経産省・新着情報

2023年2月10日(金曜日)
9時49分~10時9分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

最終処分関係閣僚会議

私から冒頭2点申し上げます。
まず、1点目に本日の閣議後に最終処分関係閣僚会議を開催いたしました。
最終処分関係閣僚会議におきましては、昨年12月の岸田総理の御発言を受け、構成員を拡充した上で開催いたしました。官房長官の指示の下、関係府省と相談してきました取組の強化策を特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針の改定案という形で取りまとめいたしました。今後速やかにパブリックコメントを実施いたします。国民の皆様から広く御意見を頂きたいと思います。
詳細は後ほど事務方から説明がありますので、そちらでお聞きいただければと思います。

GX実現に向けた基本方針/GX推進法案

それから、もう一点、2点目に本日GX実現に向けた基本方針及び脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案、いわゆるGX推進法案について閣議決定いたしました。
GX実現に向けた基本方針におきましては、気候変動問題の対応やロシアによるウクライナ侵略、これを受けまして、国民生活と経済活動の基盤となるエネルギーの安定供給を確保するとともに、GXに向けた脱炭素の取組、成長志向型カーボンプライシング構想など、基本方針を定めるものであります。経済成長も同時に実現を目指すものであります。
また、この基本方針に基づきまして、必要な法制上の措置を講ずるのがGX推進法案であります。官民一体でGXの実現に向けた取組を加速させるために関係省庁と連携し、GXの実現に万全を期していきたいと考えております。
私から冒頭以上です。

質疑応答

GX

Q:おはようございます。
閣議決定されましたGX実現に向けた基本方針ですけれども、この中に盛り込まれております原子力発電所の建て替えや運転延長に対して、福島第一原発事故後の原発政策の大転換が国民的な議論を欠いたまま拙速に決められたという批判が出ていました。今回の閣議決定に当たってパブリックコメントを実施しましたけれども、広く国民の意見を反映することはできたのかどうか、大臣の御所見をお願いします。
また、パブリックコメントを踏まえた主な修正点について、特に原発政策についてパブリックコメントを踏まえて修正を加えた点について御紹介いただけないでしょうか。

A:まず、パブリックコメントについてでありますが、昨年12月23日から本年1月22日まで、31日間にわたってパブリックコメントを実施いたしました。全体で3,966件、名寄せをした後で3,303件の意見が寄せられました。全ての意見について精査を行い、寄せられた意見を約350の主要意見に区分し、その区分ごとに具体的な意見を例示し、回答する形でパブリックコメントの結果を取りまとめ、本日既に公表いたしました。
今回のパブリックコメントでは原子力、水素、アンモニア、カーボンプライシングなどについて賛成、反対、双方の意見が寄せられましたけれども、これらの論点についてはこれまでも様々な審議会などで既に論点として議論されてきたもの、かなり突っ込んだ議論、十分な議論が行われたものと理解をしております。
一方で原子力を活用する上で東京電力の福島第一原発への反省、改めて明確化すること、またカーボンプライシングを進めていく上で国民や産業界における理解醸成をしっかり進めることなど、趣旨の明確化や新たな視点についての御意見も頂いております。与党との調整や各省協議なども踏まえまして、こうした点について必要な修正を行ったところであります。
エネルギー政策を進める原点として、福島第一原発の事故の反省についての記載を一層強調するとともに、原子力の活用に際していかなる事情よりも安全性を優先して再稼働を進めていくことなどを明記しております。それ以外にもCCS、二酸化炭素の貯留、回収、貯蔵、これについても事業のリスクであるとか安全性への配慮、こうした点も明記いたしております。
今回基本方針の策定プロセスについて議論が拙速であるという御指摘もございますが、これまで100回を超える審議会などでの様々な立場を代表される専門家による議論、あるいは与党における議論などを経て策定しております。私どもとしてしっかりと議論を積み重ねてきたものという認識であります。
引き続き国民の皆様の理解が深まるよう説明会、意見交換会をはじめ様々な手段でGX基本方針を含めた政府の方針を分かりやすく説明していきたいと考えております。

Q:関連ですけれども、今回のGX基本方針を踏まえて、政府は月内に電気事業法や核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律など、5本の法律を束ねた束ね法案を提出しますけれども、原子力発電所の運転延長などには立憲民主党は批判しておりますけれども、今後大臣として国会の審議にどう臨まれるのか、お考えをお聞かせください。

A:現在御指摘のように必要となる原子力関係含めて、関係法案の今国会の提出を目指して検討を加速しているところであります。関連法案を提出した際には、国会での議論を通じて政府の考えをしっかりと説明し、国民の皆様の不安、不審など、そうしたものに応えていく、幅広い御理解を得られるよう丁寧な説明を徹底していきたいと考えております。
ちなみに幾つかの法案を束ねていくような形を今調整しておりますけれども、内容はGX実現、電気の安定供給の確保に向けて再生可能エネルギーの主力電源化、あるいは既存の原子力発電所の活用などを通じて、脱炭素電源の利用を促進するという大きな方向性を持ったものでありますので、内容が相互に関連し、政策的な一体性を有しているものと考えております。
法制局とも相談の上、最終的に一体のものとして今国会への法案提出を目指して検討を加速しているところであります。

放射性廃棄物最終処分

Q:高レベル放射性廃棄物の最終処分について2点お伺いいたします。
国主導の働きかけや体制強化、これらの取組によって実際に文献調査の受入れ拡大につながりそうかどうか、大臣の御見解をお伺いします。
もう一つが国が改定する基本方針には、原子力と関係が深い自治体との協議の場を設けるということが盛り込まれるとの報道がありました。協議の対象や趣旨、狙いについてお伺いできますでしょうか、よろしくお願いします。

A:最終処分場が決まっていないことが原子力に対する国民の皆様の懸念の一つであるということ、また原子力政策を進めていく上で改めて重要な課題であるということをしっかりと認識した上で、国として政府一体となって、かつ政府の責任で最終処分に向けて取り組んでいく考えであります。
世界を見てみますと、既に処分地が決まっておりますフィンランドやスウェーデン、あるいは選定プロセスの最終段階にあると承知していますけれども、フランスなど先行する国々の取組、これも参考にしながら、我が国においても取組を進めていきたいと考えております。
これらの国々の処分地選定プロセスを見ても、10件程度の関心地域が出て、そこから順次絞り込みが進められております。我が国においても最終処分の最初の段階であります文献調査、この実施地域を拡大させていくということが重要であると認識をしております。
今回の取組によって、是非文献調査の実施地域の拡大につなげたいと考えておりますけれども、いずれの取組も地域の理解を得ながら進めることが大前提です。今回お示しした自治体との協議の場は、国から一方的に協議する自治体を指定したり、処分場誘致をお願いしたりする場では決してないということであります。
具体的な進め方は検討中でありますけれども、最終処分の実現をはじめ原子力を進めるに当たっての課題と対応について、関心、問題意識を有する自治体の首長の方々を対象として協議の場を設置し、国と地域で共に議論していく、そういうことを考えております。

原子力政策

Q:原子力発電所についてと再生エネルギーについて両方伺いたいので、まず原子力発電所のことを伺いたいと思います。
原子力発電所の運転期間を実質的に延長する方針について、今週の水曜日に原子力規制委員会の委員の一人から反対の声が出ていますが、政府方針についての議論が続いているさなかに閣議決定をされたのはなぜなのでしょうか。

A:原子力規制委員会において一昨日、2月8日だと思いますが、運転期間についての議論が行われ、一部の委員から反対があったものと聞いております。
原子力発電所の安全規制の在り方については、高い独立性、正に福島での事故を契機として、この高い独立性を有する原子力規制委員会が所掌をしているものであります。経済産業省として、この安全規制の在り方について何かお答えする立場にはないということであります。
その上で、本日利用政策の観点からGX実現に向けた基本方針を決定したものであります。GXの実現とエネルギーの安定供給の両立に向けて、原子力利用政策の観点からまとめたということでありまして、安全規制に関する内容は含まれておりません。基本方針を閣議決定することは問題ないと考えております。
更に言えば、利用政策の観点から方針を決めましたけれども、何よりも安全確保、これが最優先でありますので、原子力規制委員会が安全性を確認しなければ運転できないということが大前提であるということであります。

Q:基本方針に正に今おっしゃったような原子力規制委員会による厳格な安全審査が行われることを前提に、運転期間に関する新たな仕組みを整備すると書いてありましたので、既に前提が成立していない状況で閣議決定をされたのかなと思ったので、確認いたしました。そうではないということですね。

A:これは利用政策の立場からの基本方針でありますので、安全性をめぐる規制については規制委員会で引き続き議論が行われていると承知をしております。
今後先ほども議論ありましたけれども、原子力に関する法律については、それを踏まえて閣議決定できるように調整していくことになると思います。

Q:原子力発電所についてなのですけれども、原子力発電所再稼働や次世代核心炉の開発、建設をすることで、今の電力の逼迫ですとかエネルギー価格の高騰は改善されるのでしょうか。だとしたらそれはいつ頃の見通しでしょうか。

A:原子力発電所が再稼働した場合の電気料金の影響、その時期については不確定な要素が多いものですから、一概にお答えすることは困難ですけれども、原子力発電所の再稼働が進んで火力発電に関わる燃料費が抑えられることになれば、電気料金の抑制に寄与するものと理解しております。
例えば原子力の再稼働が進んでおります四国電力で言いますと、規制料金の算定上の原子力の発電比率が19%でありますけれども、四国電力におきましては、今回認可申請における値上げ幅は他の電力よりも低く抑えられておりますし、23%の関西電力、あるいは39%の九州電力は規制料金の水準、あるいは燃料費調整制度による値上げ幅は他の電力会社よりも低く維持できております。値上げの申請も行われてないということであります。
更に言えば関西電力の2021年度の原子力比率はその想定よりも高い28%ということで、2017年に高浜3号機、4号機の再稼働を踏まえて3%の値下げを行っておりますし、2018年に大飯3号機、4号機の再稼働を踏まえて4%の値下げを行っております。
いずれにしましても、再稼働を進め安定的な電気料金の実現を目指していきたいと考えております。

再生可能エネルギー

Q:次に、再生可能エネルギーについても伺いたいのですけれども、再生可能エネルギーを供給する新電力の電気代について、再生可能エネルギーを本気で後押しするのであれば化石燃料が高騰しているときほど価格などで再生可能エネルギーのメリットというものが強調されるべきだと思うのですけれども、政府としてはどのような対策を考えているのですか。

A:政府として再エネを最大限導入するという方針であります。現に、FIT制度を導入したのちですね、再エネ比率は東日本大震災前の約10%から2021年度で約20%まで倍増してきておりますし、更にこれを2030年度に36から38%、ほぼ倍増に近い形の目標の実現に向けて取り組んでいるところであります。引き続き最大限導入していきたいと考えております。
御指摘のように、化石燃料は上がったときは再エネ価格が低くなるケースもありますので、それをできるだけうまく導入し、活用していくことも大事だというのは御指摘のとおりだと思います。そのため、小売電気事業者と再エネ発電事業者が相対取引で、安く再エネを買えるようにするということで、昨年末の4年度の補正予算に向けまして255億円確保して、正にこの相対契約による再エネ導入の支援を行うこととしております。
さらには、再エネ電気の調達価格変動リスクがありますので、これに対して対応する保険商品を導入する支援策も3年度の補正予算で手当てをしておりますので、こうしたことを通じて再エネ電気を調達する選択肢を増やしていく、相対取引なども増やしていく、そういった取組も進めることも含めて、再エネの最大限導入を進めていきたいと考えております。

Q:再エネの新電力の取材をしていますと、現状、再エネとは関係のない化石燃料の高騰に引きずられて値上げせざるを得ない立てつけになっているということで、非常に苦境に追い込まれている事業者が多いんですけれども、これについてはどのように対策を考えておられますか。

A:市場で購入するとどうしてもそういうことになってしまいますので、今申し上げた再エネの役割は発電事業者が直接相対取引で安い価格で購入する、新電力の小売事業者ですね、そういう仕組みを更に広げていきたいということで、その支援策を今回導入しているということであります。

放射性廃棄物最終処分場

Q:今のお話の最終処分の関係でちょっとお伺いしたかったんですけれども、この高レベル放射性廃棄物の処分について、文献調査ですね、これ、北海道の寿都町と神恵内村で始まってから2年がたつんですけれども、でもその2町村以外の自治体に文献調査の対象が広がらなかったという現状があるんですけれども、この調査が広がらなかった原因をどのように見てらっしゃるか、その今回の反省点を今後どう生かしていくのかというところをお考えを伺えますでしょうか。

A:正に最終処分場が決まっていないということが、国民の皆様の正に懸念の最も大きな一つだと思いますし、私どもも原子力政策を進める上で最も重要な課題であるということを改めて認識をしなければいけないということで、今回関係閣僚会議でもメンバーを増やして、そしてそれらの地域への寄り添いながら支援をしていく、そういう仕組みを今回導入することにしたわけであります。
先ほども申し上げましたけれども、これまでの取組も踏まえた上で、国とNUMO、そして事業者で体制を強化して、全国にできるだけ多くの、少なくとも100以上の自治体に最終処分事業に関心を持ってもらうよう、掘り起こしに取り組むということにしたいと思いますし、先ほども申し上げました関心を有する首長などとの協議の場、それから政府一丸となった支援体制、これを構築するということで、こうした方針で今回関係閣僚会議も開催いたしましたので、このような方針に対してパブリックコメントも実施しながら、国民の皆様の声を幅広く聞きながら進めていきたいと考えております。

 

以上

最終更新日:2023年2月17日

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