で食料安定供給基盤強化本部を開催し、私は省内に、食料安全保障の強化に向けた構造転換対策を行うことと、二つ目が、食料・農業・農村政策の新たな展開方向の取りまとめに向け、いわば基本法でありますが、しっかりと検討することなどの指示を行ったところであり、そしてなおかつ、このことは本省だけの問題ではなくて、特に農政局、農政局長を中心に、ぜひ地方にまでこの広がりを持たせてくれということで指示をしたわけでありまして、私が先頭に立って、省を挙げて全力で取り組んでいくことにいたしました。大綱等の詳細についてはこの後、事務方から説明をいたします。以上が私からの今日の報告でございます。大変大きな転換期を迎えていく、農水省の農政の方向だと、こういうふうに受け止めていただいて結構だと思います。それでは、私の報告はこれで終わりですから、あとは皆さん方の質問にお答えしたいと思います。

質疑応答

  • 今年の振り返りと来年の抱負について

記者

  今、来年に向けて大きな転換というようなお話もありましたが、今日が年内最後の閣議後会見ということで、今年の農林水産業の振り返りと、来年に向けた抱負を教えていただければと思います。よろしくお願いします。

大臣

  本年を振り返っていきますと、いろんな問題がありました。まず、今年、私は8月の就任の訓示の中で、今年をターニングポイントにしようということを申し上げました。そのターニングポイントとは何かと言いますと、先ほど申し上げましたように、日本の農業の構造を転換していかなきゃならない、その転換をするために、この4、5か月の間検討を進めて、来年度の予算、あるいはまた計画にそのことを盛り込んでやろうじゃないですかということを申し上げて、おかげさまで皆さんその方向を向いて、作業に入ってもらったわけでありまして、私としては、その時の訓示は皆さん方に非常に受け止めていただいたなと、こんな思いがしてなりません。したがって、これはまた農水省自体も、そういう方向付けをやらなきゃいけない時期だなということは、多分考えておられたと思うんですが、それが就任しました私の考えとまさに一致していたというふうに思います。したがって、来年は、こういったようなことを進めていくということが必要だというふうに思います。それから二つ目は、非常に物価高騰なり、鳥インフルエンザといった緊急的な課題が発生をいたしました。特に鳥インフルにつきましては、もうこれも何回も皆さん方に記者会見でも申し上げましたが、例年より早く10月に発生をいたしまして、(これまでに)22道県48事例が発生し、昨日も1ヶ所出ておりまして、まだまだ予断を許さないということで全体的にも警鐘を鳴らしているところでございますが、なかなか治まってこないなと。ただ、今からが本番でありますので、これは我々としても緊張感を持って対応していかなきゃならない。暮れだ、あるいはお正月だと、休んでる暇なんかないなと、こんなふうに思っているところです。それが1点。それから、物価高騰対策でありますが、これにつきましても、逐次、皆さん方にも御報告しておりましたが、肥料の価格や飼料価格の高騰対策等々、相当予算をつぎ込んでおります。したがいまして、これが早く沈静化してくれればなとこんなふうに思いますが、一番の問題は、肥料については、前も申し上げましたように、春肥までは上がった分の7割を補填するということですから、肥料については、地域からも、あるいは農家の皆さん方からも、何ら問題はないというか、あんまり問題視するようには、我々の方には言ってこないんですが、特に飼料価格については、来年からどうなるのかと。12月までの分についてはこういう形で固定しますということを申し上げてきたんですが、1月からの分については、いずれにしても国際相場との関連がありますから、様子を見させてくださいと、こういうふうに言っておりました。そうした中、全農が(1~3月期の配合飼料供給価格を)1000円引き下げるというようなことを発表いたしましたし、また、特に為替も少しずつ好転してきている、あるいは海上運賃も好転しつつある、こういったようなことを踏まえて、もう少し様子を見なければいかんのじゃないかなと思っておりますが、いずれにしましても、餌だけの対策ということではなくて、畜産の場合はそれぞれ経営安定対策、セーフティーネットを持っておりますから、通常でも牛豚マルキン、こういうものがありますから、最終的にはこういった形で、何とか救済できるのではないかなあとこんなふうに思っておりますが、まだこれは1月からの餌がどうなっていくのかということも併せて考えていかなきゃならないということであります。それから加えまして、来年度の予算税制などが閣議決定されたということであり、本日もこの大綱が策定されたところですので、令和5年は4年に着手した食料安全保障の強化に向けた構造転換対策に、現場の農林漁業者の皆様や、あるいはまた、それに携わる農水省の役所の皆さん方と一緒に(目に)見える形で取り組んでまいりたいとこんなふうに思っているところでございます。さらに、総理から指示のありました基本法の見直しにつきましては、国民的コンセンサスを形成しながら、見直しの方向をしっかりと整理して、今日的課題に応えて、将来を見据えた施策の展開方向を示していきたいと。既にもう6回、この基本法見直しの部会を開いておりますので、いろいろ学識(経験者)の皆さん方には、今までの農政の在り方、あるいは今後の在り方についての議論をしていただいておりますので、こうした皆さんの意見も踏まえながらやらせていただきたいと、こんなふうに考えております。

  • 総理指示(1)、卵価の高騰について

記者

  2点質問があります。まず1点目は先ほど開かれた食料安定供給農林水産基盤強化本部で、総理からの指示で、来年6月を目途に基本法の見直しに向けた方向性を、展開方向を取りまとめるということがあって、こちらについては、初めて取りまとめの時期を月単位で明示されたと思うんですけれども、6月までには新しい基本法の形がある程度見えてくるということでいいのか。その辺りのイメージをお聞かせいただければと思います。それがまず1点です。
  2点目は卵の価格についてなんですけれども、JA全農たまごの、今日までで12月の月平均価格が出まして、東京地区Mサイズで284円と。ホームページで公表している平成5年以降では、2013年の280円を超えて、高値になっているということで、鳥インフルの急拡大なども含めて、背景には餌の価格の高騰もありますが、それについて改めて受け止めを、何度も聞いてて申し訳ないですが、お願いします。

大臣

  総理から今朝の指示として、6月を目途に基本法の取りまとめをするようにと、こういうお話をいただきました。これは令和5年度中に国会に、法律の改正になるものですから、法案を提出すると、こういうことになりますが、10月以降の検証部会においても、今鋭意、6月の取りまとめに向けて、コンセンサスを形成できるようにということで各界各層の御意見を幅広く伺っているところでございまして、総理からの指示でもありますし、また我々もいつまでもだらだらとするわけにはいきませんので、6月を目途という一つの区切りが出されましたので、この辺を区切りというか、6月を目途に鋭意、内部で調整を図ってまいりたいとこんなふうに思います。
  それから卵の値段ですが、確かに全農の発表では上がっているというふうに思っております。280円を更新して最高値になる見通しだと。平成5年以降では。これは全農たまご(東京Mサイズ)の月平均の価格でありますが、ただこれは卸の価格でありまして、小売価格は平年比では108%の増加に留まっているといえば留まっている。前々から申し上げておりましたように、年末というのは卵の需要が非常に旺盛なときでありますので、この時期になると、卵の値段っていうのは普段でも上がってきておりました。それに鳥インフルエンザが出てきたものですから、(採卵鶏の)羽数が減ってきたということもありまして、ここのところ価格が高騰しつつあると、こう思います。ただ、これは前も申し上げましたが、(年が)明けますと、この需要がある程度冷え込んできますので、そうすると卵の値段は下がるだろうと、こんなふうに思います。それと量的な問題もこれも前も申し上げたとおりですね、卵(を産む鶏)は大体1年半で淘汰(リタイア)していきますが、これもう少し飼い増しをして、もう少し卵を産ませて、そして淘汰(リタイア)していく。そういう形で調整をいたしますので、そういう意味では量的には変わらないだろうと思いますけども、ただ規格はMサイズが一番いいんですけど、なかなか規格が全部が揃わないこともあり得るんですが、小さい卵あるいはでかい卵、これらについては加工用に向けるとか、あるいは御家庭でも、最近は、私の住まいの近くでも鶏を飼ってる人が卵だけを売ってるんですが、見てみると規格を揃えたM規格の系列と、それから大小取り合わせた卵を並べておりまして、それで価格の差を設けて、その大なり小なりが混ざっている卵は安い。こういうようなやり方をしておるようですから、生産者もそれなりに工夫しながら、量的にも価格的にも、消費者の求めやすい価格設定をしているなと思っているところです。皆さん方が言ったように、(価格が)上がってくることは上がってくるけれども、そんなにべらぼうに上がるということにはならないというふうに思っております。

  • 総理指示について(2)

記者

  先ほどちょっとお話ありました6月目途の取りまとめなんですけれども、基本法について6月目途に取りまとめるっていうこのイメージなんですけども、中間取りまとめというような感じなのか、それより、より具体的なものになるのか。その辺りを伺えればと思います。

大臣

  中間取りまとめなのか、本取りまとめなのかということなんですが、要は、国会に間に合わせるようにということで、法案ですから。そうするともう6月中に取りまとめておかないと国会に提出できないということになりますので、できればもう6月中に本取りまとめをしたいと思いますが、ただ、これは今議論をしております審議会等々、あるいはまた内部での検討、そういうのも合わせて、そのとおりになるかどうか分かりませんが、いずれにしても、大方の形としては6月中にはまとめたい。それが本まとめになるのか、中間取りまとめになるのかというのはまだ予測がつきません。

  • 「食料安全保障強化政策大綱」について

記者

  食料安全保障強化政策大綱なんですけども、今朝決まったものについて、冒頭の御発言と重なる面もあるかと思いますけれども、意義について大臣の考えを改めてお聞かせください。

大臣

  冒頭申し上げたようにですね、いずれにしてもこれから先の日本の国民の皆さん方に、安定的に食料を供給していくためにはどうするのかと。従来だと、お金さえあれば、海外から食品にしても輸入すればいい。あるいは生産資材にしても輸入すればいいと、こういった考え方がずっと踏襲されてきました。ですから食料自給率も上がってこなかったし、あるいは価格もそんなに上がってこなかったという経過がありますから、(今後)どういう形で日本で食料を作っていくのか、ということだと思います。例えば、我々が今回の予算の査定なりあるいは予算の折衝の中で申し上げてきたのは、一番食料自給率の低い小麦なり大豆をどうしてもやっぱり強化していかなきゃいかん。その生産をということです。ですから、それらについては、水田の畑地化ということも打ち出しましたし、あるいは収量の増加、こういったことも、種子を含めて検討をずっとしていくというようなことで、要は食料自給率の低いそういう小麦なり大豆をどう増産させていくのかというのが大きなテーマになってくると思います。特に小麦・大豆っていうのは日本の食料のやっぱり中心にあるものですから、だからこれらを何とかして、食料自給率を上げていかなきゃいけないというふうに思います。それからもう一つはそれを作る生産資材ですけれども、これも全てと言っていいぐらい輸入物であります。ですから、今年一番びっくりしたのが、前も申し上げましたように、中国から9割方輸入していたリンがほとんど入ってこなくなった。そしてそれを今、他のところから輸入しておりますが、ただ足らないから輸入じゃなくて、肥料原料については保管する、貯蔵しておくという、持っておくというそこも必要になってくるなということで、今年の予算の中にはそういうことも含めて、3ヶ月ぐらいは何とか保管ができるような、そういう倉庫を作るとか、それのランニングコストを予算化して、何とかそういうのが急に足らなくなったということにならないようにしていこうじゃないかとか、そういったことを一つ一つ言えばもうきりがありませんが、大きく今までの政策と変えていこうということで議論をさせていただき、また予算もお願いしたところでございます。

大臣

  今日が年内最後の記者会見になろうかと思いますが、私も就任して4か月目を迎えておりますが、皆さん方にも大変いろいろお世話になりました。来年、皆さん方にとっても素晴らしい年でありますように、そしてまた、皆さん方はマスコミですから、いろんな場面場面で私どもの政策を国民の皆さんに知らしめたり、あるいは御批判をいただいたことも事実ですが、こうして皆さん方の取材もあって、いろいろなことが国民に伝わるだろうとこんなふうに思っています。来年もどうかよろしくお願い申し上げたいと思います。どうか皆さん方にとって、来年がいい年であることを心から御祈念申し上げて、年内最後の記者会見とさせていただきます。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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