内閣府・新着情報

日時

2022年12月13日(火)13:00~14:59

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

(構成員)
【会議室】
後藤座長
【テレビ会議】
黒木座長代理
木村委員
(オブザーバー)
【会議室】
中川丈久 神戸大学大学院法学研究科教授
板谷伸彦 特定非営利活動法人消費者機構日本専務理事
【テレビ会議】
大石委員
丸山絵美子 慶應義塾大学法学部教授
川出敏裕 東京大学大学院法学政治学研究科教授
山本和彦 一橋大学法学部教授
(参考人)
【会議室】
加藤進一郎 先物取引被害全国研究会代表幹事・弁護士
長谷川博啓 先物取引被害全国研究会・弁護士
【テレビ会議】
島田敏雄 弁護士
(事務局)
小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 行政庁による解散命令制度及び大規模消費者被害事件の破産管財実務についてのヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○友行参事官 皆様、定刻になりました。本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第42回「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を開催いたします。

後藤座長、中川委員、板谷委員は、会議室で御出席、その他の皆様は、テレビ会議システムで御出席いただいております。

議事に入る前に、配付資料の確認でございます。お手元の議事次第に配付資料を記載しております。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。なお、資料3につきましては、対処が必要な事案の類型化について、前回出された御意見を事務局にて整理したものでございます。本日は直接取り上げる時間はございませんが、次回以降の会合で議論の素材になるものとして取り上げられればと考えております。

なお、感染症拡大防止の観点から、報道関係者を除く一般傍聴者の皆様にはオンラインにて傍聴していただいております。

議事録については、後日、公開いたします。

ウェブ会議の御留意事項を申し上げます。ハウリング防止のため、御発言いただく際以外は、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせいただければと思います。座長に、御確認いただき、発言者を指名していただきます。指名された方は、マイクのミュートを解除し、冒頭でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願いいたします。資料をもし参照する場合などは、該当ページ番号も併せてお知らせいただければと思います。なお、御発言の際には、可能であれば、映像をオンにしていただけましたら、分かりやすくなりますので、御協力のほどお願いいたします。音声が聞き取りづらい場合などには、チャットで「聞こえにくい」などと記入していただき、お知らせいただきますようお願いいたします。

それでは、後藤座長、以降、よろしくお願いいたします。


≪2.行政庁による解散命令制度及び大規模消費者被害事件の破産管財実務についてのヒアリング≫

○後藤座長 座長を務めております、後藤です。本日も、よろしくお願いいたします。

それでは、本日の議題に入らせていただきます。

本ワーキング・グループの中間取りまとめにおいて、破綻必至商法には、時間がたつに従って破産状態に近づき、事業者の責任財産が散逸してしまうという特徴があることや、悪質な事業者による意図的な財産隠しに対応するためには、財産の保全を早期に行うことが重要であることを指摘したところです。

この点に関連して、本日の前半では、本ワーキング・グループが念頭に置くような消費者被害事案の破産管財人及び破産管財人代理の御経験があり、管財人業務に精通しておられます島田弁護士へのヒアリングを行いたいと思います。後半では、前回に引き続きまして、制度的な手当について具体的に検討をしてまいりたいと思います。

前回のワーキング・グループでは、日本弁護士連合会へのヒアリングを行い、違法収益吐出型の制度、破産型の制度について、意見交換を行いました。本日は、先物取引被害全国研究会よりポンジ・スキームを行う法人に対し行政庁が解散命令を発出することができるよう制度整備を行うことを求める意見をいただいておりますので、これについてヒアリングを行いたいと思います。

それでは、早速、前半の議題に入りたいと思います。

本日は、参考人として、島田敏雄弁護士に御参加いただいております。

本日は、大変お忙しい中、ありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明いただきますよう、お願いいたします。

○島田弁護士 弁護士の島田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

資料1「ご報告」のメモに従って、御報告させていただきます。

まず、破産管財人業務(代理)の経験ということで、今回は3つほどの事案を御紹介させていただきます。それぞれ、A社、B社、C社と呼称させていただきます。A社は私が破産管財人、B社とC社は破産管財人代理としての関与でございます。破産管財人としての見解ではなくあくまでも破産管財人代理としての個人的な見解でございますということと、この2件については現在も継続中であり、本日の報告資料は対外的には公表されない前提で作成していることに御配慮いただければと思います。

まず、A社の件の事案の概要でございますが、A社はゴルフのレッスンプロに対して、ホームページをつくりませんか、そのホームページの運用は当社で行います、併せて受講生のスイングを解析するソフトも御購入くださいという形で提案し、レッスンプロはつくったホームページ上の広告枠をA社に提供する内容の広告契約を締結する。レッスンプロは、信販会社との間でスイング解析ソフトについて信販契約を締結する。これによって、A社はこのソフトの高額な代金を一括で回収し、レッスンプロは信販会社への支払いが生じる。ただ、A社からの広告料収入と信販会社への支払額がほぼ同額になるような仕組みを設定することで、実質キャッシュフロー的には無料でホームページが製作できますよといううたい文句で販売をしておりました。これが、平成20年頃からです。平成29年2月には、A社から広告料の支払いが停止されまして、その後、被害者の会の設立、債権者としての破産申立て、破産開始という流れで破産をしています。負債総額は約50億円で、債権者は1,100名、最終的にこの事案は配当を実施することができずに異時廃止で終了していることと、代表者については破産の申立てをしませんでしたし、債権が立たないということで破産管財人から代表者に対する破産の申立てをすることもできなかった事案です。また、刑事処分については、告訴はされたものの立件はされませんでした。以上が、A社の案件でございます。

続きまして、2ページ目、B社の事案でございます。これは著名な事件ですが、平成4年頃から、健康食品の通信販売等を開始して、多数の通信販売会員を抱えていた会社です。この会社が、平成22年頃から、パートナー制度やオーナー制度などの多数の様々な商品を開発して、高金利・高配当をうたって資金調達を行っていた。調達した資金については、多数の関連会社に貸し付けるような形でばらまいて、発電所事業や農業生産法人事業などの事業に使いましたが、手がけた事業の大半が不採算であったために資金繰りが悪化して、平成29年11月頃からは会員に対する支払いの延滞が発生したものの、その後も資金繰りをつなぐために募集を継続していた。翌年6月にマスコミ報道や消費者生活センターへの相談等で社会問題化し、7月には被害対策弁護団が結成されて、いわゆる振り込め詐欺救済法による預金口座の凍結等がなされ、8月には消費者庁からの注意喚起もあり、事業継続が困難となり、9月に自己破産の申立てをしました。負債総額は約1,000億円で、債権者数が3万人を超えております。配当は一応できてはいますが、まだ中間配当の段階で、1パーセントの配当を実施したところです。今後、最終的な最後配当が予定されてはいますが、それほど多くの配当は期待できない事案でございます。刑事処分については、破産の開始後に強制捜査が実施されまして、代表者、役員、従業員等の複数名が起訴され、順次判決が出ている状況です。

3番目が、C社です。平成28年頃に、子会社であるD社がソーシャルレンディングの方法によって一般の消費者や投資家から高配当をうたって多額の資金を調達していました。このソーシャルレンディングのスキーム自体は、全く別の会社であるE社のプラットフォームを利用してやっていました。C社は、このソーシャルレンディングで調達した資金を、子会社であるD社から借り入れて、再生可能エネルギーの開発事業を展開しておりました。ところが、平成30年6月頃には、このC社の別の子会社から政治家に資金が流れているとの報道がなされたことなどがきっかけで、投資家から調達した資金が、適切に使われていない、不当に利用されているという疑惑が生じ、E社による新規ファンドの募集が停止されることになりました。これによって、C社は、発電事業には非常に多くの資金を必要とするので、開発途中で資金が途絶えると非常に継続が困難となるわけですが、仕掛かり中の開発案件を途中段階の早期に廉価で処分、あるいは、事業の権利を担保に新たな借入れをするような形で事業を継続しましたが、投資家に対する分配、返済が遅延していきました。約2年後の令和2年10月には債権者からの破産の申立てがあり、翌年3月には子会社のD社に対する債権者の破産の申立てがありという状況の中で、C社としては何とか生き残りをかけて民事再生の申立てを令和3年3月に行った。調査委員が選任され、調査委員として様々な状況を検討した結果、DIP型の再生は相当でないという意見を裁判所に提出して、裁判所としては、再生は開始するけれども、管財人をつける管理型再生により進められることになりました。その後、管財人で再生手続の中で一定の換価業務を行った後、手続が廃止され、破産手続に至ったという事案です。負債総額は約200億円、債権者数としては62名程度ですが、子会社のD社には別の管財人が選任されていて、こちらは、比較的大きな規模で多数の債権者数、4,500名を抱えているところです。この件は、一定の配当は実施できる状況でございますが、現時点ではまだ進行中ということで未実施です。また、代表者につきましては、別の管財人がついて、破産手続を進めている。刑事処分についてはされていないという状況でございます。

以上が、私が関与した事案でございます。

4ページ目に入りまして、破産管財業務で財産を把握するために行う作業としてどのようなものをやりますかというところは、一般論でございますので、ここに箇条書で書いた程度でございますが、申立書類、決算書類、固定資産台帳などを確認する、経理データ以外にも、社内のデータ、中に残っているパソコンを一つ一つ開けて中身を見る、サーバーのデータが残っていればそのサーバーを開いて見てみる、従業員が社員同士あるいは外部とやり取りをしているメールのデータが残っていれば、これも確認するということをやります。従業員や役員などからのヒアリングも行います。

次に、多数の消費者債権者がいる管財業務の苦労でございます。

私が経験した3件をそれぞれ箇条書で書きました。

まず、A社の件について苦労したのは、破産開始時点で従業員のほとんどが退職して事務所も明け渡しており、情報を得るための材料が少なかったことに加えて、破産財団が全く潤沢でない事案でございまして、一応会計士の精査を実施したものの資金使途の解明などは非常に難しかった事案です。代表者にお金が流れているのではないかというところも疑われましたから当然代表者を破産手続に取り組むことは検討しましたが、この事案では債権者申立てができる事案ではありませんでした。したがって、この件は管財人としてできることに一定の限界を感じざるを得なかった事例だという感想でございます。金銭の配当ができなかったので、せめてもの情報の配当ということで、被害者の会や被害者の代理人から訴訟提起を前提とする調査嘱託などがされまして、それに対して管財人が手元にある資料は提供するという形での協力を行いました。その後、被害者の会では、旧役員等に対する損害賠償請求訴訟、あるいは、信販会社に対する債務不存在確認訴訟などを行い、一部勝訴したとの報道もされていたように記憶しております。

B社については、とにかくこれは規模が大きくて、膨大な管財業務があり、開始決定通知、債権調査、配当などの一つ一つの手続きの局面で非常に膨大な作業を要し、大変だったという記憶です。また、問合せ対応も当初は相応の人数のコールセンターを設置して対応しましたし、高齢者の債権者も多かったので、丁寧な説明を心掛ける必要がありました。この件は、配当率は低いのですけれども、破産財団の絶対額としてはそれなりの金額がありましたので、十数名の破産管財人代理が選任されて、かなり多くの対応すべき業務を行いましたし、現在も行っているという事案です。ただ、この件は、残念なことに、会員から集めたお金が既に相当湯水のように使われて費消されていた。どちらかというと、隠匿されていたというよりも費消されていたということが実態だと思っておりますが、そのようなことで配当率としては満足のいく数字になっていなかったということでございます。

C社につきましては、開発途上の案件が幾つか残っていたものの換価困難な案件が多かったので苦労したというところと、これも財団にはそれなりにあったので様々な対応はしていますけれども、ファンドの新規募集が止まってから2年以上、言わば野放しになっていたようなところもありまして、事案の全ての解明が難しいところでございます。この件は、子会社のD社の管財人に適宜必要な情報を提供し、そちらの管財人から債権者に対する情報提供がされているという形で、情報の配当はされている事案でございます。

5ページ、Q4以降です。破産者による財産隠しが行われやすい事件の類型や事業所の特徴は何があるかという点につきまして、私が共同でやった他の管財人代理や先輩弁護士からレクチャーを受けてまとめたものですが、まず、ネーミングが適切かどうかは別として、1つ目は確信犯型、当初から悪意を持って悪質商法を行っているケースと、2つ目は当初は通常のビジネスをやっていた(やろうとしていた)けれども最終的に消費者被害を拡大させて終盤は詐欺性を帯びるような資金調達行為をしていたという転化型、3つ目は通常の商売をしているのだけれどもそれが悪質な者に利用されているケースと分類できるのではないかと思います。1つ目と3つ目の場合は当初から財産隠しが意図されておりますから、このようなケースでは当然財産の隠匿はされやすい。他方、2つ目の転化型の場合は、当然事業の終盤には財産隠しがされる可能性があるのですけれども、その時点では既に相当程度資金繰りに窮する状況になっているということもあって、隠匿すべき明確な財産が乏しいケースが多いのではないかという印象を持っています。財産隠しが行われやすい事件かどうかは、事業者の特徴というよりは、恐らく、どのような人物、誰がやっているのかというところが非常に大きいのではないかと思います。

Q5、財産の流出先として何を検討するかというところで、まず、内部では、関連会社・子会社、役員、幹部社員、親族などは当然流出先として検討していきますし、外部では、親密な取引先に対して通常の取引を装って不適切な対価で資金が出ているケースはあり得ますし、海外への流出もあり得るかと思います。海外に行ってしまうと、管財人としては、非常に回収が難しいし、解明も難しいと思っています。

Q6、財産の流出先を探知するプロセスで、客観的な資料からどこまでの情報が得られるか、その客観的資料以外でどういったものを手掛かりにするかという点です。

正直、悪意を持って隠匿されているケースの場合は、客観的な財務諸表などだけでは分からないことが多く、破産管財人としては、不自然、高額な資金の移動がないかを確認し、その一つ一つの資金移動の根拠の有無を確認していくようなプロセスにならざるを得ない。そして、こういった作業については、費用はかかるけれども、会計士への依頼が必要となります。客観的資料以外では、当然、経理担当者や従業員などからのヒアリングは必須ですが、残念ながら、隠匿に加担していた人物から有益な情報が得られる可能性は低く、一般の従業員や管財業務への協力者をいかに得るかが重要で、ここら辺は破産管財人の手腕に頼るところが大きいのではないかと思います。

次に、隠匿された財産の取戻し可能性や実効性のある仕組みですが、一般的には、意図的に隠された財政の探知は極めて困難で、捜査機関が取得する情報は有益ですから、そういった情報が連携できると有効なケースはあると思います。隠匿された財産が流出した先から更に転々と移転してしまった場合は、追跡自体が困難となり、取戻しも不可能に近いのですけれども、まだ流出した先のところでとどまっている場合は回収できる可能性が僅かに残されている。そういった意味からすると、被害回復の観点からは、破綻手続開始前の段階でいかに早期に財産を凍結できるのかという点が非常に重要ではないかと思います。B社の事案では、この預金口座の凍結がされたことが自己破産の申立ての引き金となったということが印象に残っています。

また、手続開始後の段階では、管財人の調査権限を強化して、流出先の預金口座、証券口座、不動産等といった財産の存在を確認できる手段が付与されると、有り難いです。現在、民事執行法に基づく第三者からの情報取得の制度や債務者に対する財産開示の制度がありますが、これらは債務名義が前提ですので、それがない場合であっても何らかの一定の要件を充足する場合に、例えば、破産裁判所が管財人に対してこのような調査権限を付与して、それを基に適切な保全策を講じることができるような制度があると、これが機能する場面も将来的には出てくるのではないかと感じております。

最後に、自転車操業に陥っていたことはどのような場合に判明するかということです。

まず、手続開始後においては、後から振り返る話ですので、破産者が行っていた事業の内容・スキーム、過去の資金繰りの状況、延滞の状況や資金調達の状況などを見ていけば、これは自転車操業に陥っていたということ自体は会計士でなくても容易に判明するのではないかと思います。もっとも、これらを根拠に、刑事告訴をしたり、役員の責任を追及したり、否認権行使の材料として使うためには、正確な資金繰りや数字を把握し、材料をそろえる必要があるので、公認会計士の補助は必要だと思います。

問題は手続開始前の段階で自転車操業に陥っていたことが判明するか否かという点ですが、外部からは財務諸表の確認ができないので、確証を得ることは困難であるものの、一定の兆候が相当程度積み重なっている状況にあれば、相応の確度をもって推定することはできるのではないかと思います。例えば、会員に対する利回りなどをうたっているようなスキームのケースでは、その利回り債務の支払いが遅れること自体がスキームの欠陥を露呈することにつながるわけでございますから、何か合理的な首肯し得る事情がないにもかかわらずその事業者が支払猶予を求めているような事態が少しでも生じていますと、その時点では既に相当自転車操業に陥っている蓋然性は高いのではないかと思います。したがって、国民生活センター等に同種の事案の相談が複数寄せられているようなケースでは、その段階で被害の拡大を防止すべき相当程度の必要性が生じていると言ってよく、その段階で事業の停止や資産の凍結が求められている状況にあるのではないかと考えます。

私からは、以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、これより35分程度、質疑応答の時間とさせていただきます。ただいまの御説明及び御報告を踏まえまして、御質問、御意見等のある方は、御発言をお願いいたします。御発言をされる際には、チャット欄に御投稿ください。

板谷委員、よろしくお願いいたします。

○板谷委員 板谷と申します。ありがとうございました。

お話を伺って、現状の破産手続だけを検討するということだと、消費者の被害回復という観点からはそう多くは期待できないのかなとは思ったのですけれども、お話の最後の部分がとても示唆的だと思っていまして、と言いますのは、破産手続を使うとしても、証拠を速やかに探知して先手を打てる仕組みを作ることが大事であるということです。そういう意味では、これは質問ということではないのですけれども、行政内で消費生活センターや国民生活センターなどとの連携を使って、例えば、自転車操業状態を探知するように活用することが可能なのかどうかとか、確信型の兆候を探知することができるのかどうかとか、やりようによってはそういった活用ができるのかどうかということを一旦確認してみることがすごく大事なのかなと思いました。

感想というレベルの話です。以上です。

○島田弁護士 ありがとうございます。

少しコメントをさせていただきますと、確かにおっしゃるとおりで、今、行政同士の連携がどこまでされているか、私は承知しておりませんけれども、消費者被害に遭った方の窓口に立っている現場の情報が、どれだけ早期に行政庁の上のほうに吸い上げることができるのかというという点は非常に大きいと思っています。現在は、もちろんこういったセンターのほかにもそういった被害回復に取り組んでおられる多数の消費者委員会等の弁護士の先生方の力は非常に大きいとは思っております。あるいは、それと連携するところのマスコミ等の力も非常に大きいのかなと思っています。そういったものがどれだけ集約できて早期に一定の判断ができる状況になるのかというところが大きいようにも思っています。実際に引き金を引けるのは行政庁だとも思いますが、他方で、被害を受けた消費者側の弁護士の先生方がどれだけ早期のアクションをとるかによるところが大きいとすると、そういった弁護士の先生方が使いやすいというか、使える制度ができることが、破産の申立て等に早期に結び付くことにつながるのだろうと思います。債権者破産の申立てはそれほど容易ではないですし、当然裁判所の審査もありますから、被害が出た初期の段階で直ちに破産申立てをすることはできないわけで、弁護士がついて、いろいろと事業所に対して内容証明を送ったり訴訟を提起したりということが積み重なっていく中でようやくそういった段階に至っていくとなると、相当程度時間がかかってしまうので、それをもっと早めるような仕組みができるといい。ただ、全ての事案にそれをやることは困難だとすると、要件はあるとしても、いわゆる確信犯型の事例で、およそ返還が不可能な悪質商法であることが断定し得るようなケースであれば、返済の遅延が生じていない段階だとしても、何かストップできるような仕組みは当然あってもいいのかなと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

他にございませんでしょうか。

山本委員、よろしくお願いいたします。

○山本委員 島田弁護士、ありがとうございました。山本です。

2点、質問です。

1点目が、その類型との関係で、今ここでされている議論の中では、規制の対象として、事業の実態がないにもかかわらず顧客を勧誘しているというようなところを一つのメルクマールとして捉えようという議論がされているかと思いますが、島田弁護士が御担当になられた3つの知見を挙げていただきましたけれども、これは、そもそも事業の実態がなかったと言っていいのか、それとも、実態がないわけではないのだけれども、結果としてはその事業がうまくいかなかったのか、島田弁護士の確信犯型と転化型の区別にも関係するかと思うのですけれども、その辺りの御感触を教えていただきたいことが1点です。

2点目で、破産管財人の権限のお話、隠匿財産を探知する権限の話がありました。確かに、民事執行法上の権限との関係はあると思うのですが、私の理解では、民事執行法上の財産開示は破産者の説明義務に基本的には対応していて、罰則からすれば、現在、本当は説明義務違反のほうが重い罰則になっているのではないかと理解をしています。第三者に対する情報提供は、今回民事執行法でつくった制度ですけれども、第三者に対しては基本的には罰則や制裁は一切ない制度になっていて、第三者には協力を求めるという形になっています。お伺いしたいことは、そのような形のものを、債務ではなくても破産手続でこういう第三者に対する情報開示的なものを仕組むことは、私はあり得なくはないと思うのですけれども、そういう何ら制裁がないようなものでも実効的だとお考えになるか。以前、整理回収機構とかが、健在だったというか、あった時代においては、そういうものと点検をしながら財産の探知をして成功したようなこともあるみたいな話を伺ったこともあるのですけれども、実質的にどのような権限まであればこういう悪質事業者の隠匿財産等を探知することが可能になるのか、その辺りについて御感触があればお伺いしたいと思います。

以上、2点です。よろしくお願いします。

○島田弁護士 ありがとうございます。

まず、1つ目の点でございますけれども、その事業の実態がないように勧誘を行っているというものは典型的な悪質な事例で、こういったものは即座に停止すべき必要性が高いと思います。ただ、私が経験した3件は、その要件に当てはめた場合には、多分いずれも要件は満たさないのではないかと思います。A社の件は実際にホームページをつくっていましたし、広告枠を獲得しようとする仕組み自体はあった。ただ、どこまで真剣に事業をやったかというところはあるのですけれども、平成20年からやっていて、被害が顕在化したのは平成29年ですから、その間に集めたお金がどこにどう使われたかという点はさておくとして、事業の実態自体はあったと言わざるを得ないと思います。B社は、どちらかというと、先ほどの中では確信犯型ではなくて転化型に近いと思っていて、あるいは、利用型に近いのかもしれませんが、こういった会員からお金を集めることができるというところに目をつけた者が内部に入り込んで、どんどんこの商品を募集してお金を集めていたというケースでありますし、事業は自体はやっていて、いろいろなところに集めたお金を流してしまっているのですよね。もちろんその流した先の役員にその関係者の誰かが就任してそこから報酬を取っているといったケースはあったかもしれないのですけれども、一応事業自体はやっていたという整理にならざるを得ないと思います。C社もしかりで、実際に太陽光発電等の開発事業をやっていました。ですので、事業の実態がないのに勧誘をしているという要件だとすると、これが機能する実例は非常に少ないのではないかという印象を持っています。私が知っている事案ですと、昔、内田実弁護士が管財人を務められた、フィリピンかどこかでエビの養殖事業を行っていたワールドオーシャンファームという事案があったと思います。あれは全く実態がなかったと聞いていますが、そういった事例は少ないのではないかという印象です。

2番目の管財人の権限のところで、私がイメージしていたことは、例えば、破産会社からどこかの関係会社あるいはいまだ破産していない子会社に多額の資産が流れていて、それについて管財人としては返還すべき請求権を持っているのだけれども、今、そういったケースは否認権をその相手方に行使して、否認権行使のための保全処分を申し立てるという制度があり得るわけなのですけれども、それを更に推し進めることができるのならば、その関係会社なり子会社がどのような財産を持っているのかということをその関係会社の方々に知られずに情報を取得できないかと。例えば、その関係会社が保有している不動産の情報を法務局などから取り寄せることが仮にできるとするならば、それで先に仮差押えをしてしまうとか、その関連会社が開設している預金口座などが判明すれば、その預金口座を早期に差し押さえるなりして凍結するとか、あるいは、何らかの有価証券を持っているのであれば、それを押さえるという形でやることができれば、罰則の有無ではなくて、金融機関や証券会社あるいは法務省への照会によってそういった情報を取得することができるので、機能するのではないかなというイメージで申し上げたものでございます。お答えになっておりますでしょうか。

以上でございます。

○山本委員 ありがとうございました。よく分かりました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木座長代理、よろしくお願いいたします。

○黒木座長代理 島田弁護士、どうもありがとうございます。

質問をさせてもらいたいのですけれども、まず、A社は、いわゆるモニター商法ではないかと思っているのですが。すなわち、商品の利用とか、そういうことをさせることによって、売買代金の支払いはA社が一括で受け取る、そして、モニター料ですという形で、広告収入で売買代金相当額の支払いを受けられますよという話をしているので、一見、契約上はモニター料という形の対価がありそうですけれども、そのモニター料の実態があまり見えないということで、実質的にはぐるぐる回しになっているものがA社ではなかったのかなと私は思っているのですが、その辺りの実態を教えていただきたいということが第一点です。

第二点です。B社については、島田弁護士もお書きのところですけれども、消費者庁の消費者安全法上の注意喚起をされていて、ここでは結構消費者庁が様々な形で調査をしている、その結果として、消費者安全法による注意喚起をしているわけです。つまり、この喚起の中では「4.消費者庁が確認した事実」が出ていて、B社から提出された資料によれば、B社の直近事業年度における売上高のほとんどがオーナー制度に基づくものだと、B社から提出された資料によれば、遅延損害金が要求された場合は少なくとも数百億円に達すると、この遅延損害金の中には満期から半年の金額のものも存在すると、B社の遅延損害金に対して正当化する理由は見当たらなかったと消費者安全法の注意喚起の中で書いてあって、これを読む限りにおいては、消費者庁がかなりB社から関係情報を得ていたのではないかと思われるのですけれども、その辺りの事実関係について島田弁護士がもし知っていらっしゃることがもしあれば教えていただきたいということが第二点です。

第三点は、C社についても、平成30年6月に、E社に対して金商法51条に基づく業務改善命令が出たということですけれども、私はこの案件をよく知らないので教えていただきたいのですが、同法51条を見ますと、内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要な限度において、当該金融商品取引業者に対する業務の報告、その他、事業の運営又は財産の状況の改善に必要な措置を取るべきこととされるという形になっています。従って、このときも、さらに、金融庁は、対象事業者の財務状況、少なくともE社についてはかなり問題があるということを把握していたのではないかと思われる節があるのです。

その辺のところについて、お答えいただける範囲で結構ですけれども、まず、1つは、A社は、いわゆるモニター商法ではないか、この頃、モニター商法は、次々と破綻しておりますので、モニター商法と島田弁護士のおっしゃっているまともな事業をやりながら駄目になっている事業者との切り分けができないかという問題意識です。2番目と3番目については、行政が早い段階で内部情報を得る権限を持っていた場合は、行政の主導権によって、B社の場合は事実関係上、難しいかもしれませんが、C社とかの関係では被害回復ができたのではないかという疑問があるので、その辺りについて島田弁護士の御知見をお知らせいただければと思います。

以上です。よろしくお願いします。

○島田弁護士 ありがとうございます。

私は、消費者被害の対応にずっと取り組んできた弁護士ではないので、黒木座長代理ほどの知見や基礎的な知識がないもので、今、御質問の内容自体をどこまで理解できているかというところではあるのですが、A社の件に関しては、モニター商法という言葉自体をあまり認識はしておりませんでした。事業をどこまでやったかというところ、本当にきちんと事業をやっていたのかどうかというところを見ると、ホームページは実際につくっていって、広告枠獲得のための努力、事業実態はあったかというと、内部の資料に乏しくて、どこまでやっているか分からない事案でしたので、そこがちょっと弱いところです。ただ、それが当初から仕組まれたものであったのか、いろいろと努力して実際に広告契約を獲得したものもあったけれども軌道に乗らなかったのかというところが、正直、判断が難しい事案だったと思います。この代表者自身は広告枠獲得のための努力は当然やっていましたと言いますが、他方で、被害者側からすると、全然広告なんてやっていないではないか、一度も使われたことがないよという方も多数いらっしゃる事案であったことは事実であります。したがって、この切り分けは非常に難しいと思いますが、その内部の体制で、単にレッスンプロに販売をするスタッフ以外に実際に広告枠を獲得するためのスタッフをどれだけそろえていて、そのための活動としてどういうところに広告獲得のための努力や動きをしていたのかといったところを、後から、管財人がついてから調査したことで、結果としてこれはちゃんとやっていたあるいはやっていなかったということを結果として判断することはできるのかもしれませんけれども、事前の段階、破産前の段階で、外部から見てそこを区別することは非常に難しいのではないかという印象を思っております。

B社の件については、破産に至る前の段階での消費者庁の動きについては、必ずしも私ども管財人としては承知しておらず、お答えする情報に乏しいのですが、この注意喚起がされた以上は、当然、今、黒木座長代理に読み上げていただいたように、行政庁が相応の情報を持っていて、また、注意喚起が大きな引き金になったことは間違いないと思っています。消費者庁による注意喚起という動きなり、こういったものが早期に事業所者を破産に追い込む一つの要因にはなるとは思います。ただ、この件は、ある意味、相当資金繰りが苦しかったこともあって諦めて自己破産の申立てをしたわけですけれども、B社の申立代理人にきちんとした弁護士の先生が就かれた。多分当初の相談は民事再生等の相談であったのではないかと推察はいたしますが、そういった方に相談をされたことで、もうこれはこういう手段しかないということで、申立代理人の先生が言わば引導を渡した要素もあったのではないかという事案でしたので、早期に破産に至ったわけですけれども、仮に別の弁護士が代理人に就いていたのであれば、もう少し引き伸ばされたり申立てが遅れたということもあり得なくはなかった事案であると思っております。

C社は、業務改善命令が出されたE社とは、別の会社ですので、内容を詳しくは承知していないところです。ここには書きませんでしたが、C社の子会社の証券会社に対しては何らかの行政指導があったと記憶していますが、C社は、そういった行政処分があった後も、開発案件を続けていました。これを弁護する見方をするならば、仕掛かり中の開発案件が全部このまま止まったら直ちに破産になるので、少しでも事業を続けて配当を行おうと努力していたという見方もできますし、その逆の見方として、直ちにいきなり止まるわけではないから、何とか今ある案件を売却するなりして換金して、できるところまで続けようと画策したという見方もできるかもしれません。行政処分自体は、残念ながら、この事業者に対しては機能しなかったという事案です。

お答えになっている部分できている部分が少ないかとは思うのですが、今私からお答えできるのはこの程度でございます。申し訳ありません。

○黒木座長代理 ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

他にございませんでしょうか。

木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村と申します。御説明をありがとうございます。

2点、あります。

1つは、A社の件なのですけれども、代表者が破産するということで、必ずしも代表者は破産しなくてもいいということは理解しているのですけれども、この場合、どうして代表者は破産させられなかったのかというところをもう少し詳しく説明していただければと思います。

2点目は、7ページに、支払猶予を求める可能性が少しでも生じた場合はというところがあるのですけれども、例えば、消費者や被害者にとって、どうしたらいいのかなというところで、今後、会社がそういう支払猶予を求めることがあったらという何か注意みたいなものがもっと広まればいいのではないか、被害者になるかもしれない人たちはどのようにしていけばいいのか、ということについて島田弁護士の御知見をもう少し詳しくいただければと思います。

以上、2点、お願いいたします。

○島田弁護士 まず、1点目でございますが、A社は金融機関からの借入れなどがないので、代表者は連帯保証をしていないのです。債務がないのです。この事案は、結局、広告料が入ってこないからそれを支払ってくださいという広告料請求権がレッスンプロにはあります。A社にだまされてこういった信販契約を締結したことで多額の負債を負ったということで、その負債の額を損害と捉えて、損害賠償請求権を会社に対して有しているという構成は立てられたかとは思うのですけれども、それは会社に対する債権です。今申し上げた損害賠償請求権を代表者に対して立てるということであれば、被害者の方が代表者に対して債権を持っているという構成はできるのかもしれないのですが、彼らもその債権に基づく破産申立ては難しいと判断し、申立てをしませんでした。このような事案のときに管財人として何を考えるかというと、誰が代表者に対して債権を持っているのかというところを見て、管財人自身が債権を持っていれば、管財人が債権者破産の申立てをして別の管財人をつけてもらい、それができない場合は、債権者を説得して何とか申立てをしてもらおうと考えるわけです。今回は、代表に対して債権を持っている方が、残念ながら、いない。先ほど申し上げたレッスンプロが有するかもしれない不法行為債権は申立債権としては多分難しいという判断をされたという事案だったと思いますので、破産にならなかったということです。

2点目の支払猶予が出ていると危ないということのアナウンスは、消費者生活センターといったところに、いろいろなチラシが置いてあったり、張り紙が貼ってあったりすると思いますが、そういったところでの注意喚起や消費者生活センターのホームページの中でのアナウンスであるといったものでしょうか。普通の弁護士会の相談センターや法テラスといったところで、被害に遭われた方はインターネットで検索するなりしていろいろ調べるでしょうし、あるいは、なかなかネットに精通していない方であれば、まずは弁護士会なり法テラスに相談に行くことになりますから、そういった中で、そういう相談が来たときにこれは危ないぞということで相談員が探知することが重要かと思います。

○木村委員 なるべく早期にこういうものが分かって、被害者が増えないといいとは私も思います。分かりました。ありがとうございます。

○後藤座長 他にはございませんでしょうか。

中川委員、よろしくお願いします。

○中川委員 中川です。どうぞよろしくお願いいたします。

7ページ、皆さんも御関心のある最後の部分なのですけれども、破産手続開始前の段階で、少し事態がおかしいなと分かった段階で、何らかの措置が採れないかということを考えているわけです。先ほどの消費者庁からの注意喚起までは何とかできるとしても、そこから一歩先進んで、事業停止や凍結ということになると、先ほど島田弁護士もおっしゃられましたように、もう少し頑張って事業をすればもしかしたらうまくいくのではという希望もありつつ、そうかといってそんな希望は絵に描いた餅だろうということでさっさとやめたほうがいい、凍結した方がいいという考えもあり,その間の見極めが難しいので、制度化も難しいのだと思うのです。この見極めについて,こういうところが一つの指標になるということがもしあるようでしたら御教示いただきたいなと思っております。一つの指標として、5ページのQ4にありますようないわゆる確信犯型で、こういう反応をしてくるような者は確信犯でやっているのでこれは潰してもいいのではないかということがあれば、むろんそんな簡単な指標はないとは思いますけれども、何かないのかというところのヒントをいただけないかと思います。

関連いたしまして、B社でしたか。先ほど、私が聞き間違えたかもしれませんが、最初はそれなりにビジネスをやっていたけれども、途中から悪い人が入ってきておかしくなったという、いわばシロアリが入ってきて気がついたら家が壊れたみたいな感じで自転車操業になっていくパターンもあるのであれば、正にその指標は非常に難しくなってくるなと思います。自分で質問しながらなかなか答えがないと思っているのですけれども、指標について何かヒントをいただければと思います。

よろしくお願いいたします。

○島田弁護士 非常に難しい問題だと思っています。事業をストップするというところまでの効果を与える制度としては、先ほどの山本委員からの事業の実態がないのに勧誘しているという明確に認定し得る要件、それぐらい厳しい要件にしなければ、難しいのだろうという意識は確かにありますが、残念ながら、それに当てはまるケースはほとんどないような気がしております。確信犯型の指標も、外部から見ただけでは分からないケースが多いと思うのですね。ただ、どういう募集をしているかということ自体は、その会社が配付しているパンフレットや商品の内容を見れば明らかにこれは怪しいというものは分かるわけですから、その怪しいものについて、実態の有無とか、確信犯型ということについて何らかの要件を提示してその要件を満たすかどうかということを調査できる仕組みをつくって、その調査に対する回答のいかんによって認定できるようなことができるといいのかなと思いますが、正直、難しいなと思っております。まして、終盤、途中からこのスキームに関わってきた人物がいたということは、多少無理な勧誘をしているとはいっても、その段階ではまだ集めたお金で返済・配当ができていたわけですし、集めたお金を事業に使っていたという実態もあるわけですから、外見上、そういう状況にあるものを確信犯型に近い類型だと認定することは極めて困難かとは思います。

○中川委員 ありがとうございました。

これは、聞けば何かは答えてくれるという感じなのでしょうか。どんな連中でもという言い方はあれですけれども、例えば、全然何も答えてこないとか、そういうものは一つの指標になるのかどうかという辺りです。

○島田弁護士 その質問に対する回答が許認可なり免許の効力に影響する、きちんと答えなければ資格停止や免許停止ということになるのであれば、当然答えるのだと思いますが、何らかの制裁がなければ、回答は、のらりくらりとしない、中途半端な回答をするあるいは虚偽の回答をするということも十分に予想されますので、許認可の関わらないビジネスだと極めて難しいのではないかと思います。

○中川委員 そうしますと、乱暴な話ですが、事業を停止してしまうぞという停止命令権をつくってしまえば、調査に対しては真面目に答えるだろう、真面目に答えてこれかというものであれば停止できる、そんな感じで考えてもよろしいのでしょうかね。

○島田弁護士 そうですね。それぐらいの強力な制度でないと、確信犯型の事例では機能しないような気がいたします。

○中川委員 ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

他にございませんでしょうか。

大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 御説明をありがとうございました。

私からは、1点だけです。このワーキングでは、いかに消費者問題の被害回復を図るかということを目的に開催されているのですけれども、御説明の中では、そのためには、いかに早く財産を凍結できるかということが一番重要だ、というお話だったと思います。資料の4ページでしたか。A社の場合に、2ポツ目のところ、破産財団が潤沢でないということが書いてあって、いかに早く凍結してももともと潤沢でなければ被害回復は難しいということでここに下線を引いていらっしゃるのではないかと拝読しました。なぜ、今回、破産財団が潤沢でなかったのかということが分かりましたら、教えていただければと思います。お願いします。

○島田弁護士 A社の場合は、随分前、平成20年頃からずっと商売をやっていて、ゴルフ練習場とか、いろいろなことをやっていて、そっちにお金を使ってしまっていて、資金繰りに窮してきた中で広告料の支払いが停止した。停止した段階では、要は、事業資金そのものが枯渇している状況にあったという意味で、潤沢でなかったということです。広告料の支払いが停止した段階で既に財産は少なかったという状況ですので、この事案では、信販会社がもっときちんと審査をしてこんなローンを組ませなければよかったのにというところでしか整理ができないような気がいたしております。

○大石委員 ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、議論は以上にしたいと思います。

本日は、島田弁護士から、破産管財人及び破産管財人代理の実務経験を踏まえまして、大規模消費者被害事件において、管財人がどのようにして財産を取り戻しているか、自転車操業状態の判断はどのようにされているか等、本ワーキング・グループに非常に有益な御意見をいただきました。

破産管財人としての御経験からも、意図的に隠された財産を発見することは難しいとのことでありますので、理想的には、財産隠しが行われるよりも前の段階で財産を凍結することを考える必要があるわけであります。しかし、ポンジ・スキーム商法が行われていることを行政がどのようにすれば探知できるかという問題がありまして、本日、委員の方々からは、消費生活センターや国民生活センターとの連携が必要なのではないかという御意見が出ております。具体的にはPIO-NET情報の活用ということになると思いますけれども、ポンジ・スキーム商法を国民生活センターあるいは行政が探知するに当たってPIO-NETに登録された情報がどう役立っているのかの検討が必要なのではないかと思います。もしかしたらPIO-NET情報をより役立つように改善する余地があるということかもしれませんし、あるいは、PIO-NET情報というよりその活用のされ方の問題かもしれません。いずれにしましても、その辺の原因等については検討する必要があると思いますけれども、PIO-NET情報をより活用していくために、どんなことが必要なのかが問題になるのではないかと思います。

確信犯型と転化型という資料1の5ページに書いてある分類でありますけれども、これは非常に示唆的でありまして、私たちも議論をして前回のワーキング・グループでの議論でもこの辺について結論がなかなか出ないということだったのですけれども、確信犯型と転化型に分けたときに、島田弁護士に本日紹介していただいた3件は確信犯型ではなくて転化型に位置付けられるというお話ですので、確信犯型に限定して議論をすると、適用範囲が狭い、あまり多くの事件に適用されることはないというお話でしたので、これは非常に示唆的で、今後、考えていかなければならない問題だと思います。

管財人の権限について、管財人にどのような権限が与えられれば隠匿された財産の探知や取り戻しがより可能になるのかということについても問題意識を提示していただきまして、これも非常に重要な観点だと思います。

この個別の3件が実際にどういう事件なのか、島田弁護士が扱われた3件の事件がどういう事件なのかということについて、細かい専門的な質問もございました。これについては、例えば、B社ですと、消費者庁が消費者安全法に基づく注意喚起をしているということなので、その段階でもう少し踏み込んだ対応ができるということもあったのではないかという御意見もありますが、他方で、この注意喚起をしているという段階で自転車操業的な事業であるからそれをストップさせるということまで言うことができるのか、その両者を分ける指標となるものは何なのかということについて議論がされまして、どう考えるのかということが重要な論点となっていると思います。これについては、例えば、停止命令権という制度を構築することも考えるわけでありまして、強力な制度とするのかそうではないのかということによって回答も違ってくることになるのではないかと思いますけれども、いずれにしても、本日は、島田弁護士から具体的に扱われた事件についての知見を御教示いただきまして、非常に参考になりました。

以上で、取りまとめとさせていただきたいと思います。

本日は、大変お忙しい中、島田弁護士におかれましては、御出席いただきまして、誠にありがとうございました。どうぞ御退席ください。

○島田弁護士 ありがとうございました。失礼いたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

委員の皆様は、準備が整うまで今しばらくお待ちください。

(島田弁護士退室)

(加藤弁護士 長谷川弁護士入室)

○後藤座長 それでは、後半の議題に移ってまいります。

本日は、参考人として先物取引被害全国研究会より、加藤進一郎弁護士と、長谷川博啓弁護士に御参加いただいております。

本日は、大変お忙しい中、ありがとうございます。

それでは、20分程度でお話しいただきますよう、お願いいたします。

よろしくお願いいたします。

○加藤弁護士 本日は、ヒアリングの機会を設けていただき、誠にありがとうございます。

私から、先物取引被害全国研究会から出させていただいた意見書の内容と事前に事務局を通じていただいていた質問への回答について、順次説明をさせていただきます。

資料として、2-2で意見書本体をお配りいただいておりますが、2-1の資料に基づいて説明をさせていただきます。

2ページ目の「はじめに」のところですが、当研究会は、昭和57年、先物取引被害ないし投資取引被害の予防と救済を目的として設立された、全都道府県に所在する数百名の弁護士から成る団体です。豊田商事事件では、当研究会の会員が中心となり、会社設立直後から、被害者からの相談を受けて、交渉・訴訟両面での被害救済活動を行ってきました。最近では、当研究会の会員が中心となり、ジャパンライフ事案についての被害者弁護団を結成・運営し、同社に対する債権者破産申立てに力を尽くし、その破産申立予納金等の準備も行いました。当研究会は、これまでの詐欺的投資被害救済活動、とりわけジャパンライフ事案の被害救済活動において解明された点を踏まえ、被害救済に長年取り組んできた実務家としての見地から、本ワーキング・グループによる取りまとめにおいて、悪質商法における被害回復の実効性確保策として、いわゆるポンジ・スキームを行う法人に対し行政庁が解散命令を発出することができるように、制度整備を行うことを盛り込むよう提言するものです。

3ページ目です。対象とするポンジ・スキームについて、どのような商法を念頭に置いているかという点ですが、当研究会は、商品先物取引被害に限らず、詐欺的投資取引被害全般の被害救済に努めてきたところです。それらの詐欺的投資取引のうち、ジャパンライフ事案のように、利益の還元や配当などを装って多数の者から資金を集め、実際には、その資金を運用する事業や運用対象となる物品が存在しないか形骸化又は著しく不足しており、別の者から集めた資金の一部を他の者に分配する構造になっている詐欺的商法を念頭にしています。本ワーキング・グループの中間取りまとめで問題となる商法の共通点として、14ページの小括でマル1からマル3のまとめがなされており、当研究会意見書が念頭に置いている商法と差異はないと思いますが、定義づけとの関係ではマル1とマル3の要件は不要かとも考えています。また、事業の立ち上げ当初から資金を運用する実態がない場合はもちろん、途中からそのようになる事案も当然に含まれるべきと考えております。なお、解散命令以外の制度を不要とする意見ではないことを念のために記載しています。

4ページで、第二、意見の趣旨です。ポンジ・スキームを行う法人に対し行政庁が解散命令を発出することができる制度整備をワーキング・グループの取りまとめに盛り込むことを求めるものです。中間取りまとめまでの議論を拝聴していて、法人の解散命令については会社法の解散命令の活用を考えておられるように感じましたが、それだけでは足りないという視点から意見を述べております。

5ページで、意見の理由の「はじめに」として、ポンジ・スキームの特徴などについて説明を行っております。具体的には、マル1新契約により新たな資金を獲得し続けなければ継続できない破綻必至の詐欺的商法であること、マル2資金の分配が継続している間は被害が顕在化しないこと、マル3被害が顕在化したときには資産は散逸し被害救済ができないこと、マル4顕在化する前に被害が急速に拡大することなどといった特徴を指摘しています。その上で、社会的に許容する理由のない取引であることや可能な限り早い段階でその事業継続を阻止する必要があることなどを述べています。

6ページ、2項ですが、既存の制度では対応が困難であることを述べています。まず、破産申立てですが、被害者側の代理人弁護士として債権者破産申立てを行う場合を念頭に問題点を挙げると、まず、決定的に時期が遅れる点があります。破産手続開始の要件は支払不能又は債務超過ですが、被害者が事業者の財産状態を調査し債務超過の立証をするのは通常は不可能ですので、被害者は事業者に対する預託金の返還請求権等の債権の支払不能を原因として破産申立てを行うことになります。この破産申立てのための事業者に対する債権は、ある程度大きな金額とする必要があります。申立て債権が少ないと、事業者がその債権を弁済してしまうことで破産開始決定が出ないよう争う可能性が強まるためです。そのため、破産申立てを行うためには、被害者弁護団を結成するなどして被害者を集め、事業者が支払うことができない程度の債権を準備する必要があります。しかし、被害者を集め破産申立てに必要な債権を準備することができるのは、ポンジ・スキームの性質上、事業者が破綻状態に陥り配当の支払いを停止した後です。事業者が資金を集め配当が実施されている間は、被害者は自身が被害に遭っていることを認識することが困難であり、たとえ被害に気がついたとしても、破産申立てを行えば自身に対する配当も停止される上、預託金元本全額の回収ができないおそれがあるため、破産申立てを行う動機が生じません。事業者が破綻状態に陥る前であれば、被害に気づいた被害者は事業者との個別交渉により自身の預託金元本の回収を図ろうとするのが通常です。多数の被害が顕在化し被害者弁護団の結成や破産申立てという手段が検討されるのは、事業者が支払能力を失い破綻状態となってからであり、これでは遅過ぎます。破綻に近い末期状態で契約した被害者はほとんど配当を受けられないまま預託金のほぼ全額を失うことになりますが、このような被害が生じる前に事業活動を停止させる必要があります。次に、破産申立ての予納金の準備が困難という点があります。大規模詐欺事件の場合、破産申立時に裁判所が納付を求める予納金の金額も大きなものとなり、ジャパンライフ事案では予納金は1,000万円でした。この予納金は事業者に財産が残っていない場合は返還されない金銭であり、被害者側は返還されるかどうか分からないという前提で莫大な予納金を準備しなければならないことになります。しかし、既に多額の被害に遭っている被害者が返還されるかどうか分からない予納金を拠出することは金銭的にも心理的にも著しく困難であり、被害者側が予納金を準備することは著しく困難です。

7ページにいって、会社法の解散命令です。まず、要件が厳しく、適用困難な場合が多いと考えられます。ポンジ・スキーム事案において想定されるものは会社法824条1項3号に基づく申立てであり、その要件は、マル1業務執行権限のある者の行為であること、マル2法令・定款に定める会社の権限を逸脱しもしくは濫用する行為、又は刑罰法令に触れる行為であること、マル3法務大臣から書面による警告を受けたが、なお継続的又は反復して当該行為をしたこと、マル4公益を確保するため会社の存立を許すことができないと認められることの4つです。これらの要件は、抽象的かつ厳格であり、そもそも適用が困難である場合が多いと考えられます。そして、申立てに時間を要します。仮に適用が可能な場合であっても、申立ての手続を想定すると、消費者庁が調査を行い、その記録が法務省に提供され、法務省において解散命令の要件の検討がなされ、要件があると判断されると法務大臣が事業者に対し書面で警告を行う。その警告に業者が従わず、当該行為を継続的又は反復して行った場合に、ようやく裁判所に対する申立てを行うことになります。解散命令の申立てには相当な時間がかかると考えられます。

8ページ目ですが、さらに、申立てがなされても裁判所の審理に時間がかかります。解散命令の要件の審議は非訟事件手続法に基づいて行われますが、審理に要する時間は通常の訴訟手続による審議と大差がなく、類似する制度である宗教法人法の解散命令事案では、解散命令が確定するまで約3年もの時間を要しています。会社法に基づく解散命令事案でも、同等の時間が必要となると考えられます。このように、会社法に基づく解散命令は、要件が厳格で適用できる事案が限定的であると考えられる上、解散命令が確定するまで数年単位の多大な時間を要します。解散命令が確定するまでは、事業者の事業継続を阻止することも、事業者の財産を保全することもできず、解散命令が確定する頃には、事業者は破綻し、財産が完全に散逸してしまいます。したがって、会社法に基づく解散命令は有効かつ現実的な手段とはなりません。

9ページ目ですが、刑事手続です。ポンジ・スキームは刑法の詐欺罪や出資法違反に当たる場合が多いと考えられます。刑事手続により立件されると、事実上、事業者の活動を抑止・停止させることにはなりますが、捜査機関が捜査に動き出すのは被害が顕在化した後であり、また、捜査に相当な時間がかかりますので、事業者が立件されるまでに膨大な被害を生じさせた上で破綻していると思われます。

10ページ目、業務停止処分です。ポンジ・スキームを行う事業者に遵法意識は期待できず、ジャパンライフのように業務停止処分に従わないことも十分あり得るので、業務停止処分でもポンジ・スキームを行う事業者の事業継続を阻止する手段としては不十分で、他の実効性のある法制度が必要だと考えております。

11ページ、意見の理由の3で、制度整備を求める解散命令制度について説明しております。行政庁の解散命令制度の骨子としては、マル1行政庁が自らの判断によって解散を命じる、マル2ポンジ・スキーム及び類似商法により事業活動を行った法人を対象とする、マル3対象となる法人格の種類は問わない、マル4解散命令により清算手続に移行させる、マル5清算手続移行後の権利能力は清算の範囲に限定する、マル6清算人を裁判所又は行政庁が選任する、マル7債務超過の場合は清算人が破産申立てを行う、マル8そのほか、清算手続に関しては、会社法の規定、具体的には475条以下を準用するというものです。

12ページですが、これらの制度の必要性として、意見書で次のように述べております。まず、解散命令の主体については、裁判所ではなく行政庁とするべきです。ポンジ・スキームは顕在化する前に被害が急速に拡大するという特徴がありますから、その防止のためにはできる限り早期に解散命令を発出する必要があります。しかし、仮に裁判所が主体として解散命令を発出するとなれば、流れとしては、行政庁が事実関係を調査・把握した後に、行政庁が裁判所に対して主張・立証し、裁判所が審議を行うこととなって、時間がかかります。そこで、行政庁が解散命令を発出することにより早期に対応が可能です。

13ページですが、解散命令の対象については、ポンジ・スキーム及び類似商法を行う法人の事業者を対象とするべきです。ポンジ・スキームの有害性が極めて高いことは明らかで、このような詐欺商法を行う事業者に法人としての事業を継続させる理由は存在しません。また、このような事業者は詐欺商法の一部を変更して解散命令を免れようとしますから、これに類似する行為も対象に含めるべきです。また、ポンジ・スキームを行う事業者については、その法人格の種類によってポンジ・スキームの有害性が変わることはありませんし、対象となる法人格の種類を限定すると事業者がそれ以外の法人格を悪用する可能性が高いので、法人格の種類を問わない制度とするべきです。なお、解散命令の要件として行政処分違反を加重するとの意見もあり得るところですが、過去の事例においても行政処分を受けた事業者が処分対象の詐欺商法から見かけ上の契約類型を変更するなどして詐欺商法を継続していますから、このような要件を加重すると、行政庁による行政処分と事業者による偽装とが繰り返されて早期の対応が困難になりますので、行政処分違反を要件として加重するべきではないと考えております。

14ページですが、解散命令の効力としては、対象事業者を清算手続により消滅させるものとするべきです。ポンジ・スキームは将来において確実に破綻する詐欺商法ですから、その時点での事業者の資産がどのような状況であっても事業を継続させるべきではなく、清算手続により消滅させるべきです。また、解散命令後の被害拡大を防止するためには対象となった事業者の権利能力を清算に必要な範囲に限定するべきであり、清算人についても裁判所又は行政庁が関与者以外の者を選任するべきです。さらに、債務超過の場合には、清算人が破産申立てを行うことによって破産手続に移行させれば、被害者間の扱いを債権者として平等にすることができます。

15ページで、この制度整備を既存の法律の改正で行うのか新しい法律で行うのかという事前の御質問をいただきましたが、法改正の方法としては、既存の法律を改正する方法も新法を制定する方法もあり得ると考えております。ここから先は、意見書には記載できておらず、研究会内部での議論を尽くしたものではないため、説明担当者の見解ということになりますが、法改正による場合は、ポンジ・スキームという手法に対する規制ですから、まず、その典型例である預託法を改正して解散命令制度の条文を付け加える対応が考えられます。しかし、ポンジ・スキームは預託法の定める預託等取引に限られるものではありませんから、現行の預託法の適用範囲を前提とするのであれば、他の法律改正を併せて行う必要もあると思います。具体的には、過去のポンジ・スキームにおいては訪問販売や電話勧誘販売などが用いられる事例が多いことから、特商法の改正を行うことが考えられます。ただし、これらの対応のみでは、例えば、契約内容について預託期間の短い契約を締結、契約形態について店舗における販売を行うなどの方法により脱法を行う事業者も現れるおそれがありますし、業法が存在しない契約形式を用いる可能性もあります。このような隙間事案に対しては、消費者安全法を改正して消費者庁に解散命令発出権を認めるか、新法を制定するという対応も検討されるべきです。その場合、ポンジ・スキームに対する定義規定や禁止規定、解散命令制度、罰則など、一つの法律で制定する方法もあり得ると考えます。

16ページ目で、行政庁による破産手続開始申立制度と比較して解散命令権限の利点は何であるかという事前質問もいただきました。利点は、解散命令の要件の定め方にもよりますが、破産手続開始の申立てと比べ、より早い時点で解散命令を出して事業者の活動を停止できることになると考えます。破産手続開始の申立てをするためには、事業者の支払不能又は債務超過を立証する必要があります。しかし、支払不能が表面化するのは事業者が破綻状態に陥って配当の支払いを停止してからであり、時期が遅過ぎます。他方、債務超過については、ポンジ・スキームを行う事業者は決算を粉飾していることが通常と考えられ、たとえ行政庁であっても外部から正しい財産状態を解明するには時間がかかります。ジャパンライフの場合、2度目の行政処分の際に監査法人又は公認会計士の監査を受けて報告するよう求められましたが、その後の公認会計士の報告書では、意見表明の基礎となる十分かつ適正な監査証拠を入手できなかったとして意見不表明となっています。その後、債務超過となることが報告されていますが、報告書の提出までに約5か月間の時間を要しています。そもそも行政庁が事業者の財産状態の調査報告を命じるのは、事業者の事業活動や財産状態に看過できない問題を発見した後になります。ジャパンライフの場合、さきに述べた2度目の行政処分の際に、預託を受けた商品の大部分を実際には所持していないことが指摘され、監査を受けるよう命じられています。他方、ポンジ・スキームを行う事業者に対し解散命令を出すことができる制度であれば、集めた資金を運用する事業や運用対象となる物品が存在しないか形骸化又は著しく不足しており、別の者から集めた資金の一部を他の者に分配する構造になっているということが認定できれば、解散命令を出すことができます。集めた資金の相当額について運用実態がなく配当を行えるだけの収益を上げていないことが判明すればよく、事業者の財産の全容の解明までは不要です。ジャパンライフ事案でいえば、2度目の行政処分の時点で既に預託を受けた商品の大部分が運用されていないことが判明しており、遅くともこの段階では解散命令を出すことができたと考えられます。

17ページですが、事前質問で他の法令を踏まえた法体系全体との関係をどのように考えるか、とりわけ、他の法令では設立時点で行政庁が何らかの関与や許認可などがある場合に限って行政庁の解散命令権限を認めているものがほとんどと思われるが、この点はどのように考えるかという御指摘をいただきました。この点については、意見書の12ページの許容性のところで述べています。まず、行政庁による解散命令制度そのものについては、現行法でも、農業協同組合法、中小企業等協同組合法、私立学校法、労働者協同組合法などにおいて、行政庁又は所轄庁が裁判所による審議を経ずに解散命令を発出すると定めていますから、現行法においても許容されていると言えます。

18ページ、裁判を受ける権利との関係ですが、解散命令を受けた者は、解散命令を行政処分として取消訴訟などの行政訴訟によってその効力を争い、裁判所による判断を受けることができますから、裁判を受ける権利を害することもありません。さらに、事業者の財産権との関係においても、ポンジ・スキーム及びその類似商法は、将来において確実に破綻する上に当該商法が継続されれば被害が急速に拡大することになりますから、国民の財産を守るためには法律の定めによってこのような事業者を解散させることも許容されると言えます。

19ページで、他の法令との関係においても、ポンジ・スキームを用いる事業者に限り行政庁に解散命令権を認めるものですから、他の法令に基づく解散命令や破産手続などといった諸制度と矛盾するものではありません。さらに、解散命令制度は反社会的な活動を行う事業者の存続を許さないとする公的目的の制度であり、私人間の法律関係に干渉するものではなく、解散命令後の清算手続は清算人が、破産手続に移行した場合は管財人が、それぞれ法律の規定に従って行いますから、行政庁が私人間の法律関係に干渉することにもなりません。

20ページで、特に事前の御質問との関係ですが、許可主義、認可主義、認証主義を取る法人については、その設立根拠となる法律において行政庁や所轄官庁による公権力の行使が予定されているため、行政庁による介入が広く許容されているため、現行法上、設立時点で、行政庁が何らかの関与がある場合に限って、行政庁の解散命令権限を認めているものがほとんどであるという御指摘かと考えます。これに対して、準則主義を取る法人については、少なくとも設立時においては行政庁による介入が許容される範囲がより狭いと考えられますから、法人の種類を問わない解散命令制度が許容されるためには、準則主義を取る法人に対する行政庁による解散命令が許容されることが必要になります。この点について、労働者協同組合法は、労働者協同組合について、準則主義を取りつつ、行政庁による解散命令制度を設けていますから、現行法においても準則主義を取る法人に対する行政庁による解散命令が許容される、すなわち、法人の種類を問わない解散命令制度も許容されるものと考えております。また、実態として、準則主義を悪用して法人を容易に設立し詐欺商法を行っているという点からすれば、準則主義を取る法人にこそ行政による解散命令を認める必要性は強いと言えますし、容易に法人を設立できるという利便性を国民が詐欺商法等による経済的な被害を受けるリスクと引換えに享受している以上、国民への経済的な被害を防止するために一定の制約を行うことは許容されるものと考えます。

21ページですが、ポンジ・スキームを行う会社に対して仮に消費者庁が解散命令権限を持つとすると、消費者庁との関係では会社は許認可制ではなく準則主義ですらないことになると思われるが、なお許容性はあるのかという御指摘もいただきました。この点については、意見書では記載ができておらず、研究会で十分な議論もできていないため、説明担当者の見解ということになりますが、準則主義はあくまでも法人設立の時点の問題であり、法律に定める一定の要件を満たしたときに当然に法人が成立するというものにすぎませんから、一般的には法人の消滅に関する規定とは関係がないと考えております。これに対して、例えば、許認可の事後的な取消しによって法人が消滅する場合には、その取消し行為は、設立における許認可の存在を前提としますから、準則主義とは両立しないことになるものと考えられます。しかし、ポンジ・スキームを行った事業者に対する解散命令制度は、従前の許認可を取り消すものではなく、法人設立後の事業者の行為そのものを理由として法人を解散させる制度ですから、法人の成立を問題とするものではなく、準則主義に反するものではないと考えます。この点に関し、さきに述べた労働者協同組合法においては、準則主義を取る法人に対して行政庁による解散命令制度が取られていますが、これも解散命令によって準則主義が否定されるものではないことを示す事例と言えます。また、同法においては、設立の所轄庁と解散命令の所轄庁が同一であるところ、本意見書の解散命令制度においては両者が異なる事態が発生する可能性はありますが、たとえ所轄庁が異なっていたとしても、行政庁であることに変わりはなく、そのことによって準則主義が否定されるものではないと考えております。

説明は、以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、これから25分程度、質疑応答の時間とさせていただきます。ただいまの御説明及び御報告を踏まえまして、御質問、御意見等のある方は、御発言をお願いいたします。御発言をされる際には、チャット欄に御投稿ください。よろしくお願いいたします。

丸山委員、よろしくお願いいたします。

○丸山委員 丸山でございます。説明をありがとうございました。

今回、様々な詳細な検討をしていただいて非常に有り難かったのですが、質問させていただきたい点がございます。16ページのところにポンジ・スキームの認定という箇所がございまして、集めた資金の相当額について運用実態がなく配当を行えるだけの収益を上げていないことの判明で足りるといった説明がされております。そこでお伺いしたいことは、運用実態がなく収益を上げていないという、その証拠固めというか、それをどうやって把握したらよいのか。そもそも、資料を確認したり、資金の流れを確認したり、あるいは、その従業員に事情聴取をするという活動をする際の要件といいますか、こういった状況があったら証拠固めに動けるといった要件について、何かお考えがあったら教えていただければと思います。運用実態がないということについて証拠を集めるにはどうしたらいいのかという質問になります。お願いできますでしょうか。

○加藤弁護士 御質問をありがとうございます。

どのタイミングでどのような要件を満たせば調査に入ることができるかという御質問で、意見書作成の段階で、申し訳ないのですが、その点の細かなところまでの検討はできておりませんでした。ただ、なるべく早く、とにかく制度としては、被害が拡大する前に、この種の商法にとどめを刺すといいますか、停止をさせるという視点からすれば、ある程度早い段階での調査などへの着手が必要となってくると考えておりますので、その点についての要件をあまりに加重なものにしてしまうと機能しないスキームになってしまうだろうという認識は持ち合わせております。

そのようなもので回答になっておりますかどうか分かりませんが、以上です。

○後藤座長 丸山委員、よろしいでしょうか。

○丸山委員 ありがとうございます。考えてみたいと思います。

○後藤座長 それでは、山本委員、よろしくお願いいたします。

○山本委員 ありがとうございます。大変詳細な説明をいただいて、十分に理解できたところです。

1点、質問は、この許容性のところなのですけれども、確かに、ここに書かれてあるように、いろいろな協同組合、あるいは私立学校もそうかもしれませんが、こういうものについては、行政庁が解散命令を発出することができる、ただ、これは会社ではないので、会社法とは基本的には別の適用対象について規律をしているということだと思うのですけれども、今回御提案の解散命令は恐らく株式会社を対象にしていると思われるので、その場合には会社法上の解散命令と適用対象がかぶることになると思います。恐らく問題とされていることはその場合の制度上のバランスではないかと思うのですけれども、例えば、その会社が最初から不法な目的で設立されている場合には、会社法824条1項1号に基づいて裁判所の解散命令の対象になるということだと思うのですけれども、他方で、ポンジ・スキームをやっている会社であるという場合には、行政庁、消費者庁が自分で解散命令を発出できるという法制になるということだと思うのです。それはバランスが取れているのだろうかという辺りが恐らくここの問題なのかなと私自身は認識していたところですけれども、その辺りについて何かお考えがあればお伺いできればと思います。

○加藤弁護士 ありがとうございます。

確かに、ポンジ・スキームを株式会社形態で行った場合は、委員の御指摘のとおり、新しい制度ができた場合ですが、両制度の適用があるということになろうかと思います。ただ、ポンジ・スキームの特徴からして、会社法の解散命令では、先ほど申し上げたとおり、申立審議に非常に時間を要すると考えていますから、とにかく早期の対応が必要な案件に対応し切れないという問題があるだろうという理解から今回の新しい制度の提言をしておりますので、そのような会社法の対応では間に合わない事案について我々が提案している制度が生きてくると考えております。

○山本委員 ありがとうございました。

その必要性については十分に理解できているところですけれども、法律を作るときには、そういう全体の法制みたいなものが問題になり得るので、その辺りの理論武装が必要かなと思っているということで、これは感想です。

以上です。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

それでは、黒木座長代理、よろしくお願いいたします。

○黒木座長代理 ありがとうございます。

非常に詳細な資料をいただきました。丸山委員と山本委員の質問にもかなり関わってしまっていますが、結局のところ、ポンジ・スキームをどのような形で認定していくのかということについての質問です。15ページ、法形式のところにもありますけれども、ここで既存の法律の改正か新法かというところは両方あり得るということで、既存の法律の改正と新法制定と書かれています。ここもいろいろと考えなくてはならないと思っています。例えば、問題となっているジャパンライフとかは、特商法の中でかなり詳細な関係情報まで消費者庁が調査したうえで、業務停止命令を出し、その業務停止命令を事業者が全く無視していたということが繰り返されている場合、どうしたらよいかということです。例えば、特商法を改正しで業務停止命令に加えて解散命令という形としていくのかなと、何かの業法に基づく行政処分すらないのに、行政庁がいきなりポンジ・スキームだから解散命令だと言うことができるような事業体をどのようなものだとお考えなのでしょうか。先ほどの丸山委員のポンジ・スキームの認定のところと、山本委員からもいただいたところですけれども、15ページの法制度の整合性も含めて、もうちょっと15ページの辺りのイメージをお知らせいただければ有り難いと思います。

○加藤弁護士 御質問をありがとうございます。

ポンジ・スキームの定義論とも関係する御質問かと理解しましたけれども、中間取りまとめの前に中間取りまとめに向けてお出しした意見ということもあって、確かに、そのことについて十分に詰め切れていないことは事実ではあります。また、具体的な契約類型を明示すると基本的にはそこを外した脱法的な商法が行われるということを我々はよく経験してきますので、具体化し過ぎることの支障に随分気を使ったところはあるやもしれません。現時点では、意見書に記載のあるとおり、ある程度抽象的な記載にしているのですが、なかなか難しい点ではあるのですけれども、今後、委員方の議論におかれてどのようにそこをお取りまとめされるか、私も注目しているところなのですが、1つ、その手前の話としては、例えば、特商法で、ポンジ・スキームだという類型ではないけれども、訪問販売をこの詐欺商法で使うという形で、実際にはポンジ・スキームが特商法類型での詐欺を行っていたということで特商法の中に解散命令の規定を入れていって、とにかく運用を動かしていくというところに期待しているところはあります。

○長谷川弁護士 長谷川からも、少し申し上げたいところがございます。

行政庁による処分を待たずいきなり解散命令かというところについては、確かにいろいろなお考えがあることは承知しているのですけれども、ジャパンライフその他のポンジ・スキームが使われている商法に私どもが接しまして、多くのケースでは、行政処分がなされて、その中で、これは運用実態がないとか、ジャパンライフで言えば、預かっているはずの磁気商品がないという指摘がされて、ああ、そうだったのかと分かるのです。同時に、そこまで分かっているのだったら、いきなりその商法の息の根を止めてしまったほうがそれ以降に被害者が生じないとなるのではないかというもどかしさもありまして、結局は、行政庁が業務停止処分を出すわけですけれども、その段階では、行政庁の報告書を読みますと、多くの類型において運用実態がないことはもう書かれているわけでして、そこまで分かっているけれども行政庁ができるのは業務停止処分までということが今の実態であろうかと思います。しかし、その後も、ジャパンライフもそうですし、他の私どもが知っている業者もそうだったのですけれども、業者はその状態であっても更に最後の悪あがきとして営業を続けることが多いと思われます。被害者も必ずしも行政庁の処分をタイムリーに把握しているわけではございませんので、かなり時間がたってから、そうだったのかということで、1年ぐらいたってから相談に来られる方もおられるという実態がございます。業務停止処分がなされたからといって、そこで被害が止まるわけでは決してないというところで、私どもとしては、一刻も早く会社の事業活動を停止すべきだ、そういう意味で、解散命令を行政庁に与えるべきだと考えているところでございます。

○黒木座長代理 ありがとうございます。

必要性については全く異論はないのですけれども、どういう法律でどういう考え方でスキームをつくっていったらいいのかという点についていろいろと考えているところでして、加藤弁護士方の御意見は非常に参考になるものですから、いろいろと聞かせていただきました。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

それでは、他に、御意見、御質問はございませんでしょうか。

中川委員、よろしくお願いします。

○中川委員 10ページについての質問です。業務停止処分では不十分なので解散命令をということなのですが、仮に、現行法ではないのですけれども、この業務停止処分と同時に資産凍結をする、それも強制執行をする、要するに、預金を押さえてしまうという制度ができると、お金が止まるので実質的に止まると思うのですけれども、この解散命令と同じような効果になると考えてよろしいでしょうか。

○加藤弁護士 御質問をありがとうございます。

意見書でカバーしているところではないのですが、委員の御指摘のとおりで、資産凍結して営業を止めてしまえばほぼ類似の効果が得られるのではないかと思うのですが、業務停止部分に従うのかどうかという不安がありまして、お金の出入りがなくなって止まるのか、解散までいかなくてもそういう資産凍結の制度がきっちりつくり上げられるのかということは、解散命令の制度を作ることと同じぐらい実はハードルがあることなのかもしれないなと、今、御質問をお聞きして、感じたところです。

○中川委員 ありがとうございました。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

他にございませんでしょうか。

それでは、以上にさせていただきます。

本日の後半では、先物取引被害全国研究会より、ポンジ・スキーム事案では、既存の制度による被害回復が難しい状況であって、事業継続を阻止して被害回復を行うためには行政庁による解散命令制度が必要であるとの御意見をいただきました。

これについては、幾つか御意見が出ておりまして、資料2の16ページの記載の中で、ポンジ・スキームの認定の問題でありますけれども、集めた資金の相当額について、運用実態がなく、配当を行えるだけの収益を上げていないということについて、どういう実態があればそういうことが言えるのかということについて、御質問がありました。これについて、確かに運用実態がなく収益を上げていない場合については事業の停止をする必要があるということは言えるかと思うのですけれども、その認定の問題、どういう場合にそういうことがいえるのかということが実際には難しいのではないか、その点が問題になると思います。

また、異なる二つの面からバランス論が出ておりまして、一つは資料の17ページ、行政による解散命令の許容性の問題なのですけれども、ここで許容されているものは、農業協同組合等、会社ではないということでありまして、ポンジ・スキームで問題となるのは基本的に会社でありますので、そうなると、会社法の解散命令制度が既存の制度としてあるわけでありまして、それとの要件等に関するバランス、行政による解散命令が認められるためのバランスが問題となるのではないかということ、第二は、既存の法律において定められている内容とのバランスも問題となるということでありまして、新しい制度として構想する際には、各業法等で定めている内容に沿って解散命令を個別的に考えていく場合とのバランスが問題になるのではないか。資料で言いますと、15ページで両論があり得るということですが、既存の法律の改正と新法の制定、考え方としては両方があり得るのだけれども、新法の制定という方向で考える場合に、既存の法律が扱っている内容とのバランスを考える必要がある。業法で定めている処分等の内容とは独立に、いきなりポンジ・スキームだから解散命令だと言えるのかという問題です。

総じて、一刻も早く事業活動を停止させることの必要性については、疑いはなく、委員の方々も基本的にそういうお考えに立っていると思いますけれども、必要性に加えて許容性というのでしょうか、バランス論については、やはり考慮する必要があるのではないかという御意見だと思います。

さらに、10ページの、業務停止処分の際に、現行法では規定はないのですけれども、同時に資産の凍結をするという考え方もあるのではないかというアイデアもいただきまして、それも考えられるところなのですけれども、どのように構築していくかについてはなお議論が必要という御意見もいただきました。

以上、本日は、一刻も早く事業活動を停止させることの必要性は確かに認められるのだけれども、それをどの段階で認めるかということについての判断の基準、こういう実態があればそういう段階になっているのだということの判断の基準、それから、事業停止等の言わば強い効力を認めることについて、既存の法律とのバランスが問題になってくると思います。本日、深く掘り下げていただいて、資料を拝見しても、非常に整理されていて分かりやすい資料を提供していただいたと思っています。今後の審議に際して、十分に活用させていただきたいと思います。

本日は、御議論いただきまして、ありがとうございました。

最後に、事務局から御連絡をお願いいたします。

○友行参事官 長時間にわたりまして御議論いただきまして、どうもありがとうございました。

次回の日程につきましては、決まり次第、御連絡いたします。

○後藤座長 加藤弁護士、長谷川弁護士、何か付け加えるようなことはございますか。大丈夫でしょうか。

○加藤弁護士 今日は、どうもありがとうございました。

後藤座長にまとめていただいて、我々の意見は本当に必要性にかなり特化しているところがございまして、委員の先生方からバランスのよい行政について厳しい御指摘をいただいたとの認識があるのですが、この種の詐欺的な被害にずっと取り組んできた実務家弁護士としては、許容性を何とかクリアして、現行法とのバランスを考えた上でということになるのでしょうけれども、できるところからで結構ですので、そろそろ息の根を止める制度を迅速に進めていただきたいという思いを持って、今日、ここへ参った次第です。

消費者庁設置法の附則にもこの問題を意識しているであろうことも書かれていて、我々の手元で次々と事件が起こり、なかなか根本的に解決できる法律の制定につながっていないという思いがありまして、何とかこのワーキング・グループでの議論を契機に突破口を開けていただけたらと、大いに期待して参りました。是非ともよろしくお願いいたします。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

私たちも悩んでいるところについて、詳細に御報告いただきまして、ありがとうございました。

(加藤弁護士 長谷川弁護士退室)


≪3.閉会≫

○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

会議画面の赤色のアイコンを押していただき、御退席ください。

どうもありがとうございました。

(以上)

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