外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】まず冒頭ですが、北朝鮮による弾道ミサイル発射について一言申し上げます。
 本18日、北朝鮮はICBM級弾道ミサイル発射をいたしまして、我が国の西方約200kmのEEZ内に落下をいたしました。北朝鮮が前例のない頻度と態様で弾道ミサイル発射を繰り返していることは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。また、このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであり、我が国としては北朝鮮に対して厳重に抗議をいたしました。
 本日のG7外相会合においても、この弾道ミサイル発射を強く非難するとともに、北朝鮮への対応に関し連携を確認をいたしました。また、米国のブリンケン国務長官ともその旨確認し、この後、韓国の朴振(パク・チン)外交部長官とも確認する予定であります。今後とも、米国、韓国、G7も含め、国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の完全な非核化を目指します。
 G7外相会合ですが、ウクライナ情勢を中心に議論を行いまして、G7外相は、法の支配に基づく国際秩序を堅持するというコミットメントを強調いたしました。また、公正かつ永続的な平和へのウクライナのコミットメントを歓迎し、そのためにウクライナと積極的に協力をしていくことで一致をいたしました。さらに、G7外相は、ウクライナに対する支援を継続する決意、これを再確認したところでございます。
 この会合の後半にはクレーバ・ウクライナ外相が参加をしていただきまして、G7によるこれまでの支援に対する謝意と更なる支援に対する期待が示されたところでございます。
 続けて、ウクライナのクレーバ外相とバイ会談を行いました。日本として引き続きウクライナ支援を行っていくことを伝えるとともに、G7議長国としてG7を始めとする国際社会が引き続き結束して厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続できるよう、役割を果たしていく決意をお伝えしたところでございます。
 この他にも、会議に参加している各国外相等とのバイ会談を行いまして、ロシアによるウクライナ侵略を始めとする国際社会の喫緊の課題や、二国間関係の強化について議論をしております。まず、モンゴルのバトツェツェグ外務大臣と短時間ですがお話しをした後、ロシアと国境を接し、ウクライナ侵略を非常に深刻に受け止めているエストニアのレインサル外相と会談を行いました。
 午後には、ラトビアのリンケービッチ外相、それからリトアニアのランズベルギス外相、韓国の朴振(パク・チン)外交部長官とも会談を行う予定になっております。
 また、先ほど、王毅氏が中国の外交を統括する立場に就任された後初となる対面での会談を行いまして、「建設的かつ安定的な関係」の構築を共に進めていくという大きな方向性を改めて確認したところでございます。その上で、私からは、日中関係は依然として多くの課題や懸案に直面しているとして、特に、尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海、ロシアとの連携を含む中国の軍事活動の活発化等について深刻な懸念、これを改めて表明するとともに、我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体、台湾海峡の平和と安定等につきまして、我が国の立場を改めて明確に伝達をいたしました。同時に、経済分野での協力の可能性、また国民交流の再活性化の重要性について改めて確認をいたしました。その上で、来週、いずれも次官級協議の日中安保対話、日中外交当局間協議、日中経済パートナーシップ協議、これが開催されることになったことを歓迎し、首脳・外相レベルを含むあらゆるレベルでの緊密な意思疎通を継続していくことで一致をいたしました。
 この後、インド太平洋の地域安全保障をテーマとする、ミュンヘン安全保障会議のセッションに出席をいたしまして、新たな国家安全保障戦略等を踏まえた、我が国の外交・安全保障政策について、しっかりと発信して参ります考えております。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】まずはG7外相会合についてお伺いします。今回の大臣も述べられたように議長国として初めての開催となりましたけれども、急遽北朝鮮のミサイル対応など議論となりました。
 議長として今回の議論での進展だとか、成果をまずどのように評価されるでしょうか。またこれを広島サミットにどのように繋いでいこうとお考えでしょうか。
 
【林外務大臣】今年の日本議長国下で初めてとなります対面のG7外相会合を開催でき、うれしく思っております。今回の会合ではですね、ロシアによるウクライナ侵略開始から間もなく1年を迎える中で、G7が結束してウクライナを支援していくということ、そして、法の支配に基づく国際秩序を守り抜いていくことについてですね、G7の確固たる決意を示すことができたと考えております。
 4月のG7長野県軽井沢外相会合、また5月のG7広島サミットに向けまして、ウクライナ情勢に関する連携のみならず、インド太平洋に関する議論を深めることを含めて、引き続きG7外相間で緊密に連携していきたいと考えております。
 
【記者】ウクライナの支援策のあり方を巡ってお伺いします。日本は武器等の提供ができない非軍事の支援に限られるという制約を抱えていますが、議長国として今後より積極的な役割を期待されるなかで、日本として、どういった形で支援を強化し、また国際社会の支援・議論を主導していきたいとお考えでしょうか。また、先ほどウクライナのクレーバ外相から言及があったかと思うのですが、岸田総理のウクライナ・キーウ訪問については、大臣としては広島サミット前の訪問実現が望ましいとお考えでしょうか。また現在の調整状況があればお聞かせください。
 
【林外務大臣】日本はこれまでですね、ウクライナ及びその周辺国等、ロシアによるウクライナ侵略の影響を受けた関係国に対しまして、昨年12月に措置をされた600億円(約5億ドル)の補正予算を含めて、人道、財政、食料、復旧・復興の各分野で、総額約15億ドルの支援を順次実施しております。
 日本は、G7をはじめとする国際社会が連携をして、適切にニーズを把握しながらですね、今後も国難に直面するウクライナの人々に寄り添った支援を行い、ウクライナの復旧・復興に貢献すべく、G7議長国としてリーダーシップを発揮していきたいと考えております。例えば、日本がこれまで培ってきた経験・知見等も活用しながら、発電機等の供与等の越冬支援に加えまして、カンボジアと協力した地雷対策、またがれき除去、電力等の基礎インフラ整備を含む生活再建等のですね様々な分野において、日本の「顔」が見えるウクライナ支援、こういうものを効果的に進めていきたいと考えております。
 総理のウクライナ訪問についてですが、現時点では何ら決まっていることはございません。
 
【記者】ロシアの制裁とウクライナ支援についてお伺いします。G7が今日結束を確認したとのことですが、それ以外に目を向けるとウクライナ支援疲れまたロシアへの制裁に慎重な国も出てきております。G7の議長国として日本の役割や強みをどのように理解し、どのような国にどのような働きかけを行っていくのでしょうか。
 
【林外務大臣】国際秩序の根幹を揺るがすロシアによる侵略を一刻も早く止めるためには、いわゆるグローバル・サウスの国々を含めた国際社会が結束して声を上げていくことが重要だと考えております。
 こうした国々に対し、法の支配に基づく国際秩序の維持・強化、この重要性を訴えながら丁寧に働きかけを行なって、理解を得ていく必要があると考えております。日本はアジア唯一のG7メンバーとしてですね、これまでも様々な機会を利用してアプローチを続けてきていますが、今年はG7議長国という立場も活用しながらですね、国際的な議論を積極的にリードしていきたいと考えております。 
 
【記者】ロシアの制裁についてお伺いします。ロシアやロシアを支援する国々への実効性のある制裁を強化するためにG7としてどのように取り組むか、今日の会合での成果についてお訊きします。また、先ほど日中での安保対話を来週実施するというお話がありましたが、気球の話のやりとりがある中で、来週実施することの狙いについてお伺いします。
 
【林外務大臣】まず、この対露制裁についてですが、今回のG7外相会合で、ロシアによるウクライナ侵略が継続する中で、G7としてロシアに対する制裁を維持・強化することで一致をいたしました。今後、侵略開始から一年となる2月24日、これを念頭にいたしまして、我が国としても、制裁の迂回・回避対策を含め、G7を始め関係国と緊密に連携しながら、適切に対応して参りたいと考えております。
 それから日中安保対話ですが、日中関係、これは尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海やロシアとの連携を含む我が国周辺での軍事活動の活発化、過去に我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体と多くの課題や懸念に直面しております。こうした課題、懸案についてですね、主張すべきは主張していくと同時に、課題や懸案があるからこそ、率直な対話を重ねていくということが重要であります。日中間でも昨年11月の首脳会談を含めて、対話の必要性で一致をしてきております。こうした流れの中で、今般2019年2月以降開催されてこなかった、日中安保対話を改めて再開させることになりました。我が国としては、先に述べました課題や懸案について我が国の立場に基づきしっかり対応していきたいと考えております。
 
【記者】中国の王毅共産党政治局員との会談についてお伺いします。大臣より、冒頭、中国の偵察気球について御紹介がありましたが、日本は領空侵犯した気球の迎撃を可能とするため、武器使用の要件を緩和しました。この点を含めてどのようなやりとりがあったのか、詳細をお伺いします。
 また、日本が中国からの入国者に課している水際措置や、中国側が求めている大臣の訪中の時期についても話題に上ったのかお伺いします。
 
【林外務大臣】御指摘の気球の件ですが、私から、過去に我が国の領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体についての、我が国の立場を改めて明確に伝えるとともに、いかなる国の気球であっても許可なく他国の領空に侵入すれば領空侵犯となる旨伝えたところでございます。
 また、水際対策ですが、先方から提起がありまして、私から我が国の立場を改めて説明したところでございます。私の訪中についてですが、中国側から改めて招待がありまして、引き続き、具体的な時期を調整していくこととなっております。現時点では何か決まっていることではございません。


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