農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年2月10日(金曜日)9時59分~10時33分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)静岡県への出張について
  • (大臣から)フラワーバレンタインについて
  • (大臣から)国内肥料資源利用拡大に向けた全国推進協議会設立について
  • ロシアによるウクライナ侵攻に伴う農林水産業への影響等について
  • サツマイモの人気について
  • 大間産クロマグロに係る漁獲量未報告について
  • 大臣就任6か月に当たっての所感について
  • 食料安全保障について
  • 国内肥料資源利用拡大に向けた全国推進協議会について

冒頭発言

大臣

  今日、私の方から3点御報告があります。1点目は、明日、静岡県に出張します。静岡県の三ヶ日町農協が日本最大の、かんきつの選果場を作って、大変近代的な選果場ということですので、是非視察したいと考えておりまして、併せて生産者の方々とお話を伺う機会も設けたいと思っています。
  2点目はフラワーバレンタインです。今日、私も胸に花を着けています。フラワーバレンタインにおける花贈りですが、2月14日は御承知のようにバレンタインデーで、日本におけるバレンタインデーはチョコレートで想いを伝える日というのが一般的ですけれども、世界各国においては、日頃の想いや感謝を伝えるために花を贈る習慣があるそうです。このコロナ禍で花がなかなか売れなかったことで花き農家の皆さん方が大変困っていましたが、こうした風習にならいまして、花き業界では大切な恋人、家族、友人に花を贈るフラワーバレンタインの取組を展開しており、農林水産省も毎年応援しているところで、私も花を着けました。こうした取組により、花がより身近なものとなり、若年層を中心とした国産花きの需要の拡大につながり、花産地の応援になることを期待しています。是非この機会に皆様方も家庭で花を飾ったり、大切な方に花を贈ったりしていただければと思います。私もこの機会に花を贈りたいと思います。これはもう家族しかいませんので、実は先週、鹿児島に帰ったときに、ちょうど20数年来行きつけのお店が3月にお店を閉めるという話が伝わってきたものですからお花を届けたところでして、そういうことをしながらでも花の消費拡大に是非、私も一助になればと思っています。
  それから3点目が、国内肥料資源の利用拡大に向けた全国推進協議会の設立です。原料を供給する畜産事業者や下水事業者の皆さん、それから肥料製造事業者、そして肥料を利用する農業者等が連携して、肥料への国産肥料資源の利用拡大に取り組もうということで、各界の関係者が一堂に会しまして、取組に向けた機運を醸成するほか、連携した取組の形成を進めるため、全国推進協議会を設立し、第1回会合を2月22日水曜日に開催するということです。詳細は後ほどプレスリリースしますので、担当課へ是非お問い合わせいただければと思っています。

質疑応答

  • ロシアによるウクライナ侵攻に伴う農林水産業への影響等について

記者

  2問お伺いします。1点目です。ロシアのウクライナへの侵攻から今月で1年となります。この1年を振り返り、侵攻がもたらした農林水産業における影響として特に大きかったと感じておられることはどういったことになりますか。また、今現在も侵攻が続いている中で、特に憂慮していることがありましたら教えてください。

大臣

  2月で(侵略から)1年となりまして、私も就任して今日でちょうど半年になります。このウクライナの問題については、いろんなことが惹起されてきたと思っています。24日でちょうど1年が経過しますが、一番は、やはり食料品を含む様々な物価が上昇したこと。特にウクライナ、ロシアは小麦の大産地で、世界の4分の1を輸出していますから、小麦を中心にした食料品の値上がり、そして肥料や飼料、燃油といった生産には欠かせない資材や加工原料等の価格が高騰し、農林漁業者全てに大きな影響を与えた1年であったと思っています。農林水産省は御承知のように、農林漁業者の経営への影響緩和のために、肥料や飼料、燃油の高騰対策を措置しまして、予備費や補正予算でいろいろな対策を講じました。生産資材の価格は、例えば配合飼料の原料価格のように、侵略直後の高騰から今現在は若干、沈静化してきているものもありますが、ウクライナ侵略前よりは高い価格で推移しているものもありまして、今後も予断を許さない状況であり、農林水産省としては引き続き緊張感を持って対応をしていきたいと思っています。この生産資材(価格)の高騰、それから食品等(価格)の高騰によって、消費者の皆さん方も大変苦しい場面になっていると思います。

記者

  今現在、憂慮していることが、今後のことでありましたら教えてください。

大臣

  憂慮しているのは、物価が上がるとか、肥料等の原料が上がっていくという、そういう物的な面もありますが、何よりもやはり戦争が早く終結しないかなと。特に私は戦争に対する思いがあります。私も戦争遺児でして、第二次世界大戦で親父がフィリピンで戦死しました。そういう意味で戦争は、小さい頃からもう一番嫌で、戦争映画を見るのも、戦争に関する本を読むのも嫌というくらい戦争に対する抵抗といいますか、一番この世で面白くないのは戦争だと思っていまして、早く終結して欲しいと、一番今思っているところです。皆さん方もテレビ、新聞等で御覧になっていると思いますが、家族を失うということは、どんなものかということがよく分かると思います。そういう意味で他人事ではないです。また、いつ日本が巻き込まれていくのではという懸念が一方ではあります。昨日もフィリピンのマルコス大統領がお見えになり、私も総理との対談に同席をしましたが、お互いに島国ですから、提携しながら何とかそういうものから逃れたい、あるいは逃れるためにどうすればいいのかということを、総理とマルコス大統領は話をされていました。二国間で連携しながらやっていこうというお話でした。(第二次世界大戦後の)70数年間、平和な時代が続きましたが、今、ウクライナとロシアの戦争を契機にして、戦争に対する感覚が鈍ってきているのではないかなと思います。余談ですけれども、私が(参議院議員に)当選した当時には戦争遺児の国会議員が11人おりましたが、今は参議院議長の尾辻先生と私だけです。皆、年齢を重ねて引退したり、亡くなったりしまして、本当に戦争の悲惨さを実感、体験した者は、もうそんなに残っておりませんので、是非このことは引き継いでいきたいと思います。

  • サツマイモの人気について

記者

  2点目ですけれども、先日、22年産の収穫量が発表されたサツマイモについてお伺いします。近年、焼き芋の専門店とか、取り扱う大手量販店も増え、サツマイモを使ったお菓子などもコンビニで多く発売されています。大臣は鹿児島御出身ということもありまして、近年のこのサツマイモの人気というのをどう見ていらっしゃいますでしょうか。

大臣

  私は小さい頃、それこそ戦後間もないころはお米がなく主食と言えばサツマイモでした。ですから、今でもあんまりサツマイモに対する印象は、いいものは持っておりませんが、ただ食べれば美味しいのはよく分かっていまして、それが皆さん方の口に合って、多くの消費者の皆さん方がサツマイモを使ったお菓子類とかに関心を持っていただいて、今消費が拡大をしています。調べてみますと生産も拡大しています。私の地元・鹿児島のサツマイモは、(用途に)3つの種類があります。サツマイモを活用したものというと、1つは皆さん御承知の焼酎です。焼酎用のかんしょ。それから2つ目がでん粉用かんしょ。身近な食べ物として、でん粉を使ったいろいろな食べ物があります。3つ目がお菓子に使ったり、そのまま食べる青果用。でんぷん用、焼酎用それに青果用。青果用として焼いて食べる、天ぷらにして食べるなど、いろいろ食べ方もあるのでしょうが、直接食べる方法や加工して使う方法、サツマイモは多目的な使い方をしていますけれども、最近では、若い人たちがいろいろなお菓子を通じてサツマイモを食べていて、あるいは焼いたのが美味しいと焼き芋を食べているのは本当にありがたいことです。そういう意味で、サツマイモの消費が拡大したことはありがたい。これは健康にもいい代物ですし、食物繊維を含んでいますから。そして、これから先、もし食料(の輸入)が本当に途絶えたときに最後は何に頼るかというと、農林水産省の試算ではサツマイモです。昔、飢餓状態になったときに、日本にサツマイモが入ってきて、日本人の命を救ったとも言われています。我々は戦後間もない頃は、ほとんどサツマイモで育ったようなもので、お米がなくてもサツマイモさえあれば育つということで、食料不足の時にいち早く役に立つのがサツマイモだと思いますが、今はそんな時期ではありませんので、サツマイモがフルーティーな感じで皆さん方に愛されているのはありがたいなと思います。

  • 大間産クロマグロに係る漁獲量未報告について(1)

記者

  大間のマグロの事件について伺います。マグロは国際的に日本が資源管理をきちんと約束している魚種です。今回の事案は、その報告外のマグロを獲って捌いていたという資源管理の仕組みの隙をついたというか、台無しにするような事案でした。今回発覚し、逮捕まで至った事件について、どこが問題だったと思いますか。その報告の仕組みや実務について、何か見直したり、検証したりする御予定はありますか。今回の件で教訓とすべきことは何でしょうか。

大臣

  今のマグロの話、それから今度、法案として提出する違法伐採の木材の取扱いについては、例えば食物・食料品はトレーサビリティーでいろいろな履歴が分かるのですけれども、材木、あるいは魚とかはなかなか追跡できない状況です。そういう報告を求めなければいけないのですが、正確性を担保するために、地域や漁業種類によって、異なる水揚げの実情を踏まえながら、どうしたらこのような行為を防止するため、再発防止の管理ができるのかというのは今、検討をしているところで、どういう方法があるのかということです。例えば、お米も皆さん方御承知のように、輸入米が事故米、いわゆるカビ米になって出回ってしまったということから、履歴が分かるようにしてあります。牛もそうですが、畜産は、履歴が分かるようになっていますけれども、外から持ってくる魚とか、材木でも輸入材は、どこ産で、どこで採れたもので、これは違法の伐採をしたものではないというものをきちんとやっていかないと、悪いことをする人が儲かるような世の中になってはいけないと思っています。今お話がありましたように、マグロの問題も、再発防止あるいはどういう管理をしていけば解消できるのか、あるいはチェックできるのかを早急に水産庁の方でも検討をしていくとしか今の段階では申し上げられません。

記者

  今、検討の中でこういうことがいいのではないかとか、そういう案はございますか。

大臣

  今から検討していこうと。いろいろな知恵も出てくると思いますし、また他のもの、例えば先ほど申し上げたように、牛のようにずっと履歴を追えるような仕組みができるのかどうかというようなこともやはり検討していく必要があるのではと思います。

記者

  しかも今回は大間という割とブランドのマグロでしたね。なかなか衝撃が大きかったと思うのですが。

大臣

  そうですね。

  • 大間産クロマグロに係る漁獲量未報告について(2)

記者

  今の大間のクロマグロの件で関連してお伺いしたいのですが、実際獲れたクロマグロは、回転寿司店で未報告のものと把握せずに売られていたということですけれども、水揚げを監視する漁獲証明制度っていうのは今後、導入方向にあると思うのですが、それだけではなく、流通しても判別できるような、流通適正化法の適用などを含めて、流通面での規制強化の必要性をどうお考えでしょうか。また、流通適正化法は、確かIUU漁業での漁獲物の市場排除が目的ですけれども、違法漁獲物の市場排除を取り組んでいる中で、こういった事態が発覚したことは国際的な信用失墜につながるのではないでしょうか。そういったところの、大臣の御所感をお伺いさせてください。

大臣

  先ほどから申し上げていますように、漁業者によって違法に採捕された漁獲物の市場流通を阻止するための方策をどういう仕組みをすればやれるのかとか、あるいはまた先ほどおっしゃったように、今度は、外国から入ってくるものをどうするか、いろいろチェックポイントがあると思うのですが、そういうものをどうしていけば阻止できるのか、真面目にやっている漁業者がいるのにもかかわらず、そういう形でお金を取ってる人たちもいるわけですから、真面目な人たちに迷惑をかけるようなことになれば、これはもう何にもならないわけですから、どうすればチェックできるのか、あるいは管理ができるのかを今後、水産庁の方でも、あるいは学識のある方々にも聞きながら検討していこうと話し合ったところです。木材も一緒です。

記者

  こういった事態が発覚したことでの国際的な信用失墜についてどうお考えですか。

大臣

  国際的な信用失墜というところまでいっているのか、いっていないのか分かりませんけれども、そこまで具体的に聞いておりません。ただ今後そういうことが横行していけば、国際的な信用を失っていくと。今まで日本のものは、それこそ安全で安心だと言われていたものが、やましい方法で採捕、あるいは確保した魚だったり木材だったりすると、国際的な信用は失っていくだろうと思います。おっしゃっていることはよく分かります。そういうことにならないようにどういうような管理(の強化)、再発防止ができるのか真剣に議論して検討していかなければいけないと思っております。

  • 大臣就任6か月に当たっての所感、食料安全保障について

記者

  3点お伺いします。1点目は、本日で大臣御就任から半年になります。この半年を振り返っての受け止めをお聞かせください。2点目は、(参議院)選挙中も食料安全保障の重要性をずっと訴えられて来られましたが、改めて食料安保の確立にどう取り組むのか教えてください。3点目、は、国内肥料の利用拡大に向けた全国協議会の設立への期待をお聞かせください。

大臣

  大臣就任でちょうど6ヶ月ということで、少しは役所の仕事に慣れました。忙しいですね。それは一言で言えます。普通の国会議員であれば、自分でタイムスケジュール、日程管理ができるのですけれども、ここは役所です。皆さん方もそうだと思いますが、決められたルーチンに基づいて動かなければならないことがあります。特に土曜日、日曜日にいろいろな案件が入ってくるので休めないですね。今朝も8時20分から閣議がありましたけれども、朝が早く、今は(衆議院)予算委員会をやっていて、質問(通告)が出てくるのが(委員会)前日の夜とかになりますと、それを待ってどういう質問なのか(確認します)。また、一生懸命、事務方は答弁書を作っていますから、それをいつ見るのか。私は翌日、朝早く来て質問なり答弁書を見ることにしていますが、時間に非常に制限があり、委員会の答弁に対する時間が相当割かれる中で、いろいろなレクも受けています。これから農林水産委員会も始まるわけで、そういう意味では、できるだけ早めに質問(通告)は出していただいて、我々も(勤務)時間どおりに仕事をできるようにしないと。私は夜、あるいは朝早くに事務方が書いた資料を見たり、説明を聞いたりしますが、事務方はその間、一生懸命、答弁書を作っているわけです。夜中になっていたり、あるいは朝方早く来る職員もいて、これには「働き方改革をしないと大変だ」といつも言っています。皆さん方も、夜討ち朝駆けということもあって、朝が早かったり、夜が遅かったりで不規則な生活をされているのだろうと思うのですが。国会議員でいる間は自分でスケジュール管理、時間管理ができるわけで、そんなに疲れたという思いはあまりなかったのですが、役所勤めは疲れると。先ほど申し上げたように明日は静岡(に出張)です。特に、就任したのが8月10日で、その後ちょうど出来秋で農水省が一番忙しい時期でした。山の日であったり、いろいろな収穫祭、催しがありまして、大臣賞を授与するので、土日はほとんどなかったのが最初の頃でした。今はある程度休めるようなったのですが。そういう意味では、時間に管理されるのはこんなものだったかなと。35年間、私も皆さんと同じようにサラリーマン生活をしてきて、慣れてはいたのですが、18年間、国会議員をして自分でスケジュール管理ができるので、ある程度時間的な余裕があったのですが、それがないことが一番です。仕事の上ではだんだん慣れてきまして、職員の皆さんとも顔なじみになってきましたので、そういった面での苦労はなくなったし、よく仕事をするなと一番実感しておりまして、国を動かすというのはこういうことなんだろうと。国会議員の方がむしろ時間を有効に活用していなくて、役所の事務方の皆さん方が、夜となく朝となく、本当に仕事をしているのを見ていて、大変だとよく分かりまして、できるだけ私は早く帰るようにしています。私が帰らないと省の皆さん方も帰れないわけで、終わったらすぐ帰るようにして、できるだけ皆さんの時間の余裕ができるようにしなければいけないと思っています。
  もう一つは食料の安全保障の問題ですが、今日も(基本法検証部会が)あるのですが、(食料・農業・農村)基本法の見直しをしておりまして、今日が9回目になると思いますが、ずっと検討していただいて、6月中には大体まとめ上げたいと思っています。特にその中では、食料の安全保障というのは、メインテーマになってくるのだろうと思います。私が嬉しいのはここ(農林水産省)に最初に来て、幹部の皆さん方に「食料の安全保障」という言葉を何回も使いまして、「省を挙げてやるぞ」ということを申し上げました。今この農林水産省、みんな同じ方向を向いて仕事をしていると思っていまして、その成果が一つずつ出てきて、皆さん方の記事、報道になっていると思っています。先ほどの、国内肥料資源の協議会を作るというのも一つですから、その中から、どういったようなことができるのか、どうやって国内で肥料原料の調達が可能になるのかということも調べてもらおうと思っています。皆さん、同じ方向を向いて、今、仕事をやっていると私は認識しています。食の安全保障に向けて、農林水産省一丸となってやっているということだけは間違いないと思っています。

  • 国内肥料資源利用拡大に向けた全国推進協議会について

記者

  (国内肥料資源の利用拡大)協議会について期待をお願いします。

大臣

  今、肥料の原料となって国内にあるのは、一番は皆さんも御承知のように家畜の排せつ物、堆肥。これを原料にした肥料を作るのが一つ。それから生活排水とかの汚泥です。汚泥から作れるのはリンだけですけれども、それ以外に何か原料になり得るものも調べていかないと、ただ堆肥と汚泥だけでは、全ての肥料を原料として賄えるということにはなってきません。どういったようなものを原料にした肥料というのが、農研機構もあるわけで、そういったところで(研究する)。素人でも考えつくのが例えば食べ物の残渣。こういうものからも堆肥化して発酵させて(作る)というのもあります。そういうものができるのかできないのか、この協議会でも検討されていくのが、堆肥と汚泥が中心になるとは思うのですが、そのほかに原料になり得るものを探し出していかないと、せっかく農研機構もあるわけで、そういった研究も進めてくださいと言っているところです。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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