経産省・新着情報

2023年2月14日(火曜日)
9時23分~9時40分
於:本館10階記者会見室

冒頭発言

特になし。

質疑応答

日銀総裁

Q:よろしくお願いします。
まず、第1問目なんですが、政府が日銀の新総裁に植田氏を起用する方針を固め、今日、人事案が国会に提示されます。この人事の受け止めと、今後の金融政策への期待についてお伺いしたいと思います。

A:おはようございます。
日銀新総裁のお話がございました。まず、植田さんかどうかは、私はまだ聞いておりませんので、そのことについてはコメントを控えたいと思いますが、私自身、アベノミクスにつきましては、第2次安倍政権発足時に、正に経済再生担当の副大臣として、当時の日銀との共同声明を含めて、アベノミクスの最初から関わってまいりました。
当初から私は申し上げていましたけれども、大胆な金融緩和をやるべきだということで、ただ、それは時間を買う政策だと。その間に機動的に財政出動を行い、成長戦略をしっかりと実行することで、デフレから脱却し成長軌道に乗せていくと、そのための時間を買うための政策だということで、3本の矢を実際に実行していったわけであります。
一時期、緩やかなインフレになりつつあって、デフレからの脱却も視野に入りつつあった、そんなときもあったと思いますけれども、その後の原油価格の急落であったり、あるいは消費税の増税、それからコロナ禍があり、完全に正にデフレから脱却した状況を作り出せなかったこと、これは私自身も忸怩たる思いがあります。
他方、当時アベノミクスは正に日本経済を覚醒させる、そのインパクトがあったものと思います。具体的な成果は、もうそんな多くは言いませんけれども、有効求人倍率、全ての県で1を超える、あるいは日本企業の経常利益(※)が過去最高、税収も過去最高になるということ、あるいは女性の就業者も三百数十万人増えて、就業率も7割を超えるということでありますので私は大きな成果があったものと思っています。
その上で足元、ロシアのウクライナ侵略があり、世界的なエネルギー危機ともいうべき状況、気候変動への対応、さらにはコロナ禍の回復期ということもあり、私は民間企業側にようやく前向きな動きがかなり出てきたと認識しております。補正予算の効果もあって、今年の国内投資は100兆円を超える見通しであります。税収も過去最高更新、企業も賃上げについて積極的な動きが始まっております。先週金曜日の大手企業との意見交換会におきましても、多くの企業が様々な手法で大胆な賃上げに取り組まれていました。報道でも続々と5%以上の賃上げを表明する企業が相次いでおります。足元の物価高は正に輸入物価によるコストプッシュ型でありますけれども、こうした投資、賃上げによって正に緩やかに物価上昇を続ける期待、続いていく期待感が出てきているものと思います。気候変動対策のコストを正にコストと見るのではなく、成長への投資と捉えていくGXと同じように、人への投資もコストと捉えるのではなく、正に未来への投資、成長として捉えていく、そういう発想の転換期にあると、転換しなければいけないと思います。これによってデフレの染みついた発想を一気に転換をしてデフレから脱却する、正にアベノミクスを仕上げていく、そういう時期に来ているものと思います。
そういう意味で、新たな日銀総裁が決まることになると思いますけれども、黒田総裁がダボス会議でも2%の物価目標を達成できなかったのは非常に心残りだという趣旨の発言をされておられました。新たな日銀総裁には、このアベノミクスを仕上げてデフレからの脱却、それに向けて取り組んでいただくということを期待したいと思いますし、日銀と連携しながらデフレからの脱却、そしてアベノミクスを発展させて仕上げて発展させて、そして岸田総理の言われている持続的で包摂的な成長、この新しい資本主義を進めていくということが大事だと思っております。
経産省として、私としては賃上げを春に向けてしっかりと後押ししていく、特に中小企業の賃上げが鍵ですので、7割の雇用は中小企業ですから、しっかりと価格転嫁対策を後押しすること、そして生産性向上に向けた支援策をしっかり活用してもらって後押しをしていくこと、そうしたことを通じて賃上げを後押ししていくことをまず最優先に取り組んでいきたいと思いますし、デジタル、グリーン、そして人への投資、ヒューマンですね、これを政府が呼び水となるような支援を行いながら民間企業の投資を引き出していく。デジタル・ニューディール、グリーン・ニューディール、ヒューマン・ニューディール、この三つのニューディールをしっかりと政府として後押しして支援をして、民間のそうした投資、賃上げを引き出していくことで持続的な、そして包摂的な成長につなげていきたいと考えております。
是非連携して取り組んでいくことを楽しみにしております。

GX脱炭素原電法案

Q:ありがとうございます。
2点目なんですが、昨日、原子力規制委員会の方で新しい規制制度について、委員の1人が反対して全会一致とはならず、多数決で決定しました。重要な案件の内容について多数決で決定するのは異例なことなんですけれども、これについての受け止めと、今後のGX脱炭素原電法案のプロセスへの影響についてお伺いしたいと思います。

A:正に高い独立性を有する原子力規制委員会でありますので、その議論や決定について私からコメントすることは控えたいと思いますが、事実関係だけ見ると、過去何度か多数決で議決を行った例があるようであります。中には委員長自身が反対して、ほかの委員がみんな賛成して多数決で決まった事例もあるようですから、原子力規制委員会、独立した立場で決定をされたということだと思います。
その上で、私どもとして2月10日に閣議決定しましたGX実現に向けた基本方針に基づいて関係法令の今国会での提出を目指すという考えに変わりはございません。念のために申し上げれば、原子力は安全が最優先でありますので、正に独立した原子力規制委員会に安全性が確認されなければですね、運転ができないということは大前提でありますので、いくら事業者側、利用者側が長い期間やりたいと思ってもですね、申請をしても安全性が確保できなければそれは運転できないということでありますので、そうした大前提の下で私どもとして関係法令の国会提出を目指していきたいと考えております。

先端半導体輸出管理

Q:おはようございます。よろしくお願いします。
半導体について質問します。先月末、日、米、オランダが半導体製造装置の対中輸入制限に合意したと報じられました。しかし、21年度の日本製製造装置の海外向け売上高は中国向けが最も多く、全体の33%となっています。対中輸出制限に参加し、不利益を被るのは、実は日本の半導体業界であり、日本経済ではないでしょうか。80年代、90年代当時最強だった日本の半導体業界は、その弱体化のための米国との日米半導体協定でつぶされました。米国の戦略に従い、対中輸出制限に参加することは日本の国益を損なうことになるのではないでしょうか。お考えをお聞かせください。

A:半導体の歴史をここで長くは語るつもりはありませんけれども、日本側、民間企業にも、官の側にも様々な課題がある中で、かつて50%のシェアを占めていたものが10%ぐらいのシェアに落ちてしまったというところが我々その歴史の教訓、これをしっかりと検証、分析した上でですね、新たな戦略を立てていかなければならないと思っております。
民間企業が多数あって、しかも自社が内製で、中で閉鎖的に自分たちで開発し投資をするという、そういう状況でありましたので、人材も分散をし大きな投資もなかなかできなかった、また、オープンなイノベーションということで、外の力を借りて新しい研究開発、イノベーションを起こしていくこともなかったという中で、御指摘のように政府の側もですね、産業政策に否定的なアメリカの意向などもあり、政府の方も大きな投資を支援をしてこなかったという中で今の状況があるわけでありますので、正にその教訓、分析の上に立って、今回最先端の半導体、正にラピダスという会社を主要企業出資の下に作りですね、そして政府としても様々な支援策を用意し、昨年の補正予算でも、1.3兆円という規模の支援策を用意する、そうしたことで民間の投資を促し、世界の最先端のものに挑戦していく。その際に、かつてのように一国だけでやる、また保護主義的にやるということではなくて、同志国が連携して多くのイノベーションで協調する形で、一国でもできない巨額な投資にもなりますので、連携してやるという中でアメリカ、ヨーロッパと連携して、そうした最先端の半導体に取り組むという方針で臨んでおります。
そうした中で、現時点で何か半導体製造装置の輸出規制を我が国が強化する方針を決定したということはございません。アメリカの規制強化については、引き続き国内企業からのいろんな影響などヒアリングなども行ってきておりますけれども、直接的に大きな影響は生じているとの報告は受けていないところであります。
今後も国際的な平和及び安全維持の観点から、外為法に基づいて厳格な輸出管理を行っていくと、そうしたことが必要だと考えております。
いずれにしても、同志国としっかりと意思疎通を図りながら対応していきたいと考えております。

Q:ありがとうございます。

経済安全保障

Q:今朝官邸であった経済安保の関係閣僚会議ですかね、で総理がセキュリティ・クリアランスの導入に向けて検討を開始するようにという指示をしました。大臣としてのセキュリティ・クリアランスを、経済安保の推進法令に含まれてなくて、これから導入を話し合うということなんですが、このセキュリティ・クリアランスの必要性をどう考えているかというのが1点。
もう一点が、仮に導入することになった場合は、どこまで調べるのかというのはかなり民間企業にも不安はあるかと思います。それについて、仮に導入することになった場合は、どういう説明をしていきたいのか、その2点を教えてください。

A:言わば、今日キックオフ的に議論が始まったわけであります。これまでも国会での附帯決議などでも検討すべしという内容もありましたし、私自身も産業界からの声、また同志国との様々な意思疎通を図る中で、こうした制度、セキュリティ・クリアランスの制度の必要性は感じておりましたので、これから高市大臣中心に関係省庁としっかりと議論をしていきたいと思います。
有識者会議も発足されるということですので、そうした議論の動向も踏まえながら、まずは今日私の発言も記録されていると思いますけれども、民間のニーズ、民間の声もしっかり、御指摘のように民間の声もしっかり聞きながら、そして同志国と信頼関係の上でいろいろな情報共有ができるような、そうした仕組みにしていくことが大事だと思っておりますので、しっかり議論していきたいと思います。

東芝

Q:先週、日本産業パートナーズ陣営が東芝に買収提案を行って、東芝側で受入れの可否の議論が行われていると思うんですが、東芝は原子力を始め国策でも重要な事業を持つ企業であると思いますが、経産省として今回の買収提案をどのように見ているかお聞かせください。

A:東芝がコメントを発表しておりますけれども、JIP連合から提案を受領したことは事実であるということと、その提案内容を精査した上で、株主の皆様をはじめとしたステークホルダーの皆様の利益最大化に向けて行動してまいりますということでありますので、まだ中身について何か公式に公表されたものはないと承知しております。
この東芝が開示した内容以上のことについては、個別の投資案件でもありますので、コメントすることは控えたいと思いますが、御指摘のように、東芝は原子力、半導体など、正に国家の安全保障にも関わる極めて重要な技術を有しております。関係する事業を是非成長・発展させていくことが重要と考えておりますし、そうした経済安全保障の観点からも、よくその動向は見ていきたいと思っております。

Q:ありがとうございます。

(※)実際の発言は「経常収支」でしたが、事実関係を踏まえ上記のとおり修正しました。

以上

最終更新日:2023年2月17日

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