農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年2月24日(金曜日)10時42分~10時59分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)酪農における離農の現況について
  • (大臣から)日経SDGsフォーラムシンポジウムについて
  • 「農業集落調査」の見直しについて
  • 物価・賃金・生活総合対策本部について
  • 乳製品のカレントアクセスについて

冒頭発言

大臣

  私の方から二つ報告がございます。一つは、先般より皆さん方からも御質問がありました、酪農家の離農の実態について(早期に把握し対策を検討したいと申し上げていた件について)申し上げます。生産者団体の協力を得て、指定団体に生乳を出荷している酪農家戸数の動向を分析しました。指定団体に生乳を出荷している酪農家は、全体の酪農家のうちの9割ですから、ほとんどの酪農家の動向を把握できたということです。その結果、令和4年以降、特に北海道を除く都府県において、例年と比べて戸数の減少率が拡大して、酪農からの離農が進んでいることがうかがわれたところです。具体的に数字を申し上げますと、いずれも前年対比でありますが、毎年、酪農家は減少していまして、概ね4パーセント減少で例年推移していたのですが、昨年の場合は12月で比べますと、6.5パーセントの減少でした。また、都府県では例年概ね5パーセントの減少だったのですが、昨年12月で比べると8.2パーセントの減少となりました。離農が拡大している現状は、今朝の物価・賃金・生活総合対策本部の中でも、飼料高騰の状況と併せて、私から報告をしました。本部においては、総理から、酪農の非常に厳しい経営環境になっている要因としての、飼料価格高騰への対策の具体化を進めるよう指示があったところです。なお、指定団体に生乳を出荷している酪農家の戸数の推移については、本日、一般社団法人中央酪農会議がホームページ上に公表します。今私が申し上げたのは全体の(離農状況の)数字で、詳細は中央酪農会議のホームページを見ていただきたいと思います。
  もう1点は、来週28日(火曜日)ですが、日本経済新聞主催、農林水産省、消費者庁の共催で、日経SDGsフォーラムシンポジウムを開催します。サステナアワード受賞者の講演とともに、環境配慮の見える化を通じた企業の価値向上をテーマにパネルディスカッションを行います。この機会を通じて、みどりの食料システム戦略に基づく取組の幅広い理解と行動につながることを期待します。詳細は事務方にお聞きいただければと思います。

質疑応答

  • 「農業集落調査」の見直しについて

記者

  農業集落調査についてお伺いします。21日に開催された農林業センサス研究会で、農水省が示した25年調査の案が了承されました。まず、案が取りまとめられたことについての受け止めをお伺いしたいと思います。また、センサス研究会の委員や学識者からは、従来の調査が難しい理由について、農水省側の説明や情報開示が不足していたり、議論の進め方が拙速であったりとの批判の声が上がりました。廃止方針の打ち出しから取りまとめに至るまでの農水省の対応に問題はあったのか、もしくはなかったと思われるのか、その理由と併せてお伺いしたいと思います。加えて、議論がここまで紛糾し、長引いた理由は何であるとお考えでしょうか。

大臣

  まず、集落調査の見直し案の受け止めですが、農水省としては、(農業)集落に着目した統計の重要性は認識しています。調査方法はこれまでの方法を継続することが非常に困難と統計部の方から聞いていまして、約半年間にわたり議論し、可能な限り委員の御意見を踏まえたものだと思います。何が難しかったのかといいますと、農水省から集落の代表者の方を紹介してほしいと市町村に(調査を)投げかけたのですけれども、従来は(紹介を)やってくれたのですが、個人情報との関連で(今回は)駄目という回答で、全部の市町村ではないのですが、14万集落の中の5万集落の(名簿の)提出がなかったことで、(結果として)ほぼ従来と同様に(調査自体は)できたのですが、(今後も)これでは統計上おかしいことになるので、やり方を内部でずっと議論をしてきまして、別の方法でやれるということでセンサス研究会に御提示したのですけれども、それでは駄目ということになり、5回の研究会を開催し何とか委員皆さん方の御了解をいただいて、今回のやり方になったということです。(これまでの)調査方法を継続することが難しいということが、統計部から意見として出てきました。しかし、これは統計部だけでやる話ではないものですから、皆さんの意見を聞こうということで(研究会を)開催したのですけれども、その研究会の委員の先生方からそれでは駄目とのことで、5回の会合を開き、この案でどうかということで、ようやく決着がついたのが、先般発表したやり方ということを御理解いただきたいと思います。

記者

  農水省として議論の進め方とか、プロセスについて問題はあったかどうかという御認識はいかがでしょうか。

大臣

  類似した他の調査もあって、それにもう少し調査項目を加えてやろうという提案を研究会でしたところ、(それでは)駄目ということで、研究会の委員からは、これでは統計として意味をなさないと(いう意見でした)。(調査方法を)変えるなということですから、対象者をどういうふうに(特定)してやるかという問題があったのですが、まず入口のところで(調査のやり方として)統計部が考えていたようなことでは駄目だと言われたものですから、ではどういう(調査)方法があるかということで、今のようなやり方に落ち着いてきたのです。今回の調査方法は、(調査対象となる)区長等の(候補)名簿を出して、どの方が区長で、(区長がいない場合は)どの方が認定農業者ですかという形で、市町村からの(全く初めからの)聞き取りではなくて、こちら(農水省)から(候補者を)提示して、(先方から)この人ですといわれた方に調査を依頼していくことになったわけですけれども、本当に上手くいくのかという懸念はあります。

  • 物価・賃金・生活総合対策本部について

記者

  今朝、政府の物価・賃金対策会議も開かれたと思うのですが、この中で、小麦の政府売渡価格と飼料の価格(高騰対策)についても4月以降も激変緩和策を講じるようにという総理からの指示があったと思います。これについて受け止めと今後の対応についてお願いします。

大臣

  今朝、総理の方から、(輸入小麦の)4月以降の売渡価格の激変緩和対策を講じてくださいと指示がありました。小麦の価格は4月と10月が改定時期です。この4月は改定時期となりますが、今年度はというと、10月の改定時に、1年間を通して(算定を)やることとし、4月に決めた価格で据え置きましょうと、改定をしなかったのです。そうしないと、(売渡価格が)上がってしまうものですから、平準化するために(算定期間を)1年間通してやる形でやったのです。この4月以降どうなるかは、売渡価格がどうなっていくかによって変わってくるので、大きく上がるようなことになれば、消費者の皆さん方は大変ですから、激変緩和対策を講じなさいというのが総理の指示と思っていますが、買付価格の動向がどうなっていくのかまだ分かりませんので、この買付価格の動向を注視しつつ検討を進め、3月上旬を目途に決定したいと思っています。

記者

  一部パンの業界などからは、小麦の価格がもし据え置かれると、前回そうだったと思うのですけれども、その他の材料費が上がっている中で、価格転嫁しづらい現状もあるという声を取材の中で聞くのですが、今回は据え置きではなく、ある程度、かなり価格の上昇が激しいようであれば、一部を補填するというイメージでよろしいのでしょうか。

大臣

  今申し上げたように、売渡価格の激変緩和対策を講じてくださいということですから、買付(価格)でどのぐらい上がるのか分からないので、下がるということは今の情勢から見て(現実的では)ないと思うのですが、最低でも、据え置きから上がった分をどうするかという検討はしていかなければならないと思っていまして、買付価格の動向を我々は注視していかなければいけないので、来月の上旬までお待ちいただきたいと思います。まだ、今のところ具体的にどうするということは、今朝(総理に)言われたばかりですから、決めていません。

  • 乳製品のカレントアクセスについて

記者

  乳製品のカレントアクセスについて伺います。22日の衆議院予算委員会で、今後脱脂粉乳の入札は行わず他の乳製品で所要の入札を行うと答弁されましたけれども、具体的に今後この入札をどう進めるのか。また、カレントアクセスの枠の全量を輸入する方針に変わりはないのかお聞かせください。

大臣

  カレントアクセスというのは予算委員会でも何回も答弁しているのですけれども、これはWTOで決まった数量13万7,000トンで、この分については入札の機会を与えなければならないということです。13万7,000トンのうち12万7,000トンは入札済みで、残っている数量があと(生乳換算で)1万トン。この1万トンの中で、何を入札に上げるかは日本の方で決めるわけですが、脱脂粉乳はもう在庫が積み上がってきていて、たくさん余剰があるので、脱脂粉乳以外のものに振り分けて、入札をするということです。脱脂粉乳は在庫が積み上がって、皆さん大変(な努力をして)需給調整していただいているわけで、もう脱脂粉乳は入札にかけません。残った1万トン(の枠)は脱脂粉乳以外のもの、例えばバターオイルやホエイ、バターとか脱脂粉乳以外のものに振り分けていくと(いうことになると思います)。それで入札があるかないかはまだ分かりませんけれども、そういう形でやりたいということをこの前申し上げたところで、その方針は変わっておりません。

記者

  この後どのような品目を選ばれるか、いつ頃入札が行われるかというのは決まっているのでしょうか。

大臣

  入札は2月と3月ですが、何を(入札に)かけるかというのは今から決めます。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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