農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年1月6日(金曜日)11時10分~11時35分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • 年頭所感及び今年の抱負について
  • 高病原性鳥インフルエンザへの対応について
  • 卵価の状況について
  • 公正取引委員会の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について
  • 生乳の需給について

質疑応答

大臣

  皆さん、明けましておめでとうございます。今年初めての定例の記者会見でございますが、昨年は4ヶ月あまりだったんですが、皆さん方の適正な報道によって、国民の皆さん方にいろんなことをお知らせいただいたことに心から感謝を申し上げます。今年もどうかよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

  • 年頭所感及び今年の抱負について

記者

  年頭の最初の会見ということで、まずは大臣の年頭所感と今年の御抱負をお伺いできればと思います。

大臣

  年頭に当たっての所感ということでございますが、地元に3日に帰りまして、4日に地元テレビ局のインタビューがあり、所感を問われた時に申し上げたことと同じになるんですが、何といっても、私は昨年の就任の挨拶の時に、「今年はターニングポイントにしよう」ということを幹部の皆様方にお話をしたところでありました。そして今年はいよいよそのターニングポイント、もう曲がったところになったから、今年はいよいよ実行の年にするぞということを申し上げました。何を実行していくのかというと、食料の安全保障について、昨年いろんな議論をやってまいりましたし、また、食料・農業・農村基本法の改正に向けて現在、基本法のいわば点検というか、それをやっておるところでございますが、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部というのができまして、この中で「食料安全保障強化政策大綱」が策定されましたので、政府としての一定の方向を示すことができたと、こんなふうに思っております。総理からは、食料・農業・農村基本法については、改正案を来年度中に国会に提出することを視野に、今年の6月には新たな展開方向をまとめようということで指示があったところです。さらに、過度な生産資材の輸入依存からの脱却を図るために、構造転換対策などを継続的に講じていくということで、これも補正予算の中にも、あるいは閣議決定をした来年度予算の中にもそういったことを織り込んでいただきました。この大綱を踏まえまして、我が省としては、まず、食料・農業・農村基本法(の改正)について、6月に向けて、国民的コンセンサスを形成できるように各界各層からの御意見を幅広く伺い、議論を積み重ねてまいります。今、6回ぐらい基本法検証部会を開いて、やっていただいております。また、日本にあるものを使って日本で生産していくというのを私はかねがね言っておるんですが、そういった構造転換対策について、本年は現場の農林漁業者の皆様と一緒に目に見える形で進めていきたいと思っております。嬉しい情報が、ちょうど(地元に)帰りまして、4日が鹿児島のJAの仕事始め式だったんですが、その時に少し時間をくださいと経済連の理事長が来て聞きましたのが、鹿児島の堆肥を使ったペレットと宮城県の稲わらの交換。ペレットが27トン、そして宮城からの稲わらが170トンということで、バーター取引みたいになるんですが、そういうことをやって、先ほど申し上げました、日本にあるものを使って日本で生産するというのが現場では動き出していると理解をいたしておりまして、大変嬉しいニュースを正月早々聞いたなと思っているところでございます。目に見える形で進めていきたいと申し上げましたが、現場ではそういったような動きが出てきていると。それから熊本の菊池農協も九州管内でありますが、やろうとしているところでございまして、まだ数量とか日程は、まだ私伺っておりませんが、どんどんそういった形での動きが出てくるのではないかと、こんなふうに思っているところでございます。

  • 高病原性鳥インフルエンザへの対応について

記者

  鳥インフルのことで1点。今朝も新潟で発生したと連絡をいただきまして、殺処分の対象となる羽数も900万羽を超えました。件数としても、今55ですか、過去最多件数になったと思います。今どのような警戒体制をやっていらして、過去最多になったことを受けてどのような対策をされていくか、教えてください。

大臣

  私は、今年になって3日に地元に帰ったんですが、それまではずっと東京におりました。副大臣なり政務官も在京の当番を決めて残ってもらいました。それは先ほどお話のあった鳥インフルエンザが毎日みたいに出ておりましたので、初めて出てくるところについては、知事と政務三役が直接なり、あるいはウェブで話をするということをしておりましたので、誰か残っていようということでやりましたので、私どもは当たり前の話ですが、消費・安全局の動物衛生課の職員は正月なしだったんだろうなと思うところであります。今お話がありましたように、今年(度シーズン)の鳥インフルエンザの状況は、昨日また出たので、55事例・23県。約905万羽の殺処分ということになってきまして、過去最大だったのが、令和2年(度シーズン)に52事例・18県。県数も事例も(今シーズンより)少ないんですが、殺処分は約987万羽ということで、これは超えておりませんけれども、この令和2年(度シーズン)の時と大体似たような形でくるのではないかなと思っております。それで、これの対策でありますけれども、昨年、閣僚会議を開いていただきまして、農場における緊急消毒を、まずリスクの高い既発生県から順次、全国的に実施していくと。感染が出たところだけではなくて、他の養鶏場についても、発生した県から順次、全国的に消毒を緊急にやろうということで、今やっていただいてる最中でございまして、消毒機器の整備、あるいはため池というのがほとんどのところに、ため池だけとは限らないんですが、発生した養鶏場のそばを航空写真で見ますと、必ずそこの近くにため池等々があるというの分かりましたので、こういったため池での野鳥の飛来防止対策などもやってくれと。あるいは養鶏場だけじゃなく地域一体となった取組に対して、農水省としても支援をやりますということで、今取り組んでいるところでございます。いずれにしましても、既発生県であります北海道、兵庫県からも、昨日、家きん製品の香港、シンガポールへの輸出が再開されました。北海道や兵庫県は早くに感染が確認されたんですが、全ての処理が終わりまして、いよいよ香港なりシンガポールへの卵の輸出が再開されたということで、一方ではこういう喜ばしいニュースもありますので、是非、皆さん方も取り上げていただきたいなと思います。発生予防と蔓延防止に今後とも全力で取り組んでまいりたいと思っておりますが、要は前々から申し上げているように、今年の鳥インフルエンザの感染というのは異常な状態でありまして、ちなみに申し上げますと、鹿児島県に1万数千羽来る鶴が1000羽死んでおりまして、これも異常な状態でありました。調べてみると全部鳥インフルに感染している鶴だということも判明いたしまして、大体10羽とか20羽は今までも死んでいたんだそうですが、1000羽を超えるような鶴の感染というのは聞いたことも見たこともないということで、地元の人たちも大変びっくりしておりまして、こういった野鳥が全国にウイルスをまき散らしているんだろうなと、こんなふうに思います。

  • 卵価の状況について

記者

  卵ですけど、卵価はどうでしょう。落ち着いたんでしょうか。

大臣

  いつも皆さん方から卵価のことを聞いていただいて、昨年までは、今の状況は長続きしないで年明けには下がっていきますよということを申し上げましたが、そのようになりました。12月末の(卸売価格を)ちなみに申し上げますと、卵の値段は300円/キロでありましたが、年明け1月5日には260円/キロに下がりました。ですから、今までの下がり方からするとまだ下がり方が足りないんですが、300円/キロだったものが260円/キロになったということでありますので、飼料価格の上昇に伴う価格転嫁や鳥インフルエンザの感染拡大によりまして、昨年よりは高い水準にはあります。260円/キロですから。だんだん落ち着いてくると思います。

記者

  量も大丈夫ですね、輸出もするわけですし。流通量も。

大臣

  量的なものはですね、まだ不足感というのはないんですが、ただ、加工向け、マヨネーズなどですが、不足感が生じ始めているということで聞いておりますけど、生食では聞いたことありません。ですから皆さん方、時たまスーパーを覗いていただければ、卵はいっぱい並んでいるはずでございます。

  • 公正取引委員会の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について

記者

  昨年末に公取が公表された独禁法の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査に関して質問させていただきます。こちらで取引価格を協議する場を設けずに価格を据え置いたとしてJA全農と三菱食品などが名指しされまして、改善を要請されたということがありました。こちらの受け止めと、もし農水省として何か対応されることがありましたら教えてください。それに加えてですね、その適正な価格転嫁という長年の課題だと思うんですけれども、政府がこれ以上できることがあるのかっていうこと、何かセーフティネットや補助金制度との兼ね合いも含めて、適正な価格転嫁を進めるのに何がポイントとなるか、今現時点でのお考えをお聞かせください。

大臣

  前もお話があったんですが、その時も申し上げたんですけども、本来ならばやっぱりコストが上がった分は価格に転嫁していただいて、ということが一番望ましい姿だと私も思います。しかし、今度はその痛みはどこに行くかというと消費者の皆さん方ですから、消費者の皆さん方の御理解も得てないと、なかなかこの価格転嫁というのは難しいと思っておりますが、ただ先般、皆さん方のマスコミでも取り上げられました価格転嫁の状況が流れました。それで13事業者が出て、全農もその中に入っていたものですから、私も全農の方にお伺いをしてみました。そうしましたら、全農のAコープ、いわゆる小売業のところのAコープ関連のところで、そういう問題というか、価格転嫁がなかなかなされにくいという話を聞いて、そういうことかと。だから全農という名前が出たんですが、部署はAコープの部署なんだそうです。これはもう皆さんもお分かりのとおり、ああいうお店屋さんというのは、ほとんど店長が大体の権限を持っておりまして、近隣のそういう店の価格を見ながら、そして自分のところの価格を決めていくという、競争社会ですから、一番激しいのが小売業のそういう店舗だと思いますが、そういったことで、なかなか価格転嫁をしたくても、価格転嫁ができない。売れ行きが悪くなるということになっていくわけですから、そうするとそこのAコープの店の経営収支に大きな影響が出るので、店長としては、これは転嫁できない、据え置こうという判断をしたり、あるいは場合によっては、このままいくと全体的な赤字が大きくなっていくんで価格転嫁をしないとなかなかこれは難しいなというようなことは、もう即判断をして、価格を左右していくんですが、そういうことでAコープに対して、例えば全農の会長の方から、あるいは全農のトップから価格転嫁をするなとか、しろとかという指示は一切出ておりませんで、もう店長に任してありますというお返事でした。ですから、私も現場にいましたので、よく分かりますので、それはそうだろうなと。上の方からそういう価格の指示というのは、肥料だとか、あるいは飼料だとかというのはこれは全体的な話ですから、それはもうトップの方から、会議を開いて、そして来月からの餌の価格は、あるいは肥料の価格はこうしようというのが出るんですが、Aコープなんかの場合は毎日の商品ですから、その日その日に(価格が)変わっていくというのは、これはもう否めないことなんで、そうだったのかなと思いました。だから、そういう意味で組織的に価格転嫁は駄目よとか、そういう形で彼らが決めたわけじゃなくて、価格については、もう店長に任してあるので、店長の采配で価格転嫁ができなかったところもあったというところは、これはもうそうだろうと妙に納得したんですけれども、そういう業界もあると。だから出てる13事業体は、農林水産物・食品事業がやっぱり多いんじゃなかったかなと思うんですが。やっぱり食品の関係するものが多くて、飲食なんかも価格転嫁ができてなかったんですね。いろんなところが、すぐには価格転嫁をしようとしてもなかなかできないと。そこで御質問にありましたように、農水省として何やってるんだということだと思いますが、我々は、これは政府全体の重要課題だと。これは全てのところ、各省庁に関わる話ですから、関係省庁として、転嫁円滑化施策パッケージというのを政府としては作りまして、それで取組を進めておりまして、農水省も小売業に対して、文書を私の名前で発送したわけでありますが、読みますと「貴団体及び傘下の関係者においては、労務費、原材料費及びエネルギーコストの上昇部分が取引価格に適正に反映されるよう御協力をいただきたい」と、協力の要請しかできない。こういうふうにしなさいというのはなかなか、先ほど言いましたように今度は消費者が買うわけですから、消費者の皆さん方の御理解も得ていかないと、一方的に価格を全部転嫁して、値上げしろとかというふうにはなかなか難しいと思います。ただ昨日、テレビを見ておりましたら、来月が一番値上がり品目が多く4000品目ぐらいあると言ってましたね。まだ食料品なんかも含めてだから、まだまだ今から。そして、給料も上げるよと昨日、経済3団体の賀詞交歓会のいろんなインタビューがありまして、各有名な企業の社長さんなんかの談話も撮れてましたけれども、給料は相当やっぱり上げないといかんということを各社長おっしゃっておりましたので、そういう意味では、給料も上がるんだろうと。今日、先ほどうちの内部でも職員に、(今後)人事院勧告が出るが、多分(給料が)上がってると思うよと。皆さん方のも今からですけれども、多分上がると思います。そうしないと、やっぱりそこで働く人たちがもう参ってしまう。今まであんまり物価が上がらなかったから、何とか給料が上がらなくても皆さん方堪えてこられた方が多いと思うんですが、これだけ物価が上がっていくと、もう社員なり、ここの職員ももう参ってしまうんで、そこは何とか国全体で給料を上げて、そしてまた物価の方も適正な価格転嫁ができて、そしてお互いにウィン・ウィンの関係になっていかないとですね、一方的なことだけではできないというふうに思いますが、ただ問題は私は中小企業だと思います。昨日、集まっておられました大企業の皆さん方はそれなりの経営努力もされてるし、体力もありますけれど、7割を占める中小企業が本当にできるのかなという懸念は一つありますが、できるだけそういうところも、是非賃上げもしていただいて、そして物価が上がった分は、総理が言っておりますように、インフレ分については、給料で賄えるというぐらいにしていかないと、我が日本の国民の皆さん方に強いるようなことだけではこれはまた問題だなと思います。

  • 生乳の需給について

記者

  生乳の需給についてお伺いします。年末年始の需給緩和が懸念されていましたけれども、実際の需給の動向はどうだったのかということと、今後の需給の見通しについて教えてください。

大臣

  まだ需給緩和についてはですね、明日からまた3連休がありますから、これが終わってみないと、この3連休までは続くだろうなと思っておりますが、大幅な緩和は3連休明けまでだろうと、農水省としては判断をしております。ただ、引き続きやっぱり気を緩めることなく、業界との連携を密にしていきたいと思っておりますが、業界からは、処理不可能乳の発生などの大きな混乱は出てないと聞いております。ただ、一部の地方紙の中に、北海道で廃棄したというのを見ましたんで、それもちょっと確認してみてくれということも言ったんですが、なかなか確認ができない、いわゆる捨てた現場を見てないということですから、そういうのが本当にあったかどうかというまだ確認はしておりませんけれども、いずれにしても、そういうことが頻繁に起こらないようにしとかなきゃいかんということでありますので、生産者の皆さん方が自分たちで拠出して、需給を引き締めようということで自らも取り組んでおられるし、そしてまた国の方としても、3月からですけれども、対策を打っていきたい。需給についてはそう思っておりますので、落ち着いてくるのではないかと、こんな見通しは持っております。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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