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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年2月14日(火曜日)9時59分~10時18分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • 高病原性鳥インフルエンザの対策等について
  • 乳製品のカレントアクセスについて
  • 食料・農業・農村基本法の検証・見直し検討について

質疑応答

  • 高病原性鳥インフルエンザの対策等について(1)

記者

  鳥インフルエンザについて伺います。1月下旬以降、卵の卸売価格は過去最高を更新し続けています。コンビニに加え、外食チェーンでも卵を使用したメニューの提供を中止したり、無料だったものを有料にするなど、影響は大手にまで広がっています。今シーズンの鳥インフルエンザの収束目途はついているのでしょうか。現状の認識と対策、今後の見通しを教えてください。

大臣

  鳥インフルエンザの発生は、合計25道県76事例、殺処分羽数が1,478万羽となりまして、(採卵鶏では)飼養羽数の約1割を殺処分したことになります。卵の値段が今朝発表になり、キロ当たり335円。前回と比べると10円高くなっています。これは(JA全農たまご東京Mサイズの)卸売価格ですけれども、小売りの価格はそんなに変わっていないということで、平年比113%、1パック244円ということです。我々の今の見通しでは、スーパーなどの卵はまだ不足している状況にはないという判断ですが、加工用については、不足気味ということで、輸入の液卵、粉卵で何とかカバーをしている状況と聞いております。御家庭でお買い求めいただいている生食用については、大きな不足はないですが、価格がやはり上昇していますので、12月の会見で申し上げたように、あの頃は300円/キロが、たぶん1月になると下がりますと申し上げていたのですが、その後も鳥インフルエンザが続発しまして、生産の方が縮小したことで、卵の値段がまだ上がったままです。既にインフルエンザが収束したところでは、再生産に向けて、ヒナを導入するなどしており、もうしばらくすると、鶏はすぐ卵を産み出しますので、ある程度市中に出回ってくれば、価格も当然下がってくるのではないかと思っています。私の地元・鹿児島のツルはもう半分以上北帰行していますから、そういう意味では、渡り鳥も帰り出したということですから、これからは(鳥インフルエンザの発生が)増えるより減っていくのではないかと期待をしているところです。今後の見通しについて先ほど御質問ありましたけれども、(今シーズン)最初にインフルが発生したところは、全て殺処分をし、消毒を済ませて、そして空舎期間を見極めてヒナを導入していきますので、そういう鶏が徐々に卵を産み出してくると、ある程度、卵の値段は抑えられるのではないかと思っています。

  • 乳製品のカレントアクセスについて

記者

  生乳の廃棄についてお伺いします。以前、カレントアクセスについての質問に、政府統一見解でお米の場合は輸入をこちら側がストップすることはできないとし、牛乳についても当てはまるのか検討を進めたいとされましたけれども、検討状況はいかがでしょうか。国内では生乳の廃棄で酪農家に結構な負担が行っている部分があると思うのですけれども、貿易のことなので、相手国のこともあろうかと思いますが、酪農家への負担の部分も合わせて御見解をお願いいたします。

大臣

  生乳ですけれども、今、予算委員会が衆議院で開かれていて、これに関する質問が大変多くあります。牛乳・乳製品のカレントアクセスについて、他の国では約束の数字よりも減っているものもあるのに、何で日本は乳製品で13万7,000トン(の輸入約束数量)をきっちり守っているのかという御質問があります。それについては、総理の方からもお答えいただいているのですが、このカレントアクセスのWTO協定に基づく法的義務の内容は、「一定の数量について国が輸入機会を提供する」ということです。国が輸入機会を提供するということで、日本の場合は入札制度をやっているわけですが、その入札で札が入らなかったことも最近ありましたので、それはもう削減すればいいのではないかというお話があります。しかしながら、それを削減するのは、これはなかなか難しい話でして、国が国家貿易として約束したものを簡単に削減することになりますと、他の国からクレームが来る、あるいはペナルティを課せられる恐れもあると思います。他の国はどうしているのかということですが、他の国は日本みたいに国が(国家貿易をする)約束をしているのではなく、アメリカなら牛肉はこれだけ輸入しましょうと、70万トンなら70万トンと(枠の)約束はしますけども、国が(国家貿易の)約束をするのではなくて、そういう輸入機会を作りますということで、一般の商社などが入ってきます。日本の場合は、小麦、コメ、今の乳製品にしても、国が全部一元的に輸入をやっておりますので、国がやることと民間がやることでは違いますので、民間が輸入品は要らないと言えばもう要らなくなってしまうわけです。民間の実需者に輸入機会を与えるけれども、民間の人たちが買わなかった、あるいは入札に札を入れなかったことになるのですが、国が(国家貿易として)約束したものは国が責任を持って全部約束どおりの数量は輸入しろと、こういうことを言われているわけですので、このカレントアクセスについて、乳製品は、確実に輸入せざるを得ないと。乳製品の場合は、バターあるいは脱粉、ホエイがあるわけです。何をどれくらい輸入するというのは、日本側で決めているわけですので、例えば、バターが不足してバターを輸入するとなると、これは入札で非常に札が入ってくる。なぜかというと内外価格差があり日本のバターの方が高いですから、安いバターを入れようという民間の方々の希望があるわけです。(それを乳製品)全体を通して13万7,000トンを輸入することになってきますので、最終的に今年度いっぱいは、いろんな形で入札を行いながら、最終的にどういう調整をして、そして数字的にクリアできるかということは、今から価格の問題、あるいは量の問題というところを検討していかなければならないと思います。ただ脱脂粉乳は相当在庫を持っていますので、脱脂粉乳を入札にかけていくのは数字的には減るだろうと思いますし、不足しているバターなどがその代わりに増えてくるのではないかと考えております。

  • 食料・農業・農村基本法の検証・見直し検討について

記者

  基本法の見直しについて伺います。先週まで農政審の基本法検証部会で有識者の方のヒアリングとか、委員の方の意見聴取が一区切りつきまして、次回以降、次の議論の段階に移りますけれども、これまでの農政審の議論への受け止めと、今後農水省としてこの見直しの検討をどのように進めていくかということを改めて伺えればと思います。

大臣

  先週金曜日、第9回の基本法検証部会を開きました。有識者のヒアリングを9回行ってきました。これまでの有識者のヒアリングにおいては、「農産物の輸入リスクが高まっているので、平時から食料安全保障を考える必要があるのではないか」、「食料安全保障の定義や持続可能な農業の在り方について国際的な議論が進んでいる」、「人口減少・高齢化を踏まえた農業・農村施策を考える必要がある」など、情勢の変化について、様々な御意見をいただいたところです。次回以降の部会では、まず基本理念から議論し、理念ごとに施策の方向を議論していくものと承知しています。当省としては、部会の議論をしっかり受け止めながら、基本法の見直し・検討を進めてまいりたいと思っています。いずれにしても6月中には方向をまとめるよう御指示を総理の方からいただいていますので、また、党の方とも打ち合わせをしながら、まとめ上げていきたいと思っています。

  • 高病原性鳥インフルエンザの対策等について(2)

記者

  冒頭の鳥インフルエンザについて改めてお伺いしたいのですが、以前、北海道、東北の知事会からは、全ての殺処分を避けるために、分割管理などを支援する方法をとって欲しいという要望もありましたけれども、今後収束に向かうということであれば、そういった新たな対策を国として検討する段階に今、あるのかないのか、その辺りはいかがでしょうか。

大臣

  いろいろな御意見がありまして、今の農水省の殺処分の方針について、殺処分の範囲をどこまでやるのかというのは相当議論になっていました。今回、特に(殺処分が)100万羽を超える事例が茨城県で4例出ました。こういうところは鶏舎(1棟)全てに100万羽(の鶏)が入っているわけではなくて、鶏舎を何棟も建て、そこに100万羽が入っているのですが、それを同一(鶏舎)とみなして殺処分しています。そういう(発生鶏舎以外の)鶏は殺処分しなくてもいいところもあるのではないかというような話もあるのですが、今までの経験論で言えば、従業員が往来していて、そこから(ウイルスが)従業員を通じて他の鶏舎に移っていくこともあったものですから、1棟で発生したらそこのところ(の農場)は全ての家きんを殺処分することとしています。しかし、あまりにも(殺処分対象の)羽数が多過ぎないかと、こんな指摘もありまして、見直しというか、やはりそこまでしなければいけないのかどうか。今後、収束に向かいつつある中で、是非その辺も検討をさせてみたいと思っているところです。ただ、アメリカでは、冬だけではなくて夏も(鳥インフルエンザが)出ています。渡り鳥でない棲みついている小鳥が感染して、その鳥から夏場に他の鳥に感染するという例も出てきているので、どういう方法が一番いいのかというのは相当の検証をしないと、今おっしゃったような(鶏舎単位での殺処分という)ことも選択肢として考えられないことはないのですが、ただそのことによって本当に感染が拡大しないかという実証がなければ、我々もそういう変更というのはなかなか難しいと思っているところです。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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