外務省・新着情報

冒頭発言

トルコ及びシリアにおける地震被害に対する支援

【林外務大臣】私(林大臣)から1件ございます。
 6日に発生したトルコ南東部を震源とする大規模な地震によりまして、トルコ及びシリアにおいて甚大な被害が出ていることに関し、改めて、亡くなられた方々及びその御家族に、心からの哀悼の意を表するとともに、負傷者の方々にお見舞いを申し上げます。
 東日本大震災を始め過去に何度も大きな自然災害を経験した我が国として、現地の人々が今、いかに苦しい状況に立たされているか、容易に想像ができます。日本は、これからも、このような人々の苦しみを共有し、共に困難を乗り越えていきます。
 一昨日、チャヴシュオール・トルコ外務大臣と電話会談を行いまして、日本政府が、国際緊急援助隊の救助チームを派遣し、現地で活動していること、今後もトルコが必要とする支援を行う用意があること、これをお伝えいたしました。
 日本政府としては、今後、被災地の方々に最大限の支援を行っていく考えであり、その一環として、本10日、シリアに対しまして、同国政府の要請に基づき、テント、プラスチックシート、毛布、スリーピングパッドからなる緊急援助物資を、国際協力機構(JICA)を通じて供与するということを決定いたしました。トルコに対する緊急援助物資についても、早急に実施する方向で、トルコ政府と最終調整中であります。
 また、本10日夜、医療従事者を含む5名程度からなる国際緊急援助隊の医療チームの先発隊をトルコに派遣し、被災地における医療の現状と支援ニーズの確認を行うことといたしました。その後、早急に数十名規模の医療チームを派遣する予定でございます。
 引き続き、現地のニーズを踏まえて、更なる必要な支援を行ってまいります。
 私(林大臣)からは以上です。

国際大会におけるロシアとベラルーシの選手の扱い

【時事通信 田中記者】オリンピックについてお伺いします。国際オリンピック委員会が、ロシアの国際大会への参加について、その中立の立場などの条件付きで認める方針を示しまして、これに対して欧米各国ではその反発が広がって、ボイコットを示唆するような動きも出ているのですが、日本政府の立場について、どのようにお考えか教えてください。

【林外務大臣】ロシアとベラルーシの選手の扱いにつきましては、国際オリンピック委員会の方針等も踏まえて、各種競技ごとの国際競技連盟が、それぞれ自らの責任で判断するものと承知しております。
 いずれにいたしましても、日本政府としては、ロシアによるウクライナ侵略という暴挙に対し、懸命に祖国を守る努力を続けるウクライナの人々を支援していく姿勢に変わりはないということでございます。

ウクライナへの支援(放送機材引渡し)

【NHK 岩澤記者】ウクライナへの支援について伺います。政府は、今日、ウクライナ公共放送局のPBCに放送機材を供与したと発表しましたが、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、まもなく侵攻から1年になる中、今回の支援の狙いや見込まれる効果について、お考えをお願いします。

【林外務大臣】昨日、ウクライナの首都キーウにおきまして、松田駐ウクライナ大使出席の下で、ウクライナ公共放送局(PBC)への放送機材の引渡式を実施いたしました。
 昨年3月のロシア軍によるキーウのテレビ塔破壊以来、PBCは、現場取材用のモバイル中継装置をテレビ塔の代替として使用し、現場取材は携帯電話等で実施しているものの、携帯電話等による撮影は、通信環境の影響を受けやすく、編集面も制約されております。
 こうした状況を踏まえて、我が国は、JICAを通じて、PBCに対して、複数のモバイル中継装置をキーウ本局及びウクライナ国内の各地支局に供与することといたしました。
 我が国は、2017年の1月から、PBCに対しまして、災害時・非常時の報道体制づくり、また、番組制作能力の強化、放送機材の運用・維持管理能力の強化等を支援してまいりました。この支援により、PBCの戦時における正確で公平かつ公正な報道体制の構築と、ウクライナの民主主義強化に資するものでございます。本年のG7議長国として、これまで以上に、G7を始めとする国際社会が連携して、適切にニーズを把握しながら、国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を通じて、引き続き、ウクライナの復旧・復興に貢献していく考えであります。

ロシアのウクライナ侵略を止めるための取組

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】ウクライナ問題について1点。昨年8月、米ラトガース大学が発表した論文で、仮に、米露間の全面核戦争がおき、急速に寒冷化する核の冬が訪れれば、50億人が、飢餓状態に陥ると予測されています。中でも島国で食料自給率が低い日本は、人口のほぼ全てが餓死するとされています。ウクライナ紛争が、米露全面核戦争へとエスカレートしないよう、武器支援をやめさせ、停戦を強く求める外交こそ、日本の国民の生存を守る外交ではないでしょうか、お考えを聞かせてください。

【林外務大臣】ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更であり、欧州にとどまらず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であります。また、この侵略は、ウクライナの主権と領土一体性を侵害する、明白な国際法違反であり、強く非難をいたします。
 侵略が長期化する中、一刻も早くロシアの侵略を止めるため、対露制裁とウクライナ支援を強力に推進してまいります。また、日本は唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核の威嚇は、断じて受入れられないと考えております。ましてや、その使用はあってはならないと考えます。G7長野県軽井沢外相会合やG7広島サミットでは、こうした強い意志を、力強く世界に示してまいりたいと考えております。

LGBTの権利擁護

【共同通信 植田記者】性的少数者に対する差別の解消についてお伺いします。昨年のG7首脳会合では、「性的マイノリティを含む差別や暴力について誰もが包括保護されることのコミットメントを再確認する」との声明が発出されました。一方で、日本では、LGBT理解増進法案の審議が進まないなど、取組の遅れが指摘されています。5月の広島サミットに向けて、今の状況をどう受け止め、どのように各国への発信に取り組む考え方をお願いします。

【林外務大臣】性的指向、性自認を利用理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えておりまして、政府としては、多様性が尊重され、全ての方々が、お互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けまして、引き続き、様々な声を受け止めて、取り組んでまいりたいと考えております。
 本年G7議長を務める日本政府として、こうしたことを改めて国の内外に対して丁寧に説明していく努力を続けていかなければならないと考えております。私(林大臣)としては、外務大臣の立場から、その職責をしっかりと果たしていきたいと考えております。

【毎日新聞 竹内記者】関連してお伺いします。7日の会見で、大臣は、「日本以外のG7諸国は、何らかの形の性的指向、性自認に基づく差別を禁止する法令及び同性婚、または、パートナーシップ制度を有しているもの」と述べました。日本だけ、そのような法令や制度がない現状をどうお考えでしょうか。今もお話されましたが、性的指向や性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってならないと、政府の姿勢を国内外に丁寧に説明していくと述べられておりますが、法令や制度がない中で、各国に理解してもらうことができるとお考えなのか、お考えを教えてください。

【林外務大臣】G7各国の状況については、前回お答えしたとおりでございます。
 我々の取組としては、国連においては、例えば、2008年に第63回の国連総会で採択をされました「性的指向に関する宣言」によりまして、国際社会における性的指向少数者の人権保護等を目的とする、関係国によるグループである「LGBTコアグループ」、その後、「LGBTIコアグループ」に名称変更されておりますが、これが設立をされております。我が国は、これに創設の際からメンバーとして参加しておりまして、これまでLGBTIコアグループによる共同ステートメントや、同コアグループが主催する国連でのイベントにも参加してきたところでございます。

【毎日新聞 竹内記者】関連して、その国内の法令や制度がない中で、各国に理解を求められるか、ということをお伺いしているんですが、お願いします。

【林外務大臣】今、我々の置かれている状況の中で、先ほどのような取組をしているということをお答えしたところでございます。

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